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R-18_Abe-SeedDestiny_安部高和_15

Last-modified: 2007-11-06 (火) 21:37:07

「ちっ!こいつ・・・・・・やりやがる!!」
『まだまだ甘いぜ、緑くんよ!!』
スティングはオレンジ色のグフと交戦していた。
ポッドを駆使しての十字射撃を悉くかわし、カオスに斬りかかるオレンジグフ。その操縦技術は、
フェイスの名に恥じぬものだった。
『っと!これをかわすか!?良い腕してるじゃないか、緑くん!』
「へっ、てめぇこそな!!」
そしてカオスもまた、フェイスと相対するに相応しい動きを見せていた。
『おまえ、名前は?俺はハイネ・ヴェステンフルスだ。ハイネでいいぜ!』
「スティング・オークレーだ。スティングで構わねぇ」
『そうかい!こんな所で出会わなきゃ、親友にでもなれたかもな、スティング!』
「ライバルってのもなかなか悪くねぇぜ、ハイネ!」
『違いねぇ!このくだらない戦争にも感謝ってな!!』
「へっ・・・まったくだぜ!」
そして両者は、幾度となく刃を交えていった――

「ったく、うじゃうじゃいやがるぜ・・・!」
群をなすザフトのMSを見て、アウルはそう零した。
数え切れない程のMS。しかしアウルは、恐れる事なくそのMS群にアビスを突っ込ませた。
正直この数では勝ち目は薄い。しかし、アウルには秘策があった。
「こんな時のための・・・・・・卍解ってね!」
アウルはビームランスを構え、そして言った。
「名も無き槍よ・・・・・・おまえの真名を僕に示せ!」
すると槍が輝き出し、その形を変えていった(アウル視点)。
「そうか・・・・・・それがおまえの名前か・・・・・・蒼巻神!!」
蒼巻神(あおまきがみ)という名のその槍は、禍々しくも巨大な穂先をもって敵を威圧した(アウル視点)。
「極殺深淵御槍流が継承者、アウル・ニーダ・・・・・・その名、深く刻むがいい」
ちなみに読み方は『きょくさつしんえんみそうりゅう』。架空の流派です。
「それが貴様らが・・・・・・現世で最後に出会った人間の名だ!!」
そして蒼巻神を携えて、極殺深淵御槍流奥義の構えを取ってアウルはMSの群に突っ込んでいった(アウル視点)。
端から見たら、とても正気の沙汰とは思えない無謀な行為だった。

「こいつ!!」
ステラは敵に囲まれていた。
今まで散々暴れ回ってきたためか、ザフト兵も慎重に距離を取りながら攻撃していた。
「くそっ、こいつら・・・!」
よほど優秀なパイロット揃いなのか、敵MSはこちらの射撃を正確に、そして確実に回避し、そして実に嫌らしい角度からの
射撃を加えてきた。
「ぐっ!?・・・おまえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ガイアの頭を掠めたビーム。ステラはそれに逆上し、それを撃ったMSに向かってがむしゃらな突進をかけた。
『――隙ありだ!』
その隙を見逃すパイロットではなかった。
「――!?」
コクピットを正確に狙った一撃。それを認識した時には、もう回避の出来る距離ではなかった。
『ったく、危なっかしいな、おまえは』
――すると、いつかのように、ステラの前にMSが立ち塞がった。
金色の背中。ネオの乗る、『シラヌイ』と呼ばれるパックを背負ったアカツキが、身を挺してステラを庇った。
「ネオ!!」
『なぁに、心配するな』
その言葉通りに、アカツキは体に受けたビームを物ともせず、それどころか相手MSにそれを跳ね返した。
ヤタノカガミ。アカツキを包む、金色のビーム反射装甲である。それがビーム兵器であるならば、例え戦艦の
主砲だって跳ね返してしまうというトンデモ装甲だ。
『もうおまえを泣かせるようなマネはしないさ』
「ネオ・・・・・・」
『くそっ、トンデモMSめ、死ねぇ!!』
『あ・・・・・・』
敵パイロットが放った一言。その一言で、ネオは「ああ、こいつら終わったな」と思った。
「おまえが死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
彼らが全滅したのは、それから五分後の事だった。

