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R-18_Abe-SeedDestiny-X_安部高和_02

Last-modified: 2007-11-06 (火) 21:39:09

――「オルバよ。悪い事をするにはまず何が必要だと思う?」
――「・・・・・・悪事に対する美学かい、兄さん?」
――「それもある。いや、むしろ悪事とは全てそれありきで行うべきものだ。己が欲求に任せて行う
悪事など是即ち単なる卑しき犯罪に過ぎん。ではオルバよ、美学ありきで悪事を行う場合、まず
何が必要かな?」
――「・・・・・・やっぱり事を起こそうというのだから、お金・・・かな?」
――「そうだオルバよ。何をするにもまず先立つ物が必要だ。ドライブには車、野球にはバットが必要
なように、悪事にはとにかく金銭が必要なのだよオルバ」
――「でも、だからって・・・・・・」
――「案ずるなオルバよ。ここならばすぐに悪事に必要な金を稼ぐ事が出来る。・・・なに、少しの辛抱だ」
――「だからってこんな・・・・・・あ、兄さんお客さんだよ」
「いらっしゃいませ」
「チーズバーガー二つ」
「かしこまりました。ご一緒にポテトはいかがでしょうか?」
「イラネ」
「かしこまりました。お会計180円になります」
――「オルバよ。チーズツープリーズだ」
――「・・・・・・こんな所でバイトなんかして、本当にお金が貯まるのかな・・・?」
プラント市街、マクドナルド。
シャギアとオルバは、悪事を行うのに必要な資金を稼ぐべく、ここでアルバイトをしていた。
シャギアはレジ、オルバは調理をそれぞれ担当していた。
ちなみになんかややこしい表現を使っているが、あれは彼らがテレパシーで会話しているのだと認識してください。
――「ふっ、まだまだ青いなオルバよ。考えてもみたまえ。ここに飛ばされた時我々が所持していた物といえば、
MS二機と財布のみ。MSはともかく、我々が持っていたお金は使い物にならなかったではないか」
――「・・・それはそうだけど」
AWでの通貨はドルである。種世界での通貨は円なので、彼らの持っていたお金は使い物にならなかった。
――「つまり今の我々は無一文。そして加える事住所不定&無職。分かるかオルバよ?そういった人間を人は
こう呼ぶのだ。・・・・・・ホームレス、とな」
――「――!?そ、そんな!?!?」
ホームレスとは、社会という枠組みにおいて最底辺に位置する人種の事である。空き缶拾ったり、ゴミ袋から
食べ物を漁ったり、配給所に行ったり。
つまりどういう事かというと、今の彼らは美学を語るには程遠い人種だという事だった。
――「ここには新連邦もアイムザットもいない。今の我々には後ろ盾が無いのだよオルバ。つまり我々は
自力で金を稼がねばならないという事だ。・・・・・・それ故のアルバイトなのだと、理解してくれたかなオルバ?」
――「うん、分かったよ兄さん!僕一生懸命働くよ!」
――「分かってくれて何よりだよオルバ」
そして二人はせっせと働いた。AWでのフリーター時代に培ったスキルで、次々と客を捌いていった。

と、そこでいかにもアホそうな服装の男女がカウンターにやってきた。
「いらっしゃいませ。ご注文は?」
「ん~っとぉ、スマイル100個」
「・・・・・・」
客商売をしていると、たまにこういう手合いもやってくる。店員を完全に自分より下だと見下し、何をしても許される
と思っている人種である。さすがのプラントでも品性まではコーディネート出来なかったようだ。
しかしそこはマックでのバイト歴5年のシャギア。慣れた様子で、彼にスマイルをプレゼントした。
「・・・・・・ニヤリ」
とっても悪そうな笑みだった。だがそれも仕方の無い事。シャギアは悪い子なのだ。
「ギャッハッハッハ!きめぇwwww」
「チョーキモーイwww」
そんなシャギアの誠意を、バカップルはバカにしたような顔で笑い飛ばした。
「・・・・・・。以上でよろしいでしょうか?」
「は?んなワケねーじゃん。誰がおっさんのキモイ顔見に来るかっつーの」
「・・・・・・」
「ハンバーガー二つ。あとコーラも」
「ごいっしょにポテトは――」
「いらねぇっつの。いいから早くしろよ」
「・・・・・・。お会計410円になります」
「ほらよおっさん」
カウンターに乱暴に置かれた410円をレジに入れ、そしてシャギアはオルバにこう告げた。
――「・・・・・・オルバよ――デスバーガー二つだ」
――「――!?し、正気かい兄さん!?」
――「もちろんだともオルバよ。お客様には誠意を、DQNには制裁を、が私のモットーだ。私をおっさん呼ばわり
した罪、彼奴らの舌で償わせてやらねばなるまい・・・・・・」
――「で、でもそんな事をしたら――」
――「それに顔面偏差値がFランクとはいえ、女を連れているのだぞ?私の前で女を連れるという事がどういう事なのか
を身をもって知らしめてやらねばなるまいてオルバよ」
――「・・・・・・分かったよ兄さん」
そしてオルバはデスバーガーの製作にかかった。

良い子のデスバーガーの作り方。
1、まずはミートパティを横に切ります。
2、それぞれ中をくり抜きます。
3、空いたスペースに唐辛子をこれでもかというくらい練り込みます。
4、ミートパティを元に戻します。
5、あとは普通にハンバーガーを作ります。
6、これで完成デスバーガー。嫌な奴にでも食わせましょう。
――「出来たよ兄さん」
シャギアは調理場から送られてきたデスバーガーを何食わぬ顔でトレイに乗せ、そしてDQNカップルに差し出した。

