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SEED-IF_CROSS POINT_第32話

Last-modified: 2010-10-11 (月) 06:35:21
 
 

第32話 『GONG鳴らせ!!』

 
 
 

『ストライク3号機及び10号機のミーティア中破!!パージさせた後、回収します!!』
『8号機、11号機の通信が途絶えました!!』
『14号機から17号機はどうした!!』
『デスティニー及びセイバーと交戦中。劣勢のようです、援軍の要請が来ています!!』

 

「やれやれ。大した活躍じゃないか、白の騎士サマたちはさ」

 

ドムのコックピットの中で、ヒルダは計器をいじる手を止めずに皮肉を吐いた。
自分たちの出撃まであと僅かだったので戦況を知るために通信を聞いていたのだが、
流れてきたのはオペレーターの焦った叫び声とそれに指示を出すバルトフェルドの苦い声だけだった。
それらを聞く限り戦場全体ではともかく、敵主力と当たったミーティア部隊は
かなり苦戦を強いられているようだ。
まあそれも当然というべきだろう。向こうには化物が2人いる。
シン=アスカとアスラン=ザラ。あのキラ様が唯一対等の相手と認めた男たち。
口だけの腑抜けどもがミーティアを装備したくらいで、何とかなる相手ではなかった。

 

「フン、やっぱりあのデカブツどもじゃ駄目か。マーズ、ヘルベルト、私達も出るよ!」

 

そう仲間達に言い放ち、機体をカタパルトに準備。
オペレーターから許可が下りるのを待って機体を発進させた。
3機で編隊を組み、戦場を駆け抜けるドムトルーパー。
遠くにセイバーの姿を確認。また一つ、自軍の機体が落とされた。

 

「世話が焼けるねぇ、まったくさ!!」

 

呆れた声で吐き捨てる。正直他人の尻拭いなど趣味ではない。それが口先だけの阿呆どもなら尚更だ。
だが今いいようにやられているとはいえ、後に控えているダイダロス攻略には
ミーティアが必要なのも事実だった。
尤も彼らの力が目的なのではなく、単に見栄えの問題である。
今回の戦いで自分たちは、世界に 「キラだけではなくその騎士団の強さも健在」 だと
認識させなければならないが、そのことについて巨大で高火力武装を持つミーティアの外観は
非常に説得力があるものだからだ。
ならば自分達の役目は一つ。
いかにアスランとはいえ今は手負いの状態。流石に自分達3機をまとめて相手にするのは難しい筈。
一度キラ様に処刑されたのだから、今度こそ眠りにつかせるまでだ。

 

「デスティニーはキラ様の獲物だ。ヤツはキラ様に任せて私達は雑魚を狩る。
 まずはセイバー、裏切り者のアスラン=ザラだ。野郎にジェットストリームアタックをかけるよ!!」
『おう! あの野郎に目に物見せてやろうや』
『よし、やるか』

 

必殺の陣形ジェットストリームアタックを仕掛けるべく、ヒルダのドムを先頭にマーズ、ヘルベルトと続く。
急速に接近する自分たちにセイバーも気が付いたようだ。
だがもう遅い。

 

「これでも喰らいな、アスラン=ザラ!!!」

 

最後尾のヘルベルトはこのまま直進させ、間合いに入り次第自分は右、マーズは左から攻撃する。
変形する以外は特に変わったところの無いセイバーならば3方向からの攻撃は捌けまい。
そう思いつつ自分たちの洗練されたコンビネーションを叩きつけようとした瞬間、

 

『1人忘れちゃいませんかってのよ!』

 

横からビームガドリング砲の連射が自分たちを襲った。
正面からの攻撃はスクリーミングパスで防げるが、
幾分弱まる側面はその範囲ではないため思わず散開させる。
紅いザク、そしてこの聞き覚えのある声。おそらくは自分の後輩だったあの女か。

 

『ヘッ、死にに来たのかいお嬢ちゃん! だが1機ザクが増えた程度じゃ……うぉっと!』
『お、避けたか。当たってりゃ楽ができたんだけどな』

 

新たに参戦したのは1機だけではないようだ。
宇宙では視認しづらい漆黒のガナーザクが高出力のビームを連射し、マーズの動きを封じている。

 

「3対3か……!!」

 

