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R-18_Abe-SeedDestiny_安部高和_07

Last-modified: 2007-11-06 (火) 21:35:41

フリーダム光臨より遡る事数日――
深夜のオーブ、秘密の屋敷周辺。
「ここか・・・」
カエルっぽいMS、アッシュに乗ったヨップはそう呟いた。
「なるほど、確かにこれなら誰にも見つからないな・・・」
何者かの情報提供を受けて秘密の屋敷を襲撃しに来たヨップ以下ザフトの特殊部隊は、
秘密の屋敷のそのあまりの秘密っぷりに舌を巻いた。
地元のオーブ軍でさえ見つけられなかった秘密の屋敷。一体どこに建っててどんな形を
しているのかは、おそらく皆の想像通りであろう。想像してくれ。頼む。
「よし!それでは各員、砲撃開始だ!」

秘密の屋敷、寝室。
突然の大きな揺れに、キラは目を覚ました。
「いったい何が・・・?」
カーテンを少し開けると、緑色でカエルっぽいMSが屋敷に向かって砲撃をかけているのが目に映った。
「どうしてこんな・・・・・・ラクス、ラクス。起きてよラクス」
横で寝ていたラクスの体を揺するキラ。
「・・・・・・むぇ?」
「ラクス、敵だよ。敵が来たよ」
「・・・・・・てきぃ?」
寝惚け眼を擦りつつ呟くラクス。超熟睡していたようだ。
「うん。ほら、見てよ」
「あ~・・・・・・。――!?キラ、敵が来ましたわ!」
「うん、見れば分かるよ。それと涎拭きなよ」
「ごしごし。キラ、こんな時のためにあなたの剣を地下に用意しておきましたわ」
「僕の剣?まさか・・・・・・フリーダム?」
「ええ、そうですわ。急ぎましょう、オーブが火に包まれる前に」
そう言って、ラクスはキラの手を引いて地下室へ向かった。
「にしても・・・・・・一日早いですわよ、ヨッピー」

秘密の屋敷、地下。
「さぁ、こちらですわ」
「う、うん・・・」
「どうしましたの、キラ?」
「いや、あの部屋・・・・・・」
キラが指したのは、今は釘と板で厳重に封鎖されている扉。
「あ、あそこは物置ですわ。ですから気にしてはいけませんわ。ええ、絶対に!」
「そ、そう・・・・・・」
キラが指した部屋――それは、全大戦終結直後にキラが一年半あまりを過ごした部屋だった。
名を『桃色絶対服従教室』・・・・・・早い話が洗脳部屋である。
そこで一年半という長い期間を過ごしたキラは、今の様な腐った魚のような目をするに至ったのだ。
「ここですわ」
分厚い扉。ラクスはパスコードを入力し、そしてその分厚い扉は開かれた。
「さぁキラ、あなたの剣ですわ」
青い羽を持つ白いガンダム、フリーダム。
二年の時を経て、天使は再び舞い上がった――
アッシュ隊、瞬殺。

オーブ、モルゲンレーテ。
「各員、所定の位置につきました」
「んじゃしゅっぱ~つ」
「了解!アークエンジェル、発進!」
「サー、イエッサー!!」
ナタルの号令で、アークエンジェルもまた二年の時を経て空へ舞った。
「しかし、何故突然アークエンジェルの発進を命じられたのでしょうか、代表は」
「知らない」
「カガリさん。あなたは何かご存知ですか?」
「さぁ?いきなりお父様が『アークエンジェルを出せ!』って言ってきたから、理由は分からん!」
「代表が何の理由も無く出航を命じるはずはない・・・・・・何かあったのか?」
ナタルの懸念は当たっていた。

オーブ首長国、セイラン邸。
その地下牢獄に、ウズミは入れられていた。
「ユウナ貴様・・・・・・こんな事をしてただで済むと思っているのか!?」
「申し訳ありませんウズミ様。ですが、ウズミ様のお言葉は国を焼き兼ねないと思いまして」
「私が国を焼くだと!?」
「そうです。ウズミ様は頑なに中立を叫び続け、連合を拒み続ける。正直それじゃあ困るんですよ」
「オーブは中立国だぞ!連合の介入など許せるか!!」
「それがいけないんですよ、ウズミ様。今は地球が足並み揃えてプラントを討つ時・・・一人だけ勝手な事を
叫び続けられては輪が乱れてしまうのですよ」
「貴様・・・・・・オーブを連合に属させようというのか!?」
「失礼、僕はこれから執務がありますので。それではウズミ様、ごゆるりと隠居生活を堪能くださいませ」
そう告げて、ユウナは地下牢獄から姿を消した。
残されたウズミはぽつりと呟く。こんな事もあろうかと思い、掛けていた保険に。
「・・・・・・頼むぞ、アークエンジェル」

