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SRW-SEED_ビアンSEED氏_第45話

Last-modified: 2013-12-26 (木) 21:56:27

ビアンSEED 第四十五話 新たな力

 

 
サイレント・ウルブズ結成から数日後の事。オノゴロ島地下ドックから出航し、陽光に宝石の様に輝く海水の粒を零して飛び立つ船を、ビアンとミナが見送っていた。ヤラファス島にある執政庁の最上階である。
スペースノア級二番艦アカハガネ――オリハルコンやヒヒイロカネらと同じ金属を指し示す名を与えられた赤い戦船は、静かなる狼達を乗せて飛び立つ。南米のローレンスやエドらへの援助物資を運び、
ポルタ・パナマのマスドライバーを陥落させた後、宇宙で合流する手筈になっている。その後は、サイレント・ウルブズは独自に動く予定だ。
運命の巡り寄せによっては聖十字の旗を切り裂く牙となり爪となるであろう者達の見送る二人の心境は、果たしてどのような感情が渦巻いているのだろうか。
やがてアカハガネの船影が見えなくなってからようやく、二人はその場を立ち去った。立ち止まる時間はさほどない。連合がDC本拠地襲撃と戦力の消耗を知るのはそう遠い話ではあるまい。場合によってはカーペンタリアのザフトに援軍を要請する必要もあるだろう。
二人はそのまま、オーブ所有だったマスドライバーへと向かう。アメノミハシラへの補給物資を積み込んだシャトルと共に彼らもまた宇宙へと上がる。後の事は、ホムラやロンド姉弟の義父であるコトーら五大氏族達、そして拘束したウズミに任せている。
いまだオーブ軍内や国民からの支持の声が根強いウズミだが、開戦からオーブの中立を維持し続けた政治的手腕や人脈、外交の手腕は眠らせておくには惜しい。
ビアンらの留守に今一度オーブ政権が蘇る可能性も少なからず孕んではいたが、後を任せられる人物となると、選択肢は少なくなる。
後は有力氏族等がどれだけビアンを支持しているかどうか。そしてウズミが戦火に晒された国土を見てどう思うかによるだろう。ミナには大なり小なり小言を言われたが、ビアンは自分の留守を付いて政権を取り戻すような真似はしないと確信してもいた。    
ウズミが宇宙に蒔いた希望であるカガリは、時々躓きながらも徐々に支持者を増やし、確実に力を身に付けている。旧オーブ領だったコロニーや月面都市のいくつかはカガリ支持の姿勢を公にし、オーブの正統な政権の発足を謳っている。
DC内のアスハ派の兵達がそれに呼応する可能性もあるが、目の辺りにした邪神という常識の範疇をはるかに超えた脅威に、理念よりも純粋に自分の家族や友人を守ることを選ぶだろう。まず何よりも命が無ければ理念や国の在り方を語る事はできないのだから。
既に物資と新型機、ネオ・ヴァルシオン、ミナシオーネを積み込んだいくつかのシャトルが待機している打ち上げ場に付き、警備の兵達に左右を守られながら、ビアンはシャトルの乗り場に辿り着いた。
敬礼の姿勢のままのテンペストがいた。新西暦世界においては復讐鬼と化した地球圏屈指のパイロットも、今は守るべき家族を取り戻した事で、心の強さを正の方向に向けている。
地球連邦、コロニー統合軍の中から選ばれたわずか六名の超エリート部隊“特殊戦技教導隊”所属の腕前は伊達ではない。
改良を施したヴァルシオン改とテンペストなら相当数のMSを単独で殲滅できるだろう。大本となったヴァルシオン自体が単機で戦局を左右できるほどの力を持っているのだ。それの量産型となれば、その力推して知るべしだろう。

 

「この大事に国を空ける事になるが、よろしく頼む。テンペスト三佐」
「は! この命に代えましても、この国を守って見せます」
「妻と娘の為に、か?」

 

自分もまた娘を持つ父親であるためか、ビアンが不意に柔らかい笑みを浮かべて言う。聞き様に言っては意地の悪い質問に、テンペストは困ったように眉を寄せた。
死に別れた時のままの若い妻と幼い子に対して、テンペストがどれほど愛情を注いているか、一部の兵達の間では有名な話だ。

 

「総帥も、子らのいる宇宙へ行かれるのでありましょう? 帰るべき場所が無くなっていてはお困りになるでしょう」
「そうだな。帰れる場所があるといいのは人の心に思いのほか安堵を与える。後は任せるぞ」
「はっ!」

 

打ち上げられたシャトルの窓から見える街並みには、邪神の使徒達の蹂躙による傷跡は今も痛々しく深く刻まれていた。今も小型の作業MSやパワードスーツが忙しく動き回っている。
情報管制は厳しく敷いてあるから、屍に群がるハゲタカの様なジャンク屋連中もまだ足を踏み入れてはいなかった。
そんな中、小さな子供達の目を集めながら忙しく動き回る約二メートル弱の茶色い物体があった。熊の様に丸く大きな耳、つぶらな瞳に、指が無く明らかに短すぎる手足、丸い模様を持った毛皮は茶色だ。

 
 

どういうセンスなのか、赤い蝶ネクタイに緑のソフト帽をちょこんと頭の上に乗せている。
見た目はクマだかネズミだかわからない珍妙な、それでもなかなかに愛らしい次世代パワードスーツの一つ『ボン太くん』である。
毛皮の下には特殊防弾シリコンと強化人工筋肉を採用し、搭載されたウェブラル・コンピューターと、AI1を解析・複製したAIが装着者の行動に最適のサポートを行う。
強化アラミド繊維の他、繊維状に加工した特殊複合素材で対戦車ライフルさえも通さぬ防弾性を獲得。スーツ内部の小型モーターは最大三百馬力を生み出す。
脳のそれに付随する神経系の一部以外を機械化したフルメタル・ボーグ(全身義体)を相手にしても、互角以上に戦える恐るべき局地戦用スーツである。数があればジンさえ撃破できる能力があり、意外に強い。

 

「ふももも。ふもっふもー!」
「ふも!」

 

ふもふも言う声が、やけに大きく破壊された街並みに響いた。

 
 

