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SEED-クレしん_19-129_02

Last-modified: 2014-01-02 (木) 20:09:35
 

超兵たちの挽歌だゾ 中編

 
 

この春日部という街に来て3日たった。
僕アレルヤ・ハプティズムとマリー……ソーマ・ピーリスはここ数日この街をあてもなくうろうろしている。
この旅の目的であるセルゲイ大佐探しは完全にマリーの嗅覚?頼みだ。
だから今日も春日部の色々な場所をいったりきたり。
でもそれはそれでマリーと観光旅行&デートをしているようで楽しくもあった。でも……

 

「……熊の匂いが感じないわ。これはクマったわね」
(ぼ、僕のマリーが駄洒落を……)

 

なんか僕の知っているマリーの性格が少しづつ崩壊してそうで少し怖い。
どうもこの街はなにか……今まで訪れた街とはなにかが違うような気がする。
えらくのどかで、戦争とは無縁で、心の底からのんびりしてしまいそうになる変な雰囲気。
戦争のない世界というのはきっとこの街のような世界に違いない。
マリーもその雰囲気に感化されつつあるということか。

 

「おい貴様」
「え?」

 

マリーの後を歩きながら、以上のことをボケ―と考えている僕だったが
ふと背後から僕を呼び止める声が聞こえて、思わず僕は振り返った……あまりにも不用意に。

 

「うっ……!」

 

振り向いて僕は思わず激しく動揺してしまった。
なぜってそこに10歳くらいの女の子が6~7人ほど立ってたからだ。
それもみんな同じ顔で同じ姿。しかも全員ジト目で僕を睨んでいる……少し怖い。

 
 

少女たちはしばらく僕とマリーをじろじろ見ていたけれど。
ふと視線を外して小さく溜め息をついた。

 

「……人違いか?」
「そうみたいだな」
「なんとなく感じは似ているんだが……どうして間違えたのだろうな私たちは?」
「わからない。が、そこは特別重要ではない」

 

人違い?だと分かっとたん、僕達を無視して少女たちは話し合いを始めた。
もう僕のことなど眼中にない感じだ。

 

「当てが外れたね。フォーとセブン、ナインは?」
「地図によるとここ……5丁目方面に捜索にいっている」
「姉さんたちは、ここらの住宅地周辺だったか」
「まったく…まっすぐこっちに来るかと思ってたら変な所に迷いこんで……」
「仕方ないさ。妹は少々事情が異なるからな私達とは」
「ともあれはやく探し出さないと。あてもなくさ迷っているはずだぞあいつは」
「そうだね。じゃあ次はこの辺りを……」

 

少女たちは地図とにらめっこしつつ、あれこれ相談すると……
今後の方針が決まったようで足早に僕達の前から去ろうとした。
そのとき少女のひとりがこちらに振り向き

 

「すまなかった人違いだ。呼び止めてすまなかったな」

 

それだけ言うとさっさと行ってしまったのだった。

 

「なんだったんだ……?」
「……なんだろうあの子たち、私達に似ている……?」
「マリー?」
「何故かわからない。けどそんな感じがしたの」
「まさか……彼女らが超兵!?」
「ううん違う……違うけど多分超兵に似たなにか……戦う為だけに生み出された……なにか……」
「……」

 

結局その疑問の答えを知る機会は僕たちには遂になかった。
何故ならば、その少女達とは二度と出会うことはなかったのだから。

 
 

彼がマグナムを構えるのを見た。
私は即座に艦への命中は免れないと確信した。
だから私はその身を盾としてビームを受けた。
そして死んだ……のだろう私は。

 

だが最後に私は私を支えてくれた人々に礼を言うことができた。
だから後悔はない。なにも後悔するものはなく。
私という光はこの世界から消え去った……

 
 

はずなのだが。

 
 