そして時は戻り、ザフトと連合が交戦する海の上。
『キラ・ヤマト、フリーダム行きます!』
フリーダムは発進し、戦場へと舞い降りる。
「さて、と。ナタル様、マイクを貸していただけますか?」
「はぁ、構いませんが・・・・・・何をなさるおつもりで?」
「もちろん、決まっておりますわ」
ラクスは懐から紙を1枚取り出し、ナタルに告げた。

「戦場を静めようというのです。わたくしの声で」

「皆様、わたくしはラクス・クラインです」
マイクを取った彼女は、戦場にいる全機体に向けてそう告げた。
「皆様、どうか刃をお収めください。わたくし達は二年前の悲劇を繰り返してはならないのです」
その悲劇の火に油をこれでもかというくらい注いだのはご存知のとおりラクスだが、彼女は
その痕跡を完全に抹消していた。桃色の掟第4項『名は残しても証拠は残すな』である。
「先日わたくしは何者かによる襲撃を受けました。おそらくわたくしの持つ力を恐れての事でしょう」
その辺りは上記。ようするに自作自演なのだが、第4項に従い証拠は完全に消えていた。
「わたくしを亡き者にしようとする・・・・・・それは、あらかじめの強者の排除をもって世界を新たな混迷に
導こうと何者かが画策しているに違いありません。そして今、その何者かの手によって再び戦火が広がろう
としています。わたくしはそれを許せません。ですからわたくしはこうして・・・・・・」
不意に演説が途切れた。
「二枚目は!?二枚目はどこですの!?」
ラクス様は原稿の二枚目を失くしていた。
「あの、ラクス嬢・・・」
「なんでしょうかナタル様。二枚目が見つかりましたの?」
「いえ、そうではなくて・・・・・・誰も聞いておりません」

フリーダムは、瞬く間にウィンダム部隊の手足をぶった斬っていった。
『ぐわぁぁぁぁぁぁ!!』
『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!』
目は腐ってもさすがはスーパーコーディネーター。ばったばったと斬り捨てる。そこに痺れる、憧れるゥ!
「ひゅう♪キラじゃないの。こんな所で会えるなんてな。これもデスティニー?」
暴れ回るフリーダムの元へインモラルを向かわせた阿部。しかし――
『え?・・・あなたは誰ですか?』
キラは阿部の事を覚えてなかった。某桃色様の手により、余分な記憶は抹消されてしまったのだ。
「おいおい、あんなに熱く交わった仲じゃないの」
『言っている事が分かりません。だけど、あなたは倒さなければならないような気がします』
そう言ってハイマットフルバーストするキラ。深層意識化で、キラは阿部を危険視していた。
「おっと、随分乱暴じゃないの。しょーがない、こうなったら目を覚まさせてやるさ!」
フリーダムに組み付こうとするインモラル。
その時、両者の間を一機の戦闘機が遮った。
『キラ!!』

――フリーダムを見た時、俺の中で何かが弾けたんだ。
――そう、それは遠い昔に味わった甘酸っぱい感覚。
――分かるだろ?恋焦がれた相手に二年ぶりに再会した、その気持ちってやつがさ。
――だから俺は、ポッド背負ったヘンなガンダムをほっぽってキラの元へ行ったんだ。
――だけど・・・それがまさか、あんな事になるなんて・・・
「キラ!!俺だ、アスランだ!!おまえの想い人、アスラン・ザラだ!!」
『やめてよね。誰だか知らないけど、そんな海賊版のMSで向かってくるなんて許せないじゃないか』
十・七・分・割
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

セイバーガンダムは思った。
ああ、これで僕の役目は終わりなんだろうなぁ、と。
そしてセイバーガンダムは過去の自分の雄姿を思い返し――
――ちょwwwバグってるwww
――再起動・・・・・・ダメだおえぇ。
そして、考えるのをやめた――