宇宙の暗黒に浮かぶとある岩塊があった。人の手が加えられたそれは宇宙要塞アルテミスと呼ばれている。ユーラシア大陸西部の国家群によるユーラシア連邦の保有する、戦略的にはあまり価値の無い要塞である。
戦略的な視点から見て、重要ではない事とアルテミスに独自に配備された光波防御帯の絶大な防御力とあいまり、ナチュラルとコーディネーターの戦乱の時代にあって大きな戦いの場となった事はなかった。
だが、オーブ所有の資源コロニー『ヘリオポリス』から脱出した地球連合艦アークエンジェルの入港をきっかけに、アークエンジェルを追撃していたクルーゼ率いるザフトに襲撃を受け、その後には宇宙海賊に占拠されるなど、度々戦火に襲われてもいた。
紆余曲折はあったが、ユーラシア連邦所属のままであったこの要塞は、今もまた戦火に見舞われていた。アルテミス防宙宙域に展開していたストライクダガーやメビウスなどの機動部隊も既に半数以上が撃墜され、軍事的な意味での『全滅』の段階を大幅に超える被害が出ていた。
C.E71.12月を半ば過ぎ、地球連合各国にも、ザフトの専売特許であったMS『ストライクダガー』が配備され、無論、このアルテミスにもストライクダガーの姿はあった。
地球連合の盟主とでも呼ぶべき大西洋連邦の開発した戦時用の簡易生産型であるストライクダガーだが、その生産生と稼働性や整備性の高さから、
初の本格的な量産型MSでありながら高い完成度を示し、地球連合を構成する多くの国でも、大西洋連邦から提供されたこの機体をそのまま生産し配備していた。
簡易生産機故に装甲などはザフトの主力MSであるジンにやや劣る部分もあったが、MSサイズでも携行可能にまで小型化したビームライフルはジンを始めとしたそれまでのザフトのMSの装甲をいとも容易く貫いたし、
背に装備されたビームサーベルの光刃は重斬刀では受ける事の出来ぬ代物だった。
薄い装甲についても、対ビームコーティングを施したシールドの装備で補えている面もあり、兵器として求められる要素を多く満たしたストイラクダガーは、ザフトの新鋭機であるゲイツにスペックでは劣るものの、優秀と言える面を持っていた。
ナチュラルがMSの配備に大きく後れを取った最大の理由であるOSに関しても、ナチュラルでもMSの操縦を可能とするタイプのモノが供出されていた。
大西洋連邦が開発したOSは機体制御をある程度パターン化する分、OSに頼る部分の少ないザフト製OSに比べればパイロットの技量を発揮しづらい仕様ではあったが、
身体能力で劣るナチュラルでもコーディネーターと真っ向から戦えるだけの事は可能にする点がなによりも求められていたから、開発者たちは求められていた課題をこなしたと賞賛されるべきだろう。
ユーラシア連邦も独自のMS開発を急いではいたが、先にストライクダガーの配備が進み、その生産生や性能が認められた事に加えて大西洋連邦との政治的な妥協の意味合いも含めこれを受け入れている。
宇宙要塞アルテミスは、中止となったユーラシア連邦主導によるMS――ハイペリオンの試験を行っていた基地であった。
かつてクライ・ウルブズと交戦したカナード・パルスの搭乗していたハイペリオン一号機以外にも、二号機、三号機が開発され、いずれもがこのアルテミスで試験運用されていた。
だがカナード・パルスと専用の運用特務部隊Xが、ハイペリオン開発中止、解散命令に従わず、またアルテミス司令ガルシア少将の短慮もあり、既にアルテミスにはいない。
加えて、カナードの追撃に出たハイペリオン二号機とそのパイロットの、『アルテミスの荒鷲』バルサムはカナードと中破したハイペリオン一号機の前に敗れ去っていた。

 
 

アルテミスに残っていたのはハイペリオン三号機と、戦略的価値の低さから配備数の少ないストライクダガー、旧式化したメビウスに少数の艦船とアルテミスの傘のみであった。
だが、それでもロバート・ガルシアは自軍の勝利を疑わなかった。なぜなら、攻め込んできたのは、わずか一隻の戦艦と輸送艦に三機のMSだったからである。同規模の基地に比べれば少ない戦力であったが、敗北はあり得ぬ戦力差を有していた。
それに、万が一敗れるにせよ、こちらにはアルテミスの傘がある。ビームも実体弾も通さぬこの光の壁がある限り、アルテミスは難攻不落の城と化す。
もっとも、ブリッツのミラージュコロイドの機能を使ったニコルが、アルテミスの傘を展開前に内部から破り、この要塞に大打撃を与えた過去はあるが。
いずれにせよ、状況の開始される前のガルシアは余裕の表情を持って戦闘の様子を見守っていた。だが、その余裕の表情はものの数分で覆される事になる。
頭髪が一本も残っていない頭に、欲で脂ぎった五十代頃の顔。足は短く、角ばった体つきだが、軍服を脱げばやや腹がぼったりとしている事だろう。それが、ジェラード・ガルシアという男だ。
ガルシアの顔に浮かんだ余裕の表情が陰ったのは、オペレーターのウェーブ(女性士官)が接近する艦影が、DC所属のモノである事を告げた時だ。
DC! ディバイン・クルセイダーズ!! ガルシア自身、不審なコロニーの調査をさせた際にDCの一部隊と派遣した艦隊が遭遇し、予想以上の大被害を受けてしまいユーラシア連邦中央部の評価を下げたばかりである。
特務部隊Xに下されていたスーパーコーディネーター『キラ・ヤマト』の捕獲も果たせず、独自に手柄を立てようと狙った核動力を可能とするNJCも、既に大西洋連邦が手に入れてしまっている。
さらには中止命令が出ていたとはいえ、折角開発したハイペリオンも二機を失っている。
どうやってこれだけの失点を持ち直せば良いか考えていたガルシアの脳裏には、地球連合から忌み嫌われているDCの部隊を撃破し、あわよくば核で動いているというその機体の秘密と技術を手に入れて提出すればあるいは、という考えが思い浮かぶ。
この時はまだ、ガルシアの顔はそれほど険しくはなかった。最初の皺が刻まれたのは接敵した漆黒の船体の、イズモ級から出撃した三機のDC所属MSに、迎撃に出た部隊が大人が赤子の手を捻る様に撃墜され始めた時だ。
この時、イズモ級一番艦イズモから出撃していたのはソードカラミティ、制式仕様レイダー、ゴールドフレーム天(アマツ)の三機。
それぞれが量産化に成功した小型テスラ・ドライブと小型核融合ジェネレーターを装備し、機体各パーツやOSもDCの規格品に変えられ全体的な戦闘能力は、かつてとは比較にならない。
ソードカラミティには大幅な変更はなく、制式仕様レイダーも携行火器としてDCの標準的な兵装として採用されているオクスタンライフルを持っている位だ。
これらの機体には、第三次ヴィクトリア解放作戦の際に、ロンド・ギナ・サハクの傘下となった三人の戦闘用コーディネーター『ソキウス』達が搭乗している。
相転移後は赤とオレンジに彩られた機体色に変わり、胸部の巨大な砲口と、背のバックパックに接続したレーザー砲塔兼用の約15メートルに及ぶ対艦刀が特徴的なソードカラミティには、フォー・ソキウスが搭乗している。
水色の装甲を持ち、MA形態への可変機構を最大限に生かして変幻自在に形を変えてはオクスタンライフルの一撃で敵機を沈めてゆく制式仕様レイダーにはシックス・ソキウス。
水中用とはいえ、調整次第で宇宙空間でも使用出来たディープフォビドゥンから、乗り手の居なくなった黄金の体に漆黒の鎧を纏ったオーブの闇の落し子ゴールドフレーム天にはサーティーン・ソキウスが乗り換えていた。
ソキウス達は三人とも病人の様な白い肌に、今にも溶けてしまいそうなほどに薄い水色の髪、磨き抜かれたガラス玉のように美しいが虚無的な瞳を持った十代中頃の少年達だ。
もともと人の持つ服従遺伝子を強化されて造り出されたソキウス達にはナチュラルの為に役に立つ、ナチュラルを守る――といった事以外に対する自由意志や関心が少なく、非人間的な印象が強い。
だが、この三人のソキウス達はそれ以上に人間としての感情や思念と言ったものが薄弱だった。
それもそのはず、彼ら三人のソキウスはギナに引き渡される前に廃棄が決定した事に対し、
ナチュラルの為に働けなくなる事を恐れた二人のソキウスが脱出した事を危惧した連合上層部によって、薬物を用いられて精神を破壊されている。