歩いている。
歩いている。
私はなんのあてもなく見知らぬ街を彷徨っている。
気がついたらこの場所にいて自然に歩き出していた。
すれ違う人間たち……特に男どもは必ずといっていいほど振り向いて私をじろじろ見ている。
なにをそんなに見つめる?しかもなぜ照れている?
そんなに私が珍しいのだろうか。少なくとも私の外見も服装もそんなに珍しいものではないはずだが……

 

「ふう…」

 

それにしてもこの街は炎の匂いが染み付いてむせ……はしないが少々暑い、な。
なにか水分が欲しい所だが……
そう思った私の視界にとあるアイスクリーム屋が入ってきた。
……アイスクリーム……か。

 

『あります、うまい店が……に』
『ここを切り抜けたら案内します……みんなで行きましょう。』
『約束ですよ……絶対に……れて……』

 

なんだろう。ふと何かを思い出しそうになった。
誰かと何かの約束をしていたような……だが何故か思い出せない。
思い出そうとしても頭の中にもやがかかってるかのように曖昧なイメージの断片しか浮かばないのだ。
しばらく思い悩んだが私は思い出すのを諦めることにした。

 
 

ジャラ……

 

ズボンのポケットに手を入れて探ってみるといくらかの小銭が入っている。
これならばアイスクリームのひとつくらい買えるかもしれない。
私はそう思うとその商店へと赴き、ケースからソフトクリームを1個取り出して店の者に声をかけようとした。

 

「すまない。このアイスをひとつ………ん?」

 

その時、私は妙な視線に気づいた。
ふと横を見るともの欲しそうに指をくわえている金髪の少女と……妙にまゆげが太い幼児がいた。

 

「じー……」
「じぃー……」

 

ええいっ私にプレッシャーをかけるな。
私はもう一度ポケットを探る。あともうふたつくらいは買えるかもしれない……
小さく溜め息をつくと、私は店の者に告げた。

 

「アイスクリームを……3つくれ」
「はい毎度」
「おぉ~~おねいさんふとももぉ~~~♪」
「うぇーい、ですとろーい♪」

 

……もしかして私は変な子供たちと関わりをもってしまったのだろうか?

 
 

私は結局その子らの案内で近くの公園にいき、そこのベンチに腰掛けてアイスを食べることにした。

 

「オラ野原しんのすけ五歳~!ねえねえおねいさんタマネギ食べれるぅ~?納豆にはネギ入れるほう~?」
「……すまない。私は納豆という物は食べたことがないので、その質問には答えられないな」
「むむっ?……うーん、なかなか手強いゾ」
「…?」

 

イガグリ頭の子供……野原しんのすけはアイスをペロペロ食べながらも、私に対して積極的にアプローチを仕掛けてくる。
なんのアプローチかは分からないが。

 

「アイスありがとー。ステラねちょうど冷たいの食べたかったんだ」
「そうか。それはよかった」
「んー……?じ―――っ……」
「なんだ?私の顔をじろじろ見て……」
「おねーさん……なんか…似てる?」
「似てる……?誰に?」
「う~ん……なんていうのかな?あえて言うなら昔のステラ……かな?」
「……?」

 

金髪の少女…・・ステラ・ルーシェは私が言うのも何だが不思議な感じがする少女だ。
だがなんだろう?私もステラに妙な近親感を覚えてしまう。

 

「オラ野原しんのすけ5歳!っ」
「それはさっき聞いた」
「オラとステラおねいさんがお名前教えたんだから、おねいさんもオラもお名前を教えてほしいゾ!」
「名前……?」
「あ、ステラも知りたい。おねーさんのことなんて呼べばいいのかなあ?」
「名前…?私の名前……?」

 

名前。二人に聞かれても私はすぐに答えることができなかった。
何故って脳裏にすぐに名前がでてこなかったからだ。
私の名前……私の……

 

名前と言われてまっ先に思い出すのは数字の12……トゥエルブ…………?
……プル……プルトゥエルブ……?
嫌……!理由はわからないがその名前はなぜか嫌だっ!
辛いことしかなかったナンバリングだから……っ!だから私は……私の名は……っ

