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SEED-IF_Mary Sue_01

Last-modified: 2009-03-05 (木) 18:47:53

一人の女性がぶつぶついいながら机に向かっていた。
「スタートレックの時は色々言われたけど、私は負けない!」
キーボードの音がカタカタ響く。
彼女はすっかり忘我の境地にあった。
ゆえに気づかなかったのだ。
急速に大きくなってくる大型車らしいエンジン音と、そして、ブレーキ音に……

 
 
 

僕は東屋に座ってノートパソコンを見ていた。
ここはヘリオポリス。宇宙コロニーって奴だ。大仰な名前だが、オセアニアの小国オーブの宇宙開発の最前線だ。
隣には、女の子が一人。
じっと見つめられているけど、不快ではない。
なんたって月面都市コペルニクスからずっと一緒だった幼なじみだ。気心が知れている。
時々、前世は銀河をまたに駆けてロストテクノロジーの回収をしてたとか、不思議な事を言う子だけど、宇宙船の大きさのダイエットマシーンとか人間に変身するフェレットが友達だったとか、ありえないから。
きっと彼女なりの冗談なんだろう。
「ん? にぱ~♪」
彼女を見つめていた事に気付いたのか、彼女が笑う。
「何か、見たいかい?」
「ん、ボクは地球のニュースが見たいな」
「先週のしかないけど」
取り込んでおいた動画ファイルを開くと、ノートパソコンから、ナレーターが緊迫した様子でしゃべっている声が聞こえてくる。

 

「おはよう! キラ」
「おはよう!」
「やあ、トール、ミリィ」
話しかけてきた二人。
トールとミリアリアは、同じゼミの仲間。仲のいいカップルだ。
「なーに? なにか新しいニュース?」
「うん、カオシュンが落ちそうだ」
「う~、先週でこれじゃあ今頃はもう落ちちゃってるかもね、カオシュン」
「うん……」
「カオシュンとカーペンタリアに挟まれると、やっかいな事になるな。アスハ代表首長が中立宣言出したって、承認したところ一国もねーもんな」
「うん……」
「あ、そう言えば、カトー教授がお前の事探してたぜ」
「えー!? またー!?」
「見かけたらすぐ引っ張ってこいって。また何か手伝わされてるの?」
「ったく~。昨日渡されたのだってまだ終わってないのに。しょうがないな」
僕はしぶしぶノートパソコンを閉じると立ち上がった。
「じゃあ、行こうか」
僕は彼女に振り返る。
「ふぁいと、お~なのです」
彼女がにぱ~☆と笑った。

 
 

「だからー、そういうんじゃないんだってばー」
「えー、うっそー!」
「もう、白状しちゃいなさいよー」
カトー教授のラボに向かっていると、前から明るい声が聞こえてきた。
後輩のフレイとその友達が話してる。
「うふふっ。あら? ミリアリア」
「はーい、フレイ」
「あ、ねぇ、ミリアリアなら知ってるんじゃな~い?」
フレイの友達がミリアリアに話しかけた。なんだろう?
「な~に?」
「やめてよってばもうー!」
「この子ったら、サイ・アーガイルに手紙貰ったのー! なのに何でもないって話してくれないのよ。ねー?」
「え!?」
「えー!?」
「へぇ、サイの奴もやるもんだな」
「青春まっただ中なのです」
彼女が笑った。
「あんた達っ! もういい加減にっ!」
「ん、んん」
咳払いが聞こえた。見たら、男を二人引き連れて、サングラスをかけた女の人が立っていた。
「乗らないのなら先によろしい?」
「あっあーすいません。どうぞ」
気が付けば僕達でエレカー乗り場の場所を塞いじゃってた。失敗失敗。
その女の人達は僕達がどくと、さっとエレカーに乗り込んで去っていった。

 

「っもう! 知らないから! 行くわよ!」
「ああん、待ってよフレイー」
フレイたちもエレカーに乗り込んで去っていった。
「キラ……」
「ん?」
彼女が服の裾をつかむ。
「あの人達、地球軍の軍人さん……」
「そうなのか?」
「みぃ」
「そうか」
彼女は、妙に聡い所がある。
「なんの用かな? トール?」
「そう言えば、カトー教授の所で見たような……」