「お待たせしました、デス・・・・・・もとい、ハンバーガーでございます」
「おいおいおっさん、コーラ忘れてんよ。更年期障害?」
「・・・・・・。申し訳ありません」
シャギアはカップにコーラを入れるふりをして、中に雑巾の絞り汁を入れた。
「お待たせしました」
見た目はしゅわしゅわ泡立つコーラだった。しかしそこはシャギア・フロスト。カロン・ラットのお茶汲み時代に培った
技能により、雑巾の絞り汁をあらゆる飲料に似せる事を可能としていた。
そしてDQNカップルは適当な席に座り、ハンバーガーの包みを広げ始めた。
――「ふっ・・・口から火を吹くがいい・・・・・・!」
――「でも兄さん、その火でもし火事になっちゃったら僕ら失業だよ?」
――「ふっ・・・・・・ならその時は火事に乗じてレジの金を根こそぎ奪えばいいだけの話だよオルバ」
――「――!!悪い、悪すぎだよ兄さん!流石兄さん、目の付け所が違うよ!!」
――「そう褒めるなオルバよ。ニヤついてしまうではないか」
そして数秒後。
「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
DQNカップルの咆哮が店内に響き渡った。
「こ、コーラを!!」
「ぐえぇぇぇぇぇぇ!!」
それはコーラではなく雑巾の絞り汁。DQN雌はゲロと共にそれを吐き出した。
「・・・・・・やれやれ」
DQNカップルを取り巻く視線の中、シャギアが彼らに歩み寄った。
そしてシャギアはデスバーガーを拾い、DQN雄に差し出しこう言った。
「さぁさぁ、お気を確かに。まだ倒れるには及ばない。お客様のハンバーガーはまだ九割も残っている。
まだまだ、ハンバーガーは残っているのです。どうぞ存分にハンバーガーをお食べください。
――我々はその姿を、心から応援する者です・・・!」
涙目になったバカップルに仰々しくお辞儀をするシャギア。
そしてそのすぐ後、店長が奥から飛び出してきた。

プラント、廃屋。
「・・・・・・クビになっちゃったね、兄さん」
「どうやらこの世界の店はチェックが厳しいようだ」
拾った布団に潜りながら、二人は語らっていた。
荒廃したAW世界とは違い、完全に統制されたプラントでは店側の不始末には厳しかった。
「これからどうしようか?・・・いっその事、MSを使って適当な基地を襲撃する?」
「いやオルバよ。それは無理だ」
現実問題として、母艦も基地も持たない二人では事を起こすのは不可能だった。
インモラルガンダムとは違い、通常のMSには補給が必要なのだ。今の状態でMSを暴れさせても、
すぐにガス欠になるのは目に見えていた。
「じゃあどうすればいいのさ、兄さん?このままじゃ僕ら、ホームレスで一生を終えちゃうよ」
「何か良い方法は・・・・・・。――そうだ!」
「何か思いついたの、兄さん!?」
「ああ。しかし取りあえず今は寝よう。明日は忙しくなるぞオルバよ」

明朝。
「オルバ。起きるんだオルバよ」
布団の中で寝ているオルバを、シャギアは優しく起こした。
「・・・・・・ふぁ、どうしたのさ兄さん、こんな朝早くに・・・・・・」
「これを見るんだオルバよ」
そう言ってシャギアが鞄から取り出したのは、大量の札束。
「――!?」
寝惚け眼だったオルバの意識も一気に覚醒した。
「すごい・・・すごいよ兄さん!一千万円はあるよこれ!!」
「これなら当面は凌ぐ事が出来るだろう」
「そうだね!でも兄さん・・・こんなお金、一体どうやって工面したんだい?」
「ああ。我々のMSを売った」
「・・・・・・・・・・・・は?」
「一機当たり600万だった」
安っ。
「いやいや兄さん。売ったってどういう事!?」
「まぁ落ち着くんだオルバよ。何も私は考えなしにMSを売ったわけではない」
するとシャギアは、鞄から一枚の紙を取り出した。
「・・・・・・?兄さん、なんだいこれは?」
そこにはこう書かれていた。
――シャギア・フロスト殿。貴殿のアカデミー卒業をここに証明する。
「どうもここの軍は学校を卒業しなくては入れないらしいのだ。だからこれを闇の売人から買ったのだよオルバ」
「で、でもそんな物を買ってどうするのさ!?しかも兄さんの分だけだし!」
「ふっ・・・・・・ここからが本題だよオルバ」
そしてシャギアは、オルバに作戦の全容を話した。
「――!?す、すごいよ兄さん!すごい作戦だよそれは!!」
「そういうわけだから早速動くぞオルバよ」
「うん、分かったよ兄さん!なんだか燃えてきたよ僕!!」
二人は廃屋を出て、それぞれ別の方面へと歩き出した。

ヴェサリウス、ブリーフィングルーム。
「今日は貴様達に新しい仲間を紹介する!」
ジュール隊の隊長であるイザークは、このブリーフィングルームにクルーを集めた。
「こんな時期に新入りかい?」
「まだ今期のアカデミーは修了していないはずですが・・・・・・」
「特例だそうだぞ、ディアッカ、ニコル。よし、入れ!!」
イザークの声を受け、その新入りがブリーフィングルームに入ってきた。
長身の男。昨日までの派手な服とは違い、今彼は緑色の軍服を身に纏っていた。
「まずは自己紹介だ!」
イザークにそう言われ、その男はクルーに対しこう言った。
「初めまして、シャギア・フロストです。・・・・・・皆さん、よろしくお願いします」

機動戦士阿部さんSEED DESTINY X
第二話~何このフロスト兄弟。ふざけてるの?~