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SEED-IF_4-5氏_25

Last-modified: 2008-08-28 (木) 17:55:18

「レイは何も買わないの?」
「いや、特に欲しい物も無い」
「ふーん、そっかぁ」
ちょっとつまらなそうにルナマリアは言う。
「ルナマリアもそれほど買ってないじゃないか」
ルナマリアが買った物はCD、何冊かの雑誌、化粧品、若干のお菓子程度だ。
「そうかなぁ。自分じゃ結構買ったつもりだけど。まぁ艦内に持ち込むってなるとセーブしちゃうのよね」
「そう言うものか」
「じゃ、そろそろお昼にしましょうか。ここのレストラン、なかなかいいらしいわよ」
その時、後ろから声をかけられた。
「おーい、レイ、ルナ!」
「あ、ショーン? あれ、マユも?」
「うっさいわね」
「さては振られたな」
「空振りだっただけよ」
「君達はデートかな?」
ショーンが尋ねる。
「え……いや」
「ええ、そんな様なもんです」
ルナマリアは開けっぴろげに答えた。
「よかったら、ちょうどお昼だし、なんか食べない?」
ゲイルが誘う。
「いいですよ!」

 

「って訳でさぁ。マユの対アスラン攻略法を考えてたんだ」
ショーンが言う。
「もうー」
脱力した感じでマユが答える。
ショーン達の会話を無視して、ルナマリアはレイに話しかけた。
「レイ、しっかり食べなよ。さすがケアンズが近いだけあるわ。海産物も果物もおいしいよ」
「ああ、ありがとう」
ルナマリアはレイに料理をよそってやる。
「あんたって、ほっとくとエネルギーバーとビタミン剤だけ飲んでるイメージがあるのよねぇ」
「い、いや、さすがにそんな事は……」
レイは、一瞬廃墟のような所でそんな生活をしていたような気がしてうろたえた。
「でさぁ、アスランって、小細工するより一気に行った方がいいと思うんだよね」
ゲイルが言う。
「そうそう、地道なアタックより、一気に既成事実!」
ショーンも煽る。
「き、既成事実……」
マユは顔を赤らめる。
「彼ってさぁ、時間与えるとうだうだ悩んでいつまでも前に進まない気がするのよね」
「うんうん」
「……ばっかねぇ。もう、シンったらー」
ん?
女が男に甘えるような声だ。
マユは声の聞こえた方を見た。
艦長とシンだ。
マユの顔が眉間に皺が寄った。
その顔を面白そうにルナマリアは見つめた。

 
 

「ひっさしぶりだなぁ、リーアム。みんな」
ギガフロートに着いたロウはジャンク屋仲間に会いに行った。
「ええ、ひさしぶりですね。ロウ」
ジャンク屋仲間、リーアムが答える。
「ああ、じゃあ、私はこれで」
リーアムと話していた男は立ち上がると出て行った。
「今のは?」
「大事なお客様ですよ。地球軍のね。なんでも地球軍の新型機ウィンダムを軒並み装甲強化してくれと。なんでも地球の工廠は満杯、大西洋連邦などで予約が埋まっているそうで、うちに話が回ってきました。大きな話です。金になりますよ」
「地球軍? いいのか? だってここは……」
「だいぶ交渉しましたよ。そもそもここの建設費用は地球連合が出していたんです」
「え? ここはマルキオ導師が民間のために……」
「そうじゃなかったみたいです。私は最近あの人が訳わからなくなりました……はは」
リーアムは気弱に笑った。
「まぁいいや。とにかくここはジャンク屋ギルドが使えるんだろう?」
「ええ、かなり交渉に苦労しましたが」
「でもなんでここが見つかったんだ?」
「シャトルが飛ぶ度に、捜索範囲を絞り込まれまして。彼らも大金をつぎ込んだギガフロートですからね。本気で探されまして。それでとうとう乗り込まれまして。ははは……」
「マルキオ導師はどうなったんだ?」
「オーブに身を隠しているとか、言う噂ですけどね。未だに地球連合上層部とも繋がりがあるとか。なにしろ、まだ地球連合外交官の肩書きを持っているんですよ!? もう訳がわかりませんよ。これがナチュナルと言うなら私には理解不能です……くふ……くははははは!」
リーアムは笑い出した。
気持ちのよい笑い声ではない。病的な笑い声だ。
リーアムはマルキオの事に話が及ぶと情緒不安定になるようだった。ロウは話をずらした。
「そういや、話は変わるんだけどさぁ。セトナ・ウィンタースって知ってるか? 俺のレッドフレームパクった奴がそいつの近くにいるみたいでな」
「――! 『地球の天使』ですね。知ってますよ。ニュース映画で彼女がアメイジング・グレイスを歌ったシーンが流れた事がありますけどね。感動しました」
リーアムは一転して夢を見るような、安らいだ表情になった。
「場所は、わかるか?」
「ええ、わかりますよ。今は……」