「艦長!セイバー、あっという間にやられました!!」
「マジ?・・・・・・どうりで安すぎると思ったわ、あのMS・・・」
「いくらだったんですか?」
「80万円よ」

「あーらら、誰だか知らないけどご愁傷サマ。・・・さて、再開といくか!」
『阿部!すぐに帰還してくれ!!』
「おいおい、そりゃないぜ。イイトコロだってのに・・・」
『すまんな。だがウィンダムが全滅しちゃあ戦闘は続けられない』
海面には、所々斬られた大量のウィンダムがぷかぷか浮いていた。
「OK、分かった。んじゃあなキラ。また会おうな」
キラにそう告げて、インモラルはJPジョーンズへと帰っていった。
『あの人・・・・・・僕の事を知ってる・・・?』

アークエンジェル、ラクスのお部屋。
「キラ!もっと加減してくださいな!わたくしの演説、誰も聞いていなかったではありませんか!」
そこで、ラクスがキラを叱り付けていた。
「ごめんよラクス。本当にごめん」
「・・・・・・今度からはちゃんと出来ますの?」
「うん。ラクスのために一生懸命頑張るよ」
「そう・・・良い子ですわねキラ。頭をナデナデして差し上げましょう♪」
「わぁ、嬉しいなぁ」
「うふふ・・・・・・本当に素直で良い子ですわねキラ・・・」

キラは心地よさそうに、腐った目を細めた。

JPジョーンズ、学習室。
「くそっ!因数分解の野郎、手強い・・・!」
スティングとアウルは勉強をしていた。まぁ年齢的に高校生だし、時間がある時に勉強しとかないと
お馬鹿になっちゃいますからね。
「ってアウル!てめぇ何ジャンプ読んでんだ!?」
「だってめんどくせーじゃん。うわ、なんか知らねーけど真中ってヤツむかつくなァ」
エクステンデットに性欲の類はない。あくまで『なんか知らねーけど』、である。
「ん?そういやステラは?」
「さぁ?便所じゃねーの?」

JPジョーンズ、甲板。
「おまえが死ねぇぇぇぇぇぇ!!」
「あまい!フンッッ!!」
阿部とステラは、またいつものようにケンカをしていた。
「俺の丸ごとバナナを食った罪は重い。よってここに断罪する!」
「知るか!名前を書かないおまえが悪い!!」
「いい態度だ。・・・・・・常識という名の楔、貴様の全身に打ち込んでくれる!!」
「はん!こっちこそおまえの皮膚という名の服を剥ぎ取ってやる!!」
流派不明の構えを取る両者。そして数分後・・・・・・
「思い知ったか、外道が」
スマキにされたステラの姿がそこにあった。
「がるるるる・・・!」
「おまえの心は汚れきっているようだ。このまま洗濯機に放り込んでやろう」
そしてステラを担いで艦内に戻ろうとした瞬間――
「へぶしっ!」
ぽろっ
ひゅ~~~~~~~~~、ぼちゃん
「あ」
ステラが、大海原を流れてゆく――

