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Seed-Crayon_6-027_1

Last-modified: 2008-07-04 (金) 18:17:13

アイドル天使、歌って☆ミーア!だゾ
【前編】

 

 ここは『春日部芸能プロダクション』の事務所。特に売れているスターが在籍しているわけでもない、小さい芸能プロである。

 
 

ミーア 「ど、どういう事なんですか!春日部公民館でのコンサートが中止って!」
社長  「いや~それが、今をときめくアイドル・ユニット、ボーリング娘のライブ会場に回されちゃったんだよ、あそこ。
     まあいいじゃない。ミーアちゃんは若いんだしこれからいくらでもチャンスは……」
ミーア 「その言葉、前も、その前の時も聞きました!私は一体いつまで待ち続ければいいんですか!」
社長  「私にそう言われてもねえ……そうだ!いっそ、グラビアアイドルとしてデビューしない?
     ミーアちゃんは胸とかお尻とかすごいんだし、そっちの方が人気が出ると思うんだけどな。ひっひっひっ……」
ミーア 「ッッ!私、今日限りでここを辞めます!社長。今までお世話になりました!さようなら!」
社長  「……ふん。顔と身体つきぐらいしか能のない小娘なんか、どこの芸能プロに行っても相手にしてもらえるものか。
     もし表舞台に出てきても色々な噂をバラまいて必ず失脚させてやるぞ!憶えていろ!」
ミーア 「ううっ……し、失礼します!」

 

          *          *          *

 

 その日の夕方。ミーアは人の居ないエンジェル公園のブランコに揺られながら、一人悩むのだった。

 

ミーア (……私、春日部で今度こそ本当のアイドルになりたかった。でも……
     私じゃダメなの?所詮ラクス様の偽者でしかない私じゃ……)

 

 ・・・・・・・・・
 ・・・・・・
 ・・・

 

ザフト兵「偽者!
ミーア 「ひっ!」
ザフト兵「俺達はお前にだまされて戦場に行ったんだ!
     ラクス様だと信じていたのに…偽者に踊らされていたなんてな!
     俺も、俺の戦友達もみんなお前に殺されたようなものだ!」
ミーア 「ち、違う!私は…私はラクス様のようにみんなを勇気付けたくて!」
ザフト兵「ウソだ!お前はラクス様のふりをする事で、みんながちやほやしてくれるのが嬉しかっただけだ!」
ザフト兵「そうだそうだ!本当はラクス様のモノマネが上手いだけの、ただのブスのくせに!」
ザフト兵「偽者なんか死んで当然だ!ラクス様の代わりにお前が銃で撃たれて死ぬべきだったんだ!」
ミーア 「そんな…私は…わた、しは……い、いや…いやあああああああ!

 

 ・・・・・・・・・
 ・・・・・・
 ・・・

 

しんのすけ「……さん!ミーアおねいさん!…どうしたの?汗びっしょりだゾ?」
ミーア 「はっ!ゆ、夢・・・・?いつの間にか眠ちゃってたの?私・・・・」
しん  「ほうほう、うなされるような夢を見ちゃったようですな。何か悩み事があったらおらが相談に乗るゾ?」
ミーア 「しんちゃん……ありがとう。でももういいの、もう…諦めがついたから。
     私…歌うのをやめるわ」
しん  「え、ええ~~!ど、どうして?おらミーアおねいさんのお歌、好きなのに!」
ミーア 「しんちゃん…ごめんね、ごめんね……
     でもミーアはもう駄目。……駄目になっちゃったのよ……」

 

しん  「おねい…さん?」

 

          *          *          *

 

しん  「ふ~ん……そんな事があったの」
ミーア 「今まで私なりに必死で頑張ってきたけど、もうだめ。私を拾ってくれる芸能プロなんてあるわけないし、もう…
     私、何の為に歌ってきたのかさえ……分からなくなってきちゃった」
しんの 「大丈夫!ミーアおねいさんには他の人にはない、すごいモノを持っているから!例えば」
ミーア 「……胸とかお尻とか?」
しん  「うっ!い、いやその…そうじゃなくてその……
     そうだ!おねいさんのお歌を聞くとみんなお元気になるゾ!」
ミーア 「元気、に…?」
しん  「そ、そう!ミーアおねいさんのお歌を聞くとみんな、すごく励まされるんだゾ!」
ミーア 「でも私は……ミーアの歌は所詮ラクス様の真似……」
しん  「そんな事ないゾ!ねえここで歌ってみせてよ!ねえねえ~~」
ミーア 「うん……そうね。しんちゃんの為だけに今は歌ってあげる。(多分…これが最後の歌になると思うけど)」

 

          *          *          *

 

 夕方の公園に観客がひとりだけのコンサートが開催された。
 ミーアは自分の持てる限りの歌と踊りで、しんのすけに楽しんでもらおうと一生懸命がんばった。

 

しん  「(パチパチパチ!)ミーアおねいさん、すごいすご~い!おら感動しちゃったゾ!」
ミーア 「ふうふう…ありがとうしんちゃん、私もすっきりしたわ。これで心置きなく歌をあきらめ

 
 

パチパチパチ……

 
 