 

エレカーに乗り込み、しばらくしてカトーゼミに着くと、ひょいとゼミの先輩のサイが顔を出した。
「あ、キラやっと来たか」
「うん。ん?」
壁際を見ると、金髪の帽子を被った少年がいた。
「誰だ? あの子」
「あ、教授のお客さん。ここで待ってろって言われたんだって」
小声でゼミの仲間のカズィに聞くと、そう教えてくれた。
「ふーん」
「ほら、キラ」
サイが、書類を渡してくれる。カトー教授からの頼まれごとだ。まったく。
教授にも困ったもんだ。
そういえば!
「サイ、手紙」
「へ?」
「なかなかやるな」
「ばっ! あわあわ」
「くっくっく」
トールもにやにやしてからかいに混じる。
そんなこんなで僕達はゼミのいつもの活動を始めた。

 

「ん?」
彼女が、壁際の少年の所に……なんだ?
「……なんであなたが……」
「なんでお前が……っている……!」
その少年は、慌てた様子で彼女を部屋の外に連れて行った。
一体何だ?

 

さて、頼まれごとに取りかかるか。
「手伝うのです」
彼女が戻ってきた。
「なんだったんだ? さっきの?」
「なんでもないのだ」
「ふーん」
ま、いいか。それにしても。
「手伝ってくれると助かる」
「えへへ」
彼女がにばーっと笑う。
そんな風に見えないのに、彼女はプログラミングに関して超一流だ。頼まれごともはかどる事だろう。
「頼むよ、レイジングハート……」
彼女が、いつも身に着けてるペンダントを持ってそうつぶやくのが聞こえた。

 

彼女が手伝ってくれるおかげで頼まれごとはおおかた片付いた。
一息入れて背伸びをすると、カズィがパワードスーツを動かしていた。
謎の少年も、興味深そうに見ている。

 

――突然、衝撃が来た。
「キャー!」
「何? 隕石でもぶつかった?」
「まさか! 衝突しそうな隕石やらデブリやらは、とうの昔にわかっているはずだ!」
部屋の明かりが消え、そして非常灯に切り替わった。
「とにかく、避難しよう」
「ええ!」
「大変なのです!」
僕は彼女の手を引く。
部屋を出ると、職員の人たちもぞくぞくと階段を上がって避難していた
「いったい、どうしたんです!?」
「知らんよ」
「ザフトに攻撃されてるんだ! コロニーにモビルスーツが入ってきてるんだよ!」
「「「「え!?」」」
「君達も早く!」
……なんで?
「キラ」
彼女が僕の耳元に口を寄せた。
「……ここで、密かに地球軍のモビルスーツが作られてるですよ。きっとそれを……」
「なんで……? モビルスーツってザフトだけじゃなかったのか?」

 

「おい、何してる、」
混乱する僕達をサイが叱咤した。

 

「僕達も行こう!早く!行くぞ!」
「うん!」
「あ、君!」
サイが叫んだ。
金髪の子、教授のお客さんが、非常口とは別の方に走り出した。
「キラ」
彼女はその子を追いかけ始めた。
僕も!
「キラ!」
「すぐに戻るよ!」
しょうがないな。ほっとけなく感じて僕も後を追いかける。

 

「……」
「何で付いてくる? お前らは早く逃げろ!」
「地球軍のモビルスーツが見たいんでしょう?」
「え!?」
「案内してあげるなのです」
「ええ!?」
彼女は走り出した。金髪の少年も追いかける。こうなったら僕も追いかけるしかないじゃないか!

 

「きゃー!」
その時近くで爆発が起こって金髪の子の帽子が吹き飛ばされた。
「あ……女……の子?」
僕は呆けた声でつぶやく。
「なんだと思ってたんだ! 今まで」
「いや、その、ごめん」
「キラ、鈍いのです」
僕は立て続けにダメージを食らってしまった。
ふと後ろを振り向くと、通ってきた通路が瓦礫で塞がっていた。
「あーあ、これじゃ戻れないや」
「早く。急ぐです」
彼女が僕の手を取り走り出す。
「おい!」
金髪の少年、いや、少女も走り出す。
「君の名は?」
「え?」
「どう呼んだらいいかわからないよ」
「……カガリ・ユラだ」
「そう、カガリ。良い名前だ」
「……ふん」
カガリの頬がかすかに赤らんだ。

