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SCA-Seed_SeedD AfterR◆ライオン 氏_第06話外伝

Last-modified: 2009-11-01 (日) 20:18:41
 

SEED DESTINY AFTER ~ライオン少女は星を目指す~
第6話外伝「次期MS計画(プロジェクト) Gカイザー」

 

 ――キミたちに最新情報を公開しよう!
 これは自らの意志を、願望を、己が信念をかけて戦う、熱き戦士たちの壮絶な黙示録である――

 
 

『諸君、私は巨乳が好きだ』
 顔も見えない闇の奥で、落ち着きを払った低い声がした。
 刹那、バッとスポットライトが一つ照らされた。
 照らされた先で黒い貫頭衣を着た男が一人、壇上で小指を立てながらマイクを握っている。
 顔は『ライオン』と書かれたマスクに覆われ、表情が見えない。
『諸君! 私は、おっぱいが大好きだ!』
 ――ざわ……ざわ……!
 闇の中で何十、何百もの獰猛な獣の唸り声がした。それは竜巻の風切り音のようで、地鳴りのようでもあった。
 ただ、そこには意思が込められていた。
 唸りは闇の中に拡散し、熱を持ってあたりに渦巻いて行く。

 

『諸君! 私は、つまり! 大きいおっぱいがだぁぁぁぁぁい好きだぁぁぁ!!』

 

 熱狂が、渦を巻いて爆発した。
 壇上の男がバッと荒鷲のように手を広げると、あたりの照明がすべて点灯し暗幕がはぎとられ、その場の光景があらわになった。
 そこは廃工場だった。
 朝礼用の壇上の男と同じ覆面をかぶった者たちが、男の正面にひしめいている。
 彼らは、闇の組織『チチスキー軍団・狂ν(キョーニュー)』。
 混乱の時代の新たな秩序として、貧乳を断罪し、世界の巨乳を愛でるべく集まった悪の組織である。
 熱狂の中で、彼らは手を一心不乱に振り上げ、口々に叫ぶ。

 

 ――おっぱい! おっぱい! おっぱい!

 

『巨乳が好きだ、爆乳が好きだ、魔乳が好きだ!
 つり型が好きだ、ロケット型が好きだ、どんぶり型が好きだ、おわん型が好きだ!
 電車で、街角で、公園で、学校で、職場で、プールで!
 この地上でたわわに実るありとあらゆる巨乳が好きだ!
 乳を掴んでも手の平に収まらずむしろ手が埋もれてしまう巨乳が大好きだ!
 シャツの横から見えそうで見えない横乳を見たときなど胸がすくような気持ちだった。
 服の上からでもわかる豊かなおっぱいが服を押し上げている様子を見ると心が躍る!
 巨乳アイドルがプロモーションビデオで踊るたびに巨乳が縦揺れ横揺れしている様などは、もうたまらない!』

 

 ――おっぱい! おっぱい! おっぱい!
 熱狂が爆発的推力を以てして加速していく。
『諸君、私は巨乳を、神のような巨乳を望んでいる。
 諸君、私につき従う巨乳好きの変態諸君! キミたちはいったい何を望んでいる!?
 さらなるおっぱいを望むか? 酒池肉林の限りを尽くしまさにエベレストのような巨乳を探し求めるか!?』
 ――おっぱい! おっぱい! おっぱい!
『よろしい、ならば爆乳だ』

 

 ――おおおおおおおおおおおおッッッ!!
 熱狂のボルテージが最高潮に達した。周囲を囲う鉄の壁を吹き飛ばせそうな爆音のごとき歓声が上がる。
 そのあまりの声量に周りの廃工場はビリビリと震え、屋根の梁が軋む。
 さらに構成員のある者は興奮で気絶し、ある者は鼻血を噴き出して倒れはじめていく。
 もはや彼らを止めることなど誰にもできはしないのだろうか。
 世界はこの、(ある意味)悪の組織に蹂躙されてしまうのか――

 

『我々は全身全霊を以てして、今まさに巨乳を揉みほぐそうとする手のひらだ!
 だがロリゲー・ロリ画像・ロリブームに押されて以来劣勢に甘んじていた我々に、
ただのおっぱいではもの足りない!』

 

――爆乳を! 巨乳以上の爆乳を!!

