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SRW-SEED_11 ◆Qq8FjfPj1w氏_第03話

Last-modified: 2014-01-03 (金) 00:27:53

第3話「ATXチーム」
「うわぁ…」

機体をシロガネに着艦させ、出された誘導に従って移動していたシンであったが、何気なくつけた機体カメラに映った、
薄いエメラルド色の生地にピタリと包まれたマスクメロンを見て思わずゴクリと生唾を飲み込みながら呟いた。
そしてそのマスクメロンはその実を生やした枝が動くたびに大きな余韻を残しながら、
彼の本能から発せられる視線を絡め取るように縛り付け、彼の喉と意識をさらに焼き尽くしてゆく。

「よし、パイロットはブリッジに来るように」
「…」
「聞こえるか、パイロット!返事をしろ!」
「は、ハイ!すみません」

管制からの苛立ちが混じった指示に我を取り戻したシンであったが、
そのマスクメロンが与えたインパルス―衝撃は、
年齢的にはまだ思春期真っ只中の彼にとってはあまりに大きなものだった。

「…以上だ、下がっていいぞシン・アスカ!」
「………!?り、了解です!」
「まったく、今度はマオ・インダストリーか!しかもパイロットまでどこの馬の骨かわからんとはな!」

慌てて飛び出していったシンを見てシロガネ艦長リー・リンジュンは吐き捨てる。
上からの命令に忠実に従う統率された兵力を最も尊ぶ彼にとっては、先日配属されたATXチームを始めとする、
よくも悪くも個性的な部下達を忌々しく思っていた。

一方のシンはというと、普段の彼であればその言動等からリーに対してよからぬ印象を持つはずなのだが、
マスクメロンが彼の上下半身に与えた衝撃はリーが放つ嫌味、皮肉の全てを右から左に受け流させていた。

「あれ…格納庫はどこだったかな…」

ようやくまともな意識を取り戻したシンであったが、今度は艦内で迷子になっていた。
そして辺りを見回しながら通路を曲がろうとしたとき、足をつんのめらせてしまう。

「う、うわっ!?」
「あ~れ~お奉行様御戯れをでございますです~」
「ラ、ラッキースケベ…」

だが次の瞬間に、そのまま重力に引かれながら転倒せんとした彼を受け止めたのは
マスクメロンの大きさの膨らみと形、極上のプリンの持つ弾力を併せ持ったエアバッグであった。

シンの顔面を生暖かくも柔らかに、だが弾力をも兼ね備えた感触が包み込み、
その両手の指と指の間からエアバッグの実がこぼれ落ちる。

(ん?…これってまさか…)

両手を包み込む感触から、シンの脳裏にはアーモリー1でのあの出来事の記憶が蘇る。
そして恐る恐る顔を上げて目を開いた彼の視界は、
自らの両手からこぼれ落ちている先ほどのマスクメロンにより埋め尽くされていた。
そして彼の顔が急速に真っ赤に染まっていくと同時に、その手を離して身を後ろに飛び跳ねる。

「すすすすすすすいません、すいません!」

思わず我に返り1人でてんやわんやの騒ぎになっているシンであったが、
それとは対称的にマスクメロンの持ち主は平然と口を開く。

「こんな感じでよろしかったりしちゃいますか、エクセ姐様」

若草色の髪をなびかせているマスクメロンの持ち主は明らかにまともな言葉遣いではない口調で無感情に問い掛ける。

「あらん、ラミアちゃんってば冷静なんだからぁ♪もうちょっとこう、大ピン~チ!みたいな感じ出さないと」

ラミアと呼ばれたマスクメロンの持ち主の視線の先にいる、金色の髪をポニーテールの形で結わえ、
ラミアほどではないにしろ顔を埋めたり鷲掴むには十分すぎるであろうサイズのグレープフルーツを実らせた女が
いたずらっ子がそのいたずらを成功させたときのような笑みを浮かべながら、問に答える。
そして彼女は矢継ぎ早に新たなターゲットにその悪戯の矛先を向ける。

「ふふふ、『羨ましい」って顔に書いてあるわよん、アンラッキースケベなブリット君」
「そそそそんなことはありませんよ少尉!」
「またまた無理しちゃってぇ。男ならクスハちゃんに頼んでみたらん?」
「たたたたたた頼めるわけないじゃないですか!」
「んもう、相変わらず予想通りのリアクションねえ。思わずギュッとしたくなる年下の男の子ランキング、マイナス500ポイント」
「…エクセレン、そこまでにしておけ。新人が呆気にとられているぞ」

鼻の穴から赤い液体をたらしている金髪の男の後ろから、黒い髪の先に前髪だけ金色のメッシュを入れた男が現れた。
そしてその男は、まだ心臓をバクバクさせながら3人のやり取りを眺めていたシンの方へとやってきて
珍しい笑みを浮かべながら手を差し出す。

「騒がしくてすまないな。話は聞いている。ATXチームのリーダー、キョウスケ・ナンブだ。よろしく頼む」
「マオ・インダストリーから来ましたシン・アスカです」

シンも手を握り返してそれに応える。

「んもう!ノリが悪いんだからぁダーリンは。エクセレン・ブロウニングよん。よろしくねん」
「なんで俺までスケベ扱いなんですか!…ブルックリン・ラックフィールドです、よろしく」
「ラミア・ラヴレスでございますのですのよ」

