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SEED-IF_4-5氏_03

Last-modified: 2008-04-30 (水) 23:40:44

「いやぁ、なかなかやるねぇ、彼女」
「ええ……」
突然現れた真紅のガンダムは、うまく敵をあしらっている。もう一機現れた敵の機体、水色のガンダムと合わせて3機を相手にしてもだ。
「油断はするなよ、アスラン」
カガリがアスランに注意する。
「ああ、わかっている」


『ルナマリア! 命令は捕獲だぞ! 解ってるんだろうな! あれは我が軍の……』
指揮官だろうか? 場をわきまえん通信が入る。
彼女は複数を相手に戦っていると言うのに。
ユウナは義憤を感じた。
『解ってます! でも出来るかどうか分かりませんよ。大体何でこんなことになったんです!』
通信の間も、止む事のない立ち回り。
『なんだってこんな簡単に! 敵にっ!』


「今はそんなお喋りしてる時じゃないでしょ! 演習でもないのよ! 気を引き締めなさい!」
明日進水式が行われるはずだった新型艦、ミネルバの艦長、タリア・グラディスはルナマリアを叱責すると、アーモリーワンの管制室に通信を繋いだ。
「強奪部隊ならば外に母艦が居るはずです。そちらは?」


その頃アーモリーワンの程近く、ユニウス条約で禁止されたはずのミラージュコロイドに身を包み、ある艦が息を潜めていた。
「よーし行こう! 慎ましくな」
指揮官らしき仮面の男が声を上げる。
「ゴットフリート1番2番起動」
「ミサイル発射管、1番から8番、コリントス装填」
「イザワ機、ハラダ機、カタパルトへ」
「主砲照準、左舷前方ナスカ級。発射と同時にミラージュコロイドを解除。機関最大。さーて、ようやくちょっとは面白くなるぞ、諸君!」
仮面の男は陽気な声を上げた。
「ゴットフリート、てぇ!」
その隣に座っている、艦長らしき男が発砲の命令を発する。


「ああ!?」
ザフトのナスカ級高速戦闘艦フーリエの乗員は、いきなり僚艦ハーシェルが爆発した事に一瞬頭が真っ白になった。
「本艦にミサイル多数、向かってきます!」
「後方に不明艦出現!」
「なんだと!? 迎撃しろ! 熱紋ライブラリ照合!」
「熱紋ライブラリ照合、該当艦なし!」
「なんだと? 一体どこの艦だ? くそっ」


――!
ズズっと地面全体が、揺れる。
「アスラン!」
「外からの攻撃だ。港か? く……」
「あ、おい! 赤いモビルスーツが!」
とうとう、吹き飛ばされ、尻餅をついてしまった!
「あっ!」
「アスラン!?」
「くっ。掴まっていろ!」
アレックスは水色のモビルスーツにタックルし、尻餅を着かせた。返す刀で、向かってくる黒いモビルスーツにビームトマホークを投げ、牽制する。
「あぶない!」
ユウナは思わず叫んだ。水色の奴の胸部が光る!
アレックスは咄嗟にシールドをかざした。だが、大威力だったビームにシールドを吹き飛ばされる!
「ううッ!」
激しく揺さぶられるコクピット。カガリが倒れこむ!
「あ! ……カガリ! ……あ!」
アレックスがカガリの頭に手をやると、血が、その手に付いた。
「おい! もう武器は無い! 撤退するんだ、アレックス! カガリを無事な場所へ!」
ユウナは叫ぶ。
「わかってますよ!」
アレックスはスラスターを吹かして、この場を立ち去る事に成功した。


ルナマリアはザクが撤退に成功するのを見てほっとした。
自分が救われた相手が目の前でやられては、寝覚めが悪い。
1対3。
だが、ルナマリアはここでやられるつもりはない。ここは味方の基地だ。時間を稼げばいいのだ。
「さあ、行くわよ! あんた達!」
ルナマリアは強奪された3機のモビルスーツに切りかかった。


