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SEED-クレしん_18-071_03

Last-modified: 2010-12-05 (日) 14:02:17
 

ソレスタルビーイングの長い一日 【その3】

 
 

「……で、このつきあたりを曲がるとすぐという訳です」
「ありがとうございます婦警さん。よくわかりましたですぅ♪」
「いえ、道案内も本官の重要な任務でありますので。それではお気をつけて」
「あ、ありがとう……」

 

 これはなにかというと、美容院への行きかたをド忘れしたスメラギ・李・ノリエガとミレイナ・ヴァスティの2人が、アー区エンジェル公園前の交番でナタル巡査長に道を聞いてる光景である。
 ゆうべ飲みすぎて記憶ぐだぐだなのと、まだ慣れない街で勝手がわからないからむしろ当然といえよう。

 

「親切な婦警さんが分かりやすく教えてくれてよかったですね~スメラギさん♪」
「……」
「スメラギさん?」
「……え?ああ……そうね、助かったわ」
「どうしたんですか?あの婦警さん見てボーっと……はっ!?ま、まさか一目惚れ……」
「ちがうわよ!ただ歳は全然若いけど、『あれ』にかなーり雰囲気が似てるなって……そう思っただけ」
「似てる?誰にですか?」
「昔の友人にちょっと、ね…………ふう、まあいいわ。道もわかったことだし、行きましょミレイナ」
「はーい」

 
 

「くしゅっ!」

 

 その頃、春日部のどこかで両手に買い物袋を下げたカティ・マネキンさんがくしゃみをしていた。

 

「ふう……誰か噂しているのか?まさかな。ただの風邪気味だ……」
「大佐ぁ!このアクション仮面フィギュア買ってもいいですかあ?なんとこいつ全身300ヶ所可動の凄い奴でして……」
「だから私は准将だと……ふん、まあいいぞ。その代わり来月からお前の小遣いは一切なしだ」
「すいませんごめんなさい諦めますので許してください大佐」
「だから准将だというに!」

 
 

 さすがの俺でさえ……この時ばかりは手が震える。
 精密作業が得意な俺がプレッシャーで押しつぶされそうになる。
 少しのミスも許されないこの仕事……なんと孤独でなんと過酷でなんと厳しいものか。
 それでも俺はやり遂げなければならない。
 何故ならそれが俺に課せられた任務なのだから……!

 

「ど、どうでしょう……?」
「う~ん…………まあまあ~かな?」
「ふ、ふうううううう~~~~~~…………」

 

 一応合格ラインはもらえたようで心底安堵した俺……
 毎度毎度、しんのすけの髪を切るのは神経を使う……こいつ、簡単そうな坊主頭のくせに妙にカットにうるさくてすぐダメ出しするんだ。

 

「店長お疲れさまです!」
「タオルどうぞ……顔が汗だくですよ?」

 

 任務を無事終えた俺をリヒティとアニューが俺を気遣ってくれる。ありがたいことだな……あれ?

 

「おいクリスは?どこにいる?」
「クリスっちーですか?コーヒーとクリームが切れたから買いにいってもらったっす!」
「すぐ帰りますし、しんのすけ君以外にお客いないから店を離れても差し支えないと思いまして…」
「そうか……?まあ別にいいんだけどな」

 

「ふう……まったく、オラむさくるしい男のロックオンおにいさんより美人なクリスおねいさんに髪きってもらいたかったゾ」
「悪かったな。むさくるしくてよ」
「あ、しんちゃんの散髪終わりました?」
「シン……お前も付き添いと称してうちに漫画読みに来るなよ」
「あーあ、あともう少し散髪に時間かけてくれればワンピース全巻読めたのになあ」
「……聞いちゃいねえ」

 

 まあとにかく、今日もお勤めご苦労様だ。
 どうせ客なんてそうそう来ないし今日はそろそろ店閉めるか!

 

「……店長、まだ午前中っすよ!?」
「いいじゃないかリヒティよぉ~、日々だらだら生きようぜ。みんなで幸せになろうぜ~?」
「二ールさん性格変わってません……?」
「ま、春日部じゃいつもの事ですよ」
「そうそう~……お?」

 

 そのとき。うちに新たな……懐かしい顔の客が舞い込んできたのさ。

 
 

「ビューティーサロン・プトレマイオス……?」
「私たちのトレミーと同じ名前ですねえ~」

 

 私たちは噂の美容院に到着した……けど。店の名前に怪訝な顔してるのが自分でもわかる。
 『プトレマイオス』ってそんなどこにでもあるような名前じゃないはずだけど……ただの偶然かしら?

 

「今日はちゃんと営業してるみたいですよ?スメラギさん、はいってみましょうよー」
「え?ええそうね……そうよね別に名前がアレなだけで変なところじゃないみたいだし……」

 

 とまあここで固まっていても仕方がないので、なにはともあれ入ってみることにしたんだけど。

 

カランカラ~ン……♪

 

「お、いらっしゃいませ~……て、ありゃスメラギさんじゃないですか」

 

 ……え?

 

「あれ~スメラギさん?ああお久しぶりです!」
「ど、どうも……覚えてますか?私アニューですけど」
「ええ~?もしかしてライルさんですかあ?なぜライルさんがここに……ひゃううううう!?」
「あれ?なんか急に怯えだしたぞこの人」
「どしたの~?」
「だだだだだだって2年ぐらい前に私に銃でひと、ひと、人質にした人がぁ!」
「うっ!い、いやその……」

 

 えーと……なに?この光景は……ロックオン……?リヒティ?アニュー?え……え?

 

「まいったな騒がしくなっちまって。ま、あっちは後であいつにでも頼むとして……スメラギさんは髪の……なんか色々と酷いなこれは。
 じゃあカットからなにから全部やるでいいですね?じゃあイスに座ってください」

 

 なんか……ロックオンに言われたような気がしたけど。
 私の頭はこんがらかってよく理解できなかった。
 死んだ仲間達がなぜか生きてて?何故か美容院で働いてて?なんか和気藹々な雰囲気で?え?え?なにこれ?なに……?

 

 ああ……そうかあ~。私まだお酒に酔ってるのよ。だからこんなありえない幻覚が見えるんだわそうなんだわ。

 

「それじゃ始めますけどいいですかね?」
「好きにしてーそうよほんとの私は酔いつぶれて寝てるのよこれは性質の悪い夢なのよ~」
「店長!俺ひとっ走りいってクリスっちーを呼んできます~」
「ああ頼む。あいつも喜ぶだろ、トレミーの仲間が訪ねてきたと知ったら……」
「クリス~?ああクリスも私の夢に出てくるのかしら~?」

 

「いや!許してくださいです!私を人質にしてもうちにはお金ないんですぅ!身代金なんて出せませんん~~~!」
「いやだから……だめ、この子本格的に錯乱してる~」
「まあ実際アニューさんがこの人を人質にしたことあるんだから、身から出たサビといえばそれまでだけど」
「ううっ……」
「まあそれを言っても仕方ないですな。とりあえず救世主の登場をまちますか~♪」

 
 

(しつこくまだ続くゾ)

 
 

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