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SRW-SEED_11 ◆Qq8FjfPj1w氏_第31話

Last-modified: 2014-01-03 (金) 00:59:03
 

「インスペクターの大部隊、なおも本艦に向けて接近中です」

 

 エターナルのブリッジに緊張感を帯びた報告が上がる。
 その報告を受けた覇王は変らず険しい表情を浮かべてモニターに映ったエターナルとインスペクターの部隊の位置関係を示す図を睨みつけていた。

 

 シャドウミラーが奪取に成功したシロガネと合流すべく地中深くに潜航していたアースクレイドルから出撃したラクシズ旗艦エターナルは、インスペクターの支配勢力圏内に侵入しないような進路を取りながら南アメリカを抜けてハワイ付近を通過して極東地区へ向けて進軍中であった。
 だがここでラクシズにとっては運の悪いことに、ノイエDCにも思いもよらぬスピードでハワイがインスペクターによって侵略されてしまい、ハワイ・ヒッカム基地から発進したインスペクターの大部隊に追い回されるという結果になってしまったのである。

 

「いかがなさいますか、ラクス様?」
「このまま振り切ることは可能ですか?」
「敵戦力には戦艦もいます。逃げ切ることは難しいと思われます」

 

 エターナルブリッジの艦長席よりも上に位置するCE世界に君臨せんとした覇王ことラクス・クラインは事実上の副官であるマーチン・ダコスタの報告を、険しい表情を浮かべたまま聞いていた。
 逃げ切ることが難しいのであれば改修を終えたミーティアとともに少数精鋭の部隊を出撃させて相手の出鼻を挫き、その隙に一気に離脱するということも考えられるのであるが、現在、ヴァイサーガ受領催告のため調整を終えた4人目のキラ・ヤマトとアスラン・ザラはその乗機とともにエターナルにはいない。
 彼らに次いでラクシズの中で腕が立つヒルダ、ヘルベルト、マーズは北米での戦闘で死亡又は意識不明の重体で戦闘には使えない。
 アースクレイドルのノイエDCやシャドウミラーから供与を受けた量産機はそれなりにあるものの、様式の違うコックピットや技術が用いられていることからパイロット達の訓練はあまり進んでいないので、これも戦力と数えることは難しかった。

 

「ヴィンデル大佐が奪取に成功したというシロガネへの救援要請は?」
「もう要請済みです。ですがシロガネの位置からすると、敵に追いつかれる方が先になると思われます」
「ではシロガネよりも近くにいる友軍部隊は?」
「ここから一番近い所にいるのは……対インスペクターの特殊部隊オーバーレイブンズが訓練を行っているようです。ですが………」

 

 主に伝えるのは気が進まない、ある種の気まずさを顔に浮かべたダコスタが言葉を詰まらせた。
 視線が上方をさまよっており、彼が覇王への報告をすべきか迷っているというのは誰の目にも明らかであった。

 

「どうしました、ダコスタさん。ですが、何ですか?」
「記録によればオーバーレイブンズの隊長は『あの』ユウキ・ジェグナンです…」

 

 見た相手を射殺すような強い視線でダコスタを貫く覇王の目にたじろいだダコスタが観念したかのように口を開いた。
 そして、それを聞いた覇王は内心で舌打ちし、さらに表情を強張らせていく。
 三人目のキラ・ヤマトが魔装機神サイバスターとマサキ・アンドーとの戦い死亡してしまい、戦力の大黒柱を失っていたラクシズの前に立ち塞がって残った戦力に大きな打撃を与えただけでなく、不敬なる態度で覇王に対峙してエターナルをギリギリのところまで追い詰めたというのがラクシズにとってのユウキ・ジェグナンである。
 覇王にとって、そして覇王を絶対的主とするラクシズにとっては、ギルバート・デュランダルやストライクフリーダムを撃破したサイバスターに並ぶような忌むべき存在だというのが黙示のうちに形成された認識なのである。
 当然ながら覇王は黙ったまま、救援を要請すべきかを迷っていた。
 救援要請をすることは、自らに弓引いた者へ頭を下げることに他ならず、CE世界においてほぼ全てのコーディネーターから賛美されていた覇王にとっては屈辱以外の何者でもない。
 だがキラ・ヤマトやアスラン・ザラといった戦力の柱を欠く今のエターナルの状況を考えれば、このままいけば覇王の軍勢を完全に壊滅に追い込みかねない。
 怒りに目元を引きつらせ、堅く結んだ口の中できつく歯を喰いしばりながら覇王はこのジレンマと必死に戦っていた。

 

「い、インスペクター、進路を変更していきます!」
「どういうことですか?」
「インスペクター進行方向に戦艦クラスの熱源反応があります。おそらくそっちに狙いを定めたのではないかと」

 

 インスペクターの進路変更は、再び覇王に自らを加護する天運の存在を確信させるものであった。
 そして、やはり異世界においても自らが思ったように事象は進み、自らが屈辱にまみれるなどということはないのだ、そのような存在なのだと覇王は信じずにはいられなかった。

 

「そうですか…ですが可能な限り速やかに現空域からの離脱を。シロガネとの合流を急いでください」

 

