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SEED DESTINY “M”_第11話

Last-modified: 2015-06-20 (土) 23:02:35

 その日、カガリは通常の公務に着るスーツではなく、フォーマルなドレスを着ていた。
 だからと言うわけでもなかったがそわそわと落ち着かない。
「カガリ。どうしたんだい、そんなそわそわして」
 ユウナはやってくるなり、落ち着かない様子のカガリを見て、心配気に訊ねた。
「あ……いや、さすがに落ち着かなくて、な」
 カガリは誤魔化すように苦笑した。
「そうかい、無理も無いね」
 ユウナはそれを単純に受け止め、笑顔でそう言った。
「それより、良いニュース……オーブにとっては。カガリにとっては、そうでもないかも
しれないけど……」
 ユウナは苦笑気味に、そう言った。
 カガリの表情が一転、重く暗いものになる。
「…………聞かせてくれ」
 カガリは覚悟を決めたように、低い声で言った。ユウナの方も、表情が険しくなる。
「連合がプラントに宣戦布告したよ」
「やっぱり、か」
 ある程度予測してたとは言え、そのことを聞かされて、カガリは重苦しく、唸るような声をだした。

 
 

機動戦士ガンダムSEED DESTINY “M”
 PHASE-11

 
 
 

「でも、それはオーブにとってあまり良いニュースじゃないんじゃないか?」
 カガリは険しい表情のまま、ユウナに問い質すように言う。
「続きがあるんだ。連合は開戦劈頭、プラントに奇襲攻撃をかけた。連合側はひた隠しにしているが、プラント側の筋では、NJC付の核ミサイルが使われた」
「なっ!?」
 カガリは目を剥いて、驚愕の声を出した。
「プラントに核ミサイルを撃ち込んだのか! また性懲りも無く!」
 憤慨の言葉を上げた後、カガリは憔悴した表情でユウナに訊ねる。
「それで、プラントの被害は!? また破壊されたコロニーがあるのか?」
「いや。発射された核ミサイルはすべて迎撃されて、連合側の攻撃部隊は壊滅させられたそうだよ。プラントの新しい対戦略核兵器(アンチ・ニュークリア・ウェポン)でね」
「そうか……」
 おそらく膨大に出ただろう連合側の戦死者のことを思うと気が重いが、プラントと安全保障協定の約定を推し進めているオーブにとってはプラスだ。宇宙での敗北の皺寄せは地上側の戦力にも来る。
 功を焦ってオーブにちょっかいをかけてくる可能性も否定できないが、カーペンタリアのZAFTが黙っていない。
 カガリは知る由も無かったが、ウナトはプラントと申し合わせ、未だ整備中のミネルバを“人質”として扱うことで、正式締結前に連合がオーブに進行した場合、ZAFTがそれに介入する建前にすることになっていた。もちろん、大西洋連邦にそのカードは、確信は与えない程度にちらつかせている。
 そして、今日この日、オーブの国内外に向かって、プラントとの協定の締結、そして、ユウナ・ロマ・セイランとカガリ・ユラ・アスハの正式な婚約が、合わせて発表されることになっていた。
 だが……カガリが落ち着かない最大の理由は、むしろその後者の方にあった。
「それじゃあ、僕は、ちょっと父上や他のスタッフと打ち合わせがあるから」
 そう言って、ユウナは踵を返した。
「ゆ、ユウナ」
 カガリは、思わずユウナを呼び止めていた。
「ん、なんだい?」
 ユウナは足を止め、カガリを振り返る。
「い、いや……なんでもない」
「カガリ、安心して、上手くいくよ、いや、僕達が絶対にうまくやってみせるさ」
 政治問題の方で心配しているのだと思ったユウナは、カガリを落ち着かせようと、わざと軽い口調で言い、手を振りながら去っていった。
「はぁぁ……どうしたらいいんだろうなぁ……」
 もし、ほんの少し以前のカガリであれば、ユウナとの婚姻など本意じゃないんだ、と言い切ったことだろう。
 だが、行政府でプラントとの同盟を決めた時の一件で、カガリの中でユウナの株が急上昇してきた。
 アスランにその気はあるし、ZAFTのパイロットの前では勢い否定したものの、その実、かなり強い想いだ。だが、その当人は、この火急の時期にカガリを置いてプラントに行ってしまった。
 それ以来、カガリの心はユウナを支えにしてしまっていたのである。
 アスランを裏切りたくは無い。さりとてユウナを無碍にもしたくない。
 カガリは今、自分でも柄でもないとも、この時勢に不謹慎なとも思いつつ、どうしようもなく恋に悩む乙女になっていたのだった。

