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SEED-IF_4-5氏_52

Last-modified: 2009-03-11 (水) 00:19:50

「いよいよだな」
「ええ、いよいよジブラルタルです」
ロゴスの会合が、また開かれていた。
出席してないのは、パリで暴徒に殺されたサノレコヅ、そして内戦が続くイベリア半島のミリオ・ボティン、マルチ一族(付け耳無し)と言った財閥である。
「ようやく……」
メンバーの一人が感に耐えないように言った。
「ようやく終わるのだな」
「カーペンタリアがありますからね」
冷静な声が言う。
「プラントと大洋州が繋がっている限り、戦争は続く」
「カーペンタリアは、落とせるのかね?」
「いや」
ここで、ジブリールは口を挟んだ。
「ジブラルタルからボズゴロフ級が何隻も出航し、輸送機やシャトルも頻繁に飛んだそうです」
「カーペンタリアは相当強化されていると見たほうがいいな」
「ええ。試算では、直接プラントを攻めた方がまだましと。それに、核兵器の存在も考えに入れねば……」
「話は変わるが、マドリード政権、落とせるのかのう」
「う……む……」
ジブリールは唸った。マドリード政権は意外な耐久力を見せているのだ。
「まぁ、主要な沿岸都市はこちらの物です。セビリアの指揮官とは戦後の約束も出来ている。ジブラルタルさえ落とせばいいのでは?」
「そう言う事か」
「スカンジナビアも存外不甲斐ない」
「そういうな、久方ぶりに戦った軍だぞ」
「では、話をまとめましょう。ジブラルタル攻略の後は、最低限の防衛隊を残し、海上部隊はカーペンタリアの包囲に加わる。その他は宇宙へ送り込むと言う事でよろしいですな?」
「「異議なし」」

 
 

「ふうむ。宇宙では……ドラグーンがプロヴィデンスより若干少ないが!」
レジェンドのドラグーンが宇宙に踊った。
無論、シミュレーションである。
次々に破壊されていくザフトのモビルスーツ。
ハイネは本気で悔しがっていた。

 

無事だったのは、ドラグーンの届く距離では無い所からすばやい動きで位置を変え、M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲を打ち込むアスランのデスティニー、ついに主な大型ドラグーンを叩き落し、格闘戦にまで持ち込んだが、長大なアロンダイトビームソードで格闘戦をやる不利を悟ったのか、その後は距離を取ってシミュレーションが終わる。

 

「なかなか考えたな。昔の君なら、まっすぐ突っかかってきたろうに」
クルーゼはアスランの肩を叩いた。
「からかわないでください。引き分けに持ち込むのがやっとでした」
「だが、君の主武器はそのままだ。君の勝ちだ。上達したな」
「いやぁ」
アスランは照れた。

 

次に善戦したのは、同じく距離を取り、時折本体をM106 アムフォルタスプラズマ収束ビーム砲でけん制しながら、まずは回避専念して決してドラグーンには囲まれずに攻撃を一個のドラグーンに集中し、隙が表れたらMA-7B スーパーフォルティスビーム砲を連射しドラグーンを一つずつ潰していくセイバーのルナマリアだろうか?
クルーゼはとうとう、MA-M80S デファイアント改ビームジャベリンで格闘戦を挑んだが、ルナマリアはそれには乗らず、機動力を生かして避け続けた。

 

「君の機動もたいしたものだ。レジェンドの弱点を突いているというか、勘がいい」
「ありがとうございます」
ルナマリアは嬉しそうな顔で答えた。
「君ならレジェンドでどう戦う?」
「ドラグーンの距離まで近づいて、一気にドラグーンで逃げ場を作らせず四方八方から止めを刺す、でしょうか。レジェンドは、前に出るべきではありません。中距離からの支援攻撃こそ真価を発揮するでしょう」
「ふむ。君の機体とは相性が悪かった訳だ。参考にしよう」

 