しかも見た限り全員腕が立つ。
連携で自分たちが負けるとは思わないが、向こうにはアスランがいるから楽観は出来ない。
ならば弱い相手から順に集中攻撃で落とし、強者には数で押していく作戦がベストだろう。

 

「標的を変更するよ! 狙いは」
『言わなくてもわかってるさ!!』
『紅いザクだな』

 

そう言うや否や、セイバーに向かって3機はギガランチャーを放った。
異なる方向から放たれた射撃だった為、無理せず回避に専念するアスラン。光が空しく宇宙に消える。
だがそれこそが自分たちの狙いだった。アウトナンバー、作戦通り。
黒いザクの射撃を防ぎつつ、スラッシュザクへ距離を詰める。

 

『それ、壱ぃ!』
『こんのぉ!!』

 

マーズのドムから乱射されるビーム。そしてザクの両肩から放たれるガトリングガン。
それぞれの火線が交錯する。

 

「弐ッッ!!!」

 

すかさずヒルダ機がその側面からバスーカを放つ。
普通の相手ならこれで終わっているくらいのタイミングだったが、
ザクのパイロットには反応良く避けられてしまった。
その結果は予想外だったが気にするほどのことでもない。何故なら

 

『終わりだ、参ッッ!!』

 

ドムは3機いるのだ。最後の1機、ヘルベルトがサーベルを抜き放って襲い掛かった。
回避行動を取ったままのザクは避けられまい。これで3対2―――

 

『なめんな!!』
『うおっ!?』

 

ドムがサーベルを振り下ろしたその刹那、ザクが側転の様な動きで斬撃を回避した。
そしてその勢いのままドムの頭部に蹴りを叩きつける。
子安キックと呼ばれることもある変形の跳び廻し蹴り。
ヘルベルトの油断もあるがMSでよくもまああんな事をするものだ。
高等技術というよりは曲芸の域に入ったその動き、できたとしてもまともなパイロットなら普通はやらない。
凄いパイロットなのか、それとも馬鹿なのか。
きっと凄い馬鹿なんだろうなと結論付けたヒルダだったが、すぐにその思考をやめる。
相手は崩れたままだ、このチャンスは逃がせない。
バランスを崩したままのザクに距離を詰めようとするヒルダ。
しかし即座に諦めてガナーザクへの牽制射撃に切り替えた。
視界の端には猛スピードで接近してきた紅いG。くそ、戻ってくるのが早すぎなんだよこの男。

 

『させはしない!!』

 

アムフォルタスを斉射しながら割り込んでくるセイバー。
腰にマウントされたサーベルを両手に抜き放ち、
接近戦を挑んだマーズとヘルベルトのサーベルを受け止める。
そしてそのまま振り下ろされたドムの腕を力任せに弾き飛ばし、すぐさま上に飛んだ。

攻撃が来ると身構えていた為、虚を突かれながら思わずセイバーを目で追う2人。

 

「バカ、正面だ!」
『でぇぇぇい!!』

 

ファルクスを振りかぶり、離脱していた筈のスラッシュザクがマーズとヘルベルト両機に迫る。
空間ごと削り取ったかと思うくらいの強烈な横薙ぎ。それを2人は後ろに跳ぶことで何とか避けた。
そのまま合流して仕切り直しに入るドム3機。

 

『また馬鹿の一つ覚えみたいにジェットストリームアタック!? ……甘い!
 大体、こっちだってそれくらいの連携やろうと思えばできるんだから。行くわよ2人とも!!』
『え? 俺たちもあれをやるのか?』
『あんなのできるなんて初耳なんだが……。
 ええいディアッカ、彼女に合わせるぞ。こうなったらなるようになれだ!』

 

ビームシールドを前方に展開したセイバーの背後にビーム砲を構えたガナーザク、
そのさらに背後にスラッシュザク。
この並び方は自分たちが参考にしたオリジナルのものに酷似しているが。
まさか本当にやるのだろうか。自分たちの専売特許を。

 

『『『 ジェットストリームアタック!! 』』』

 

「くぅっ!?」

 

セイバーは左右のアムフォルタスを放った後に左にスライド。続けざまに高出力ビーム砲をガナーが放つ。
3つの鋭く正確な射撃に自分たちはシールドで防ぐことしかできない。
しまった、動きを止められた。悔やんだ所でもう遅い。
敵がそんなチャンスを逃すわけも無く、真紅のスラッシュザクファントムは
動きを止めたドム3機に襲い掛かった。