 
 

今の彼らには遺伝子レベルで与えられたナチュラルの為に、というソキウスの存在意義以外の意識はほとんど抹消されている。今も、ナチュラルであるユーラシア連邦の兵相手に手加減こそしているものの、主であるギナの命じるままに戦っているのだ。
ストライクダガーの持つビームライフルや、四肢を切り落とし、センサーモジュールの集中している頭部を破壊するなどして戦闘能力を奪い極力相手の命を奪わぬよう戦っている。

 

「……」

 

本来自分達が守るべき対象であるナチュラルとの戦闘に決して小さくはない精神的負荷を強いられながら、ソキウス達はエースクラスの戦闘能力で波いる敵を寄せ付けない。彼らの乗艦であるイズモには、今だ一発の被弾もなかった。
ゴールドフレーム天の右腕に装着された複合兵装盾のトリケロス改に備え付けられた実体刃でメビウスの推進機関を正確に切り裂いたサーティーン・ソキウスがアルテミス側の動きにいち早く気付いた。
かつてオーブ近海で撃墜されたブリッツの右腕と、ミラージュコロイドに関する実戦での使用データを用いられた天のレーダー機器の精度は他の機体を大きく上回る。

 

「サーティーンより、フォー、シックスへ。アルテミスより新たな機影を確認。数は一。ライブラリ照合――ハイペリオン。クライ・ウルブズの交戦した機体と同機種と思われる。今回のターゲットだ」
「フォー、了解。残敵の掃討終了予測五〇〇秒」
「シックス、了解。こちらも間もなく終わる」

 

友軍の呆気無いまでのやられっぷりに業を煮やしたガルシアが、アルテミスに残されたわずかな切り札を切ってきたのだ。アルテミスから光の尾を引いて出撃したハイペリオンを確認したソキウス達は、気付かれぬよう周囲の残敵を相手取りながらハイペリオンの周囲に散開する。
今回、ロンド・ギナ・サハクDC副総帥直属である彼らがアルテミスを襲撃したのは、コロニーKGCで交戦したハイペリオンと、その特殊装備であるアルミューレ・リュミエールのサンプルの入手の他、アメノミハシラ以外にも宇宙に拠点を設ける事を目的とした為だ。
現在、地球圏に残るごくわずかな低軌道ステーションの一つであるアメノミハシラは、幾重にも武装と迎撃網が敷かれた武装要塞と化し、DC宇宙軍の軍事拠点として非常に重要な施設だ。
とはいえ、生産拠点としても優れているアメノミハシラではあったが、流石に一拠点だけで小国とはいえDCの宇宙戦力の全ての整備や生産、維持を賄うのには限界が見られ始めた。
かといって新たに拠点を作る予算や資材、人的余裕はなく、また防衛に割ける余剰戦力もあるとは言えない状況であるため、戦略的に価値が低く戦火の及びにくい上に、光波防御帯という優れた防御機構を有するアルテミスが選ばれたのである。
占領した後はブリッツの右腕とモルゲンレーテ社のデータにあったミラージュコロイドとビアンの齎したステルスシェードを使い、地球連合とザフトの捜索網に掛かる事のない、いわば幽霊船ならぬ幽霊要塞として用いる予定になっている。
ハイペリオン三号機は両手に構えたビームサブマシンガンを乱射し、パワーセルの空薬莢をばらまきながらハ三人のソキウス達に誘導されている事に気付かぬまま、イズモに追従していた輸送艦へと向かって行く。
実戦経験がなく、シミュレーターでしかMS戦闘を経験していなかったハイペリオン三号機のパイロットは、自分が誘導されている事に気付かぬまま、強く脈打つ心臓の鼓動を耳障りに感じながら、ノイズ混じりのお粗末なレーダーの中に捉えたDCの輸送艦に気付いた。
ハイペリオン三号機の背に二基背負った高出力ビームキャノン『オルファントリー』を展開し、その照準の中に捉える。その一瞬前、輸送艦の上部甲板が縦に割れて中で息を潜めていた人造の巨人が息吹を挙げる。
途端に、ハイペリオン三号機のセンサーが捉えた途方もない熱量とエネルギーに、トリガーに掛けた指が硬直する。
アルテミス内部の司令室で、姿を見せたそれを視認したガルシアの顔から血の気が音を立てて引いてゆく。ガルシア以外のユーラシア連邦の兵達の表情も似たようなものだった。首を絞められた鶏の様に呻きだした声はこうだった。

 

「特機だと……!?」

 

『特機』『スーパーロボット』――DCの開発したMSのカテゴリーを大きく逸脱した尋常ならざるCE史上最強の機動兵器達の呼称である。
現在地球連合、ザフトが確認しているスーパーロボットは、DCのヴァルシオン、ヴァルシオン改・タイプCF、ミナシオーネ、デュラクシール、ヴァイクル。
さらにラクス側に与しているスレードゲルミルに、既に地球連合と袂を分かったシュウのグランゾンとルオゾールのナグツァート、そして地球連合の開発したガルムレイドを加えてわずか九機のみ。

 
 