 

 もはや集会場は倒れこむ者の体が山を築き、壁や床は鼻血で彩られている。
 ただそこには屋根を吹き飛ばさんばかりの熱狂があった。

 

『諸君は一騎当千のおっぱい強者だと、私は信仰している!
 ならば我らは諸君と私で 総兵力何百何千と一人のチチスキー集団となる!
 世界に巨乳の味を思い出させてやろう!
 世界に我々の巨乳にこめるリビドーを思い出させてやろう!
 哀れ乳の連中に、乳と乳の谷間には貧乳にはできぬ超異空間があると思い出させてやろう!
 我々チチスキー集団で、世界を巨乳で埋め尽くしてやる!』

 

 ――おっぱい! おっぱい! おっぱい!
 壇上の男がビシィッ! とあさっての方向を指差した。

 

『全チチスキー行動開始、妄想始動せよ! リビドー全開!! 全チチスキー妄想リミッター解除!
 チチスキー軍団大隊長から全軍へ! 目標 世界全土!! 全世界チチスキー化作戦、状況を開始せよ!
 ――征くぞ、諸君!』

 

「そうはさせません」

 

「……!? 何奴!?」
 壇上の男が頭上を見上げた瞬間、廃工場の屋根が吹き飛び、巨大な鋼鉄の塊が落ちてきた。
 舞い上がった砂煙が晴れると、そこにあるのは巨大な足。
 地響きが続き、屋根がすべてはぎとられると、そこには赤い巨大なロボットの影があった。
 そのロボットのなだらかな胸パーツが開き、
 赤い仮面をつけた全く目立たないボディラインの少女が降りてくる。
「Gカイザーだと!? ……お、お前は、カイザーレッドっ!」
 鋼鉄の足の下から上半身だけ出た男がうめきつつ、降り立った少女を睨みつけた。
「あら、生きていましたか。ごきげんよう、変態様」
 少女は、男たちを視界にとらえると養豚場のブタでも見るかのように目を細めた。

 

 そして戸惑う狂νメンバーの頭上にいくつかの影が飛び交った。
 巨大な黒いステルス戦闘機から射出された小型の自立機動兵器が覆面集団に向けて最弱威力のビームを撒き散らし、
 主翼が生えた新幹線からは謎のフラッシュ光。
 「みな の どりるすぺしゃる」とひらがなでマーキングされたドリル戦車が、自立砲台から悲鳴を上げて逃げ回る男たちを次々と轢いて回った。
 自立砲台のビームで尻に火をつけられ、逃げだせたと思ったらキャタピラに巻き込まれる。
 そしてキャタピラに轢かれてケツ丸出しになったその屈辱的な様子を、カメラのシャッターが押さえる。
 まさに阿鼻叫喚の地獄絵図だった。

 

 彼らこそ、貧乳の意地と存在とステータスと、ついでに地球を守る正義の集団、『Gカイザーズ』!!
 Gカイザーをはじめとする無敵のマシン『カイザーマシン』を乗りこなし、今日も悪に正義の鉄槌を振り下ろす!

 

「ブルー、あまり無駄弾を使わないように。イエロー、親族に送る証拠写真ご苦労様です。ブラック、もうそのへんになさい。
 こんな卑猥なだけの汚らしい脂肪組織を崇める集団など」

 

「バカ者! おっぱいには、おっぱいにはぁぁぁぁ! 無限の可能性と、男の夢と希望がぎっしり詰まってるんだよ!」

 

 少女の言葉をさえぎり、男たちは好き勝手に叫び始めた。
「ならば、それらを持たない者はどうなるのです? 夢も希望も持たない者はただ朽ち果てろと?
 ましてや理想を持つことすらもおこがましいと?」

 

『そうだ、そうだ!』
『貧乳に神はいない!』 
『『『『『おっぱい! おっぱい! おっぱい!』』』』』

 

「話になりませんね。そんなものはまやかしです。ならばその奢り、その身をもって償いなさい」
 赤い仮面の少女はそれだけ言うと、再びGカイザーに搭乗した。
 男たちは一心不乱に手を振り上げ、叫び続ける。

 

 ――おっぱい! おっぱい! おっぱい!