ディオキア、ザフト軍基地。
休暇を貰ったミネルバクルーは、各々どこかへと出かけていった。
「さて、これで準備はOKかな・・・」
シンは釣竿とクーラーボックスを担ぎ、艦を出た。釣り装備だ。
「いやぁ、絶好の釣り日和だ」
天を仰ぐシン。太陽は、気持ちの良い日差しを地球に浴びせていた。
と――
「シン!こんな所にいたのか!!」
レイがやってきた。休暇だという事で、レイは目一杯おめかしをしていた。
タキシード姿だった。
「あ、レイ。どうしたんだ、そんなにめかし込んで」
「何を言っているんだシン。おまえと出かけるためだ。ここに映画のチケットが二枚ある。さぁ行こう!」
「いや・・・・・・悪いなレイ。今日は釣りって気分なんだ」
「そ、そんな!?いいじゃないか、釣りは今度でも!今日は俺と映画に行こう。な!」
「そんな事言われてもな・・・・・・ルナとでも行ってこいよ」
「ルナマリアはダメだ。信じられるか?あいつは二時間ドラマを見ててもきっかり50分で寝る女なんだぞ?」
「いや、俺も眠くなるけど・・・・・・」
「おまえはいいんだ。むしろおまえならCM毎に野球にチャンネルを合わせるという行為を犯しても
俺は許すぞ、シン」
「俺はそれは許せないけど・・・・・・なんだったらアスランさんと行きなよ」
「シン!俺はアスランと映画を見るくらいなら試験電波発射中の画面を夜が明けるまで見続ける事を
選ぶ男だぞ!」
「そんな言い方はないんじゃないか、レイ?」
いつの間にかアスランがレイの背後にいた。
「アスラン!何をなさっているのです、こんな所で。MSのないパイロットなど単なるゴクツブシでしかないと
理解しているのですか?」
「そう言うな。さっき新しいMSを受け取ったんだ。・・・・・・ガズウートって言ってさ、砲門がいっぱいあるんだぜ、
アイツ・・・・・・」
「アスラン・・・・・・」
レイはアスランに同情した。ガズウート――またの名を歩く戦車。文字通り、歩けるようになった戦車である。
戦車がどういう扱いかは61式戦車を見れば分かるとおり、地上版棺桶である。
「・・・はっ!?アスランなどどうでもいい!シン――」
シンは既にここにはいなかった・・・

ディオキア、崖。
「絶好のポイントだな、ここは」
そう言ってシンは腰を下ろし、釣り糸を垂らした。
「いい風だな・・・・・・」
風は優しい。遠くに聞こえるカモメの声も、シンの心を和らげてくれた。
「いつかマユと来たいな・・・・・・」
シンはマユとの出来事を思い返した。
~回想~
川のほとり。
「お兄ちゃ~ん!えいっ!」
「わっ、つめたっ!やったなマユ!えいっ!」
「きゃっ、冷た~い!」
「ははははは・・・・・・・・・・・・はっ!!?」
――水で服が透け・・・・・・透け、透けっ・・・!!
※以下自主規制※
~回想終わり~
「・・・・・・はっ!?」
手に滴り落ちる鼻血を見て、シンは我に返った。
「ああもう、ティッシュティッシュ――」
ティッシュで鼻血を拭くと、握っていた竿がぴくぴくと動いた。一応言っておくけど釣竿です。
「っと!?これは、大物・・・・・・!!」
そして竿を引き糸を巻いていくと、その大物の全貌が明らかになった。
「・・・・・・人?」
スマキにされた金髪の少女――ステラ・ルーシェだった。
慌てて引き上げ、そして少女を寝かすシン。少女は目を回して気を失っていた。
「ど、どうしよう・・・」
「「捨てるんだ」」
呟いたノンケに応えたのは、二人のゲイだった。

「・・・・・・なんでここにいるんだよ、二人とも」
スマキを解いた後。シンは二人にそう問うた。
「「偶然だ」」
声を揃えて言い放つ両ゲイ。もちろん偶然などではなく、レイがシンの後をつけてアスランがレイの後をつけただけだった。
アスランの特技にして趣味、尾行。さすがのレイもアスランの追跡捌きには気付けなかった。
「そんな事よりシン。早くそれを捨てるんだ」
「レイの言うとおりだ。女なんて害悪でしかないからな」
「女が害悪?アスランさん、あなたもしかして――」
「フンッッ!」
「ぐぉぼす!?」
アスランに肘鉄を入れて、レイはアスランを茂みに連れ込んだ。一面岩場の崖だけど、茂みがあるのです。
「アスラン!いきなり何を言い出すのです!!」
「いや、だって・・・・・・なぁ?分かるだろ?女は害悪だって」
「分かりますけど、シンの前で言うのはやめてください!」
ノンケという人種は、ゲイと同じ空間にいる事を極端に嫌う。二人きりになったら掘られると思ってしまうからだろう。
だが考えてみて欲しい。シンのような美少年ならともかく、例えばハート様のような男がゲイを嫌がるのはどうか?
男性がピザデブ女と一緒にいても欲情しないように、ゲイもピザデブには(特殊な趣向の持ち主以外は)欲情
しないのではなかろうか?ちなみに「あ、今私の事見てたでしょ~?」とか言うピザ豚女は氏んだ方がいいと思うの。
と、ゲイを庇ってはみたが、一応明言しておくと作者はノンケである。そりゃもう、給料日にエロ本を欠かさず買う程の。

