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SCA-Seed_MOR◆wN/D/TuNEY 氏_第05話EX

Last-modified: 2009-07-02 (木) 01:38:35

「……迷った。 ここどこだよ?」

 

ミナとの会合から2日後、未だに治らない左腕をギブスで固定したシンは連絡通路のような場所で迷っていた。
秘書であるベルナデットから自由に出歩いてよいという許可を貰い、何もすることが無く暇なのでアメノミハシラをうろついていたらこの様である。

 

「……誰かに案内頼めばよかったかな」

 

とはいってもアメノミハシラに知り合いは少なく、知っている人も、皆忙しそうだった。
ザフトの新兵教育でも知らない場所(艦内)は一人で出歩くなと言われたのを思い出し、二重の意味で気が滅入る。

 

「いいか、新人。 今後どこかの基地、艦に配備されたら、一人で出歩くな、先輩と一緒に動け」


 

アカデミーに入りたての頃、髭を生やした教官がまず教えたのはそれだった。

 

「年に一人は迷子になる奴がいる……特に其処の周りが見えなさそうな赤目、気をつけろよ」

 

シンを指差し、教官は笑った。
実際この教官はシンの本質を見抜いていたといえる。

 

(……この歳で迷子になる奴なんていねえよ)

 

内心、悪態を付いていたシンだが、その後実際に迷子になった上、その後も度々騒ぎ(喧嘩に始まり、教官を模擬戦でKOする、地球生まれと罵った同級生を張り倒すetc)を引き起こし、
『アカデミー始まって以来の問題児』『赤目のアスカ』等という有り難くない二つ名を頂戴するのだが、それはまた別の話である。
それだけ問題起こしといてよく赤を纏うことができたものだ。

 

「あー、思い出したら欝に……」
軽く欝になっていたシンの目の前をどこかで見た小さいのが行ったりきたりしてる。
長い外套を引きずり、流れるような黒髪。

 

「……みなさん?」 怪訝そうな声でシンは目の前の(一応)命の恩人に声を掛ける。
「えっ! 何だシンか……、ひまそうだな」

 

びくりと体を震わせ、みなはシンを見る。 
シンがいる事にすら気付いていなかったらしい、よく見ると目を真っ赤にして目尻に涙をためている。

 

「何してるんです? もしかして迷…」
「迷ってないよ! ただみちをまちがえてどう帰ろうか、かんがえてただけ……グスッ」 

 

恐らく知り合いに声を掛けられ、安心したためだろう、しくしくと泣き始めてしまった。

 

「あー、分かりました。 みなさんは迷ってないんですよね。……実は俺が迷子なんです。一緒に帰り道を探しましょう」

 

みなの泣き顔にシンは慌てて立ち上がり、何とかなだめようとする。

 

(そういえば、マユもこんな感じだったなー)
「……うん。 しっ、しかたないな世話の焼けるやつだ。 わたしがいっしょにかえり道をさがしてやる」

 

両手でぐしぐしと涙を拭うと、みなはある筈もない(どっかのえぐれ胸のご令嬢よりはあるかも知れない)胸を張る。
そんなみなの様子にシンは昔を思いだし、微笑ましい気持ちになる。

 

「はい、はい。 ありがとうございます……なんです?」

 

シンが歩き出そうとした時、シンの服の袖をみなが引っ張っていることに気付き、立ち止まる。

 

「迷子になるといけないから、手を握ってやる」

 

シンの顔を見上げると、頬を朱色に染め、みなは右手を差し出した。

 

「……じゃあ、お願いしますね」

 

シンは微笑むと、みなの右手を優しく握る。
小さくて、暖かくて、柔らかい手。
家族が、妹がいた時、幸せだったときを思い出し、暫くぶりに感じる暖かい気持ちを胸に抱いていた。
その後、何とか居住ブロックに辿り付いたシンはみなと手をつないでいる所を偶然、遊…じゃなくて取材に来ていたジェス・リブルに写され、面白がったケナフにロリコン疑惑を懸けられ、アメノミハシラみなたま親衛隊に追っかけまわされる事となる。