――プラント某所――
「ラウ・ル・クルーゼか。よい時に復活してくれたものだ」
「だが、クライン派のデュランダルと親しいと言うぞ」
「逆に考えればよかろう。利点になる」
「これは、ザラ派の復活の狼煙だ!」
「アスラン・ザラ。ジェフリーからもラッドからも悪い噂は聞いていない。早く政界に送ってやりたいと言っておったな」
「ふん、エザリアの息子はさっさと前線に戻ったか。せっかく政界に送ったのに。猪武者だったか」
「エザリアの息子はあのラクス・クラインに近すぎないか? 個人的に崇拝していると聞いている」
「アスランはどうなのだ」
「ラクス・クラインに強い憎しみを抱いているようだと、情報が入っている。ミネルバの同士からの報告だ」
「だが、アスラン・ザラも戦場の勇者で終わるんじゃなかろうな?」
「前戦役の情報では思慮深いそうだ。時には戦闘に不利を招いてしまうほどに。資質的には軍人より政治家向きかの。上に行くほど真価を発揮するだろうと。本人のためにもさっさと政界に行ってもらった方がいいな」
「まずはミネルバで武勲を立てて指揮官に、と言うのはどうです?」
「よいですな」
「賛成」
「では、会合を終わるとする。クライン派には気をつけろよ」

 
 

「ラクス様、ダコスタからの報告です。あのラウ・ル・クルーゼが生きていたようです。彼はザフトに復帰、フェイスです。上級指揮官になるでしょう。それに伴ってアイリーン・カナーバは拘束されたようです」
ノイマンがラクスに告げた。
「……まさか生きていたとは」
ラクスは指を齧る。
アイリーン・カナーバはラクスがプラントに持つ有力な協力者だった。ラクスにとっては打撃と言える。
「……いいでしょう。それはそれで。プラントの支配権を握ってしまえばなんとでもなります。あなたの方は? ノイマン?」
「は? なにか?」
「もしかしたら、わたくしがクルーゼを部下にするかもしれませんよ? あなたはそれに我慢できますか? ドミニオンからの救命艇を破壊した相手に」
「いえ……彼がバジルール中尉を殺した訳でもない。それに、私はドミニオンの生き残りを手にかけた男ですよ?」
無表情にノイマンは言った。
先の戦役時、終局。ドミニオンからの救命艇……唯一宇宙服を着けていて助かったパイロットがナタル・バジルールの最後の模様を伝えた。
ノイマンはその男を、『艦長とはいえ女一人を残して命令どおりおめおめ脱出したのか』と言って即座に射殺した。
「ふふ……恨むのはマリュー・ラミアスで十分ですか」
無邪気そうにラクスは微笑んだ。遠目から見れば仲の良い友人同士が話しているように見えたかもしれない。
「それほどまでに愛されて、ナタルさんは幸せでしたわね」
ラクスはため息をついた。
「ラクス様こそ、キラ・ヤマトと相思相愛ではありませんか」
ふっとラクスの表情に陰りが走った。
「キラは……本当にわたくしを好きでいてくれるのでしょうか? 病気が治ればどこかへ飛んでいってしまいそうな……」
「あなたらしくもない。『自分には世界平和という志がある。そのために手を汚す覚悟もあるから着いて来てくれ』と言ったあなたはどこへ行った。恋如きで迷うな。目的のためにどんな手も使うと決心したのなら、何も躊躇うな怯むな、幾千幾万の血を流そうと平然としていろ。そのために罵られ憎まれ、全身を血で染めようと立ち止まるな」
冷然と言える口調でノイマンは言った。
「ふふ……恋愛に一番捕らわれているのはあなたではないですか」
少し嬉しそうな表情でラクスは笑う。
「……我々はこんな話しをする間柄ではない」
再びぶっきらぼうにノイマンは言った。
「それよりラクス様、人員はターミナルを通じて集まってきているのですが、物資が足りません。モビルスーツあたりはジャンク屋からなんとかなるのですが……艦船が」
「あらあら、それはこまりましたねぇ」
ラクスは右頬に人差し指を突いた。
「ええ、困っているのですよ」
「では、こうしましょう!」
ラクスは両手を合わせて笑った。
そして――手を打ち合わせる。
「服部正吾!」
いきなり、ラクスの前に中年の男性が姿を現した。
「ど、どこから? セキュリティはどうなっていっるんだ!?」
その疑問に答えるようにラクスは言った。
「ふふふ。さすがにノイマンも驚きましたか? この服部正吾は伊賀忍者として有名な服部半蔵から数えて25代目に当たる伊賀流忍法の末裔なのです」
「はぁ……」
「服部正吾、あなたに100名のSPを与えます。月で竣工したと言う地球連合の不沈戦艦『プリンス・オブ・ウェールズ』を見事に強奪してくるのです!」
「はっ」
「作戦には私も参加しますわ」
そう言うとラクスは上着をばさっと脱ぎ去る。そこには、クノイチ風の服をまとったラクスの姿があった。

