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Seed-Ace_ACES_1-5

Last-modified: 2008-09-18 (木) 07:50:00

機動戦士ガンダムSEED ACES
Phase1 Misson5

 

 C.E.において、民間ステーションは少なくとも宇宙に住む人々には一般的なものである。
 ほとんどのステーションは定期便の中継ポイントとして、広さを利用したスポーツジム等の施設や定期的に手に入る生鮮食品を利用したレストランなどを持つ。
 変わったところでは、ドックと居住・通信施設を兼ねた企業拠点として機能しているところもある。
 しかし、アステロイドベルトに存在する《ヴァレーステーション》はそれら一般的なイメージからひどくかけ離れたものであった。
 規模や施設、はては利用者までも異質である。
 連合軍宇宙施設アルテミスを上回る大きさ。
 多数の300mクラス戦闘艦用ドック。
 これでもかといわんばかりに並ぶ対空砲塔に各種ランチャー。
 頻繁に入り浸る戦闘艦、MAそしてMS。
 そう、ヴァレーステーションは唯一の”傭兵専門の民間ステーション”である。

 
 

 ドック及びハンガーの利用者が長期にわたる滞在を想定して作られた住居区。
 数多くの小さな部屋と大きな食堂が一つある程度だが、少なくとも軍用連絡船の中よりはましな環境である。
 ヴァレーの多くの傭兵がここの部屋とハンガーを間借りして傭兵稼業を営んでいる。
 俺達サーペントテールも集合する際の待ち合わせとして利用している。
 昼過ぎに到着した俺とイライジャ、風花の三人は少し遅れたランチを食べにその唯一の食堂へ向かっていた。

 

「久しぶりだな、ここに来るのは」
「私はあまりこういう場所は好きじゃありません。装備の整備補給に便利だから利用してるだけです」
「そういや風花はあいつらが苦手だったよな。っとうわさをすれば……」

 

 イライジャの目線の先を見ると、通路の片側に作られた掲示板の端で三人の男達が何か熱く討論している。
 と、そのうちの背の高い一人がこちらに気づいたのか手を振ってくる。

 

「よう、サーペントテールの坊主ども。元気にしてたか?」
「ああ、クロウの面々も元気そうで何よりだ」
「当然だ。 PJのやつが振られるまで死んでたまるか」
「ちょ、クロウ2!」

 

 わいわいとまた騒ぎ始めるクロウ2とPJ。

 

「ところで坊主ども昼はまだか? これから食べに行かないか」
「ああ、こちらもちょうど食べに行こうとしてたところだ」
「そりゃよかった。 おい、クロウ2、PJ。 じゃれてないでさっさと飯に行くぞ」
「「了解」」

 
 

 ヴァレーは宇宙ステーションであるが、その中の食堂は一風変わった作りになっている。
 PX(軍事基地内売店)のようなバイキングではなく、食券を買いそれをカウンターで見せ出来上がるまで待つという、古き良きシステムである。
 なんでも調理場のおやじのこだわりらしい。
 食券もかなりの種類があるが、カレーライスにラーメン果ては焼きそばなど若干おやじの趣味が入っているものもある。
 当初はむしろそれしかなかったのだが、レシピを持っていけばいろいろと融通のきくということもあり、今では追加のメニューの方が多いぐらいである。
 ちなみに風花がレシピを持って行き作られた『風花スペシャル』というのがあるのだが、クロウの面々に「幻のお子様ランチだ!」とからかわれ、真っ赤になって三人を追いかけまわしたという出来事がある。
 今も食券自販機に『風花スペシャル』はあるのだが、風花以外に子供が来ないはずなのになぜか売上は好調のようである。
 俺とイライジャの間でそれをを食べながらご満悦の風花をほっぽいて五人が話すのは今の戦況である。

 

「俺達がさっき受けたのは地球-プトレマイオス間の輸送船護衛だったが、何も出てこなかった。楽なのもいいんだが、最近宇宙は小康状態ってとこか」

 

 クロウ1がとんこつラーメンをすすりながら器用にしゃべる。

 

「こっちも同じような依頼だ。ただ、オーブ船が地球-ヘリオポリス間ってのが気にかかる」
「そりゃ、妙だな」

 

クロウ2がフォークを置き、顎に手を置き考える。

 

「なんでだ? 戦場を行き来するなら護衛をつけるのは当たり前だろ?」
「……イライジャ、ヘリオポリスはオーブの領土、出発地パナマは連合根拠地だ」
「おまけにオーブは中立国だから、商人連中でもほとんど護衛をつけねえ。護衛を頼めばオーブ軍が直々につくだろうし」
「つまり出発地と到着地の所属が別、おまけに普段オーブの船に傭兵の護衛はつかない……クロだな」
「そうなのか……」

 

 俺とクロウ1,2に丁寧に説明され納得したのか、イライジャは食事を再開する。

 

「……で、船の中身は何なんですかね?」

 

 逆にナポリタンを一心不乱に食べていたPJが聞く。

 

「……しっかりしろ、PJ。たかが傭兵にご親切に中身を教える依頼主がいるか」
「教えたとしても信用は置けない、だろうクロウ1」
「そうだな、劾」
「じゃあなんだと思うんです? 護衛した船やら荷物の積み込みやらで何かしらわかるんじゃ」
「普通の輸送船で、しかも護衛に付いたのは宇宙にいる間だけ。中身は一切見えないようして、入る宇宙港は一般とは別という念の入れようさ」
「中身はわからんが怪しすぎだな、それは。やっこさんはばれないようにしてんだろうが、むしろ余計に目立ってる」

 

 そういってクロウ1はため息をつく。 俺も同感だ。

 

「むしろ、それは囮で本命は別のところだったりして」
「「「……」」」
「な、なんすか?こっちを急に見て」
「いや、それもありかもしれん」
「PJ、意外と冴える時も有るんだな」
「クロウ2、まるで俺が普段から冴えてないみたいに言うな」
「まあ、PJの言う通りだとすると結局何やってるかわからんってとこか」

 

 はぁ、と食事に集中している二人以外全員でため息をつく。
 元からわかっていることだが、荷物の積み荷が何であれ、俺達傭兵ができることは少ない。
 せいぜいその情報をどこかに売ることぐらいだ。もちろんクライアントにばれないように。

 
 

「さて、食事も済んだことだしそろそろ俺たちは御暇させてもらうぜ」
「何かあるのか?」
「仕事だよ、仕事。行くぞ」

 

 ういーっすと気の抜けた返事をしてクロウの面々が席を立って行く。

 

「好き嫌いするなよ」
「牛乳のめ牛乳」
「子供は早く寝ろよ」
「うるさいです!」

 

 風花にちょっかいを掛けるのを忘れずに。

 

「いつもながら面白いやつらだよな」
「不快なだけです」

 
 

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