だが、どれ一つとっても現行のMSの性能を大きく超える存在であり、中には一機で戦局を変えうるほどの戦闘能力を有している機体も存在する。
今、ガルシアらの目の前に姿を見せたのはデータの中にある機種に該当する物はなかったが、その外見的特徴からしてMSではなく、スーパーロボットにカテゴライズされるのは一目瞭然だった。
輸送艦の中からゆっくりと立ち上がったのは、全長50メートル以上の巨体を誇る巨人であった。眩く輝く金色のフレームにどこまでも深い漆黒の装甲を纏っている。
ロンド・ギナ・サハク専用機の、ヴァルシオン・ギナ。通称ギナシオンである。ビアンのオリジナルヴァルシオンの基本構造を参考に、EOTや新西暦の技術を極力使用せずにコズミック・イラの技術を主流として用いた機体である。
頭部や両肩が固定されて、腕部などの可動部が少なかったヴァルシオンに比べ、肩回りや首周りの装甲が外され、四肢の可動部を大きく取られている。全体的に分厚かった装甲が削られ、ヴァルシオンに比べれば細見の印象を受けるシルエットである。
ヴァルシオンが両肩に備えていた鉤爪か嘴に似たパーツは外され、巨大な首狩り鎌を思わせる刃が四枚一対で、両肩から伸びていた。天の象徴とも言えるエネルギー吸収機構『マガノイクタチ』をギナシオンに見合うサイズにしたものだ。
両手には、ブリッツから流用し天が装備していたトリケロスが装備されている。ビームサーベル兼用の150mm高エネルギー・ビームライフルと、
三本しかなかったランサーダートの代わりに装填数24発の三連装ミサイルランチャー、それと盾部の装甲下部に取り付けられていた実体刃も再現されている。
ザフト製のMSに多く採用されている複合兵装防盾だが、天を駆った経験からこの手の武器は、攻撃に使えば盾として機能できず、盾として使用できないと言う欠点がある事をギナは理解している。
それを踏まえた上でギナが選んだのは、一つでは機能を効率的に発揮できないなら二つ同時に使えばよいと言うものだった。もともととり回しが難しく使い分けには高い技量が必要とされる複合兵装防盾を、
同時に二つ操作しうるだけの技量が自分にはあると自負を抱くギナならではの結論だろう。
グラビコン・システムやテスラ・ドライブ、プラズマ・ジェネレーターなどを除いた箇所に関してはCE側の技術を用いたギナシオンには、クロスマッシャーやメガ・グラビトンウェーブといったヴァルシオンならではの武装が無い。
ギナシオンの大本となるヴァルシオンは、そもそも一撃必殺の超火力と機動兵器としては破格の耐久力と装甲を持った移動砲台の様なコンセプトで造られたロボットだ。
ギナシオンはそのコンセプトをある程度踏襲しつつも、ヴァルシオンが持たない機動性などを、機体サイズはそのままにどこまで得られるかと、といった試験的な試みの上に開発された機体である。
同時に、可能な限りEOTなどを用いずにCEの技術によってヴァルシオンクラスの機体をどこまで再現し得るか、性能を追求できるのか、といった目論見もある。
ビアン自身も、基本的な構造や設計段階のみの協力で大部分はモルゲンレーテ社のスタッフ達の手からなる意欲機だ。
ギナシオン胸部にあるコックピットの中で、パイロットであるギナは姉ミナと同じ美貌に冷厳な笑みを浮かべていた。妖艶さ漂うミナに比べ、凄艶とでも表すべき寧猛さと冷酷さを併せ持った笑みであった。
ハイペリオン三号機は、輸送艦の中から姿を見せたギナシオンに恐れを抱き、傍目から見ても分るほどの動揺がその機動に見られた。
絶対に落とされはしないと言う自信の表れか、コックピットに何時ものマント姿のままで座していたギナは、ややつまらなさそうに溜息を吐いていた。

 

「我がギナシオンを前に戦意を失ったか? 蛮勇さえ振るえぬようでは、下賤の身といえども恥を知るべきだな」

 

己の意を満たせぬものへの躊躇なき悪罵は、ゆるぎない支配者の傲慢に支えられたものだ。自らの優秀さを疑わず世の人々は全て己にかしづくのが当然の理と心得ている者だけが言葉に乗せられる響きであった。
人類の歴史上、何人もの王や支配者、侵略者たちが同じ響きと熱を持った言葉を紡いできたのだろう。ロンド・ギナ・サハクもまた、このCEの時代に支配者としての傲岸不遜さとそれを支える能力、そして巨大な野心を併せ持った奸雄なのだろう。
周囲の友軍がソキウス達の駆るMSに阻まれている事を悟ったハイペリオン三号機のパイロットは腹を括ったのか、BSMの銃口をギナシオンに向けるや否や、トリガーを引き絞り間断なく光の弾丸をギナシオンに向かって振らせた。
点の威力は低いが、面を成す数で敵機を制圧するハイペリオンタイプの主武装だ。ギナシオンの装甲はモルゲンレーテが改良したPS装甲が採用されている。

 
 

ビームに対しては無力な印象を一部で与えているPS装甲だが、実際には既存の装甲よりもビームに対する耐性を備えている。
といっても、現在戦場に投入されているMSの持つビームライフルの火力なら十分に破壊し得る程度の耐性ではあるが。
これに加えてアンチ・ビームシールドに施されているアンビ・ビーム・コーティングを装甲に分子レベルで施してあるため、コーティングの劣化は防げないが、数度の戦闘程度ならば通常のビームに対してはほぼ無敵と言っていい。
ハイペリオン三号機の脅威とは言えぬビームの雨を、ギナはわずかにコントロールスティックを傾けるだけで交わして見せる。地球連合のOS自体がすでにDCで解析が終えられ(更新され続けているだろうが)
プログラムされた挙動パターンに対する対処プログラムが配信されているし、第一ハイペリオン三号機のパイロットのレベルが低かった。
ユーラシア連邦独自のMS開発とあってハイペリオンのテストパイロットを任された者達はいずれも同連邦内指折りのエースではあったが、
いかんせんアルテミスが僻地であり戦闘の経験に恵まれなかった事と、対峙するギナシオンへの恐れ、そしてギナ自身の力量との差がありすぎた。
その後も推進剤の消耗を最低限に抑えながら、ハイペリオンからの攻撃をかわし続ける。反撃はせずにただ回避に専念する姿は、子供の相手をする大人の余裕に似たモノを漂わせていた。
もともとの機体の性能の差に加えて、それを覆す重要なファクターであるパイロットの力量もギナの方が上なのだ。どう転んでもギナが破れる道理はない。

 

「つまらぬな。任務とはいえ、この様な所にまで足を運んだ甲斐位はあったと思いたかったが、早々に片づけるとするか」

 

だらりと下げられていたギナシオンの右腕が掲げられ、トリケロスの銃口がハイペリオン三号機を捉える。
それに気付いたハイペリオン三号機は回避行動に移るが、既に多くの戦場を知るギナに取って、その動きはあまりに遅かった。おもわず欠伸を堪えなければならぬかと嘲笑してしまうほどに。
ギナシオンとハイペリオン三号機を、緑色の光の矢が刹那の瞬間繋いだ。放たれたビームは、呆気無いほど容易くハイペリオン三号機のコックピットを正確に貫く筈であった。
それを防いだのは背から前方に伸びたオルファントリーの砲身から展開された光の壁『アルミューレ・リュミエール』。
ハイペリオン三号機のパイロットがかろうじてアルミューレ・リュミエールの展開を間に合わせたのだ。プラズマ・ジェネレーターから供給されたエネルギーを防ぎ、
光の壁はハイペリオン三号機全体を包み込むように展開され、球形の光の檻に変わる。
アルミューレ・リュミエールの最大の特徴は実体弾、ビーム弾の両方に対して機能する事の他にも、外部からの攻撃を防ぎ切りながら内部からの攻撃は通す事にある。絶対的な鎧に守られながら一方的な攻撃を可能とする、極めて優れた装備と言えるだろう。
自分自身を守る鎧の存在を改めて実感したからか、ハイペリオン三号機は先程までとは打って変わって積極的にギナシオンに攻撃を仕掛けだす。筋は良いが、単調になりがちな機動でジグザグに動きながらBSMのマガジンを次々と空にして撃ち続ける。
ギナシオンはその巨体に見合わぬ軽快な動きで光の弾丸をかわし続けていた。確かにアルミューレ・リュミエールは優れた防御能力を持っているが、動力が核動力ではなくバッテリーである以上、その使用限界は決して長くはない。
ハイペリオン三号機のパイロットはそれを思慮に入れて闘っているようには見えぬし、ただこうやってかわし続けるだけでもあの光の鎧が消え去るのはそう遅くはあるまい。

 

「それでは詰まらぬな。案山子相手に一曲踊るようなものだが、我が前に立った以上は相応に覚悟してもらおう」

 