 
 

「では、な。死ぬなよ、レイ」
「はい」
どうしてもその言葉を口にしたかったのだろう。クルーゼはレイに話しかける。
「一族に加えてもらえるまでは、死にませんよ」
「ふ」
クルーゼはレイの髪をくしゃっと撫でるとランチの方へ進んでいく。ここでミネルバとクルーゼは別れるのだ。ナスカ級3隻を率いてクルーゼ隊を率いる。すでに決まっている事だ。

 

ランチは離れていった。
「せっかく会えたのに、ねぇ。話、一杯出来た?」
マユがレイに尋ねる。
「絶対、また会うさ。明日を、希望を貰ったからね」
レイは明るい声で言った。

 
 

いよいよジブラルタルに対し攻撃が始まった。
基地の左右より、フォビドゥン・ボーテクス隊が上陸を試みる。
陸上からは、陸軍がタリファからアルヘラシスへ陣を進める。そちらへもジブラルタルは注意を払わねばならなかった。
両軍の水中用モビルスーツ同士で戦闘が始まる。
完全なる水中の戦いで、意外と役に立ったのは上陸戦も考えていた、陸上用兵装の多い新型機アッシュよりも、魚雷などの武装が多いグーン、ゾノだった。

 

だが、その抵抗も数時間すると弱り始める。
「次への準備、よろしいですか?」
ユークリッドに乗ってネオが問いかける。
「計画に変更は……ありません」
「では、ユークリッド隊発進! 敵戦闘機部隊を軒並み潰してやろうぜ!」
「「ラジャー!!!」」

 

まずはユークリッド隊で全てを編成すると言うこのネオの策は当たった。ジブラルタル基地も、出撃させてきた全てを戦闘機で揃えてきたのである。
だが……爆撃機相手ならともかく……ユークリッドの相手はつらすぎる。
「ふ。ユーロファイタータイフーンか」
親ザフト軍から供給されたのだろうその機体。
後ろに着かれる。ネオは急降下に入る。ユークリッドは丈夫な機体だ。急降下速度も速い。ユーロファイタータイフーンが耐え切れずに機首を返す。そこを、坂井だろうか? 西沢だろうか? 列機が止めを刺す。
ディン、バビを初めとするモビルスーツも出撃するが、ユークリッドのビームシールドに攻撃が弾かれる。そしてユークリッドの機動性の前では単なる的である。
グフも現れるがユークリッドはグフのテンペストの攻撃範囲に入らない。遠距離からビーム砲で仕留めてしまう。
「こちとらカラミティのスキュラにも耐えるんだよ! グフのビームガンなど!」
グフが苦し紛れに放ったドラウプニルはユークリッドのビームシールドに簡単に弾かれてしまう。
ザフトのモビルスーツは無力感に苛まされていた。
その時。
――地上から、大威力のビーム砲がユークリッドのビームシールドがない下腹を狙う。
ガナーザクのオルトロス高エネルギー長射程ビーム砲だ。
「あぶねぇ、あぶねぇ。おい、皆、時間だ。撤退するぞ」
ユークリッドとて無敵ではないのだ。前面以外を攻撃されれば、被弾する。
ネオ率いるユークリッド隊は引き上げていった。
そして、迎撃戦闘機が補給のために帰還した時、ネオの第二の罠は口をあけた。
アルヘシラス、そしてセウタから、ハソス=ウノレソッヒ・ノレーデノレ大佐率いるAー30対地攻撃機、通称サンダーボルトⅢ。総勢20機がユークリッドの護衛付きで出撃してきたのである!
ザフトの迎撃機は、先の戦闘でやられるか、補給中である。
Aー30対地攻撃機はろくに阻止攻撃も受けず、空港施設を狙い、その機能を消失させた。
ちなみにノレーデノレ大佐はボズゴロフ級を一隻撃沈した。おまけで敵機も撃墜した。これは彼にとってはほんの余技である。

