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Seed-Ace_ACES_1-3

Last-modified: 2008-07-08 (火) 20:49:34

機動戦士ガンダムSEED ACES
Phase1 Misson3
 
 無駄に広い第三会議室で、僕を待っていたのは若い女性技官だった。
 
「地球連合軍総合研究所所属、マリュー・ラミアス大尉であります。突然の……」
「レトリックは省いてかまわないよ、時間が惜しいから、用件だけ話してくれればいいよ」
「わかりました…… 新型モビルアーマーの計画の提案に参りました」
「新型モビルアーマーの計画、ですか」
「はい。今日はその企画書とその設計図を持参しました」
「それを置いていって、僕が後で見るのはダメかい?」
 
 そういうと彼女は顔をしかめて、
 
「不可能、というわけではありませんが、その時はこの計画を、今すぐ全面的にサポートすると確約してください」
 
 と言い切った。
 
「……わかった。細かいスペックを省いたコンセプトだけでいいから聞かせてもらうよ」
 
 肩をすくめてそういうと、彼女は手早く手元のパソコンを操作し、僕の席の前にあるモニタと部屋のスクリーンに企画書を表示させた。
 
「新型機のコンセプトはメビウスシリーズの後継機で、モビルスーツと互角に戦えるモビルアーマーです」
 
 モニターとスクリーンにその機体の3Dが浮かび上がる。メビウスの代替機であるが、それよよりも戦闘機によく似たデザインである。
 
「搭載母艦等への影響を考慮し、サイズはメビウス・ゼロとほぼ同程度。主武装はレールガン。威力面を考慮し、MA用ではなく船舶用を2門搭載。船舶用の姿勢制御用スラスターを流用し従来のメビウスよりも機動性を上げます」
「今あるものだけを利用した、メビウスの威力強化版といったところですか……本当にそれだけでモビルスーツに対抗できますか? 確かに開発期間は短く済みそうですが、結局何も変わらないのでは?」
「ジンを貫通できるほどの火力さえあれば、今よりも多くのパイロットが生き残れるとの現場のパイロットの報告もあります」
「装甲の強化ではなくて、火力の強化で生存率があがるのかな? どちらかというと撃墜数の方が増えそうだけど」
「そのことについては同じ報告によると、ジンの装甲に対してメビウスの主武装、レールガンの有効距離があまりにも短すぎるため、無理な突入をせざるをえなくなり、被害が大きくなるとののことです」
「つまり、レールガンの威力が上がれば、自然と離れて攻撃できるようになるから、生き残る確率が上がるというわけだね」
「そういうことです」
「拡張性のほうはどうです? よく言えば無駄のない、悪く言えば余裕のない機体ではさすがにGOサインは出せませんよ」
「機体の上部に二ヶ所、下部に一ヶ所の追加ポッド装着ができます。今は対モビルスーツ用小型ミサイルポッド、有線機動ガンポッド、ECMポッドの三種を計画しています。ほかにも機体各所にスペースがあるので機器の改良、追加等もできるかと」
「わかった、それなら文句はないよ。せっかく研究費を投じて作ってもすぐに廃棄じゃ、こちらとしてもうまみがないからね。」
 
 拡張性あるいは汎用性のなさで量産ストップとなる戦闘機などそうそう出るわけはない。
 汎用性が取り柄の戦闘機でそんなバカなことをする設計はまず、競合で落とされる。
 ただ、秘密裏に作られた機体は意外なほど汎用性が低いものも多い。旧米軍のF-117などが最たる例だ。
 爆弾二発、機銃なしなど機密任務に特化しすぎていたため、後継機も開発されず、改良もされないまま早々に退役となった。
 軍にとってメリットの少ない機体は、それだけ早期退役というデメリットが付きまとう。
 汎用性に優れた機体ならばその逆で、同じく旧米軍のB-52のようにかなりの長期で使われることもある。
 長期で使われることになれば、その保守部品、オーバーホールなどで定期的な利益もあり、研究及び設備投資の回収も容易にできる。
 
そのあともいろいろと細部の詰め合わせを繰り返す。
 
「まあ、ここら辺で合格としましょうか。あとはプロトタイプでの結果を見て次第、総司令部に推薦ということで。 後日、試作工場の場所とプロトタイプの完成期限をそちらに連絡します。せっかくの投資ですから結果をみせてくださいね」
「はい!ありがとうございます!」
 
 そう言って彼女は軽い足取りで部屋を出て行った。
 
「さて、僕は前もって連絡をよこさなかった悪友に、苦情を言いに行くとしますか」
 


 
――同日深夜、大西洋連邦某所――
 
「さて、弁解の言葉でも聞こうか、サイモン」
「ははは、突然押し掛けた事はすまなかった。でも無理だったんだよ。 何せ、彼女が決断したのはおそらく昨日の晩だ。仕事の時もすごい悩んでいたからねぇ」
「そういうことじゃない。どうしてこんな『例の計画』を隠し通せるおあつらえ向きの計画がありながら、僕に教えなかったんだ」
「仕方がないだろう、彼女はあのハルバートンの教え子だ。いきなり君の下に行くように勧めると反発されるにきまっている」
「しかし彼女はこちらへ来た、いったい何があったんだ?」
「詳しいことは私も知らない、けれど大体はわかるだろう?」
「『モビルアーマーなんて古い物はさっさとやめて、早くモビルスーツの設計をしに帰って来い』、というところだろうね」
「おそらくそうだろう」
「僕だって実際に彼女の説明を聞くまではそう思っていたよ。でも実際論理だてて聞いてみると骨子はそれなりにしっかりした計画だ。でもどうして彼女はモビルアーマーにそれほどこだわるんだ?僕らの例の計画すらモビルスーツを使った計画なのに」
「彼女には恋人がいるのさ、モビルアーマー乗りのね。彼が生きて帰れるように彼女なりに考えた結果だろう」
「新型モビルアーマーなんて作っても、彼氏に回ってくるのは少し先だろう。まあハルバートンの計画のモビルスーツよりは配備は早いかな」
「彼女としては彼を新型のテストパイロットに推薦するつもりらしい」
「彼氏はそれほどまでに腕が立つのかい? 新型モビルアーマーのテストパイロットなら『エンデュミオンの鷹』あたりが適任だろう?」
「その『鷹』ですら勝てないといった人物なら?」
「そんな人材が……一人だけならいるね」
「そう、『魔術師』さ」