「キラ!!」
アスランはまっすぐエターナルへ向かっていた。
あの悪趣味なピンクの戦艦にキラはいる・・・・・・アスランはそう直感していた。
「見てろよキラ!おまえをあの悪魔から解き放ってやる!!」
そう意気込んでエターナルへ向かうアスランに、一機のMSが立ちはだかった。
「これは・・・!?」
白い天使のようなMS。細部は違うが、アスランはそれに覚えがあった。
「フリーダム!?じゃあ、そこに乗ってるのは――」
『ギギギギギ・・・』
「キラ!やっぱりおまえなんだな!!?」
『ガガ、ガボガボガボ・・・』
アスランの問いには答えず、ドラグーンを展開するストフリ。
「キラ!やめるんだキラ!!俺達は争うような関係じゃないだろ!?」
種氏編に入ってから始めてのまともな戦闘は、最愛の人間との戦いだった。
「キラ!もうよすんだ!!おまえはラクスに騙されているんだ!!」
『ラクス、ギギ・・・ラクス、ギギ・・・』
ドラグーンを回避しながらキラの説得を続けるアスラン。しかし、当のキラには考える意思すらなかった。

「もうやめるんだキラ!俺達はあんなに深く愛し合った仲じゃないか(注:アスランの妄想です)!!一緒に
風呂に入って慰めあって、一緒のベッドに寝て慰めあって、一緒に起きて慰めあったじゃないか!!」
ありもしない事を叫ぶアスラン。しかしアスランの中ではそういう行為は行われたものとして頭に入っているから困る。
『ギギ、ギ・・・』
「おまえは入れられるのが好きだったよな!苦しくないように、俺のモノを舐(以下生々しすぎるので検閲削除)」
繰り返し繰り返し告げられるそのあまりにキモイセリフに、キラの様子が変わった。
『ギ・・・キモ、イ・・・』
「そしておまえが入れる時には、俺の穴を丹念に舐(以下生々しすぎるのでry)」
「尻に残ったウン(以下生々しry)」
「こびり付いたチンカスを舌で舐(以下ry)」
R指定どころかX指定なセリフを吐き続けるアスラン。お食事中の方はゴメンナサイ。
「まだ俺の想いが伝わらないのかキラ!?」
『キモ、キモ、キモイキモイキモイキモイキモイ・・・・・・』
「ああそうか!どうせだったら聞かせてやる!!
キラ!好きだァー!キラ!愛しているんだー!!
生まれた時から好きだったんだ!好きなんてもんじゃない!キラの事もっと知りたいんだ!
~省略されました。続きを読むには「わっふるわっふる」と入力してください~         」
『ギ、キキ、ア、アス、アスラ・・・』
キラの精神がかき乱されていく。生まれた瞬間から自分を苦しめてきた、ストーカーの声。
一方的な愛情。愛情の押し付け。くどい妄想。自分の周りから女の子を遠ざけた忌むべき男。
いつだって傍にいた。いつだって迫ってきた。シャンプーをしている時ふと視線を感じて振り向くと、いつもこの男がいた。
冬の日、この男は懐で自分のパンツを暖めていた。トイレには常に隠しカメラが仕掛けられていた。
小汚いハロを押し付けられ、分解してみたところやっぱりカメラと盗聴器が仕込まれていた。自分が捨てたガムを、
この男は喜々としてゴミ箱から拾って噛み始めた。歯ブラシは毎日替えられていた。尿検査の日、鞄から採取した尿を
出すとその量が明らかに減っていた。ぎょうちゅう検査のシールなど一度たりとも提出できた覚えがない。枕がこの男の
精液でカピカピになっていた事もあった。朝起きてカーテンを開けると真っ先にこの男の顔が目に映った。
自転車のサドルを舐めている場面を目撃した事もある。海水パンツなんて何度買いなおしたか知れたものじゃない。
――この男は、いつも僕を苦しめていた。
――嫌がっても嫌がっても、いつもいつもしつっこく・・・
――僕のため僕のためと言いながら、数々のフラグをぶち壊してくれた。
『ア、アスラ――』
――その男の名はアスラン・ザラ。今の僕が・・・・・・最優先で始末すべき男だ!!
『――ァァァアスラン!!!!』
キラの種が弾けた。
「キラ!俺が分かるか、キラ!!なら今すぐ俺の胸に――」
『うるさい!!今すぐ死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ラクスの洗脳から解き放たれたキラ・ヤマト。
覚醒したキラは、速攻でインフィニットジャスティスをダルマにした。