 

「……ク、クルス…」
「おっ?」
「マリーダ……クルス。それが私の名前だ」

 

その後私はしんのすけとステラとのんびりアイスを食べながら世間話をした。

 

アイスを食べ終わってからも……しんのすけは私の気を引こうとしているのだろうか。
しきりにナンパらしき言動を繰り返していた。
マセた子供だとは思うがなぜか不思議と不快ではない……
しんのすけは人を惹きつける天性のなにかをもっているのかもしれないな。

 

ステラは私のことをあれこれ聞きたがっていたが、私自身思い出せないものは教えようがない。
気が付けば逆に私がステラ自身の話ばかりを聞くようになっていた。
なるほど……確かにステラの生い立ちはどこか親近感を覚える。
もしかしたら私と彼女は似たもの同士なのかもしれない。

 

「アイスごちそうさまー。ステラもういかなきゃ」
「うー、オラもそろそろシロのお散歩にいかなきゃいけないゾ……お散歩しないとかあちゃんに怒られるし~」
「そうか、ならここでお別れだな……私も楽しかった。礼をいう」
「じゃあステラたちはこれからおうちに帰るよー。マリーダはこれからどうするの?」
「え……」

 

これから……どうする?
どうするって……どうしたらいいんだ?……今まで考えたこともなかった。
マスターの命令を遂行することだけを考えていた私が……
そうだ、ここには私のマスターはいない……私が……私の意思で行動を決める……?

 

『心に、従え。それが、おれからの最期の命令だ』

 

ああ、そういえば最後のマスター……お父さんにそう言われた事があった。
心に……か。だが今の私には……

 

「……わからない」
「え?」
「私はこれからどうしたらいいのか……わからないな…ステラ」
「マリーダ?」
「私は……私のマスターの指示を忠実に遂行するようにつく……生まれた存在だ……
 だから…私が自分で何かを決めたことはこれまでほとんど……ない」
「……」
「最後のマスターは自分の心というマスターに従属しろと言った。だけど……」
「……だけど?」
「その心が、今は空っぽなんだ」

 

空虚。
今の私はその一言に尽きるのかもしれない。
バナー……だったか、ミ……バ様だかと共に戦ってた時は私を支えてくれる仲間と目的があった……気がする。
だから前に進めばそれでよかった。目の前の敵を倒せばよかった。
でも今はその敵も、戦場も、MSも、仲間も、光も……なにもない。

 

私はもう自分の役目をすべて果したはずの人間だ。その私にこれ以上なにをしろと言うのか。

 

しんのすけは黙って私を見つめていた。
多分いまはふざけておちゃらけた言動をすべきではない時だと直感で察してるのかもしれない。
何気にたいした子供だ。もしかしたら将来は意外に大物になるかもしれないな。
ステラも黙って私の言葉を聞いていたが……やがて口を開いた。

 

「マリーダは……やっぱり昔のステラと似てるよ」
「どういうことだ……?」
「ステラはね、実はエクステンデットなんだよ。」
「エクス……?なんだそれは?」
「んーとねえ……わかりやすくいうとねぇ……強化人間、かな?
 わかるかなーMSを操縦して戦う為にね、お薬とか機械とか訓練とかで強化された人のことだよー」
「ッ!?」

 

いきなりなんという事を言うのだこの娘は。

 

「むかーしね、ステラもマリーダとおんなじだったよ。大好きなネオの言うことだけ聞いてればそれでよかったし
 ネオが誉めてくれればステラ本当に嬉しかった。あの頃はね本当にそれだけでよかったんだ……」
「今は……違うのか?」
「ネオ以外にもね、ステラは他にも好きな事や好きな人がたくさんできたから」
「好きなこと……?」
「マリーダにはない?自分でやりたいと思うこと、楽しいと思うこと。そういうのをやってみたらいいんじゃないかなあ」

 