『医療チームD班は第七工区へ!』
『45号ストレージの弾薬庫に注水しろ!』
アレックス達はザフト兵の集っている所に下りた。
「どうする? アレックス?」
「ちょっと、聞いてみます。おおい、こちらには負傷者が乗っている。手当ては可能か?」
『動ける機体はミネルバのドックへ行ってくれ! そう、負傷者もだよ!』
「ミネルバとは?」
「馬鹿野郎! 明日お披露目の新型艦じゃねぇか! さっさと行け!」
「やれやれ、だね」
「そうですね」
「ぁ……ぅ……」
「ぁ!」
その時、カガリが目を覚ました。
「ア……スラン……」
「大丈夫か?」
「ああ……大丈夫……うーん……」
「すまなかった……つい……直ぐに安全に降りられる場所を探すから」
「……いや……」
「おい! あれ、デュランダル議長じゃないか?」
ユウナは口を挟んだ。
こんな所でラブシーンを演じられては堪らない。
「ん……拡大してみます。……ですね。デュランダル議長です」
拡大されたモニターにはバギーに乗るデュランダル議長の姿が見えた。
「そちらへ行こう。この状況だ。議長は安全な所へと避難している途中だろう」
「了解です」
アレックスは壊れたモビルスーツのスラスターを吹かすと、デュランダル議長の後を追った。


「ナスカ級撃沈」
アーモリーワンを襲った不明艦のオペレーターは少し高揚が混じった声で報告する
「左舷後方よりゲイツ、新たに3!」
「アンチビーム爆雷発射と同時に加速20%、10秒。1番から4番、スレッジハマー装填、モビルスーツ呼び戻せ!」
艦長らしき男が指示を飛ばす。
「彼等は?」
仮面の男が聞く。
「まだです」
「ふむ……」
「失敗ですかね? 港を潰したといってもあれは軍事工廠です。長引けばこっちが保ちませんよ?」
艦長らしき男は横に座っている仮面の男に問う。
「解ってるよ。だが失敗するような連中なら、俺だってこんな作戦最初っからやらせはせんしな。……出て時間を稼ぐ。艦を頼むぞ」
仮面の男はふわりと席を立つ。
「はっ! 格納庫! エグザス出るぞ! いいか!」
エグザス――それはメビウス・ゼロの後継機として開発された地球連合軍のモビルアーマーであった。


「やれやれ、これがミネルバか」
「そのようです。議長はここに入りました」
アレックス達が乗ってきたモビルスーツは艦のドックに入ると片膝をついた。
「ああ、カガリは僕が先に降ろそう。何しろ僕はコーディネーターのモビルスーツは詳しくないんでね」
「あ……ぅ……わかりましたよ」
先程の言葉を見事に一本取られた形のアレックスだった。


「動くな! 何だお前達は。軍の者ではないな! 何故その機体に乗っている!」
降りたユウナ達は、いきなり銃を突きつけられた。栗色の髪の少女だだ。
「あぁ……!」
カガリは息を呑む。
ユウナはカガリを安心させるようにカガリの背中をぽんと叩いた。
「物騒だなぁ」
ユウナは敵意が無いことを示すように両手を広げた。
「どうか銃をおろしてくれたまえ。僕は、オーブ連合首長国、宰相補佐官のユウナ・ロマ・セイランだ。こちらにいらっしゃるのは、オーブ連合首長国代表首長、カガリ・ユラ・アスハ様。ああ、後、上に残ってるのは随員のアレックス・ディノだ。デュランダル議長と会見中にこの騒ぎに巻き込まれ、やむなくこの機体を借りた。代表は怪我をされている。手当てを願いたい。それから、デュランダル議長もこちらに来られたのだろう? 落ち着いてからでいいのであらためてお目にかかりたい。君、よろしく頼むよ」
「はぁ……」
栗色の髪の少女――マユ・アスカは思っても見なかった相手の台詞に、ぽかんと口をあけた。