 

「さあ! まだまだいくよお! もう獲物はないかもしれないけどね!」
ミューディーは機体のスローターダガーを発進させた。
とうとう地球軍のモビルスーツがジブラルタルに上陸したのだ。
スウェンのストライクノワール以外はスローターダガーだ。
海岸で、空爆にやられたのだろう、右腕が故障したザクが動いている。向こうでは、新たなアッシュの一団が地球軍の迎撃に向かっている。どうやら、アッシュの武装を考えて水中用途はおまけだと割り切ったようだ。
「悪いけど! 手加減できないわ!」
ミューディーはその右腕が故障したザクに正対すると、死角へ死角へと動き、ついにコクピットにビームサーベルを突き刺した。
ミューディー達が上陸した事で、これ以上の空爆はないと判断したのだろう。空爆を耐え切ったバンカーからザクが、グフが、ガズウート、そしてザウートまでもが出撃してきた。
「ミラー、防御専念!」
「はいはい、モード、パサラにゅう!」
敵の目前まで来て攻撃するでもないミラー。それに苛立ったのだろう。複数のザクが寄っていく。
「姐さん! こんなに無理っす!」
「わかってる! 原田、前線に突撃!」
「ふふふ、斬り捲ってやるわい!」
「スウェン、フォローお願い!」
「ああ」
「今日は俺だって!」
シャムスがスローターダガーで前に出る。
ヴェルデバスターが乗機と言う事で射手としてのイメージが強いが、近接戦闘も巧みにこなすオールラウンダーだ。
「やはり黒い剣は血を吸いたいようですね、ふふふ」
デイカーも前進する。
「シャムス、デイカー」
冷静な声がそれを止める。
「お前ら、ミューディーとあっちのアッシュ部隊の方へ叩き潰して来い。ここは足りてる」
「はいよ」

 

「ジョン、相手はビーム兵器を持っている! 両手のクローにも気を付けろ!」
シャムスがアッシュの特徴を仲間に伝える。
「おーけー」
「射手なめんな!」
シャムスは少し離れた場所から肩肘を突いて320mm超高インパルス砲「アグニ」を構え狙撃の姿勢を取る。
「やりい! 一機撃破!」
アグニに撃破されたアッシュを見てミューディーが歓声を上げる。
「ミューディー、デイカー。支援する。思い切りやれ!」
「おおう!」
デイカーはお気に入りの黒い剣でアッシュをぶった切る。
「おおう! 相手を突き刺すと力が湧いてくるようだ!」
シャムスはミューディーとデイカーを狙うアッシュを狙撃し続けた。

 

戦いは海岸から地上へと移っていく。歩兵がモビルスーツの援護で突入していく。

 
 

「すべてはナチュラルどもがもたらした災厄だ」
またあいつか……
シュタウフェンブルクは不機嫌だった。
チビの緑服が演説している。
シュタウフェンブルクはこの自分よりも20以上も年上のちょび髭を付けたチビの緑服が嫌いだった。
チビと言うのは言い過ぎであろう。中肉中背と言った所か。前戦役時はザフトの上級指揮官でザラ派の上層部にいたらしい。だがナチュラル嫌いのチビ、で皆には通っていた。
実は、シュタウフェンブルクは第一世代だったのだが、チビの緑服はそれを知らずにいた。
「今、我々、優秀なコーディネイターがこうして苦難の道を歩まされているのはなぜか? 皆ナチュラルの陰謀だ! 前の大戦でプラントが敗者の立場に追いやられたのは、我々コーディネイターが優秀ではなかったからなのか? それとも努力が足りなかったのか? 違う! 断じて違う! 国内の裏切り者ども、薄汚いナチュラルに買収された輩が結託し、背後から我々を刺したのだ!」
大したもんだ、とシュタウフェンブルクは思った。
演説に関しては、中隊長の自分よりもこのチビの方がよほどうまい。ザラ派で伊達に指導的な立場に居たわけではないらしい。現に虚脱状態に陥りつつあった部下達に、ある種の活力が戻りはじめていた。