自分がやりたいと思う事……?
戦えと命令されれば戦う、私は本来ただそれだけの存在のはずだ。
私には正直戦うこと以外の生き方なんて私は知らない。
戦い以外で知ってる生き方は男に己の身体を蹂躙される事だけだ。

 

「………悪いがやりたい事など思いつかない。私は本当に戦うこと以外の生を知らない女なのだな」
「そう……それじゃあ仕方ないかあ」

 

「も~ふたりともオラがわからない事ばかりしゃべってー!オラしめっぽいのは嫌いだゾ」
「……むっ?すまなかった」
「ごめんね~。しんちゃん退屈だった?」
「なんか雰囲気わるいゾ!景気づけにオラのケツだけ星人をくらえ~~!ぶりぶり~!ぶりぶり~~!」

 

そう言うやいなや、しんのすけはズボンを半下ろしにして私に対してケツを振ってきた。
と同時に目にもとまらぬ速さで左右に、あるいは私とステラを中心にぐるぐる回ったりしてたえず動いている。
いかにも幼児らしい悪ふざけで、なんとも珍妙な踊りであり私は苦笑いで軽く受け流すつもりだったのだが……
私は意外にもその動きに反応してしまった。

 

「むっ……!」

 

私は無意識に両手をカンチョーの形に握りこんだ。
強化人間の習性なのかもしれない。より速く、より正確に自身に向かってくる攻撃に対する空間把握とセンス。
的確に判断し、次の一瞬の動きを予測し、すべてを計算して頭のなかでイメージ、そして……

 

「いけっファン○ルッ!」
「ぶりぶり~!ぶりぶ……うおぉぉぉぉぅぅっ!?」

 

だが紙一重で私の必殺のカンチョーは、しんのすけのケツをかすめただけで不発に終わった。
なにっ!私の攻撃が外れただと?確実にケツだけ星人のウィークポイントに的確な一撃を放ったはずなのに!

 

「オ、オラ今おまたひゅ~……おまたひゅー~ってなったゾ!マリーダおねいさん、いきなりなにすんの!?」
「え……?あっ……」

 

言われてみればその通りだ、なんで私はこんな真似をした?
しかしなんだろうこの気持ち……今、妙に、楽しかったような気がする……?

 

「そう!それだよマリーダっそれが楽しいって気持ちだよ」
「な……っ!ち、違うこれは無意識についだな……」
「オ、オラのタマタマまだひゅ~ってなってるゾ…………ん~~、でもなんかオラ癖になりそう~♪」

 

うっ……なんだ?さっきから私は……なにか変だ!
私は恐怖した。今この場にいて、しんのすけとステラと一諸にいて、ただ会話している。
たったそれだけの事に今まで感じたことがない安堵感とやすらぎを感じている事に恐怖した。

 
 

「っ…!なんだ?なんなんだ私はっ!なんで私は見ず知らずの他人に自分の事を無防備に全部話している?
 私は機密をべらべらと喋ような存在ではなかったはずだ!」
「マリーダ?」
「おねいさん落ち着いてー落ち着いてー?ほーら深呼吸深呼吸だゾ」

 

「変だ!今の私は絶対になにかが変だ……っ!ステラとしんのすけになんでも話したくなってしまう……
 わからないっ!心が丸裸にされているみたいだ!こんな……この……妙に心が安らぐ気持ちは……っ!?
 NT-Dで心を覗かれるような感覚とも違う……不快感や違和感をまるで感じないとは一体どういう事だ!
 知らないっ!なんだこれは!?私はこんなの知らないっ!」

 

人並みの幸せや人生とはあまりにもかけ離れた人生を生きてきたからなのかもしれない。
不安や緊張に慣れすぎた私は慣れない心地よさに恐れおののいた。

 

「教えてくれ……!私は死んだのではなかったのか……?死んだはずなのになんで私は生きているんだ……?
 ここはどこなんだ……?そしてこれ以上私に何をしろというのだ……
 マスターをなくした造り物の人形に、これ以上どうしろと言うんだ……っ!」
「マリーダ……?」
「マリーおねいさん……」