 
 

 婚約発表式典会場。
 そこに、来賓として、なぜかマユ達、ミネルバのMSパイロットも招待されていた。
 パイロットのみの招待なのは、既にミネルバが整備を終わってドックから抜け、出航に向けて準備する為、艦そのものの乗員はその作業に就いていたからだ。また、パイロットの中でも、招待されたのはマユ、ルナマリア、レイ、つまりザフト・レッドの3名だけだ。
「でも…………」
 最前列の席が用意され、居心地悪そうにする3人だったが、やがてルナマリアが沈黙に耐えかねたのかのように、小声で2人に話しかけた。
「アスハ代表の婚約者になるって人、ユウナ・ロマ・セイランだっけ? 本当は大西洋連邦よりの政治家なんでしょ? 何だってあたし達をここに招待したのかしら?」
「さあな。俺に聞かれても答えられるはずが無いだろう」
 レイは、素っ気なくそう言った。
「なによ、つれないわね」
 ルナマリアは不機嫌そうな表情でそう言ってから、
「ね、マユちゃんはどう思う?」
 と、マユに振った。
 そのマユは、仏頂面で、椅子に腰掛けていた。
「私達へのあてつけ」
「へ?」
 マユはあっさりとそう言う。ルナマリアは一瞬キョトン、として、聞き返してしまった。
「婚約発表式典にかこつけて、同時に大西洋連邦との条約締結の発表でもするんじゃないのかな。それで私達に吠え面かかせようって寸法なのかも」
「マユ……お前、ずいぶん曲がったモノの見方をするんだな」
 レイが、口調では冷静を保ちつつも、マユの今まで知らなかった一面を見たというか、歳の割りにひねくれた考え方をするのだというか、そんな感じを持って言った。
「そうかな。ん、他の国だったらまだしも、この国のことを考えるんだったら、ひねくれて考えないと、道理をMSで蹴っ飛ばすような国だからね」
 マユは険しい表情をしながらも、口調は自然なものでさらりとそう言った。それを聞いたルナマリアは呆気にとられる。
「マユちゃん……いったい、何があったの?」
 唖然としたルナマリアが、そう訊ねる。
「別に」
 マユは不機嫌そうな口調でそう言った。

 

 だが、そのマユも、この後起こる事態は予想の範囲外だった。

 

 司会のアナウンスに導かれて、お互いフォーマルな装いのユウナとカガリが壇上に上がる。
 カガリの表情は、やや暗く、おろおろと困惑している様子だった。
 ユウナはそれを見て、肘でカガリを軽くつつくと、
「カガリ、ほら、みんなが見てる。とりあえず笑顔作って」
 と、小声でカガリに言った。
「あ、そっ、そうだなっ」
 ひっくり返りかけた声で答えると、カガリはぎこちない笑顔を作って、会場に集まった来賓や民衆に手を振った。
 そして、2人はそろって、マイクスタンドの置かれた壇上の中央に立つ。
 ユウナが、2人の正式な婚約を宣言するべく、マイクに向かって口を開きかけたその時。

 

 グォォォォォォォッ!!
 メキャッ、バリバリバリバリ!!