「そういう事情ですので、シンには自分がゲイだとは明かさないでください!」
「わ、分かった・・・」
そして茂みから出てくる二人。
「と、とにかくその女は危ない。大体身元不明の女なんて怪しいだけだろ?エロゲじゃないんだし」
「ま、まぁそれは・・・分かるような分からないような・・・」
「だからなシン、俺に任せろ。大丈夫だ。『FUCK ME』と書いた看板の下にでも放置してきてやる。
親切な男性がきっと拾ってくれるさ!」
「それじゃ余計危ないですよ!何考えてるんですか!?」
「いや、しかしなぁ、女は――」
「シン。おまえがその女を保護したとマユ・アスカが聞いたらどう思う?」
「え?そ、それは・・・」
「お兄ちゃん、女の人拾ったんだって?」
「ああ。偶然釣り上げちゃってな」
「そうなんだ・・・・・・もうマユの事は要らないんだね・・・」
「そ、そんな事はないぞマユ!お兄ちゃんはいつだって――」
「ふんだ。その人、可愛くて胸がおっきいんだよね。どうせマユは子供ですよーだ」
「ち、違うんだマユ、聞いてくれ!俺はただ、善意でこの子を――」
「いいもん。マユ、サッカー部の男の子と付き合う事にしたから。もう電話もしないんだから」
「そ、そんな!!そんなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「――と、こういう事になるぞシン」
レイがマユ、アスランがシンを演じていた。
「・・・・・・。息ぴったりっすね、二人とも」
そんな二人をシンはスンゲェ呆れ顔で眺めていた。
「ってかレイ。妙にマユの真似が上手いな・・・・・・」
「気にするな、俺は気にしない」
毎日の盗聴の賜物である。
「とにかく、この子をこのままにしておくわけにはいかないだろ?溺れてたんだし」
「そ、それは・・・・・・」
「ならばさっさと目を覚まさせてしまおう」
そう言うとレイはステラの傍に寄り、肩を揺すった。
「おい起きろ。そしてさっさと消えろ。でないと貴様をリリースするぞ」
とんでもない事を口走りながら肩を揺するレイ。しかし、ステラは一向に目を覚まさない。
「ダメだ、もう死んでいる。諦めよう」
「勝手に殺すなって!・・・そうだ、こんな時こそ人命救助マニュアルの第2項――」
三人は『人命救助マニュアル』と書かれた手帳を開き、第2項のページを開いた。
「「「人工呼吸・・・」」」
人工呼吸。早い話がマウスチューマウス、である。

「アスラン。あなたに任せます」
「冗談じゃない。レイ、おまえがやれ」
「冗談じゃありません。アスラン、あなたこそ適任です」
なすりあう両者。普通なら美少女と接吻出来るとかいってウヒョーなのだが、この二人はあいにくと普通じゃない。
女と口づけを交すという行為は、ハブと口づけをするよりも辛い事なのだ。
「・・・・・・じゃあ、俺がやろうか?」
おずおずと挙手をするシン。彼もどちらかというと普通じゃないが、人命救助を優先させられるあたりレイとアスラン
とは一線を画していた。
「ダメだ。それは許可できない」
「なんでだよ!?早くしないとこの人死んじゃうんだぞ!?」
「よく考えるんだシン!女と口づけを交すという事が何を意味するか分かっているのか!?おまえのファーストキスは
この女になるのだぞ!?」
「いや、もうマユといっぱいしたし。子供の頃の話だけど」
「――!?」
レイが軽くヘコんだ。分かってはいたが・・・分かっていたがそう口にされると・・・である。
「問答してる場合じゃない、早くしないと――」
「まぁ慌てるな。こういうのはな、大抵は腹を蹴れば息を吹き返すんだ。・・・・・・フンッッ!!」
ステラの腹を思いっきり踏みつけるアスラン。相手は女性なので、手加減は無用だ。
「っげほっ、げほっ!?」
「あ、ホントに息吹き返した」
そう言ったのはアスラン・ザラ。密かに亡き者にしようとか考えていた男だ。
「・・・・・・う、ん」
薄っすらと目を開けるステラ。そしてステラは三人を見てこう言った。

「・・・・・・・・・・・・変態?」