ギナの紅の唇が危険な角度に吊り上がった。ハイペリオン三号機が新たなマガジンを交換している隙を突き、ギナシオンの両腕に装着されたトリケロスから総数二十発を越すミサイルが発射され、
白煙を引いてミサイルは一発残らずアルミューレ・リュミエールに衝突・爆発する。
当然、ミサイル程度ではアルミューレ・リュミエールを破ることはできない。ハイペリオン三号機のコックピットで、パイロットは安堵の息を吐き出している事だろう。
そのパイロットが次に目にし、耳にしたのは、ギナシオンから立て続けに発射される大口径のビームが、アルミューレ・リュミエールに直撃している光景と警告音であった。

 
 

「は、はは! そんなものでこのアルミューレ・リュミエールが破れるものかぁ!」

 

初めての実戦とスーパーロボットを相手にするという恐怖を押し込めるように、パイロットは唾を飛ばしながらオルファントリーの照準をギナシオンに向ける。
メインモニターにはギナシオンを追従する表示が幾度も浮かび上がるが、ギナシオンをインサイトするには至らない。

 

「長物で駄目なら、数で落とす!」
「ふっ、未熟なりに足掻くか」

 

ハイペリオン三号機のBSMとギナシオンの150mm高エネルギー・ビームライフルの照準が、ほぼ同時に互いの機体を捉える。ハイペリオン三号機に放たれた光の矢は、
やはり光の牢獄にさえぎられ、ギナシオンに殺到した光の雨は、わずかに数滴が漆黒の装甲に吸い込まれたのみであった。

 

「なんて装甲だ!?」

 

パイロットの叫びを搔き消すように三度ビームライフルがアルミューレ・リュミエールを捉え、機体を震わせる。BSMに装填されたパワーセルの空薬莢をばら撒きながら、なんとか持てる最大火力オルファントリーを直撃させんと、パイロットは機体を操る。
だが傍から見ていたソキウス達やイズモ、輸送艦のクルー達には、ギナシオンとハイペリオン三号機の戦いは、ギナシオンの持つ人形操りの糸にハイペリオン三号機が為されるままに操られている、出来の悪い人形劇の様に見えていた。
ビームライフルの銃口から伸ばしたビームサーベルで数度アルミューレ・リュミエールを切りつけ、不用意に接近戦で反撃してくるかと誘ってみたが、臆病風に吹かれたのかそれとも慎重を期したのか、
ハイペリオン三号機はあくまで射撃戦にこだわり、詰められた距離を離そうと後退する。
わざとそれを見逃し、ギナはまたイタチごっこのように、ビームライフルを何度も浴びせかけた。アルミューレ・リュミエールが無ければ、一体何度ハイペリオン三号機が撃破されていたか分からない。
何度目か分からない舌打ちを零し、何度も繰り返し徒労に終わった作業を繰り返す。向けられるBSMの銃口。トリガーに指を掛けたハイペリオン。幾度となくかわされた攻撃ではあったが、かといって他により有効な手が思いつかぬパイロットには他に取りうる手段はなかった。
通信機からは、ガルシア司令の怒鳴り声が聞こえてくる。無責任にパイロットをがなりたて、ギナシオンの撃墜を命じ続けている。

 

「くそったれ! てめえが無能の所為でカナードもバルサムのいなくなっちまったんだろうが!?」

 

通信機を切り、口汚く罵ったのも無理のない事だろう。バルサムはともかくカナードに関しては確実に自分よりも数等上の、最高ランクのパイロットである事は疑いようが無かった。たとえスペシャルクラスのコーディネーターであるにせよだ。
功に焦って八当たりの対象としてカナードの拘束を命じて反旗を翻され、追撃に出したバルサムは返り討ちにあうわ、三機しかないハイペリオンの内二機を持って行かれるわ、カナードの所属していた特務部隊Xの母艦オルテュギアが出港の際に軍港を壊していくわ、
ことごとくガルシアの指示のミスの賜物だ。
三号機のパイロットのみならず、アルテミスの兵達のタコ司令への評価は底を割っていた。
強敵を前にしてやや過剰気味に分泌されたアドレナリンの齎す酩酊感い近いものに濁った三号機のパイロットは、再びアルミューレ・リュミエールを揺らしたギナシオンのビームライフルの一撃に、現実に帰還した。
何度やっても、ハイペリオンにはききやしない! ……喉まで出かかっていたそれを呑みこんだのは、命綱であるアルミューレ・リュミエールが唐突に消え去った為だった。
いや、違う。さっきからバッテリー残量がレッドゲージを示し、警告がなされていたのに気付けなかったのだ。最大連続使用時間を超過したアルミューレ・リュミエールは再度バッテリーを充電するなり交換するまで使用できない。
一瞬、絶望に染められた意識を取り戻した時には、既にトリケロスの実体刃がコックピット目掛けて突きつけられていた。通信越しに若い男の声――ギナが、パイロットに降伏を勧告する。
問答無用で殺害しないあたり、それなりに丸くなったらしい。誰の影響かは分からない。

 

「いささか物足りぬがここまでだ。“高い天を行く者”の名が無くお粗末ぶりだな。潔く降伏するが良い。せめてその命は助けてくれよう」

 

どこまで傲慢なその声に、三号機のパイロットは一も二もなく頷いていた。
三号機のパイロットに告げた以上に物足りぬ闘いに、ギナは失望を隠さぬ溜息を吐きだしていた。

 
 

地味に攻撃を重ねてバッテリーの消耗を待ったが、実際にはマガノイクタチの効果によってハイペリオンのエネルギーを強制的に排出させれば決着はすぐに着いた。それをしなかったのは窮鼠猫を噛むという諺を眼前の敵がするかもしれぬという、危険な試みの為だ。
このギナシオンと言う力を振うに値する敵の出現を心待ちにしている事を、ギナは確かに認めていた。この強大な力を思う存分、誰にはばかることなく使う事が出来たなら、と。
後はアルテミスを制圧するなり降伏を勧告するなりすればよいか、と思考を切り替えた時、接近する熱源をセンサーが捉えた。天を賜ったサーティーンからも同様の報告が入る。
接近する存在の正体を知ったギナが、期待の色濃い笑みを浮かべた。紛れもない強敵の出現だったからである。

 

「P02、叢雲劾――サーペントテールか!」
「ゴールドのアストレイに、あれはオーブ、いやDCの部隊か……」

 

近づく影は、かつて五機製造されたM1の試作機に当たるアストレイの内の一機、ブルーフレームを改修した機体ブルーフレームセカンドであった。
その名の通り青いフレームの上に白い軽発泡金属の装甲を持ち、デュアルアイに角の様に伸びたセンサーが特徴のGタイプの顔を持つ。
背にはビームと実体を撃ち分けるがガトリングガン兼用の巨大な実体剣タクティカルアームズを装備している。
超一流の傭兵として知られ、その戦闘能力において最強のコーディネーターとされる叢雲劾。かつて連合とDCの戦いにおいて一度はDC側の傭兵として助力した男である。
二十代半ば頃の端正と言うよりは逞しく引き締められた東洋系の顔立ちに、ウェーブした黒髪の男だ。常に色の入ったサングラスを着用している。
DCの決起以前に世界の各所で暗躍していたギナとも何度か交戦した事のある浅からぬ因縁の相手ではあった。
どういった経緯で劾がアルテミスに姿を見せたのか。また逆に劾からしてみれば何故DCの部隊がアルテミスに居るのか――まあ、戦争中なのだからそう深く考えるような事でもないだろう。
とりあえず今すぐにDC側の部隊が攻撃を仕掛けてくる様子が無いため、劾がBFセカンドを停止させアルテミスに通信を繋げてガルシアを呼び出した。
今回、劾がこの場に姿を見せたのはガルシアに依頼があると告げられた為である。以前にアルテミスを占拠した海賊に人質にされたガルシアを救出した事もあった。