 
 

「ほんとに? アスラン、あなた……」
タリアは驚きの声を上げた。
「ええ、基地と交渉して、バビ2機、ゾノ3機、グゥル5機、それから……」
「タケダです」
一人の男がタリアに敬礼した。
「彼を、ミネルバに配属してもらいました。よろしくお願いします」
タリアはあっけに取られるしかなかった。

 

「もう、アスランさんったら、どこ行ってたんですか?」
マユが基地から帰ってくると、アスランはモビルスーツの整備をしていた。
「あ、ああ、すまない」
「あたしの名前、覚えてます」
「ああ、マユ・アスカだろ」
「そうです! 感激ー!」
「ぁ……うん」
「この機体は? 最新鋭ですよねえ? 合体機構を持ってるって聞きましたけどぉ」
マユはインパルスの操縦席を覗き込んだ。
「ああ……」
「うわぁ! やっぱりザクとは全然違う! セイバーとかと同じ?」
「座ってみたいか?」
「いいんですか!?」
「ああ、どうぞ。でも動かすなよ」
「解ってますよ。ああ、モードセレクタのパネルが違うんだぁ」
マユはコクピットに乗り込んだ。
「あ! 新しいプラグインですね?」
「ああ、うん……」

 
 

「さぁ、お前ならどうする?」
ジブリールはネオに聞いた。
ここはデトロイトの軍事工場である。ネオの助言に従った兵装の改良が急ピッチで進められている。
「んー。僕はただの指揮官だ。難しい事はわからないよ」
「それでも構わん」
「なんでそんなに僕を信頼してくれるのかねぇ」
「いずれ話せる時が来たら話してやる。で、どうだ?」
「んー。ザフトの地球の拠点はカーペンタリアと……」
ネオの指が地図をすべる。
「……ジブラルタル! さぁて、インド洋経由でこの二つを結ぶには邪魔者がある。スエズだ! 果たして故意か否か、ユーラシア西部はごたごたしててジブラルタルは比較的安全だ。スエズ辺りのガルナハンじゃゲリラも沸いてるってじゃないの。俺がザフトならここら辺に楔を打つね。そして後顧の憂いを無くして一気にスエズ! 現にガルナハン基地はザフトの攻撃受けたってじゃないの」
「そうか。ではガルナハンに増援した方が良いか?」
「いや……こいつはちょっと非人道的なやりかたなんですがね?……」
ネオは声をひそめた。

 
 

――その北領での暴動の報に、家康は目を剥いた。
これでは……ノヴァヤ・ロジーナは地球連邦の手を離れてしまう。
「上様」
本多正信が家康に声をかけた。
坂東太郎も、ちらりと家康の方を見る。
「しばし、待て」
家康は親指を噛み始めた。物を考える時の彼の癖だった。
信長様はいったい何を考えているのだ。この期に及んで何も指示を出して来ない。これではまるで……
家康の動きが止まった。
そうなのか? わざと事態を先鋭化させ、そしてノヴァヤ・ロジーナを地球連邦の敵と……
「上様」
再び、正信が声をかける。
いや、そうであっても。自分のやるべき事はなんだ。変わらないじゃないか。
「……出るぞ、馬を持て」
「上様!」
「いいのだ」
決意の篭った声で家康は言った。
「全軍に通達せよ。これより、我らはパナマへ向かう!」
「蛇口を閉める、か」
面白そうに坂東太郎が呟いた。
家康はその巨躯をひらりと馬上に躍らせると、軍の先頭に立ち突撃を開始した。
その様子を妙に冷静になった頭で正信は眺めていた。向こうに立ち上がる硝煙に混じってここまで肉の焼ける臭いがする気がする。無論錯覚であった。それは正信にもわかっていた。
もう、一生肉は食べられないな……
そう正信は思った。彼は良い父になるだろう。
……
――……
「おう、ユウナ、義勇海軍の仕上がりはどうだ」
読書に没頭していたユウナに声がかけられた。ユウナは顔を上げる。
「ああ、父上。上々です。ですが、やはり軍の連中は気が進まないようです」
「そりゃそうだろう。私だって気が進まんよ。用がないなら、今日は久しぶりに一緒に帰るか。その本は?」
ユウナは表紙を見せた。
「……それか。続きが楽しみだな」
ウナトは、ユウナが2年前からその本を持っている事を知っていた。
「ええ。本当に楽しみです。ここまで広げた大風呂敷をどうまとめるのか。本当に楽しみでたまりません」
まるで死児の年を数えるような口調でユウナは言った。
その本――架空戦記の著者は、2年前のオーブ攻防戦の折に行方不明となっていた。
ユウナは、言わば、オーブが外見には戦前と変わらないように見えても、永遠に失われた物もあるのだと言う事を忘れないために、その本を身につけているのだった。
――ウナトが車のドアを開けた時だった。
爆音が、響いた。ユウナは空気の乱流に吹き飛ばされた。
「ち……父上!」
ユウナは良く見えない視界で必死にウナトを探した。
畜生、体中が痛い。
這いずる様にして探していくと、その先に父の身体があった。
「父上、父上!」
「……ユウナか、オーブを、た……の…………」
まさか、父上が!
その想いがユウナの頭の中に広がり、ユウナは気を失った。