 

ガナーザクを踏みつけながら。

 

「ちょ、それ違う!!」
『俺を踏み台にすんな!!』
『え、違うの?』

 

何処か間違ったジェットストリームアタックを回避するドムたち。
あのアホ女め、気が抜けて直撃を食らう所だったじゃないか。つかそんなとこまで忠実に再現すんな。

 

脱力している暇は無い。認めたくは無いが3対3では結構粘られている。
アスランの存在が脅威なのは変わらないので、戦闘が長引けば此方も危うくなるかもしれない。
チームのコンビネーションを競っている余裕は無いだろう。
それよりもザクとドムの性能差を生かしてそれぞれ1対1で戦った方が良さそうだ。
セイバーの相手をするヤツがなんとか粘って、残った2人が敵を速攻で潰してから合流という作戦で行こう。

 

「散るよ!」
『おう!!』
『さて、誰が来るかね……』

 

自分が一言言っただけで考えを察したのか、特に疑問の声も上げず散開した3機。
この辺りの付き合いは長いので当然と言っても良いかもしれない。
背後に視線を向ける。ドムを追いかけてくる光は一つ。
果たして自分の相手は……

 

『さて、ご希望通り1人で来ましたよ。決着をつけましょうか、ヒルダ先輩?』
「……ああ、同感だねぇ」

 

まあ、こうなるよな。
こいつしかいない。

 
 
 

「さてと、そろそろ本気でやんないとね。シンの所にも早く行きたいし」

 

ビームライフルを右手に構えながらルナマリアは軽口を叩く。だがその目には言葉ほどの余裕は無い。
自分の腕には自信があった。数少ない女性の赤服にして元FAITH、それが過去の自分の肩書きである。
決してコネだけで勤まるような軽いものではなく、相応の実力が必要な地位だった。
しかし目の前の相手であるヒルダ=ハーケンもまたザフトレッドだった時期があり、
その評価は自分に劣っていない。
何より自分は過去に彼女率いるドム隊に圧倒されたことがあるのだ。
今回は1対1とはいえ、言葉通り本気で行かなければまずいことになるだろう。

 

『ルナマリアか。アンタも馬鹿だよ。フェイスだった頃、ラクス様とは友達だったんだろ?
 こっちにくりゃ可愛がってやったのに、シン=アスカなんかに誑かされるから』

 

自分を下に見ているのか、余裕に満ちた声でヒルダが言葉を返す。
その言葉を聞いたルナマリアの頭に一瞬で血が上った。怒る理由には十分だった。
この女、私を前にして何を余裕ぶっているのか。誰を見下しているというのか。
それともう一つ。シン=アスカは私のものだ。
よく知りもしない人間が、馬鹿にしたような口調であいつの名を口から出すんじゃない。

 

「女は愛に生きるものよ。ま、そういうのとっくに忘れた貴方にはわからないでしょうけどね。
 貴方はせいぜいうだつのあがらないおっさん2人にチヤホヤしてもらって、
 サンドイッチでもして貰いなさい」
『なんだと……お前だって未だに逃げられてるクセに何が愛だ!! それに私はこれでも二十代前半だ!!
 あと、あいつらなんかに身体許してたまるかぁ!!』

 

感情の赴くまま、お返しとばかりに見下してみる。返事は怒鳴り声と銃口だった。
どうやら自分は彼女の禁句を言ってしまったらしい。それがどれなのかはわからないけれど。

 

『あの世で後悔しな!!』
「こっちの台詞よ!!」

 

ギガランチャーを撃った後、サーベルを握って飛び込んでくるドム。
さすがに速い。ギリギリの所で切っ先を避け、空いた背後に向かってライフルを放った。
振り向いたドムが赤い光に包まれライフルの弾を弾く。スクリーミングニンバス。
相変わらずやっかいな装備だが構うものか。ビームアックスを抜き放ち躍りかかった。
以前1対3でタコ殴りにされた借りを、倍にして返してやる。

 
 

「化粧もせずに眼帯つけて喜んでるそのセンスが既に古いって言ってんのよ、この年増がぁ!!」
『ザクでドムに勝とうってのかい?その過信、高くつくよ!!』

 
 