 安堵して大きく息を吐きながら、覇王は新たな指示を出す。口元を歪める、コーディネーター達を取り込む笑みを浮かべながら。

 
 

 一方、北極圏へ向かうべく伊豆基地を発ったクロガネであったが、運の悪いことに、ハワイ付近を通過したエターナルを追ってきていたインスペクターの大部隊と遭遇してしまっていた。

 

「ええい、本当にしぶとい奴だね!」

 

 接収した地球側の機動兵器を先導するインスペクターの指揮官機シルベルヴィントを操るインスペクター四天王の紅一点アギーハが毒づいた。
 彼女らを足止めすべく単機でクロガネから出撃した黒いヒュッケバイン、ヒュッケバインMK-Ⅲトロンベが予想以上の奮戦をしており、クロガネに現海域からの離脱を許してしまったからである。
 だがレーツェルが駆るヒュッケバインMK-Ⅲトロンベもインスペクターの物量攻撃に晒されて損傷が蓄積しており、急場凌ぎの調整も祟ってしまい、弾薬やエネルギーなども限界に近付いていた。

 

「まだ粘るのかい?あたいのダーリン並のスタミナだねぇ」
「くっ、トロンベが…!」

 

 レーツェルの操縦への反応すら遅れてきたヒュッケバインMK-Ⅲトロンベをインスペクターの尖兵となったガーリオンの部隊を包囲する。
 八方からレールガンを向けられて身動きが取れないヒュッケバインMK-Ⅲトロンベは、グラビトンライフルの銃口を1機のガーリオンに向けたままになってしまっていた。

 

「わかったかい?この間のはただのまぐれ。そんじょそこらの機体じゃ、あたいのシルベルヴィントのスピードにはついて来れないのさ」

 

 レーツェルはシン達とともにテスラ研から脱出したときにアメリカでアギーハのシルベルヴィントと交戦していたのだが、その時はラクシズこと覇王の軍勢の介入もあって少なからぬ損害を受けたシルベルヴィントの方が撤退することになったため、そのリベンジも兼ねてアギーハは普段以上の気合を以ってレーツェルとの戦いに臨んでいたのである。

 

「…」
「ま、よくやったと褒めてあげるよ。……じゃあ、死にな」

 

 そう言ってアギーハがバイオロイド兵が操縦する機体に命令を発するが、バイオロイド兵達はその命令を遂行することはなかった。
 各機の周辺空域から現れた大漁の光弾がレーツェルを包囲していたインスペクターの機体へ向かい、一斉に襲いかかり、ほとんど一瞬で全ての機体を破壊し尽してしまったからである。
 そして、機体の残骸が大きな音を立てながら海へと落下していくのとは逆に、上昇していく爆煙の先にこの攻撃を仕掛けた真犯人がいた。

 

「な、何だい!?何が起きた!?」
「何!?」

 

 上空から降りてくる黒い影を認識したアギーハ、レーツェルが上を見上げるとそこにいたのは、ゆっくりと機体各部のバーニアの出力を弱めて徐々に降下してくる、紫がかった青く分厚い装甲をした機体。
 その機体の名前はグランゾン。旧DCが開発したとされているが詳細は不明であり、副総裁シュウ・シラカワが南極で異星人を攻撃するのに用いた機体でもあり、結果的に地球と異星人との激しい戦いが始まるきっかけを作った張本人であるともいえる。

 

「あれは……!!」
「まさか…!?いや、このデータは!ま、間違いない!あいつは…グランゾン!!」
「やはり…ご存知ですか、私の機体を」
「シュウ・シラカワ…!あんたがそうなのかい!?」
「ええ、以後お見知りおきを」
「お久しぶりですね、エルザム少佐」
「シラカワ博士…なぜここに?」

 

 ともにシュウ・シラカワとグランゾンの出現に驚きを隠しえないレーツェルとアギーハであったが、その意味合いには違いがある。
 レーツェルにとっては強大な戦力を有している機体と何を目的として行動しているのか不明な人物が現れた位の意味がせいぜいであるが、インスペクターのアギーハにとってはそれどころではない。
 彼女にとってのシュウ・シラカワとグランゾンは南極で突如インスペクターに攻撃を加え、地球の侵略計画に著しい障害をもたらした忌むべき相手なのである。

 

「理由はあなたと同じですよ」
「何?!」
「異星人に対する切り札の一つを失うのは私にとってもあまり望ましいことではないのです。それに…個人的に確かめたいこともありましてね」
「確かめたいことだと?」
「シュウ・シラカワ!ここであったが百年目って奴だ!その機体を渡してもらうよ!」
「フッ、その物言い…あなたも彼と同じですね」
「どういう意味だい?!」
「猪突猛進…相手をするだけ時間の無駄だということですよ」

 

 シュウの脳裏に浮かんだのは言うまでもなく魔装機神サイバスターを駆って彼とグランゾンを追い回す、良く言えばその熱い心で風を熱風に変えていく男、悪く言ってしまえばあまり物事を考えず勢いに任せて行動してばかりの煩わしい相手である。

 