ミーア 「……え?誰……?」
??? 「さすが元プラントの歌姫さんね。私があなたの歌を聞くのはこれが初めてだけど、たいしたものだわ」
しん  「おお~ミネルバの店長さん」
ミーア 「タリア…さん、ですか?アスランの上司の」
タリア 「ええ。用事でちょっと外に外出してたんだけど、その帰りに偶然とはいえいい物が見れたわね。
     ……ミーア、さん?」
ミーア 「は、はい」
タリア 「2週間後。スーパーミネルバでちょっとした催し物を開催する予定なの。
     だけど、そのイベントを盛り上げるには少し盛り上がりに欠ける気がするのよね……
     ミーアさん。うちの屋上にステージを作るから、歌ってみない?」
ミーア 「私が、ですか?…それって『客寄せパンダ』ってことですよね?」
タリア 「私は経営者としてあなたに商品価値があると思ったから、声をかけたんだけど……
     自信がないんだったらいいわよ?他の企画を考えるだけだから。でも、もしかしたら…」
ミーア 「……もしかしたら?」
タリア 「あなたが歌手を続けるにしても、諦めるにしても、いいきっかけになると思うわ。
     どう?やる?やらない?」
ミーア 「………やります。やらせてください!」
タリア 「いいわ。それじゃ明日、うちの事務所に来て。さっそく打ち合わせしましょう」
ミーア 「は、はい!よろしくお願いします!」

 

しん  「おおう、これは大事件ですな!ミーアおねいさんが春日部のステージに初めて立つんだから!
     おら絶対に応援に行くゾ!」
ミーア 「ありがとう、しんちゃん
     (急な話でびっくりしたけど多分……私が春日部のステージに立つのはこれが最初で最後。
      せめて悔いにないようにしたいな……)」

 

          *          *          *

 

 そして……2週間後。
 スーパーミネルバの屋上にて、ミーア・キャンベル初の…そしておそらく最後になるであろうコンサートが開かれる日が、遂にやってきたのだった。

 

 ~舞台裏~
ミーア 「ううっ…緊張してきちゃった。ラクス様としてデビューした時はこんな事なかったのに……
     あっ、そうか…今日はミーアの本当のデビューなんだ。頑張らなきゃ……
     しんちゃん達だって、見にきている筈なんだから」

 
 

スタッフA「おい、何だよアレ。客席がガラガラじゃないか」
スタッフB「そりゃそうだろうよ。当初は売り出し中の人気アイドルを呼ぶ予定だったんだぜ?
      それが店長の鶴の一声で聞いた事もないド素人のコンサートをやるハメになって……
      客が見に来るわけないだろ」

 
 

ミーア 「!や、やっぱり私なんかじゃ…ど、どうしよう。お客さんが一人も居ないステージで歌うの?そんな……
     い、いや…恐い…逃げたい!助けて!誰か……」

 
 

 《ミーアおねいさんのお歌を聞くと、みんなすごく励まされるんだゾ!》

 
 

ミーア 「…!しんちゃん……そうよ。私はなんの為に歌うの?自分のため?お金のため?それとも……
     ああ、そう、そうよ!
     ミーアは、ミーアの歌を聞いて元気になってくれる人達の笑顔が見たくて!だから歌いたかったのよ!
     それが私が歌いたい本当の理由よ!いつの間にか忘れていた……しんちゃんが、思い出させてくれた……!」

 

スタッフC「ミーアさん!そろそろ開演の時間です。準備してください!」
ミーア  「はい!
      ……たとえ一人も聞いてくれる人がいなくても私は…ミーアは歌いたい!
      その気持ちさえあれば……私は歌える。
      どんな状況でも、みんなが元気になれる歌を、いくらでもミーアは歌えるわ!」

 

 ~そしてミーア・キャンベルのコンサート、表舞台~
シン  「あ!出てきたみたいだぜ。ミーアさんだ!」
カガリ 「がんばれー!私たちが応援しているぞー!」
風間君 「僕達、かすかべ防衛隊も全員います!ミーアさん、がんばってください!」
ひろし 「野原一家もいるぜー!心おきなく歌いまくれよー!」
ラクス 「ところでキラ。そのカメラは一体何ですの?」
キラ  「何ってアイドルのコンサートと言えばカメラ小僧がいるのは当然じゃないか!
     あわよくばミーアさんのパンチラ写真が撮れるかも……うわ、ラクス何するのやめ」
ディアッカ「グゥ~レィトォ!この空気、思わず踊りたくなっちまうぜ!踊れアミー」
ミリアリア「うるさい。だまってミーアさんの歌を聞いてろ」
ニコル 「あの…アイドルのコンサートで黙って聞き続けるのは、盛り上がらないからまずいんじゃないんですか?」

 

ミーア 「みんな……私を、ミーアを応援しに来てくれた……の?」
しん  「当たり前だゾ!みんなミーアおねいさんの友達だよ!」
ステラ 「……みんなでお金出して花束、用意したの。がんばって」

 

ミーア 「みんな……みんなありがとう!ミーア、みなさんに応援されてすっごく幸せです!それでは聞いて下さい!
     まず1曲目の歌は……」

 
 

 ミーアは歌った。自分の素直な気持ちを歌に乗せて……その歌声は春日部の空にすいこまれていくのだった。

 
 

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