ヒートアップする両者。
2人の狂戦士を、止められる者はどこにも存在しない。

 
 
 

「……君子危うきに近寄らず、かな」

 

離れた場所で始まったドムとザクの戦いを見ながら、アスランは溜息を吐いた。

 

あっちのCE最強女戦士決定戦は放っておこう。手を出すと火傷じゃ済まない。
ルナマリアが敗れる危険もあるが、自分が相手をしなければならないのはドムではなかった。
この場は彼女を信じよう。そして自分は彼らの許へ行かないと。
アスランがそう思いながらセイバーを変形させようとした瞬間、その目の前に黒い機影が立ちはだかる。
目の前に居るのは言うまでも無くドムトルーパー。なんだ、逃げたんじゃなかったのか。

 

『よう、アスラン=ザラ。キラ様にやられたケガはまだ治ってないんじゃないのか?
 そんな状態で俺らに喧嘩売ってくるとは、いい度胸じゃないかよ』
「つっかかって来たのはそっちだろうに……。
 それよりもその声、マーズ=シメオンか。生憎今はお前と喋ってる暇が無いんだ。
 ―――来るなら早く来い。時間の無駄だ」
『ケッ、そうかよ!! 今だから言うがな、俺はお前みたいなのが大嫌いだったんだ。
 自分だけ深いこと考えて悩んでます、ってツラがなぁ!!』
「知るか」 

 

サーベルを抜き放ち踊りかかるドム。それをビームシールドで受け流し、蹴りを叩き込んだ。
ちっ、ジャスティスなら今の一撃で終わっているんだが。

 

「俺はシンとキラの所へ行く。死にたくなければ、そこをどけ」
『テメェ……この俺を舐めるなよ!!』

 
 
 

「おいおい、俺達が足止めされちまったら誰がミーティア止めんだよ?」

 

自分を無視して戦いを始めた仲間たちを見ながら、呆れたようにディアッカは呟く。
まあそうは言いつつもドム達を放置するわけにもいかなかったので、仕方ないことではあるけれども。
化け物じみた攻撃力を持つミーティアではあるが、彼らはその大きすぎるサイズの関係上
余程のパイロットでもない限り集中された火線を避け続けるのは難しい。だから残された兵でもある程度は対策が打てる。
だが目の前のドムトルーパー達は、普通の兵士では荷が重過ぎた。

 

最善の策は一つ。
自分達が速攻でこいつらを落とすしかない。

 

ルナマリアはヒルダ=ハーケンと激しくやり合い、アスランにはマーズ=シメオンが喰らい付いている。
そして、自分の前にも1機のドムトルーパー。
最後の1人か。確かヘルベルトっていったっけ。

 

「もしかして、おたくが俺の相手をするってのか?」
『そういうことだ。……ったく、ついてないぜ。
 デスティニーやアスラン=ザラならいざ知らず、
 お前みたいな人数合わせの相手をしなけりゃならないとはな』
「おやおや。3人揃って1人前が、偉そうに言ってくれるじゃないの。
 そこまで言うんなら、自分だけで何ができるかやってみろよ。見ててやるから」
『ぬかせ、小僧が!!』

 

お互い一定の距離を保ちながら周り始める。
ビームも放つが、掠めるばかりで当たらない。直線の攻撃ばかりでは避けられるのか。

 

「なら、これで!」

 

トマホークを抜き放ち、刃を投げつけながら叫ぶディアッカ。
ドムはサーベルでそれを叩き落し飛び込んできた。
袈裟斬りの一撃。横に跳んで回避したつもりだったが、掠ったらしく機体の表面で火花が散る。
その光景を気にすることも無く、止めとばかりに追随するドムトルーパー。
流石に向こうの方がスピードは早いか。

 

『逃がすか!!』
「誰が逃げるかよ……さて、どっちが頑丈かな?」

 

サーベルを振り上げたドムに、相討ち覚悟でビーム砲の銃口を向ける。
スピードで振り回されようと攻撃の瞬間はそうはいくまい。
命中のタイミングはおそらく同時。ただし肩口に触れるのとコックピットをブチ抜かれるの違いがある。
有利なのはこっちの筈だ。

 

『………チィッ!!』
「逃がさないんじゃなかったのかよ! 俺はここだぜ!?」

 