「ふざけんじゃない!命が惜しければ、さっさとグランゾンをよこしな!」
「私の機体を手に入れて何をなさるつもりなのです?」
「答える必要なんてないよ!アンタは黙ってそいつをあたい達に引渡せばいいのさ!」
「…そうですか。しかし、今はまだ撒いた種の刈り取り時期ではないはず…どうやらあなた方は『違う』ようですね」
「何だって?!」
「ならばあなた方に用はありません。…もっともそちらの方はどうかわかりませんがね」
「そちら?一体誰のことだい!?」

 

 今まで会話をしてきた3人以外の人物がここに存在するということを前提としたシュウの言葉にアギーハの表情が歪むが、当然のことながらそれを全く気に留めることもなくシュウは誰もいない、何もない方向へと視線を向けている。
 意図の読めない行動にレーツェルも何もない空間を意識を集中させていたのだが、それでもなお3者はそれ以後口を開かぬまましばらく沈黙したまま時間が過ぎていった。

 

「何もいないじゃない…か…?」

 

 最初に痺れを切らしたアギーハが口を開いた途端に彼女も異変に気付いた。目の前の空間が歪んでいくのとともに、シルベルヴィントのコックピットの計器も異常を知らせ始める。
 シルベルヴィント、そしてグランゾンが感知した重力震反応が増大していき、シュウが示した空間が一瞬だけ強く光ると、次の瞬間には発光した場所に1体の機動兵器と思しき物体が出現していた。
 「それ」は黒い仮面を被ったような頭部、仮面の奥から鈍く輝く光を放つ赤い目、禍々しく広がり大きく背部を被う黒と薄茶色の翼を持ち、翼と同様に黒と薄茶色のボディをしている。
 見ようによっては生物に見えなくもない、まるで地獄の奥底に巣食う悪魔のような姿をしている「それ」の特徴はそれだけではない。
 科学的、物理的な法則を超えて、対峙するアギーハやレーツェルだけでなく、ほとんど常に気負いなどせず冷静にいるシュウですら、言葉では言い表せない、胸の内がざわつくような嫌悪感を抱き始めていたのである。その原因は決して「それ」の外見を見た故のものではない。言うならば生物としての本能が「それ」を拒絶していた。

 

 その機体の名前はディス・アストラナガン。

 

 かつてシャドウミラーがいた世界とはまた異なる世界においてイングラム・プリスケンがその世界のSRX計画を通じて得た技術、サイバスターやオーラバトラーといった異世界の技術に、地球各地のスーパーロボットに使われていた技術とゼ・バルマリィ帝国の兵器技術を組み合わせて完成させた漆黒の天使アストラナガンは、異世界のリュウセイ・ダテらの協力を得て、ユーゼス・ゴッツォを倒すことができた。
 だが後にまつろわぬ霊の王、霊帝ケイサル・エフェスに敗れたアストラナガンは残骸となりながらも、1体の自我なき人形が乗るヴァルク・ベンを取り込み、ベルグバウとして復活する。
 さらに、ディス・レヴのプロトタイプとアストラナガンのデータを基に作成されたパーツを組み込まれてベルグバウは生まれ変わった。
 冥界に溢れる負の無限力を得たアストラナガン、それがこのディス・アストラナガンである。

 

「ば、馬鹿な、空間転移だって!?データにもないし、アンタは何者だい!?」
「私にも教えてもらえますか?見たところ、地球の機体ではないようですが」
「俺は…俺はクォヴレー・ゴードン………そう俺は…新たな因果律の番人だ」

 
 

 第31話「新たな番人の再来」

 
 

 ディス・アストラナガンとディス・レヴを制御できる唯1人の人間であり、イングラムの魂を取り込んで自我を形成し、鋼の救世主達と共に戦う中で完全に確立させた自我を以って終には完全にイングラム・プリスケンを取り込んだのが、ここにいるクォヴレー・ゴードンである。

 

「…そうですか。ですがそうだとすれば貴方はオペレーションSRWの後にまた別の所へいかれたはずでは?」
「シュウ・シラカワ…それにグランゾンか」

 

 クォヴレーの知識にあるグランゾンは、彼が取り込んだオリジネーターの記憶にあるグランゾンとは異なる存在だが、それでも本気でアストラナガンとグランゾンが戦えば地球は滅びかねないことは確かであろうことから、クォヴレーも対応を考えざるを得ない。
 万が一にもここでおかしな事態を引き起こしてはならないのだから、そのために言葉を慎重に選んで口を開く。

 

「俺は落とし物を捜している…ただそれだけのことだ」
「では今この世界に介入するつもりはない、ということですか?」
「ああ、今のところはな」

 

 数多くの仲間と共に霊帝ケイサル・エフェスを屠り、イングラム・プリスケンの後を継いで新たな因果律の番人となった彼は、シュウの言うとおり今はここにいるべき人間ではない。
 オペレーションSRWの最後の戦いで最後の審判者を屠り、オリジネーターの魂を解放するためにリュウセイとSRXに力を貸したクォヴレーは、本来であればこの世界から立ち去っているはずだった。
 だが、シンやレイ、ラクシズの面々が不慮の事故で転移をしてしまったときの衝撃で、共にいくはずであったオリジネーター、厳密に言えば辛うじて救出できたオリジネーターの魂ではなく、オリジネーターが駆っていたアストラナガンの残骸とはぐれてしまったクォヴレーは再びこの世界に、アストラナガンを捜すべくやってきたのであった。