「では、まずは手当てさせましょう。救護室へどうぞ。警護の者は付きますが、我慢してくださいね」
「わかってるって。じゃあ、よろしく頼むよ」
カガリ達はマユの案内で救護室へ向かった。


「まーったく! まだ進水式も終わっちゃいないってのに、今日はお客さんがいっぱいで困っちゃうよ」
救護室の軍医は参ったと言うように両手を広げた。
「ははは。兎角この世はままならず……お互いにね」
「お偉いさんなんだって? このお嬢さん? 頭をぶつけたって? 一応念のためだ、CT取るか」
軍医はカガリの頭の傷の手当をするとCTスキャナーの準備を始めた。
「すまないね。しかし、CTまであるとはねぇ」
ユウナは感心する。
「ははは。何しろ最新鋭艦だから」
軍医は自慢げに答える。
……撮影が終わった。
「ん……脳内出血も無し、骨にも異常無しだ。行っていいぞ!」
「どうも、ありがとさん!」
ユウナ達は救護室を後にした
「では、事態が落ち着くまで士官室でお休みください」
マユが先頭に立ちユウナ達を案内する。


「くっそー……どこよ!」
コロニー外部からの攻撃に合わせて、強奪された3機のモビルスーツはコロニー外壁を破壊、宇宙に脱出していた。
ルナマリアは破壊された入り口からコロニーを出、彼らを探す。
「ルナマリア! 一旦退くんだ! 闇雲に出ても……!」
同僚のモビルスーツパイロット、レイ・ザ・バレルが白いザクファントムに乗りルナマリアを追って来る。
――!
レイ、一人!?
「マユは!? マユはどうしたの!?」
同じく同僚のマユ・アスカのザクウォーリアの姿が無い事にルナマリアは気づいた。
まさか、やられてしまったの?
嫌な予感がルナマリアの胸を過ぎる。
「安心しろ」
レイは言った。
「マユは機関の不調で引き返した」
「そう……」
ルナマリアは安堵した。
「相手は数がわからない。二機だけで探すのも不安ね、戻りましょう」
ルナマリアは機首を返そうとした。
「ん!? この感じは! 待て、ルナマリア! 近くに敵がいる!」
レイは叫ぶと戦闘態勢を取った。


『システムコントロール、全要員に伝達。現時点を以て、LHM-BB01、ミネルバの識別コードは有効となった。ミネルバ緊急発進シークエンス進行中。A55デフロック警報発令。ダメージコントロール、全チームスタンバイ。ゲートコントロールオンライン。ミネルバリフトダウン継続中。モニターBチームは減圧フェイズを監視せよ』
廊下を進むカガリ達の耳に、突如、警告音と共にアナウンスの声が入ってくる。
「避難するのか? この艦? プラントの損傷はそんなに酷いのか……」
カガリの胸に、ヘリオポリスが崩壊した時の記憶が蘇る。
『ミネルバ発進。コンディションレッド発令、コンディションレッド発令』
「「え!?」」
[ミネルバ発進]の声にアレックスとマユはぎょっとして立ち止まる。
『パイロットは直ちにブリーフィングルームへ集合して下さい』
「戦闘に出るのか!? この艦は!」
「アスラン!」
つい、カガリはアレックスの本名を呼んでしまう。
「ぁ……」
アレックスは、うろたえた。
「ぁ! アスラン!?」
マユは、アスランの名前を知っていた。先の大戦を終わらせた、英雄……。
「ぁ……」
カガリとアレックスは、うろたえて咄嗟に言葉が返せない。
「君……」
つ……とユウナがマユの顔を覗き込んだ。
「え? はい?」
「彼の名前はアレックスだ。アレックス・ディノ。……いいね?」
「は、はい……」
ユウナの瞳に何か逆らえない物を感じて、マユは頷いた。






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