 

「こちらサーペントテール1、叢雲劾。アルテミス状況の説明を」
「お、おお! 来てくれたか、サーペントテール!! アルテミス司令のガルシアだ。き、君への依頼はあれだ! あの特機を撃退してくれ、既にこちら側の戦力は全滅した。文字通りにだ。た、頼む! 君が最後の希望だ」
「……」

 

思わぬところから垂らされた蜘蛛の糸に縋りつく地獄の罪人の心境なのだろう。ガルシアの声は必至の懇願であった。
元々ガルシアが劾をアルテミスに呼んだのは、例のカナードやスーパーコーディネーター捕獲失敗の失点を補う為に、最強と噂される劾をハイペリオンで撃破し、任務失敗その他諸々の責任を負わせてしまおうと言う下衆な企みがあったからだ。
死人に口なし。当の劾さえ始末してしまえば、後はどうにでもなると言う考えの為である。
一方で一気にまくしたてるガルシアの話を聞いていた劾の表情は厳しいものに近い。そもそもDCの部隊の撃退を依頼するためと言うならただ場所だけを指定して呼びだすわけもないし、
今の状況とサーペントテールの仲間であるリードの情報を照らし合わせれば、劾に依頼が来たのはこの戦闘が始まる前に違いない。
おそらくガルシアには別の目論見があり、それがDCの襲撃によって潰えてしまった為に、劾に本来依頼するはずだったミッションの代わりに今こうしてDC撃退を命じたのだろう。
BFセカンドは、アルテミスを背に負う形でギナシオンと対峙した。
かつてオノゴロ島沖の戦いではアウルのシーエムリオンと肩を並べて闘った事があり、遠目にではあったがビアン・ゾルダークのヴァルシオン目にしている。形や色に差異は見受けられるが、この特機がヴァルシオンの系譜に連なるものだと言う事は、勘に近い形で理解できていた。

 

「MSでは抗しきれない存在というが……」

 

元々劾の戦闘に対する心構えとしては、敵との戦いの場合、事前に可能な限りの情報を入手し、こちら側にとって最大限アドバンテージの取れた状況での交戦を行うように心がけている。
たとえ、能力や数が上の相手でも、戦場の地形やタイミング、武装を整えて相手が最大の力を発揮できない状況を造り、こちらはミッション毎に最も効率の良い戦闘スタイルを取っている。
戦う前から戦いが始まっていることを骨の髄まで知っている為だ。

 

しかるに、今のこの状況は歓迎できるものでは無かった。相手は未知の、それも飛び切り上等な手合いであり、その周囲に散開していた三機のMSも非常に優秀だ。如何にサーペントテールのリーダー叢雲劾と言えど一人で打破できる状況では無かった。
それとも、今後DCと矛を交えるような事態になった時の為に、ある程度は目の前の機体と交戦しておくべきか。
頭の片隅で答えを出す為に計算を続ける劾に、ギナシオンから通信が繋げられる。アルテミス側との通信を傍受したギナが痺れを切らしたのだ。

 

「オノゴロでの戦い以来になるのか、久しいな叢雲劾。今回は我が敵として前に立つのか? このヴァルシオン・ギナの相手がようやく務まる者が現れたか」
「ロンド・ギナ・サハク。DCの副総帥がわずかな供だけで敵地に足を運ぶとは御苦労な事だ」
「ふっ、雑兵どもなど私だけでも十分。現実に、我らは一兵足りとも失ってはおらぬ。さて、お前はそのP02でどうする? この私に戦いを挑むのか? エリカ・シモンズとロウ・ギュールの手が加わったその機体、それなりの代物なのであろう?」

 

ハイペリオン三号機をソードカラミティに預け、ギナシオンがBFセンカンドと相対し、両腕のトリケロスをわずかに動かす。銃口は足元を向いているが、銃火を交えるとなれば電光の速さでBFセカンドを捉えるだろう。
機体を隠さぬギナの声を耳にしながら、劾は答えを出した。

 

「いや、ガルシア司令の依頼は断らせてもらおう」
「な、なに!? 報酬なら、言い値で払うぞ! なんならユーラシア連邦に口利きをしても良いんだぞ!」
「悪いが、そう言ったものに興味はない。それに、そう簡単に勝たせてくれる相手ではない」

 

事前の準備もなく、唐突な遭遇戦で勝てる相手ではない。劾はあくまで冷静に判断していた。絶句するガルシアを他所に、劾の言葉を聞いていたギナは落胆の吐息と共にトリガーから指を離す。

 

「依頼の無い戦闘はしないつもりか、傭兵?」
「火の粉が降りかかってくるわけでもなさそうなのでな。一つ聞く。ヤラファス島が襲われたと耳にしたが、事実か?」

 

ギナの耳にもヤラファス島とオノゴロ島襲撃の方が入っている。アメノミハシラへの帰還を叫ぶ声もあったが、ギナはアルテミス陥落を優先した。今戻った所でできる事など無いと分っていたからだ。

 

「耳聡いな。傭兵共の情報は風の様に早い」
「それが答えか。では今回お前達だけで動いたのは戦力の消耗を冒す愚を避けるためだな」
「是非の答えはいるまい。いずれ戦場で見える事もあろうが、気をつけるがいい。叢雲劾。この戦争、とんだイレギュラーが紛れ込み我ら『人類』に牙を剥いているぞ。ナチュラルもコーディネーターも関係なくな」
「どう言う意味だ」
「ふふ、続きは貴様が我らの傘下に加わるなら話してやろう」
「断る」
「であろうな。それもまた良し。仕事が欲しくなればアメノミハシラに連絡を繋げるが良い。特別に優遇してやろう」
「……おれの用はもう無い様だな。アルテミスはお前達の好きにするが良い」

 

踵を返し、近辺の宙域に停めておいたシャトルへとBFセカンドは去る。ソキウス達がその背を追う様子を見せたが、ギナは黙ってそれを制した。敵となれば最大級の脅威にもなりうる男だが、人類に牙を剥く様な危険な男ではない。
アストレイが紡いだ運命は、いずれあの男をギナの元へと運んでくるだろう。今は、それを待てばよい。とりあえずは

 

「自ら牢獄に籠った愚者を片づけるとしよう」

 

ギナシオンのモニターの向こうで、アルテミスの傘を展開した要塞を、侮蔑に満ちた目でギナは見つめた。すでに、KCGでの戦闘データからアルミューレ・リュミエールを破る方法は発見されている。
対ビームコーティングを施したトリケロスの実体刃が、アルテミスの傘の輝きに鈍く照らされていた。

 