 

 アストランガンはあまりに強大な力を持っており、さらに幾らかの自己再生能力すら有していることから、最悪の場合には全ての世界のバランスを崩しかねず、因果律の番人としてそのような事態は防がねばならなかったのである。
 だがこの世界へと再びやってきてからアストラナガンの捜索は難航しており、今まではアストラナガンの反応を感知することはできないでいた。
 クォヴレーがここにいるのは、久方ぶりに地中奥深くのアースクレイドルからシロガネと合流すべく地上へ出てきた、アストラナガンの残骸の仮住まいでるエターナルの中から放たれる極々微弱は反応をキャッチできたからにすぎない。
 そのような弱い反応しか得られなかったからこそ、エターナルとは随分離れたこの場所にいるのである。
 そしてクォヴレーにとってのもう1つの不幸は、アストラナガンを現在所持しているのは、別世界の人間とはいえ彼がいた世界ではともに戦っていたラクシズの面々だということであろう。

 

 だがクォヴレーのいた世界のラクシズと、この世界へとやってきたラクシズには大きな違いがあった。
 それはこの世界にいるラクシズの抑止力が、彼らの世界、つまりシンやレイがいた世界ではあまりに弱かったことである。
 今現在この新西暦の世界にいるラクシズは、その圧倒的な武力によりギルバート・デュランダルを殺害してプラントを完全掌握して、その力で連合の打破すら可能とする力を持つに至った。
 まさに、CE世界の覇王とその軍勢となる一歩手前にまで迫っていた。
 だがクォヴレーのいた世界にはいくらラクシズが各所から強奪した最新鋭の機体や洗脳能力、スーパーコーディネーター他の高い戦闘能力を持ったコーディネーターを有していたとしても、それだけで地球とプラントを支配し、覇王となることはできなかったであろう。
 何人ものニュータイプやその思いを力に変えることができるMS、人と獣だけでなく神すら超える超獣機神、人の進化を促す力ビムラーを力に変える戦国魔神とゲッター線の使い、人の心を宿した魔神皇帝、5つの心を1つにして誕生する超電磁のスーパーロボットに勇気を無限の力に変える究極の破壊神等の強大なる抑止力があったクォヴレーの世界では、覇王が世界を掌握しようとしても不可能であり、その世界の覇王もそのような野心すら持つことはできなかったし、彼女の影響力もCE世界などとは比べ物にならないほど小さかった。

 
 

「何をごちゃごちゃ言ってるんだい!!」

 

 シュウとクォヴレーの間で交わされる会話の意味をまったく理解できなかった2人の人間のうちの1人、インスペクター四天王裏のリーダーことアギーハが、自分の存在をほぼ完全に無視して話を続けようとするシュウとクォヴレーに向かって襲いかかる。
 シルベルヴィントは猛烈な勢いで突っ込んで来てディス・アストラナガンに高周波ブレードを振り下ろす。翼を羽ばたかせて後退して攻撃を回避させたクォヴレーであったが、半ば怒りに身を任せているアギーハはなおも執拗にアストラナガンへと襲いかかる。
 連続して繰り出される斬撃を回避し続けるアストラナガンであったが、これを好機に動き出す男もいた。
 シュウはアギーハの攻撃の手がアストラナガンへと向いている隙に、グランゾンを行動不能寸前のヒュッケバインMK-Ⅲトロンベの元へと向かわせると、そのままヒュッケバインを抱え込み、一気にスラスターの出力を上昇させて現在の戦闘区域からの離脱を開始する。

 

「!どこへ行くつもりだ、シュウ・シラカワ?」
「介入するつもりがないところを申し訳ないのですが、私はこちらの方と目的地まで同行しなければなりません。この場を任されてもらえませんか?」
「黒いヒュッケバイン…レーツェル・ファインシュメッカーか…だが…」
「だからいい加減あたいを無視して話を進めてるんじゃないよ!!」

 

 意識をグランゾンの方へ向けていたためわずかに隙が出来たディス・アストラナガンを狙い、シルベルヴィントの腹部の展開を終えて照準を定め終えていた。
 そしてアギーハが引鉄を引くと共に放たれた大出力のエネルギーがアストラナガンを捉え飲み込もうとする。

 

「くっ!」

 

 だがクォヴレーもただ甘んじて攻撃を受けるはずもない。咄嗟に機体周辺にディフレクト・フィールドを展開すると、アストラナガンを飲み込まんとするビームを四方八方に弾き飛ばした。
 とはいえアギーハはさらに追い撃ちをかけるべく再び機動させた高周波ブレードを左右交互に振り下ろしていく。
 一撃目をディフレクト・フィールドで凌いだアストラナガンは、今の攻撃で後方へ弾き飛ばされたのを利用して背部からアストラナガンの全長弱ほどもある棒状の物体にも見えるツイン・ラアムライフルを取り出すと、その銃身を盾代わりにして二撃目の斬撃を受け止めた。

 

「では、よろしくお願いしますよ」
「ま、待て!」
「こうなったらアンタをさっさと片付けて空間転移できるその機体をいただくよ!どうやらレアモノらしいからね」

 