 

私は思わず二人に怒鳴り散らした挙句に愚痴ってしまった。
みっともない女と思うかもしれない。でもそれは私の偽らざる気持ちでもあった。
と、その時……

 
 

「甘ったれるなプルトゥエルブっっ!」

 
 

ー激しくも懐かしい声が私に向けて放たれた。

 
 

私は思わず顔を上げた。しんのすけとステラも声がした方向へと思わず振り向く。
そこには10歳前後と思われる小柄な少女がいた。
オレンジのショートヘア、目つきが鋭くナイフのような尖った視線を私に向けている。
……私はこの少女を知っている。いやしかしそんな、そんな馬鹿なことが……

 

「お前は……」
「自分の元指揮官の名前すら忘れたのか?ええプルトゥエルブ……いくらなんでも薄情すぎるだろう?」
「プル…ツー……?まさか……いやまさかそんなっ!?」
「プルプルプルプル~~~~っ!」
「うあっ!?」

 

思わぬ事態に呆けていた私は、いきなり後ろから抱きつかれた。
慌てて横を見るとプルツーと同じ顔の少女が私の首に両腕を回してしがみついていた。
プルツーに比べると目つきが幾分穏やかな気がする。この人もまさか……

 

「見つけた!やっと見つけたよ!長い間探していた私達のいもーと!」
「妹……?この感じ…エルピー……プル?」
「そうだよ!久しぶり?それとも初めまして?どっちでもいいよね私達姉妹なんだから♪」
「し、姉妹……姉妹?」
「まったく世話を焼かせる。まっすぐ私達の所へと戻ってくると思ってたら変な世界へと迷いこんで…」
「びっくりしてみんなでプルトゥエルブを探したんだよー!」
「私達が一番はやく見つけられたようだな。他の妹たちはプルと私に比べると少しドンくさいからまあ仕方ない」

 

次から次へと予想もできない事態の連続に、私の頭はパンク寸前だったのをここで正直に述べておく。
なにせ7年も前のネオジオン抗争で戦死したはずのプルシリーズが私の目の前に現れたのだから。
君たちに死んだはずの同類と出会うというのがどんな気持ちか分かるだろうか?
懐かしく思う?それとも気味悪がる?……いいや。私が感じた思いはそのどれでもなかった。

 

「うーん、オラたち置き去り……」
「しっ。しんちゃんここは静かにしていよう?」

 

「……それにしてもだな、こほん……プルトゥエルブよくやった」
「え……?」
「自分の任務を全うしてよく生きぬき、そしてよくここまで戦い抜いたと言っている
 同じプルの名を冠する者として私はお前を誇りに思う」
「プルツー……あ…私、私は……」
「あっ!あととこれ読んでみてっ」
「この紙は?」
「まあなんだ……あいつも反省してるみたいだから。できれば許してやってほしいと私は思うんだが…」
「……?」

 

私はエルピー・プルから手渡されたメモを開いてみた。
するとそこには、たった一言こう書いてあった。

 
 

『正直すまんかった……。               グレミー・トト』

 
 

「……ぷっ」
「おっ?」
「マリーダが……」
「笑った!」

 

「ぷっ………くくくっ………あ、あははは!」

 

笑った。どうもツボにはまったらしいようで私は心の底から大笑いした。
こんなに笑ったのは生まれて初めてだろう。
と同時に私は許した。今までの人生に起こったあらゆる理不尽、そのなにもかもをすべて許してしまった。
自分の中にあったほんの小さなわだかまり……
いくら誰も恨んでいないと言ってても確かに心の片隅でくすぶっていたなにか。
それが綺麗さっぱり霧散霧消していくのを確かに感じた。

 

「あっいたぞあそこだ!」
「やはり姉さん達に先を越されていたか」
「それはいい。最後の妹が見つかって本当によかった」
「まったく世話の焼ける……」

 

もう私は驚かなかった。
他のプルシリーズ……いや姉さんたちが私達を見つけてこっちへ来る。
ああ、みんな同じ顔だけどみんな懐かしい顔だ。
あの戦場でハマーン側の強化人間に次々と落とされていった仲間達。
彼女らと共に死ねずにたったひとりここまで生き残ってしまった私。

 

この再会を奇跡と呼ばずしてなにを奇跡と呼べばいい?