 

ウナト・エマ・セイラン死亡――この知らせはオーブに激震を走らせた。
オーブではウナト宰相の死亡に伴い緊急の氏族長会議が開かれる。
「カガリ様、この期に及んでは、もう中立などと言ってはおれません!」
タツキ・マシマがカガリに告げる。
「だが! ウナトは中立を保ったではないか!」
「それもウナト前宰相と大西洋連合との緊密な関係があったればこそ。ウナト様が亡くなった今、もはやそれは望めません。現に、大西洋連邦からは同盟をと強く迫ってきている!」
「くっ」
せっかく保った中立を……どうすればいいんだ、ユウナ……。
カガリは空席になっている隣の席を見る。
ユウナは未だ意識不明で入院中あった。
――オーブが世界安全保障条約機構に入る事が決まったのはその日の事である。

 

「いいのですか? あのような強引な……」
タツキ・マシマにタツキの息子が声をかける。
「いいのだ。この期に及んではオーブも大西洋に付くしかないのだ」
噛み締めるように、タツキ・マシマは言った。

 
 

「一体なにが起こったと言うんだ!」
ジブリールは、大西洋連邦はこの日混乱の中にあった。
ユーラシア西部の独立派の勢力が拡大。更に今まで平穏を保っていたユーラシア中部、東部、おまけに北アイルランドでも一斉に紛争が起こっていた。
「ん? オーブから?」
オーブから通信が申し込まれていた。
「私だ」
『これはジブリール様。私はこの度暫定としてオーブ宰相になったタツキ・マシマです』
「うむ。ウナトの事は聞いている。気の毒だったな。息子は助かったのだろう?」
『はい。幸いにも。では、用件ですがオーブは世界安全保障条約機構に加盟する事になりました』
「ほんとか?」
『はい。オーブもごたごたしております。なにかの際には援助をよろしくお願いします』
「わかった。この情勢だ。こちらも助かる。よろしく頼む」
通信は切れた。
確かにこの混乱の中、オーブが旗幟を鮮明にしてくれるのは助かるが……。義勇兵でも充分に思っていたのだが……。なんだ? オーブの方から突然。これは一体?
なにか得体の知れない物が蠢いている事をジブリールは感じていた。

 
 

「ようこそ来てくれた」
ロンド・ミナ・サハクはケナフ・ルキーニを迎え入れた。
「おう。久しぶりだな。何のようだ?」
「調べてもらいたい事がある」
「ふぅん?」
「オーブのウナト宰相が自動車テロで殺されたのは知っているな?」
「ああ」
「その裏を探ってもらいたい」
「裏があると?」
「オーブは、大きく分かれて大西洋同盟派、中立派に分かれていた。だが、ウナトはそこの所をうまく調整していた。今、殺される理由が無い」
「中立派は? 名目は義勇軍でもオーブが他国に出征するんだ。気に入らん奴もいただろう」
「5大氏族長で中立派はアスハ家のみと言う状況だった。それを、中立を保ったのはウナトだ。それで、大西洋連邦派の押さえたるウナト宰相がいなくなったとたん同盟だ。馬鹿でも……いや、単なる馬鹿がやったのか、それともまだ裏があるのか調べてほしい」
「おーけー。お代は高いぜ」
「心配するな。ウナトから受け取った物がいっぱい残っているからな。義理なりなんなり、返さねば気が済まぬ!」

 
 
 

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