 これまで捜していたグランゾンに逃げられ、偶然出会ったスペースノア級戦艦を取り逃したアギーハはその穴埋めをどうすべきか考えていたが、すぐに狙いをディス・アストラナガンに絞る。
 空間転移を可能とする装置の数が限られているというインスペクターの懐事情を考えればアストラナガンは十分すぎるほどの価値があるからである。
 アギーハはニヤリと笑うと引き連れてきていたキラーホエールへ、ある指示を出した。

 

「!!」

 

 すぐにキラーホエールから次々とバイオロイド兵の操縦する数十機にも及ぶリオンやガーリオン、バレリオンに戦闘機、つまりインスペクターに鹵獲された地球側の機動兵器が飛び出してくると、それらは一斉にディス・アストラナガンへと向かっていく。
 これに対してディス・アストラナガンは、それらの機体から放たれるレールガンの弾丸やビームのエネルギーをディフレクト・フィールドで弾き飛ばしながら機体を上昇させていくが、コックピットの中にいるクォヴレーは表情を変えることはなかった。
 さらにアストラナガンは高度を上げていくが、それと同時に反撃に転じ始めている。

 

「エンゲージ…狙いはもうついている!」

 

 ディス・アストラナガンはディフレクト・フィールドを発生させていた翼の一部と肩部の砲身を変形させて両肩の前へと展開させる。

 

「メス・アッシャー、マキシマム・シュート!」

 

 そして両肩からせり出した2門の砲塔は、黒光りする輝きを帯びた黒色の弾丸とそれに率いられた金色に輝くエネルギーを吐き出した。
 広範囲に及ぶ攻撃にインスペクターの部隊の機体は次々と飲み込まれていくが、その攻撃の通った後には飲み込まれた機体の破片や残骸すら残っていない。
 飲み込んだ相手をまさにこの世界から姿を「消した」攻撃を散開して運良く回避した機体は、戦う人形であるバイオロイド兵が操縦するものであるが故に、ディス・レヴによって死霊悪霊の怨念といった負の無限力を具現化した圧倒的な力を持つ攻撃を目の当たりにしてもなんら意に介することはしない。
 ディス・アストラナガンを包囲するべく周囲に広がっていくリオンやガーリオンは徐々に展開を進めて、ディス・アストラナガンを囲んでいく。
 対するディス・アストランガンがツイン・ラアムライフルを再び手に取ると、その先端に大きく首をもたげたゾル・オリハルコニウムの刃が形成させた。

 

「Z・Oサイズ…!」

 

 そしてイングラムのアストランガンが持っていたZ・Oソードのゾル・オリハルコニウムをそのまま大鎌の刃へと変えたZ・Oサイズを手にしたディス・アストラナガンは、その死霊の大鎌を持ったまま、自分をも回転させて360°一回転しながら大鎌を振り抜いた。
 振り抜かれた刃の通過点にいた、ディス・アストラナガンを包囲すべく散開したまま接近してきていた4機のガーリオンは、刃が宙を舞った次の時にはその胴体を中心にして上下半身の2つに分断されてしまっていた。
 他方で、鎌による災厄を逃れたリオンやガーリオンは刃の錆になるのを防ぐべく、今度は広く散開してディス・アストランガンとの距離を確保し始める。
 だがクォヴレーも攻撃の手を緩めたりはしない。戦いが始まってしまった以上やむを得ないが、本来しなければならないアストラナガンの捜索を少しでも早く行うためにも、ここで戦っている場合ではない。そのために少しでも早く戦闘を終わらせようとクォヴレーは判断した。
 ディス・アストラナガンから敵機が離れていったところを見計らってクォヴレーはわずかに上半身を屈めて背部から6基の黒い物体を射出する。

 

「捕捉は可能だ…!行け、ガン・スレイヴ!」

 

 クォヴレーからの命令に反応して射出された物体に割れ目が入り、コの字のように折れ曲がる。続いて左右に蝙蝠の翼のようなウイングが瞬間的に生え揃い、
 羽ばたきながら散らばってディス・アストラナガンに周囲に展開している機体へと襲いかかっていった。
 それぞれがまるで意思を持っているかのようにそれぞれのターゲットに向かっていく個々のガン・スレイヴは生物のようにやわらかに動き回りながら光弾を吐き出していく。
 胴体に光弾の直撃を受けたガーリオンは破片を撒き散らしながら海上への落下を始め、2基のスレイヴに光弾を連続して叩き込まれたバレリオンはその場で爆散してしまった。
 次から次へと獲物を撃ち落して破壊を振り撒いていくガン・スレイヴを余所に、クォヴレーはZ・Oサイズを構えてシルベルヴィントへと斬りかかっていく。

 

「このっ!やってくれるじゃないか!!」
「俺もこのまま悠長に戦っている暇はない!手っ取り早く頭を潰す!」

 