 

しかし、僕達はどこへ行くんだ?
「工場区なのです」
僕の心を読み取った様に、彼女が言う。
「工場区?」
「あそこに行けば、シェルターもあるかもなのです」

 

走って走って。大きな空間に出た時、下に大きなロボットが横たわっていた。
え!? あれってまさかモビルスーツ!?
「こ、これって……」
「はぁ……やっぱり……地球軍の新型機動兵器……なるほどな。くっくっく……」
カガリはため息をつき、少し歪んだ笑い方をした。

 

チーン!
ラッタルが甲高い金属音を立てた。
カガリの叫び声に気づいて、下から兵士が撃ってきた!
「キラ! 逃げるです!」
「ああ!」
僕達は再び安全な場所を探して走り出した。

 

「はぁはぁ……やっと見つけたー」
目の前にはシェルターの入り口がある。
「ほら、ここに避難してる人が居る」
『まだ誰か居るのか?』
中の人が声をかけてきた。
「はい。僕と友達が2人です。お願いできますか?」
『3人!?』
「はい!」
『もうここはいっぱいなんだ! 左ブロックに37シェルターがあるからそこまでは行けんか?』
「なら2人だけでもお願いできませんか!? 女の子なんです!」
『……すまん、なんとか後1人が限界だ!』
その時、彼女がカガリを押しやった。
「おい、お前!」
「大丈夫。ボク達は大丈夫なのです」
彼女はカガリを強引に押し込む。
「おぃぃ……」
シェルターへのエレベーターは下がっていった。
「どうするんだ?」
彼女に聞く。
「さっきの所へ」
さっき? 銃撃された所へ行くのか? 嫌だなー。

 

「あ!? 危ない!」
ザフトらしい兵士がこちらに向けて銃を……!
僕は咄嗟に彼女をかばい伏せる。
「いやー!」
彼女が叫び声を上げる。
ボン!
見てしまった。おそらく弾丸に当たったのだろう。その兵士の頭が爆ぜるのを見てしまった……。
オレンジの作業着の女性が撃たれそうになってたけど、今ので難を逃れたようだ。
その女性が僕達に声をかけてきた。
「来い!」
「いぁ、左ブロックのシェルターに行きます! お構いなく!」
「あそこはもうドアしかない!」
「え!? うわぁ!」

 

また爆発が起こった!

 

「こっちへ!」
再びその女性が僕達に叫ぶ。
「キラ、行くです」
「しょうがないみたいだね」
爆発をやりすごして、彼女を抱えると、僕はその女性が陣取っているモビルスーツ目指してラッタルから飛び降りた!

 

あ、あの人が撃たれた!
あわてて駆け寄ると、ザフトの兵士がナイフを持ってこっちに来るのが見えた!
「アスラン!」
彼女が……叫んだ。え? ええ!?
「っ!? お前? それにキラ!?」
それは、僕達の……僕と彼女のコペルニクスでの幼なじみで……なんで?
「くっ……」
作業着の女性が銃を向けると、その人は後ろに下がっていった。
その女の人はいきなり僕達をモビルスーツのコクピットに落とすと、モビルスーツを起動させた。
「シートの後ろに! この機体だけでも! 私にだって動かすくらい!」
「……GUN、DAM?」
表示される画面に表示される文字が縦読みでそう見えた。
そして、スクリーンにパッと周囲の光景が映し出され、このモビルスーツは立ち上がったのだ。

 
 

「……ちょっと。ただ歩いてるだけじゃないか。大丈夫なんですか?」
ぎこちない。ほんとにぎこちない操縦だ。
「私は戦艦の副長よ! パイロットじゃないの! だから言ったじゃない、動かすぐらいならできるって! 無理に走って一般人巻き込むよりいいでしょう!?」
「あ、ちょっと! ふら付いた! 足元に人がいた!」
「ちょっと、黙って!」
僕達をコクピットに押し込んだ女性は、コクピットのあちこちをいじっている。
――! あるスクリーンが拡大される!
「サイ! トール! カズイ! まだ避難し終わってなかったんだ!」

 

ガーン! 大きな音と共に突然モビルスーツがふら付き、コクピットを衝撃が襲う!
「きゃー!」
「下がってなさい! 死にたいの!?」
正面のスクリーンにはどうやらザフトの物らしいモビルスーツが映っていた。
そいつは重斬刀を抜くと切りつけてくる!
「まだ終わらないわ! ええい、このボタンよ!」
副長と名乗った女性は、ひとつのボタンを押し込んだ!