 

 轟音とともに、会場の屋根が引き剥がされた。
「ちょっ、一体、どうなってるのよッ!?」
 来賓席にいたルナマリアは、崩れ落ちてくる天井の残骸から身を庇いつつ、不機嫌そうに声を上げた。
『カガリ!』
 スピーカー越しの声が、聞こえてきた。
 マユは、その音源の方を振り返る。
 そこにいたのは、1体のモビルスーツ。
 青と白のカラーリング、天使の翼のような空力制御板。
 瞳の中に、脳の奥深くに、胸の熱い場所に、その姿、その記憶が、よみがえる──!!
「…………フリー……ダム……!!」
 そう呟いた瞬間、マユはその場から駆け出していた。
「ちょ、ちょっとマユちゃん!?」
「ルナマリア……! まずは民間人の保護だ、急げ!」
「あ、う、うん」
 駆け出したマユに驚いて、追いかけかけたルナマリアだったが、レイの言葉に、それを断念する。
 眼下で右往左往する民衆には目もくれず、フリーダムは会場の外側を回りこむようにして壇上に接近し、そこへ腕を伸ばそうとした。
「なっ!? 何でフリーダムがこんなことを! キラ!!」
「駄目だ、カガリ、逃げるよ!」
 驚愕に立ち尽くしかけたカガリの腕を掴み、ユウナは彼女を引っ張って逃げ出す。
 入れ替わりに上がってきた憲兵隊が、小銃で応戦するが、VPS装甲のフリーダムには蚊が差した程度のダメージすら与えられない。
 だが、フリーダムはそこからカガリがいなくなったと見るや、それには興味が無いといわんばかりに、腕を引き、周囲をうかがった。
「軍の迎撃……間に合わないか……」
 会場裏手の駐車場にまで逃げてきたユウナは、フリーダムを振り返り、忌々しそうにそう言った。
 準即動体勢になっていたとは言え、それはあくまで、外部からの侵攻を想定したものだ。
 まさか、オーブの領土・領海内から、しかもたった1機のMSが襲撃してくるとは、考えて もいなかった。
 加えて──
「間に合ったところで、M1じゃフリーダムに太刀打ちできないぞ!」
「そ、そうか」
 カガリが言い、ユウナも戦慄の言葉を口にした。
「とにかく逃げよう。彼の意図が何であれ、このまま捕まるわけには行かない」
「あ、ああ」
 憲兵隊が使っている、軍用のオフロードワゴンの運転席にユウナが乗り込み、エンジンをかけた。助手席にカガリが飛び込むと、乱暴に発車した。
「しまった、市街地に!」
 フリーダムのコクピットで、キラはカガリとユウナが乗ったオフロードワゴンが幹線道路に飛び出していくのを見つけた。
「カガリ、何で逃げるのさ。僕は君を助けに来たのに!」
 そう言いつつ、バーニアを静圧モードにして、脚による歩行で市街地に飛び出す。
 突如現れ、市街地を闊歩するMSに、人々が逃げ惑う。キラはそれも構わず、オフロードワゴンを追った。
 だが、バーニアが使えないためなかなか距離が縮まらない。
「この!」
 焦れたキラは、トリモチ・ランチャーを使用し、オフロードワゴンの直前に放った。
「しまった!」
 ユウナはフルブレーキをかけるが、遅かった。オフロードワゴンは緩くスピンしながら、路上に広がったトリモチに突っ込んでしまう。
 追いついてきたフリーダムが、オフロードワゴンを鷲づかみにして持ち上げる。
「キラ・ヤマトォ!」
 変形した運転席の扉を蹴破り、ユウナがフリーダムの手に乗り出して怒鳴る。
「いくら君がカガリの弟でも、こんな狼藉は許されないぞ! 直ちに機体を停止させるんだ!」
 フリーダムのツインアイを睨みつけ、ユウナは毅然と声を張り上げる。
「自分だって、国を勝手に動かそうとしているくせに。自分勝手だね」
 キラは、外部スピーカーは入れずに呟いた。
 フリーダムはユウナは無視といわんばかりに、オフロードワゴンの屋根をいとも簡単に引き剥がすと、助手席にいたカガリを掴み上げようとした。
「ユウナ!」
「カガリ!」
 カガリが反射的に助けを求めて、手を伸ばす。ユウナは必死にそれを掴む。しかし、フリーダムがカガリをさらに持ち上げた為、ユウナは宙吊りにされかける。
『いい加減、カガリを離してくれませんか?』
 ようやく外部スピーカーを入れ、キラはユウナにそう言った。
「ユウナ、お前があぶない、いったん離すんだ」
 カガリはユウナを気遣って、悲痛な表情で言う。
「そんなこと、出来るわけ無いだろ! カガリはこの国の元首で、僕はその婚約者なんだぞ!」
 ユウナは歯を食いしばり、カガリの腕を握り続ける。
「もう、いい加減にしてよ」
 コクピットでキラがそう呟くと、フリーダムはオフロードワゴンの方をゆすって、ユウナを振り払おうとした。
「ぐっ!?」
 ユウナの脚が、オフロードワゴンの残骸に引っかかった。その弾みでカガリから手が離れてしまう。だが、同時にオフロードワゴンからも脚が外れ、ユウナはアスファルトの路面めがけて、頭から転落した。
「ユウナっ!?」
 カガリが覗き込む。
 路面に打ち付けられたユウナは、ぴくりともしない。頭部の辺りから、路面に血液が飛び散っていた。
「ユウナ、ユウナぁぁっ!!」
 カガリは悲痛な叫びを上げる。
 そのカガリの様子を気にすることも無いかのように、フリーダムは彼女を抱えて、市街地を後にした。