そのことをわかったのか回避に移るヘルベルト。ディアッカはビーム砲を連射しながら舌打ちをした。
できれば今ので決めておきたかったのだが、相手からは慢心が消えたようだ。
次からはそう簡単にはいかないかもしれない。

 

『あの一瞬で相討ちを狙うか……こんなやつがいたとはな』
「やっぱ雑魚じゃないよな。チッ、コイツに構ってる余裕はないってのに!!」

 

マーズの援護のため早くディアッカを倒したいヘルベルト。
ミーティアを止めるため早くヘルベルトを片付けたいディアッカ。

それぞれの意思とは裏腹に、2人の戦いは長期戦になりそうだった。

 
 
 
 

ザフトと反乱軍が総力戦を始め、ドムトルーパーとミネルバのエースたちが戦い始める。
宙域の戦いが熾烈さを増した今この時。
月面近くではCE最強を決めるといっても過言ではない戦いが始まろうとしていた。
星空をバックに蒼い翼を広げたフリーダム。その前に立ち塞がるのは紅い翼のデスティニー。
残された最後の対戦カード、キラ=ヤマト対シン=アスカの大将戦である。

 

『やあ、元気してた? シン』
「おかげさまで」

 

宿敵との再会に見合わない、まるで待ち合わせた友人に呼び掛けるような気安さでシンに話しかけるキラ。
明るい、いや無理矢理明るく装っている声とは裏腹に、周囲の戦いなど眼中に無いかのようだった。
その様を見たシンは僅かに眉を寄せる。
以前のキラじゃない、なんか揺らいでるのかこいつは。

 

『長かったのか、それともあっという間だったのかはわからないけれど。ようやくここまで来たよ』
「……そっか。おつかれさん」

 

まさかなと自分の直感を否定して、シンは軽く首を振った。
以前あいつ自身から聞いた、ラクス=クラインの呪い。たかだか1月足らずで解けるとは思えない。
視線の先のキラは自分を気にした様子も無く、世間話のような口調で話を続ける。

 

『レクイエムまで、もうそんなに距離はないね。
 フリーダムで飛ばせばせいぜい5、6分ってところだと思うんだけど、どう思う?』
「どう思う、って……それを聞いてどうする」
『破壊するよ、連合軍ごと。そして世界に僕達の力を見せつける。
 ただ、それがあと何分後になるかっていうのが少し気になってね』

 

言葉に真実味が感じられない。本当の望みは他にあるが、大義名分を口にしているだけのように聞こえる。
心が呪いで磨り減ってしまった結果だと推測すれば納得できないでもない。
ならばキラが揺らいでいると感じた自分の直感は間違いか。
だとすれば自分が気にすることは何も無いだろう。
いや、仮に揺らいでいたとしても自分がするべきことは変わらないのだが。

 

「成程な。だけど、それは無理だ」

 

キラに向かってにべもなく言い放つ。彼は訝しげな目で自分の顔を見てきた。
その視線を気にした様子も無く、シンは言葉を続ける。

 

「レクイエムまでは5分 『も』 かかる。そしてアンタがレクイエムに辿り着く事はなさそうだ」
『へえ? 理由を教えて欲しいんだけど』

 

キラの言葉に沈黙で返すシン。
少し間を空けた後、シンはキラに向かって何を当たり前のことをと言わんばかりに言葉を放った。

 

「俺が此処に居る。それだけじゃ答えにならないか?」
『なるほど―――十分だよ、それで』

 

穏やかな話し合いから一変、お互いの雰囲気が変わる。
無駄話はこれで終わり。これからは戦いの時間だ。
開かれたデスティニーの両掌が輝き始める。
フリーダムは両手に持ったライフルを、デスティニーに向けた。

 
 

動き出したのは、同時。

 

右に平行移動しながらライフルを放つフリーダム。デスティニーもそれに追随しながら光弾を放つ。
ぶつかり合うビームライフルとパルマフィオキーナ。威力は互角。
畳み掛けるようにライフルを連射するキラに対し、シンもパルマの連打で応える。
回避と攻撃を同時に行いながら戦場を駆ける両者。

 
 

『やっぱり怖いね、君は……!!』
「お前が言うな」

 
 

今此処に、世界の行き先を決める最終決戦のゴングが鳴らされた。

 
 
 

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