エルザム・ギリアムの依頼により、シンをシロガネに配属すべくレイカー・ランドルフは手を打ったのであるが、
イスルギと癒着して極秘に作ったヴァルシオン改CFに加え、
量産型ヒュッケバインmk2を強奪された失策により弱みを作ってしまったケネス・ギャレットは
それに対抗しえず、
また、マオ社から機体のデータ取りのために派遣されたパイロットだというシン・アスカが、
特に自分に不利益になるとは思えなかったことからシンのシロガネ配属を認めたのだった。

シンの肩書きは、教導隊カイ・キタムラ少佐・情報部ギリアム・イエーガー少佐により
提唱されたゲシュペンストを始めとする、既存機改修計画の一環として改修を受けたビルトシュバインの
データを取るためのパイロットとして、マオ・インダストリーから派遣されたパイロットというもので、
ラミアがイスルギ重工から派遣されてシロガネに配属されているのと似たような立場であった。
ちなみにこれには軍属としてシンを連邦に所属させるよりは客観的な視点から
新西暦の世界を見ることができるように、とのエルザムたちの配慮があったのであるが。

「あらどうしたのキョウスケ、まーたむっつりした顔しちゃって」

格納庫で愛機アルト・アイゼンのコックピットからビルトシュバインを睨みつけるキョウスケにエクセレンが問い掛ける。

「妙だとは思わんか?」
「ん~、そりゃラミアちゃんの胸に飛び込んだ挙句、揉みしだくなんて偶然とは思えないけど…」
「とぼけるな。確かにヴァルシオンやヒュッケバイン強奪をみるかぎりDC残党の動きが活発してる今、
 戦力の拡充は望ましいが、タイミングがよすぎるような気がする。
 それにラミア同様、どこか素性が知れない…あくまでも勘にすぎんがな」
「でも経歴に不審な点はないんでしょ?」
「経歴なんていくらでもでっち上げられる。何かが起きる前触れでないといいんだがな…」
「はあ、キョウスケの勘は悪いことばかり当たるのよねん」
「だが今はこの後のDC残党の拠点を潰すことだけを考える。これまでの散発的な戦闘というわけにはいかないだろうからな」

そう言って嫌な予感と少しの苛立ちを抱えながらキョウスケは愛機の点検を続ける。
だがそれ以上の苛立ちを抱えている人物がアメリカにいた。

「一体何がどうなっておるのだ!奴らは何を考えておる!!」

報告書を読みながらコーヒーカップを床にたたきつけたのはラングレー基地司令官ケネス・ギャレットである。

執務用のデスクには報告書の類が山のように積み重なっているものの、
彼が望むような事態が記載されたものは1つたりとも存在していない。

DC残党による破壊活動に関するものや強奪されたヴァルシオン、ヒュッケバインの行方が未だ不明であるというもの、
交戦していた連邦軍・DC残党双方に襲い掛かった勢力によりいくつかの小隊が壊滅させられたというもの、
なかなか進まないパイロットのヒュッケバインへの機種変更などなど、
ケネス・ギャレットという軍人の功績になるものは何一つなかった。

その頃、メキシコ高原にあるDC残党の拠点に残されたライノセラスからは、
接近してくるシロガネを迎撃するため戦闘機、アーマード・モジュールが慌しく発進していく。
そして格納庫では指揮官機であるガーリオン・カスタムの出撃準備が完了しようとしていた。

「カーラ、敵はどうやらスペースノア級らしい。無茶をするなよ、俺達の役目はあくまでしんがりだ」

とある味方機に通信を入れるのはDC残党軍のアーマード・モジュール部隊の隊長であるユウキ・ジェグナンである。
彼はビアン・ゾルダーク死亡後も、ビアンの理想を実現すべくDCとしてエアロゲイターとの戦いを続けて今に至っている。
その根底には連邦のやり方では最終的に地球圏を守り抜くことができない、との信念がある。
そして、通信の相手方であるリルカーラ・ボーグナインの弟がエアロゲイターの攻撃の際に
亡き人となったことも彼の信念をさらに強いものとしているのだった。

「そんなことわかってるよ!ユウこそ油断して撃ち落されないようにね!」
「誰に言っている?とにかくこんな所で死ぬなよ、さっきも言ったがお前の復讐は終わっているんだ」
「あら、なんだかんだであたしのこと心配してくれてるんだ。ユウって実はクーデレ?」
「…(ここで乗せられるなユウキ、乗せられたらこいつの思う壺だ)」
「もうユウったら照れ屋さんなんだからぁ」
「…それだけの口を叩いているなら気負いはないようだな。カルチェラタン1、ユウキ・ジェグナン出るぞ!」

ガーリオン・カスタムが飛び立った先には、砲撃を続けながら接近してくるシロガネ、
シロガネから発進し、前線部隊と交戦は始めたアルトアイゼン、ヴァイスリッター、ヒュッケバインMkⅡ、
それに続き、かなり特徴的な外観を有するアンジュルグ、そしてビルトシュバインの姿があった。

「あの機体は…ATXチーム、相手にとって不足はない!」

そう言うとユウはガーリオン・カスタムを前線に向けて羽ばたかせた。