 
 

「ですが、まだ協定は正式に締結されておりません。そちらの主権を侵害することになりますが……」
 ミネルバ艦橋。
 タリアがモニター越しに会話している相手は、ウナトだった。
 出発に向けて、ブリッジクルーも慌しく準備していたところへ、その緊急連絡が飛び込んできた。
『これは軍事的要請ではないのです! わが国の元首が誘拐されようとしている、この非常時に手段は選んでいられません! 我が方もMSは所有していますが、おはずかしながら相手があのフリーダムでは……』
 ウナトは憔悴しきった表情と声で、タリアに言う。
「しかしこちらも、フリーダムに勝てるような機体は……」
『ブリッジー!!』
 タリアが困惑して言いよどみかけたとき、今度は艦内の通信が艦橋を呼び出した。
『ガイア出られます、許可をください!』
 サブディスプレィに姿を見せたマユは、鬼気迫る様子でタリアに迫った。
「でも、まだ動力が入ってないよ、マユちゃん! カタパルトが使えない!」
 そう言ったのは、CIC席に座るメイリンだった。
 リニアカタパルトは電気食いだ。主機関が起動していない状況では、使用できない。
『ガイアなら、カタパルト無しでも間に合います! 扉だけ開けてください!』
 マユの気迫に、タリアはごくりと息を飲み込んでから、
「出撃を許可します。ただし、状況指示はオーブ軍に従うこと。よろしいですね?」
 と、はっきりとした口調で、そう伝えた。
『了解です! マユ・アスカ、ガイア、行きます!!』
 左舷発艦デッキの気密扉が開放される。マユはデッキの上でガイアを4脚形態に切り替え、ミネルバから飛び出していった。

 
 