 ディス・アストランガンが大きく振り回して繰り出した大鎌を、当初はシルベルヴィントの持つインスペクター四天王一のスピードで回避しようとしたアギーハであったが、ライトグリーンの粒子をウイングから噴き出して向かってくるディス・アストラナガンの想像以上のスピードを見て、回避行動が間に合わないと判断すると、両腕のブレードでその斬撃を受け止めた。
 だが、勢いが乗った斬撃はインスペクター四天王の中では最も馬鹿力とは遠いシルベルヴィントを弾き飛ばし、アギーハもコックピットの中で殺しきれなかった衝撃に襲われて歯を喰いしばる。そして弾き飛ばされつつも再びシルベルヴィント腹部に搭載されたフォトンビームの照準が狙いを定めた。
 急速に発射したため本来よりも攻撃力は劣るものになってしまうが確実に相手の戦闘能力を削るために不可避のタイミングで放たれたフォトンビームは真っ直ぐにディス・アストラナガンへと迫っていく。
 ディフレクト・フィールドの展開が間に合わないと判断したクォヴレーはとっさに手にしたZ・Oサイズでフォトンビームを受けるが、ゾル・オリハルコニウムでできた刃であってもビームの勢いを殺しきることはできず、ディス・アストラナガンは後方へと弾き飛ばされてしまった。

 

「しめた!隙を見せたね!」

 

 ディス・アストランガンが体勢を崩したタイミングを狙ってシルベルヴィントが切りかかっていくが、クォヴレーもツイン・ラアムライフルの銃身、つまりZ・Oサイズの柄の部分で高周波ブレードを受け止める。
 だが攻撃を受け止めたとはいえ、勢いをつけて切りかかってきたシルベルヴィントにディス・アストランガンは押し込まれてゆき、超高速で振動する刃がディス・アストラナガンの目の前にまで迫ってきた。

 

「くっ!だが…!」

 

 ブレードに顔面を切り裂かれる前にとっさにがら空きとなっているシルベルヴィントの下半身に蹴りを叩き込んだディス・アストラナガンは、その勢いを利用していったん後退する。
 その時、アギーハによる再攻撃が始まる前に、いわば雑兵掃除を終えていくつかのガン・スレイヴがクォヴレーの元へと戻ってき始めていた。
 そしてガン・スレイヴ達は、今度はシルベルヴィントの周囲を不規則に飛び交いながら、破壊の光弾を異星からの侵略者に向けて吐き出し始める。

 

「このっ!ちょこまかと!」

 

 シルベルヴィントは取り回しのいい飛び道具を持たないため、アギーハは機体を上下に、左右にせわしなく動かしてガン・スレイヴの攻撃を回避し続けるしかなかった。
 そしてこの隙にクォヴレーとディス・アストラナガンは体勢を整えなおすとZ・Oサイズを構えてシルベルヴィントへと向かっていく。

 

「はああああぁぁぁ!!!」

 

 そしてまるで野球のバッターがするかのように、ディス・アストラナガンは腰をいったん捻って大きく引いた冥神の大鎌を、捻っていたのとは逆方向へ横一文字に一気に振り抜いた。
 対するシルベルヴィントは左右の高周波ブレードを突き出して渾身の力が込められた斬撃でなんとか上へ弾きとばすが、今の凄まじい衝撃に耐え切れなかった左右のブレードは片方が粉々に砕け散って破片の集まりへと姿を変え、他方もブレードの先端がぐにゃりと曲がってしまう。

 

「ぐ…!クソっ、ブレードが…!」

 

 アギーハが衝撃と武器が破壊されたという事実に顔を歪ませる一方で、斬撃を弾かれたディス・アストラナガンは既に次の攻撃モーションへと移行していた。
 斬撃を上方へ弾かれたということは必然的に自らの胴体ががら空きになることを意味するが、その原因となるのはその腕が上方へ振り上げられてしまうということである。
 だが、獲物を持った腕が上方へ振り上げられたということは、上方から下方へと放たれる、地球の重力すらも我が力と変えた斬撃を繰り出す姿勢が整うことも意味していた。

 

「切り裂け!」
「!」

 

 黒と茶色に輝く禍々しいウイングから噴出すとは想像も出来ないような美しいエメラルド色に輝く粒子を放ちながら、冥神の大鎌はシルベルヴィントへと振り下ろされる。
 本能のレベルでの反応でわずかに上半身を横へとそらしてコックピットごと真っ二つにされるのを防いだシルベルヴィントであったが、その肩から先は斬撃により美しく切断された断面を晒しながら海上へと落下していく。

 

「そして打ち砕け!」

 

 クォヴレーとディス・アストラナガンの目の前には、斬撃の致命傷を回避したものの次の反応をしきれていないシルベルヴィントの下半身がある。
 そこへ向けて、クォヴレーはZ・Oサイズの柄の先端、つまりツイン・ラアムライフルの引鉄を引いて近距離からの散弾をぶち込んだ。
 幾つかの小さい爆発を起こすシルベルヴィントの下半身は、コックピットのアギーハに今までにない物理的衝撃を与え、コックピット内には機体の異常を知らせる警報音がけたたましく鳴り始める。

 

「このあたいとシルベルヴィントがこうまで……!!」

 