アルテミス陥落の報がアメノミハシラに伝わった頃――。
ゼオルートとの剣術訓練で顔を腫らしたシンが、慌ただしい格納庫に姿を見せていた。
いつも一緒に居るステラやスティング達も一緒だ。
現在、アルベロ、テンザンとユウ、カーラ、レオナ、タスク、そしてWRXチームとアクアはツクヨミとドルギランに搭乗し、新型機と装備のテストに出撃している。
ヤラファス島襲撃の報は既にシンらの耳にも届き、シンやステラ、アウル達はいの一番にアメノミハシラを飛び出そうとしたが、ゼオルートらジャン・キャリーらによって力づく半分、説得半分で抑えられた。
幸い、シンの家族らの無事は確認が取れた。
ビアンらに先発してアメノミハシラに運び込まれた自分達の新たな機体を見学に来たのである。本国にも匹敵する広大な工場施設に足を踏み入れると、何やらスタッフ達と話をしているジャン・キャリーがいた。
もとは優秀な工学博士だったジャン・キャリーの事だから、そう言った方面で何か開発しているのかも知れない。
こちらに気付いた様子はなく、シンは邪魔するのも悪いかな、と声をかけるのを止めた。ウォーダンとの戦いによる敗北の恐怖は、少なくとも表面的には振り払えた様に見える。 
既にコンテナは開かれ、メンテナンスベッドに寝かされた量産型アーマリオンやガームリオンらが並んでいる。
ステラの搭乗していたアーマリオンからPS装甲や脚部のブレードなどを外し、生産生を高めた量産タイプのアーマリオンは、それでも若干扱いが難しいと言う事で一部のエースに供給される。
あたりを見回していたステラが、ある一点で目を止めて小さくあっと声を挙げた。それにつられてシン達の視線もそれを追う。

 

「こ、これは」
「ヴァルシオーネか?」

 

絶句するシンに続いてスティングが該当する機種の名を挙げた。ミナ専用機であるヴァルシオーネと同じ特徴を兼ね備えた機体だったからである。
搭乗者の美貌を模した人の顔を持ち、ヴァルシオンと同じクロスマッシャーやディバインアームを装備し、高性能のテスラ・ドライブの搭載で高い戦闘能力を持っている。
オリジナルのヴァルシオーネやミナシオーネと違い、青い装甲を持ったそのヴァルシオーネは、ウェーブのかかった短い金髪を持っていた。
その足元で何とも複雑そうな顔でそのヴァルシオーネを見上げている影は、トロイエ隊隊長ユーリア・ハインケル二佐であった。
普段から自他に厳しい性格あり、華やかな美貌を引き締めていることの多い女性であるが、今回はなんともまあ、明確にどう言う感情を抱いているのか分からない顔をしている。有難迷惑と言うか、小さな親切大きな迷惑と言うか。
流石に自分と同じ顔の機動兵器に乗るのにはそれなりに抵抗があるらしい。
眉間にしわを寄せて自分の中でかなり葛藤しているらしい。シン達とユーリアの接点はあまりない。同じ最精鋭部隊と言う事もあり顔と名前くらいは知っているし、アメノミハシラ周囲の警戒任務などで何度か顔を合わせた事がある位だ。

 

「ん? シン達か」
「あ、ハインケル二佐、あの、これって?」

 

恐る恐る年長者の意識が働いたのか、スティングが切り出した。ユーリアの眉間のしわは解れない。質問を間違えたか?

 

「先行量産型ヴァルシオーネだ。我々トロイエ隊の分と、補修用のパーツをいくつか製造したらしくてな。芸の細かい事に私達の顔をきっちりと模している。私のこれは……ヴァルシオーネ・ユーリアというそうだ」
「……ユリシオーネ?」
「……そういう、略し方……になるのか。はぁ」

 

ステラが、ミナシオーネのネーミングを思い出して呟いた名前に、ユーリアが深い深い溜息をついて頷いた。しかし、ユーリアの言葉によればトロイエ隊全員にこの先行量産型のヴァルシオーネが配備されるらしい。
元々はミナシオーネのデータをもとにアメノミハシラで開発されていたものらしい。しかしまあ、搭乗者の顔を模す必要、というか女性の姿をさせる必要性があるのだろうか? その場に居た誰もが首を捻りたい気分だった。
なんとも気まずい沈黙が辺りに漂い出し、それに気付いたユーリアが、小さく苦笑した。こんな子供達に気を使わせてしまった事が少々情けなかったからだ。

 

「お前達の機体は三番格納庫だ。新しい相棒に挨拶をしてきたらどうだ?」
「そうですね、それじゃあ」

 

ユーリアの気遣いに気付き、四人はその場を後にした。子供らが格納庫を後にしたのを確認して、ユーリアは新しい相棒をもう一度見上げ、自分と瓜二つの顔をしばし見つめて、深い溜息を吐いた。割りきるのにはしばらく時間がかかりそうだ。

 

「レオナめ。トロイエ隊に残っていればお前も同じ目に遭っていただろうに」

 

ついつい八つ当たりをしてしまったのも、無理はなかっただろう……多分。レオナの顔を持ったヴァルシオーネ。少なくともタスクは大喜びに違いなかった。本人は声を大にして拒絶しただろうが。
 
ユーリアの言葉に従い、自分達クライ・ウルブズに配備される新型機を見物に来たシン達の目の前に、DCの造り上げた機械仕掛けの巨人達が立ち並んでいた。ビアンとモルゲンレーテ社のスタッフ総出と十八番の突貫作業で造り上げた機体達。
近くに居たつなぎを着た逞しい体つきの整備員に声をかけた。宇宙ながら日に焼けた肌に、筋肉の筋が太く束になって体を構成しており、素手で熊もぶちのめしそうだ。何でもこうも無駄に逞しいのか。
近づいて来たシン達に気付き、整備員は真っ白な歯が眩しい笑顔を浮かべた。何とも爽やかな好青年の絵である。

 

「忙しい所、すいませんね」
「やあ、クライ・ウルブズの皆じゃないか。早速見に来たのかい?」
「へへ、ジガンスクード取られちまったからな。あれ以上のじゃないと納得しないぜ」
「アウルの言う事は分るが、決めるのはおれたちじゃないぞ」
「ステラのは?」

 

唯一黙っていたのはシンだけだ。格納庫の片隅に愛機飛鳥の姿を認めたからだった。敗北から時間が経ったとはいえ、飛鳥の破壊された姿を目にすれば胸には強い悔恨の念が湧き起こる。
聞けば近いうちに廃棄処分にされるという事を耳にした所為もあるだろう。シンの沈痛な様子には気付かず、説明を始めようとする整備員が、並ぶ機体を手で示そうとした所で近づいてくる人影に気づき、開きかけた口を更に大きく開けて目を見開いた。
分りやすい驚きの顔に、四人もつられてそちらを見、たちまち喜びの顔に変わる。悠然と赤いコートの裾を揺らしながら近づいてくるのはビアン・ゾルダークその人に違いなかったからだ。
フットワークの軽い総帥である。無論影法師の様につき従っているのはロンド・ミナ・サハクだ。他にも茶色い髪の若い男もいた。クエルボ・セロだ。三人とも久しぶりにじかに顔を合わす子供らに、親しみを込めた笑みを浮かべる。