 

「中隊長殿!」
歩哨に立たせていた二人の部下の内一人が息せき切って駆けてきた。
「敵のモビルスーツがこちらに!」
「何?」
だらしなく座り込んでいた兵士達は感電したように飛び起きた。
「道路を挟んで、中隊を散開させろ!」
そう命じたシュタウフェンブルクに兵士達の恨めしそうな視線が集中する。
その目は、モビルスーツも無いただの歩兵に、モビルスーツに対抗できるわけ無いじゃないか、無駄死にはごめんだと、無言のうちに語っていた。
「貴様ら! 中隊長殿のご命令が聞こえなかったのか? さっさと持場につけ!」
チビの緑服が大声で叫んだ。
すると、しぶしぶながらであるが、兵士達が動き出した。
俺の命令よりも、チビの緑服の方が効き目があるとは。これでは誰が指揮官かわからんな。
シュタウフェンブルクはなおも不機嫌になりながら、指示を出した。
重機関銃で敵歩兵を撃ちすくめながら、対モビルスーツ肉薄攻撃をする。勝機はそれしかない。問題は、対モビルスーツ攻撃用の爆薬が3個しかない事であった。
その時、敵陣から銃声が響いた。それはおそらく威嚇だったろう。だが、シュタウフェンブルクの部下達はそう取らなかった。止めるまもなく射撃が始まってしまった。
敵モビルスーツが上方から、銃弾の雨を降らしてくる。
シュタウフェンブルクは、援護射撃を命じながら、2名の部下に対モビルスーツ肉薄攻撃を命じた。敵の歩兵の制圧ができていない状態では無謀なのは覚悟の上だ。
彼らは、匍匐前進しながら、左右からじりじりと進んでいく。
胃液がこみ上げるような不快感に耐えながら、シュタウフェンブルクはその光景を見ていた。
モビルスーツは視界が高い。同じモビルスーツに気を取られがちだ。遮蔽物も手伝って、二名の部下はモビルスーツまで10mまで接近した。
「いいぞ!」
そう思った時だった。敵の歩兵に気づかれてしまったのだ。彼らは集中射撃を浴び、二人とも動かなくなってしまった。
俺が行くか!
シュタウフェンブルクが爆薬を手に取った時だった。彼の肩をがっちりつかむ者がいた。
「中隊長殿、あなたはまだ若い。それは私のような年寄りの役目です」
そう言うと、チビの緑服は力尽くで奪うようにして爆薬を取り上げた。
「明日のプラントのために生きてください。では!」
その一言を残し、にこりと微笑むと、チビの緑服は飛び出していった。
前大戦でなんども死線をくぐり抜けたと豪語するだけに、彼の動きはすばやかった。もう初老と言っていいくらいの年齢を感じさせずに、地形を巧みに利用しながら、敵モビルスーツに接近していった。
が、投擲動作に入ろうとした瞬間、敵機銃が火を噴き、彼はのけぞって倒れた。
「駄目か……」
シュタウフェンブルクだけでなく、全員が絶望のうめき声を上げた。
が、彼は被弾したものの、まだ死んではいなかった。最後の力を振り絞ると、爆薬に点火し敵モビルスーツの足下に我が身を投げ出したのだ。
数秒後、轟音が響いた。
敵モビルスーツは片足を失い、地面に倒れ込んでいた。
それに動揺したのか、敵の歩兵も射撃を中止して退却する。
シュタウフェンブルクの頬を涙が濡らしていた。
彼はチビの緑服の墓標となった敵モビルスーツに向かって敬礼した。
「我々は、君の事をけして忘れない。勇敢なるアドルフ・ヒトラーの事を……」

 
 
 

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