エターナル、通路。
「どういう事ですの!?どうしてキラが戻って来るのです!!」
「それが・・・・・・皆目見当もつきませんで・・・」
ラクスの目の前でインフィニットジャスティスを斬り刻んだストフリは、しかしラクスの命令に反してエターナルに帰還した。
その想定外の事態に、ラクスは自らMSデッキへと赴いた。
「戦闘を鎮めるまで戻って来るなと申し付けていたのに・・・・・・何かあったのでしょうか?」
そしてMSデッキ。そこには、今まさにストフリから降り立ったキラの姿があった。
「キラ!何をして――!?」
そこでラクスはようやく知った。
キラの瞳が正常に戻っていると。――つまり、洗脳が解けたのだという事を。
「キラ、あなた――」
「ピンクさん。もう終わりにしましょう」
「――!?」
キラは、まるでイヤナモノでも見るかのような目でラクスを見ていた。二年間も拘束されたのではこれも当然の事なのだが。
「・・・・・・わ、わたくしはピンクではありません、ラクスです」
「どうでもいいよそんな事。さっさと家に帰してよね」
「どうでもよくなんかありませんわ!・・・さぁキラ、良い子だからラクスって呼ぶのです――」
そう言ってキラの頭に手を乗せようとした瞬間――
「――やめてよね」
その手は、キラの手によって振り払われた。
「き、キラ・・・」
「僕はもうお人形なんかじゃない。おままごとなら一人でやってよね」
そう言って、キラはラクスに背を向けた。
「・・・・・・そ、そんな事、わたくしは許しませんわよ!!」
「・・・・・・」
「戦うのですキラ。そして戦争を止めるのです・・・わたくしのために。そうですわ・・・あなたはわたくしのためだけに戦うのです。
あなたはわたくしのためだけに存在しているのです。すっとわたくしの傍にいて、わたくしのどんなお願いでもきいて、
わたくしのためなら何でもしてくれる・・・それがあなた、キラ・ヤマトなのです。ですからわたくしに背を向けるなんて
許しません。あなたはわたくしのため、わたくしの創る新世界のために存在しているのです。あなたは全世界のアイドル、
ラクス・クラインの傍にずっといなければならない人なのです。さぁキラ、分かったらこっちにいらっしゃい・・・」
「・・・・・・」
するとキラは振り向いて、ラクスに歩み寄った。
「良い子ですわキラ。それでこそ――」

パシンッ
――そして、ラクスの頬を叩いた。
「いい加減にするんだ、ラクス」
「キ、ラ・・・?」
じんじんと痛む頬を押さえ、呆然とした瞳でキラに顔を向けるラクス。
「僕は・・・・・・いや、人は君のおもちゃじゃない。だからそんな風に人と接するのは間違ってる」
「・・・・・・」
ラクスは、元々優秀なコーディネーターの中でも特にずば抜けた才能を持っていた。
特に人心掌握術は他に類を見ないほどで、ラクスを憎む者などプラントには一人としておらず、誰からも愛されて
尊敬されるという自身の像を、彼女は平然と創りだしていた。父シーゲルですら、彼女のその偶像に欺かれていた。
そんな彼女だったから、ラクスは人に叱られるという事を今日まで経験してこなかった。
そしていつしか彼女は、自分は世界でただ一人、何をしても許される人間だと思い込むようになり、同時に自分以外に
向けられる称賛、名声が酷く気に入らなくなった。
称賛されていいのは自分だけ、自分以外の人間は全て自分のためだけに存在している――
才能に恵まれた彼女は、ただ一つの経験をしなかった事で、道を踏み外してしまったのだ。
「いつまでもそんな風だと、いつか君の周りには誰もいなくなるよ」
「――!?」
――ひと、り?わたくしが、独りぼっち・・・?
「じゃあね、ラクス。僕はアークエンジェルに行くよ」
そう言ってキラは再びラクスに背を向けた。
そして歩みを進めた時、背中をくいっと引かれた。
「・・・・・・ラクス?」
パイロットスーツの端を、ラクスに摘まれていた。
ラクスは俯いたまま、キラにこう言った。
「・・・・・・・・・ごめん、なさい」
震える声で、ラクスは繰り返した。無重力のMSデッキの中、ラクスの目から零れた雫が舞った。
「ごめん、なさい・・・・・・ごめんなさい・・・・・・ごめんなさい、キラ・・・・・・」
――ラクスは、初めて自分を叱ってくれた人に、謝罪の言葉を繰り返した。
「だから・・・・・・独りぼっちに・・・しないで、ください・・・・・・」
今までちやほやされてきた反動からか、ラクスは独りになるという事が無性に怖かった。
特にキラには、ずっと傍にいて欲しかった。洗脳状態であったとしても、彼と過ごした二年間はラクスにとっては
かけがえのないものだった。
そんな彼女を見て、キラは優しく微笑んでこう言った。
「間違ったのなら、やり直せばいいよ。僕も手伝ってあげるから」
「キラ・・・・・・」

その言葉を聞いたラクスは、声を上げて泣き出した。