 

「元気そうで何よりだ。シンも、怪我は大丈夫か?」
「はい。もう大丈夫です。総帥もこれからはこっちにいるんですか?」
「ああ。これからは宇宙の方に焦点が行くだろうからな。ステラ、ちゃんとスティングやアルベロの言う事を聞いていたか? アウル、変わりないようで安心したぞ。スティング、二人の世話の面倒をよく見てくれているな」

 

ビアンの言葉に、三人ともこそばゆい様な嬉しそうな笑みを浮かべる。三人にとっては良い父親であるらしかった。クエルボも表面的には精神が安定している様子の三人に、内心でほっと一安心する。
三人とも既に完治と呼べる状況にあったとはいえ、何かの切っ掛けで不安定な状況になるとも限らない。自分が直接診る事ができず、クエルボにとって大きな気がかりだった。
ステラ達にとっては恩人に当たる為、クエルボに対してもステラ達の表情は明るい。ひとしきり近況の報告などを終えて、スティングが顔を真摯なモノに変えて口を開いた。

 

「総帥、実際の所ヤラファス島はどうなんです? 相当の被害が出たと聞きました」
「お前達の耳にしている通りだ。今はテンペストのヴァルシオン改を残してきた。彼ならば並大抵以上の敵が相手でも負ける事はあるまい。シン、お前の家族は無事だ。私も確認している」
「! はいっ」
「……さて、機体の説明をしている所を邪魔したようで済まなかったな」
 
これは整備員に向けてのセリフである。自分が所属している組織のトップに話しかけられた事実に、体を硬直させている。

 

「い、いいえ。滅相もありません! 総帥!」
「すまないが機体の説明は私の方からしよう。君は元の仕事に戻りたまえ」
「はは、はい!」

 

そそくさとその場を後にする整備員に悪い事をしたかな、と思ったが、あまり気にしなくても良いだろう。それに手塩にかけた機体だけに自分の口から説明したいと言う欲求もあった。ましてやそれに乗るのは自分にとって実の子にも等しい少年少女達なのだから。
アメノミハシラの第三番格納庫に並べられたのは、五十メートル級の特機の他、MSと同程度の機体が数機。
この機体達のどれが、自分の新たな相棒となるのか、シンは飛鳥に対する負い目と子供らしい期待と興奮を胸に抱き、ビアンの説明に耳を傾けた。
ビアンが最初に説明を始めたのは青いボディに威厳のある人の顔を持った巨人だ。星型の頭部と胸にも星に似た意匠を持ち、航空機のジェットエンジンに似た肩が特徴的で、胴が小さく脚部がかなり大きく造られている。

 

「SRG-01グルンガスト。ギナシオンに続いて本格的に一から造った特機だ。関節部にはTGCジョイントを採用、装甲にはVG合金を使っている。
動力はプラズマ・リアクターだ。MSでは対処できない強大な敵との戦闘を想定した特機のコンセプトを忠実に再現した機体になる」

 

グルンガストは、ビアンが設立したEOT研究機関であるテスラ・ライヒ研究所にいたジョナサン・カザハラが設計・開発に関わった機体である。
本来なら戦闘機と戦車への変形機構を持ち、高い汎用性が追求された機体なのであるが、開発が難航し、完成を間に合わせる為にそれらの機構をオミットしてある。本来ならこのグルッと回ってガスっと変形する機構を持たせたかったのだが、現実は残酷であった。
流せるものなら血の涙を流すほどに悔しかった。とはいえ、今はそれは関係ないので、ビアンは、表面上は平静を装った。

 

「脳波制御装置と音声入力式武器選択装置の他にカルケリア・パルス・ティルゲムも搭載している。これには、シン、お前に乗ってもらう」
「おれですか?」
「ああ。適性検査の結果だ。それに、グルンガストの主武装は実体剣だ。飛鳥でシシオウブレードを使いこなしたお前なら最大限に力を引き出せる。それに、今更変更は出来ん」
「え?」

 

ビアンが指さしたのはグルンガストの右肩装甲の外側だ。そこには『飛鳥』の二文字が書かれていた。見覚えのあるそれは、確かに短い間ではあったが命を預けた愛機ガームリオン・カスタム飛鳥のモノだった。
はっとした表情を浮かべてシンはビアンの顔を見た。

 

「飛鳥の翼は折れてしまったが、新たな力へと受け継がれた。シン、飛鳥に対し負い目を感じているのは分かる。このグルンガストには飛鳥の魂が受け継がれている。このグルンガスト共にお前がどんな道を歩むかは、自分で決められるな?」
 
グルンガストと共に戦場に立ち、DCの旗の下戦い続けるか。それとも今は戦いの意志を眠らせ戦場を離れるか。今ならそれが許されると言外に告げるビアンの言葉に、シンは何を思ったか、静かな瞳でグルンガストを見つめていた。
さて、と一言呟き次の機体に移る。
ガンダムタイプに酷似した機体で、全高は約二十メートルほどか。薄い水色になだらかな曲線を描く装甲を持っている。ウィング状のスラスターを持ち高い機動性を持っているのだろう。

 

「DCMS-08ヒュッケバイン。既存のMSを大幅に上回る機動性、火力を備えたいわばMSを超えたMSとして開発した。極力内臓火器を減らし重量を軽くしてある。
この機体の最大の特徴は動力源でな。プラズマ・ジェネレーターでも核融合炉でもない。ブラックホールエンジンを使っている」
「……ブラックホールって? あの、黒い重力の星というか、なんでも吸い込んじまうアレ?」
「アウル、いくらなんでもそんなわけないだろう。ブラックホールを動力にするなんて、ちょっとファンタジー入ってるって」
「そうだよなあ、スティング」
「いや、そのブラックホールだ。プラズマ・ジェネレーターを搭載する予定だったのだが、協力者が見つかってな。
なんとか実戦配備に間に合った。出力は既存の動力機関の中でも破格だ。その分扱いは難しいし、コストも高いがな。目下はアルベロに任せる予定だ。次にスティングかジャン・キャリーだな。パイロットとしては純粋に技量の高いものが好ましい」

 

ブラックホールっておい、と言う顔をするスティング達の反応が予想通りだったのでビアンはうむと小さく頷いた。元はビアンのいた世界の月にあった基地で起動試験の際に暴走し、わずか数名の生存者を残し全滅させた曰くつきの機体である。
それはビアンの予見した侵略者インスペクターやエアロゲイターの策略によるものだったが、同じくブラックホールを機体の動力源とするグランゾンのパイロットであり開発者のシュウの協力の下、本家ヒュッケバインに見劣りしない高性能機に仕上がっている。
ただ、この機体を使いこなすには極めて高い身体能力と技量が必要とされるため、グルンガストと同じ脳波制御装置が補助として搭載されている。
また、この両機は装備の特殊性と危険性から他勢力に渡った際の事を考え、登録したパイロット以外では起動しないよう処置が施されていた。
万が一機体の中核部を解析しようとした際には機体内の全データが消失し、二度と起動しないようにプログラミングされている。
今回の目玉である二機を、頼もしげにシン達は見上げていた。これからの激戦を戦い抜く為の新たな剣であり、振う責任を思わずにはいられない強大な力であった。