 

――ガシィーン!

 

衝撃はあったけど、このモビルスーツはやられていなかった!
「PS装甲――フェイズシフト装甲よ。実体兵器ならほぼ完全に無力化できるわ!」
「よかった……!」
……安心したのは早かった。ザフトのモビルスーツは何度も剣を叩きつけてきて、とうとうこのモビルスーツは倒れてしまったのだ!
剣の先が迫ってくる!
「キラ!」
彼女が叫ぶ。
「なに!?」
「この人をどけてなのです」
「え?」
訳がわからない。けど、その時は彼女の言葉に従うのが正しいって、そう思ったんだ。
「ちょ、ちょっと、やめなさい……!」
僕がその女性を席から引きずり出すと、彼女はするりとパイロット席に滑り込んだ。
「頼むよ、レイジングハート……」
彼女がそうつぶやくのが聞こえた。
彼女が何かのレバーを動かすと、このモビルスーツは起き上がり、カウンター気味にザフトのモビルスーツをぶっ飛ばした!
「これで余裕ができたです」
彼女はキーボードを取り出した。
「ちょっとあなた!?」
「キラ」
なぜか、彼女の言いたい事がわかった気がした。
作業服の女性がパイロット席の彼女を邪魔しないように押さえる。
「いくよ、レイジングハート」
気のせいか、彼女がうっすらと虹色に発光しているように見える。
「……早い!」
作業服の女性が驚く。僕も驚く。このモビルスーツのOSを、彼女は恐ろしい速度で更新している。
「これがボクの全力全開!」
「すごい……」
その時、ザフトのモビルスーツが立ち上がり、こちらに向けて突っ込んでくる!
「跳ね返して! レイジングハート!」

 

ガシィィィン!!!
衝撃が走る。
彼女はスラスターを一気に滑らせる!
「お願い、当たって!」
光が満ちた……

 

気がつくと、スクリーンには、関節から煙りを上げて倒れているザフトのモビルスーツが映っていた。
ハッチが開く? 人が?
「あ、あぶない! 総員対ショック……」
作業服の女性が叫んだ瞬間、スクリーンは再び光に満ちた……

 
 

「ううっ!」
「気が付きました? キラー! この人気が付いたよ!」
ミリアリアが僕を呼ぶ。
あ、あの人気が付いたんだ!
「うぐっ!」
「あー、まだ動かない方がいいですよ。お水、要ります?」
「ありがと」
水筒から水を飲んでその人だけど、カズイ達が、僕達がさっきまで乗ってたモビルスーツを覗いたりしているのを見ると、いきなり形相が変わって拳銃を撃った!?
僕は慌てて止めた!
「何をするんです! 止めて下さい! 彼らなんですよ! 気絶してる貴女を降ろしてくれたのは!」
「その機体から離れなさい! 助けてもらったことは感謝します。でもあれは軍の重要機密よ。民間人が無闇に触れていいものではないわ」
「なんだよ。さっき操縦してたのはキラじゃないのか?」
トールが不服そうに言う。作業服の女性は、鬼の形相になってトールに銃を向ける。
「わかった、わかりましたよ。降りりゃいいんでしょう、降りりゃあ」
トール達は慌てて降りてくる。

 

「みんなこっちへ!」
「はーい……」
みんなが集まってくる。
「私はマリュー・ラミアス。地球連合軍の将校です。申し訳ないけど、あなた達をこのまま解散させるわけにはいかなくなりました」
「「えー!?」」
「一人ずつ名前を!」
その女性は命令する。
「サイ・アーガイル」
「カズイ・バスカーク」
「トール・ケーニヒ」
「ミリアリア・ハウ」
「キラ・ヤマト」
そして、彼女も名乗る。
「――ボクは、メアリー・スー……!」

 
 
 

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