 市街地の入り口を確認したところで、そこにフリーダムの姿を見つけた。
「逃がさないよぉぉっ!!」
 市街地を抜け、飛び上がろうとしていたフリーダムの正面に、4脚形態のまま回りこむと、その背中をフリーダムの前面にぶつけた。
「ぐぅっ……!!」
 フリーダムのコクピットのデッドスペースに押し込まれていたカガリが、くぐもった悲鳴を漏らす。
「な、何っ、これ……」
 突如現れた“4脚MA”に体当たりされ、キラは目を白黒させる。
 かと思いきや、その“4脚MA”は、フリーダムが体勢を整える間に、2脚人型のMSに変形した。ツインアイを持つ、Gタイプのモビルスーツだ。
『マユ・アスカ、フリーダムの中にはアスハ代表が囚われている、慎重に!』
「了解!」
 言いつつも、マユはガイアの右手にヴァジュラ・ビームサーベルを握らせる。
「あれはオーブのMSじゃない?」
「そうだ、ZAFTの、ミネルバのMSだ。キラ、悪いことは言わない。あちらに私を渡すんだ」
 キラの言葉に、カガリは答え、そう言った。
「えっ、どうしてZAFTにカガリを渡さなきゃいけないの?」
「オーブとプラントは同盟を組む予定だったからだ。だからあのMSは私を助けに来たんだ。さあ、あちらに私を渡せ」
 軽く驚いたように聞き返すキラに、カガリは強い調子で言った。
 マユは、フリーダムの腰部を狙って斬りこむ。
 だが、キラはカガリとやり取りをしながらも、ガイアの斬撃をいとも簡単にかわした。
「っ」
「仕方ないよね……」
 ガイアが振り返るより早く、フリーダムはバラエーナ・ビーム砲とクスフィアス・レール砲を射撃位置に起した。
「はっ!」
 間一髪、マユはガイアをスナップさせて、その射撃から逃れる。
「このっ!」
 並行してガイアのビーム突撃砲を起し、フリーダムに向かって撃った。だが、コクピットを外すという制約から、それは簡単にフリーダムに避けられてしまう。
「何をしているんだ、キラ!」
 カガリが、不機嫌そうな声でキラを咎める。
「ZAFTは信用できないよ。カガリを渡すなんて出来ない」
「何をバカな事を言ってる!」
「だって、ラクスは彼らに殺されそうになったんだよ!?」
「何っ!?」
 キラの言葉に、カガリの顔色が終わった。そのまま、カガリは絶句してしまう。
「これなら、どうだーっ!!」
 マユはガイアに、Z字を描かせるように急機動させ、フリーダムの射点を外しながら急接近する。
 そのまま、機動防盾を構えてシールド・タックルをかけようとするが────
「やめてよね、そんな程度で、僕にかなうわけ無いだろ」
 それが極まると、マユ自身も、カガリも、傍から見ていた者達もそう思った瞬間、キラは瞬時にしてフリーダムを捻って交わした。
「え、ええっ!?」
 ガイアはバランスを崩し、つんのめる様に前倒しになりかける。マユは瞬時に姿勢を入れ替えて、そのまま踏ん張って構えなおさせる────が。
「悪いけど、君達に構っている暇は無いんだ」
 その僅かな間に、フリーダムはスラスターを吹かしてガイアから一気に離れ、そのまま気流制御ウィングを広げて、飛び上がった。
「ま、待ちなさいよぉっ!!」
 マユはガイアに地上を駆けさせ、追いかける。だが、いくらもしないうちに、海岸線に行き当たってしまった。
 ガイアは空を飛べない。マユの見ている前で、フリーダムはやがてスラスターの輝点と
なり、消えていった。
「うぁ、うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 マユはガイアのコクピットで絶叫した。獣を思わせるような咆哮だった。

 
 

「ユウナ・ロマがあのようになったのは計算外だが、あとはすべて、予定通りだな」
 同じ頃、オーブ行政府の近くから、同様に飛び去っていくフリーダムを見ていた人物がいた。
 その表情が、醜くほくそ笑む。すべて自分の思惑通り、と言った様子だ。もちろん、ユウナの死を悼むような様子は、ひとかけらも無い。
「ウナト・エマを拘束しろ」
 タツキ・マシマは、憲兵隊の制服を着た数人の男に、そう“命令”した。