 アメリカ大陸でレーツェルやシン達と戦った時に、ストライクフリーダムの奇襲によって一気に追い込まれたときとは大きく異なり、今度は真正面からぶつかっておきながらここまで大きなダメージを受けたことはアギーハのプライドにどれほどの傷つけたかは想像に易い。
 だが、彼女も紛れもないインスペクター四天王の1人であり、引き際というものを知っている。
 冷静になって、連れてきた機体は全滅で愛機も相当大きなダメージを負っているという状況を考えれば、どうしなければならないのかはすぐに判断できた。

 

「…どうした、まだやるつもりか?」
「今日はアンタに花を持たせてやるよ!だけどね!アタイ達に喧嘩を売った代償はいずれその命で償わせてやるよ!」
「…」

 

 アギーハがそう言うと、シルベルヴィントはダメージの少ない背部の推進器の出力を一気に上昇させて、戦場からの離脱を始めた。
 クォヴレーとしても、彼の目的はアストラナガンの残骸の捜索にあるため、これ以上の時間のロスは避けたいところであり、せっかく撤退してくれたシルベルヴィントを追うようなことはしなかった。
 そして敵機が完全に姿を消すのを確認して、アストラナガンの反応を捜そうとする。

 

「…やはりもう反応はロストか。だが早く見つけなければ…アレが悪用されては…」

 

 地中奥深くに潜伏していたラクシズ旗艦エターナルの中にあるアストラナガンの残骸が出した微弱な反応を、エターナルが地上へ出来てきた時に運良く掴むことができたクォヴレーであったが、結局今回はそこに辿り着く前にアストラナガンの反応を見失ってしまうことになってしまった。

 

「…」

 

 クォヴレーは深く息を吸って、コックピットのシートにもたれかかり、久々の激しい戦闘の疲れを薄めるように静かに目を閉じた。
 そして数十分ほどした後に戦闘があった反応を掴んだ連邦軍の部隊がそこへ到着したときには、インスペクターの機体の残骸以外に何もいなかったし、発見できなかったことは言うまでもない。

 
 

 所は変わってヒリュウ改の格納庫ではビルトビルガーの調整を終えたシンがビルガーの足元に置かれたコンテナに腰掛けて、水分補給のドリンクを口にしていた。
 乾いた喉が潤っていくのを感じているシンであったが、自分の元へ近付いてくる足音が後ろから聞こえてくるのに気付いた。
 後ろを振り向くと、そこにいたのはシンがこの新西暦の世界にやってきてシロガネにやってきてから共に戦ってきたキョウスケ・ナンブであった。

 

「シン、すまないが俺とブリーフィングルームまで来てくれるか?」
「?いいですけど、どうしたんですか?」

 

 なんだか改まった様な喋り方をして歩いていくキョウスケの後に続きながらシンは首を傾げていた。
 もうだいぶ慣れたヒリュウ改の艦内通路を歩いて到達したブリーフィングルームの扉が開かれると、既に中には何人か先客がいるのがわかる。
 手元のコンピューターを操作しながら何かの作業をしているリョウトに、椅子に座って足を組みながらシロとクロを両肩に乗せて何かを待っているマサキ、母なる大地の重力に引かれた巨大な母性の象徴をものともせずに背筋をまっすぐに伸ばして着席したまま静かに椅子に腰掛けているラミア、落ち着きなくモニターの前を行ったり来たりしているブリットは扉が開いてキョウスケに連れられてシンが入ってくると一斉にそれぞれの視線を向けた。

 

「え…俺、なんかしましたっけ…?」

 

 突然のことにドッキリしたシンが誰にというわけでもなく問うと、モニターの前まで移動したキョウスケが口を開く。

 

「先日のマスタッシュマンとの戦闘の時に現れたアンノウン、アカオニについてちょっとお前に聞きたいことがある」

 

 ズバリ核心をついた問いに、これまでの戦闘記録などからコードネームアカオニことペルゼイン・リヒカイトのパイロットの正体に幾分かの心当たりがあるシンの心拍数が急激に高まっていくが、対するキョウスケは口調、テンポともに変えることなく話を続ける。

 

「アカオニは、お前がよく知っているというジャスティスとやらが襲撃してきたときに初めて現れて以来これまで3度現れているが、奴が初めて現れたときに一瞬だけ現した姿がアインストの指揮官機と同じだったことから俺はアカオニがアインストと何らかの関係を持っているかもしれないと思っている」
「……それで俺とアインストがどう関係してくるんですか?」

 

 外堀は既に埋められつつあることはなんとなくわかっていたシンであったが、まだアカオニことペルゼイン・リヒカイトが自分と結び付くところにまでは話は至っていない。
 シンとしても自分の推測は外れて欲しいと願っていたし、今は新しい人生を精一杯歩んでいるかつての戦友に迷惑を掛けたくはない。

 

「この前、お前やブリット達が超機人の遺跡に行っている間、マサキがアカオニと接触したのは知ってるな?」
「はい、伊豆基地の周辺でノイエDCの部隊と戦闘していた、というのはマサキから聞きました」
「音質には問題があるがその時の会話がいくつかサイバスターのボイスレコーダーに残っていた。それとこの前にマスタッシュマンとアカオニが戦っていた時の声も記録されていた」
「だからダメ元のつもりでヒリュウ改とハガネのデータベースに照合させたんだよ。そうしたら思いもよらないところでヒットしたんだ」