 
 

「うーむ……それにしても許せないな」
「なにがだ…?」
「妹の分際で私達より背が高くて髪も伸ばしているのはどういうつもりだ」
「それは……こんな私でも7年もたてば少しは成長もするさ」
「妹のくせに姉より先に大人になるとは生意気だぞプルトゥエルブ!」
「生意気とか子供の姉さんたちに言われてもな」

 

姉妹、姉、妹……私達は自然とお互いをそう呼んだ。
本来私達は姉妹という間柄ではないのに違和感はまったくなかった。
ひとしきり姉さん達と再会の会話を交わすと、一番年長?のエルピー・プルとプルツーが私の元へと来る。

 
 

「じゃあいこっか?」
「行く?行くってどこへ……?」
「それはお前が自分で決めるんだ。行きたいと思う場所……行く方法もすべて」
「決める……できるだろうか私に」
「迷ったらみんなで決めればいいじゃない。もうプルトゥエルブはひとりじゃないんだよ?」
「私がいる……プルもいる……姉妹みんながいるだろう?」
「プルツー……強いな、あなたは……」
「そうでもないさ。私も弱かった……姉さんに導かれるまでは……」

 

気が付けば私は姉さん達と手を繋いでいた。

 

「いこっプルトゥエルブ……ううんマリーダ。私達の戦争はこれでもう本当に終わりだよ」
「だから今度はは誰かに命令されるのを待つのではなく、自分の意思で戦わなくちゃいけない」
「姉妹みんなが付いてるから」
「判断に迷ったらみんなで考えればいい」
「私達は12人でひとり」
「もう妹を……マリーダひとりだけ置き去りになんてしない」

 

「うん……いこう。私が私達がしたいと思うことを見つけに行こう。みんなで……」

 

私は事の成り行きを見守っていたしんのすけとステラの方へと振り向くと礼を言った。

 

「ありがとう二人とも、私は私を探している者達と巡り合えた。君たちのおかげだと思う……多分な」
「ステラわかるよ。マリーダも昨日を貰ったんだよね!だから嬉しいんだね」
「……うん、私はいま嬉しいと思っている。素直にそう思える……」
「うーん、オラおねいさんとおデートしたかったんだけどな~」
「すまないなしんのすけ。そしてステラ……またいつか会おう。またいつか会えるような気がする……だからさようなら」

 

「マリーダまた明日!明日会おうねっ!」
「おわかれのケツだけ星人~~!ぶりぶりー!ぶりぶり―――っ!」

 
 

そしてプルと呼ばれた少女達とマリーダ・クルスというもう一つの名前をもつ少女は春日部から姿を消した。
彼女らがどこへ向かったのか、それは誰にもわからない。
だが明日に向かって歩み始めたのは間違いないのではないだろうか。

 

マリーダたちと別れて家路へと向かうしんのすけとステラ。
ふとしんのすけが空を見上げると

 

「おおっ?みてみて虹がかかってるゾ!」
「ほんとだ……さっきの小雨のせいかな?綺麗だねー……」
「オラ思うんだけどきっとマリーダおねいさん…」
「うんマリーダは……お姉さん達と一諸に明日に向かってるとステラ思うよ」
「きっとそうだゾ。だって」

 
 
 

ーこの虹の彼方に、道はきっと続いているから

 
 
 
 

シン 「12人の妹かあ……さしずめ春日部につかのま舞い降りた、シスター・プリンセ」

 

ゴインッ!(げんこつ)

 

ルナ 「いい話なんだから茶化さないっ!」

 
 

(……つづくゾ?)

 
 

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