 

 ついに、変態たちのリビドーがクライマックスに達した。
 続いて地鳴りが響き、床下から発生した強大な震動にも男たちは微動だにしない。

 

「時は来れり!」
 なんとか足の隙間からはい出た壇上の覆面男が、握った拳をバッと振り上げた。

 

「妄想の空より来りて、やましき想いを胸に秘め、出でよ! 暗黒邪神・ネオプランA!!」
 ズゴゴゴゴゴゴ……という音を立て、床下から全長50mはくだらないシルエットが現れた。
 壇上の覆面男がすぐさまそのシルエットのてっぺんにとび乗る。
 黒い巨体、撫で肩にハサミ、大きな翼とブーメランという意匠はそのままに、全身に黒々とした突起が設けられ、
 メインセンサーをはじめとした全身にメタル系歌手を彷彿とさせる目に悪そうなペイントが施されている。

 

「見よ、たたえよ、ひざまずけ! これが我らが開発した究極のメカ、ネオプランAだ!」
 全身を震わせ、黒の巨体が天に向かって身の毛もよだつような咆哮を上げた。

 

 そのとき、
『Gカイザーチームの諸君、合身せよ』
「了解いたしました」
 ブレスレットから聞こえたカイザーチームの指揮官ミナ司令の掛け声に合わせ、Gカイザーがスラスターを全開にして飛翔する。
 バリアシステムを展開したGカイザーを中心に他のカイザーマシンが追従し、遥かな天空に巨大なGのマークを描く。
 マシンはパーツが折り重なり、変形して、Gカイザーの機体に次々と合体していく。
 新幹線が二つに折れ大きな腕に、ドリル戦車が脚甲と足に、ステルス戦闘機が背中の翼を構成する。

 

 最後にステルス戦闘機から平らな装甲板がせり出し、胸部を丸ごとまっ平らな装甲板が覆った。
 それはほんの少しのへこみも膨らみもなくまっ平らで、徹底的にピカピカと磨き上げられた装甲だった。
 防御力を重視したため胸部は飾り気も何もなく、ただそこにはペッタンコとなった胸部パーツがあった。
 誰の目から見てもパワーアップしたGカイザーの胸部装甲は、まっ平らでペッタンコだったッ!!

 

(大事なことなので何度も言いました)

 

 合体が完了し、その巨大メカは頭上で己の力を誇示するかのように両拳を打ちつけた。
 打ちつけた際に出た火花が盛大に降り注ぐ。
 その瞬間、あふれんばかりの熱量で機体塗装がはがれ、全身が元地の金色に染まる。
 そのまま空中でクルクルシュピン! とポーズを決め、拳を真正面に突き出す。
『『『『『降臨! 真・Gカイザー!!』』』』』
 ドォォォンという爆音が鳴り響き、真・Gカイザーは燃え盛る爆炎をバックに合体を完了した。
 地響きを上げ、狂νのメンバーとネオプランAの前に降り立つ。

 

 同時に、天空のかなたで何かがキラリと光った。
 その影はぐんぐんとこちらに近づいていき、真・Gカイザーは手を頭上に掲げると、それをキャッチした。
 それは、とてつもなく大きなハンマーだった。
 柄だけで真・Gカイザーの全長近くあり、巨大な槌の部分は『G』と書かれたプリントがなされている。

 

 Gカイザー・ハンマー。

 

 正式名称:グラヴィティー・ショックウェーブ・ペッタンコ・ツール。
 無駄な脂肪の塊を崇める愚か者たちに対してその超質量を振りおろし、対象を頭から足の先までペラペラのペッタンコにして、
 とどめに垂直方向の超重力波をぶつけて光に還元する、まさに真・Gカイザー最狂最悪の必殺武器である。

 

『この持たざる者のすべての想いが込められた正義の鉄槌の威力、その身に刻みなさい』
 真・Gカイザーはグッとハンマーを正面に構える。一歩足を踏み出すだけで地面が轟音とともに割れ爆ぜた。
『くるがいい、Gカイザー! 今日こそその目障りな哀れ乳を断ち切ってくれる!』
 ネオプランAがヴォン! という音とともに、股間の対艦刀が背中の鞘から引き抜く。
 間を開けず、お互いの巨体が地面を蹴り、突貫した。
 対艦刀とハンマーが激しく打ちあい、その圧倒的なエネルギーの嵐に空間が歪み、張り詰められた空気が悲鳴を上げた。

 

 ――戦いの火ぶたは、切って落とされたッ!!
 はたしてパワーアップした真・Gカイザーは、
 世界を巨乳で支配せんとする、この(ある意味)悪の組織から世界を救うことができるのか!?