 

 シンほどではないにせよ、やや思い詰めたような表情を浮かべたリョウトが手元のキーボードから手を離して話し始めた。

 

「実はね、前に艦内でリュウセイ君がここの大画面を使って自分のコレクション映像を見ていたときがあったんだけど、その映像の中の声だったんだよ」
「リュウセイの…………じゃあ俺が呼ばれたってことは…」
「そうだ、お前がこの前会いに行ったというレイ・ザ・バレルという男の声なのではないか、というのが俺達の辿り着いた結論だ」
「そんな…でもアイツは記憶喪失で俺のことだって覚えてないんですよ!?」
「ああ、それもわかっている。診断した医者も原因不明だが記憶喪失だと言っている。だが、アカオニが出現した時のレイ・ザ・バレルのアリバイは3回ともない。
 いや、正確に言えば、アカオニが出現する直前に一時的に姿を消して、DCが消えるとひょっこり現れたそうだ」

 

 シンの対応のたびに既に用意された回答を読み上げているようなキョウスケの表情もあまり晴れたものではない。
 むしろキョウスケとしては、シンとはビルトシュバインに乗ってシロガネにやって来た頃から一緒に戦って来たのだし、これまで接してきて把握した人物像やスレードゲルミルなどと戦ったときのシンの身を削った戦い方からイングラムなどとは違い、腹の中にイチモツを隠し持っているとは思っていないので、あまりシンを追い詰めたくはなかった。
 だが、アカオニの正体を突き止めるためにシンから話を聞きだすためには、誰かがヒリュウ改の中で悪人にならざるを得ず、あえて汚れ役を買って出た、というのが実情だった。

 

「俺達はお前が敵だなんて思っちゃいない。だが俺達は軍人だ。アカオニやアインストのような得体の知れない連中の正体を不明のままにしとくわけにはいかん……心当たりはないか?」

 

 そう言ったキョウスケの目を見たシンは、キョウスケとしても気分よく聞いているのではないということがよくわかった気がした。
 だが、シンにはここで思い出したくないことを思い出した。それは、守ると約束したにもかかわらず結局は目の前で息を引き取って逝ったエクステンデット、ステラ・ルーシェとの思い出の欠片―
 味方のザフト、プラントの医療技術が彼女を救えなかっただけでなく、彼女の体を技術研究に用いようとしたという判断がされたことがシンの心に一抹の不安を生じさせた。
 そしてその不安はみるみるうちにシンの心の中に広がり、覆いつくしていく。目の前の仲間が信用できるとしても、その上の連邦軍がどのように判断するかはシンの知るところではないのである。

 

「…………………!?」

 

 長い沈黙が場を支配していたが、それは艦内に鳴り響いた警報音により終わりを迎える。
 警報音が鳴り止むのとほぼ時を同じくして、ブリーフィングルームにブリッジからの、慌しい声と信じ難い事実が告げられた。

 

「た、大変です。ヴァイスリッターがいきなり出撃しました!!」

 

 そして、ほぼ同時刻、あの男の頭の中にアインストを率いる少女の声が響き、4度目の戦いに誘おうとしていた…

 
 

 ―つづく―

 
 

  

 

 

【次回予告】
 クォヴレー 「さて読者のほとんどが忘れた頃に俺、参上だったな」
 レイ    「おいおい、そいつぁ俺の台詞だぜ~」
 シン    「ってかアンタは一体誰なんだ!?」
 クォヴレー 「なあに、通りすがりの主人公だ」
 レイ    「ま、本当の主役は俺だけどな」
 シン    「おいwちょっと待てwww」
 エクセレン 「でもシン君はそろそろ本腰入れてキバっていかないとまずいんじゃないかしらん?
        ってことでブリット君、出番よ!歯磨きは終わってる!?」
 ブリット  「えぇぇぇぇ!?じ、じゃあここは俺がガブ………ってしちゃ駄目でしょうが!」
 レイ    「おいおい兄ちゃん、そんな堅いこと言うなよ」
 エクセレン 「じゃあ別のてこ入れをしないとねぇ…う~ん、シン君にも大人の階段上らせてみるてのは?
        ちょうどマ○ロス界のラッキースケベさんもボインと太腿にクラッときて
        阿修羅ならぬ童○を凌駕する存在になれたわけだし」
 キラ    「何?シンってまだだったの?」
 シン    「アンタだってそこら辺よくわからないじゃないかよ!?
        OPで青○リボンプレイしてやがったけど」
 キラ    「何言ってるんだい、僕は一人目だよ?
        BPOに呼び出し喰らった主演男優に向かって失礼じゃないか」
 シン    「威張って言うことじゃないだろ!!」
 レイ    「ところで、肝心の相手はどうするつもりだ?」
 エクセレン 「そうねえ…ボインと太腿ならやっぱりラミアちゃんかしら」
 キョウスケ 「…お前達、そろそろいい加減にしないと18禁にされるぞ」
 クォヴレー 「では次回スーパーロボット大戦オリジナルジェネレーションズデスティニー、
        第32話『その名はレイ・ザ・バレル』をよろしく頼む。
        …次の俺の出番はいつだろうか…」