 

 ――続きは劇場でッッ!!

 

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 前作『真(フォームアップ)!! Gカイザー! ~銀河最期の日~』から一年。
 過去20年に及ぶ『銀河皇帝Gカイザー』シリーズ。そのシリーズ最新作が今ここに!
 過去作品とは一風変わった方向で描く、新たなGカイザー!

 

 『劇場版 真・Gカイザー VS ネオプランA』!!

 

 そこでマスコットキャラのプランA君の着ぐるみが画面端から現れる。
 両手にぶら下げられた看板には〈全世界の映画館で、絶賛上映中!〉の文字。

 

 『映画館で、僕と握手!』
 プランA君は、股間から画面に向けてニュッと手を差し出した。

 

 ――ごらんの番組は『皆さまの明日の笑顔のために』の、ダイアモンドテクノロジー社の提供でお送りいたします。

 

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 つけっぱなしになっているテレビからそんなCMが流れている時だった。

 

「あぁ~っ! そのチケットは!」
 そう最初に声を上げたのは、ハイスクールから帰ってきた姉だった。
「おじい様、ありがとうございます。
 けれどよろしいのですか? まだ私にはグーちゃんの合体完成制御プログラムと
 重心制御計算がまだ完了していませんが……。それに他のMSの設計も――」
「いいのだ。子供は何も考えず遊んでおればいい。お前は充分頑張っているよ。
 グロリアスのほうはそう焦らなくともよい。
 店の方はなんとかしておく。今度の休みにでもステラと一緒に楽しんできなさい」
 レイはほほ笑みながら黒曜石の様な手でミーアの頭を撫でると、厨房へと消えていった。

 

「ミーア、どうしたのそのチケット!? プレミアだよ!? 最前列だよ!?」
 学校鞄を床におろしもせずに、ステラお姉ちゃんはキラキラと目を輝かせていた。
「おじい様が、いつも休日は店の手伝いばかりで悪いから、
 せっかくだから今度の休日はこれでも見に行ってきなさいって。
 お店を一番手伝ってるのはお姉ちゃんなんだから、お姉ちゃんに渡せばいいのにね」
 半分本当、半分ウソだった。
 愛する姉にも、まだ私の「手伝い」の事は知られていない。

 

「そうなの!? やったやった! 今度の休み、ミーアと映画だ~! おじいちゃん、ありがと!」
 感激のあまり抱きついた姉のド迫力のバストに押しつぶされながら、ミーアはぐるぐると回った。
「そうだ、どうせ余ってるしスティングとアウルも誘ってあげよ! ミーアも大丈夫だよね? 
 あ、スティングとアウルってのは、あのツンツン頭とロン毛のお兄ちゃんだよ」
「う、うん……」

 

 ミーアはそこで、さきほど自分が顔をうずめていた姉の胸元を凝視した。……すごく、大きい。
 対して自分の胸を見る。……目をそむけたくなるほどの、見事なまでの洗濯板。

 

「あ~、今度の休みが楽しみ! もしミーアとあたしの休日の邪魔する奴がいたら、
 お姉ちゃんがぶっとばしてあげるからね!」
 満面の笑みのまま虚空めがけて飛び回し蹴りを放つ姉。
 それを尻目にがっくりとするミーアの脳裏に、一つのセリフが思い浮かんだ。

 

 ――『ならば、それらを持たない者はどうなるのです? 夢も希望も持たない者はただ朽ち果てろと?
    ましてや、理想を持つことすらもおこがましいと?』

 

 ――そうだ。

 

 額のあたりがピキーンと閃いたミーアは、姉に見えないようすぐさま小型端末を開き、凄まじいスピードでキーボードをタイプし始めた。
 次々と端末のディスプレイが文字で埋まっていき、一区切りついたあと、エンター。
 ふう、と吐息を吐いたミーアの持つそのパソコンのディスプレイには巨大な人型のシルエット。

 

 タイトルは、『次期MSプロジェクト:Gカイザー』。

 

 これはいける、とミーアは内心ガッツポーズをした。