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Sin-Meer_PHASE01―邂逅―

Last-modified: 2007-12-17 (月) 15:40:32

PHASE01―邂逅―

 

#1

「………わざわざ済まないね?シン・アスカ君」
「い…いえ、俺…じゃなくて自分に何か?」

 俺はシン・アスカ。今をときめくザフトのエースパイロットだ。 ミネルバに配属される事になって、色々と手続きや準備をしている矢先に、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルに呼び出された。それも、どういう訳か俺一人で来い…と。

 そして、議長の部屋に来るなり俺は議長と、その隣にちょこんと座るラクス・クラインと対面する事となった。

「えーと…ラクス様がミネルバの補給先の基地でライブをするから、そのラクス様の護衛を自分がやれ…という事ですか?」

「あぁ、その通りだ。」

「何故自分なんです?自分なんかより優秀な人材なんて、腐る程居ますけど…。」

 そう、何故俺にそんな話を振るのか理解出来ない。ラクス・クラインは要人なんてレベルじゃないだろうに…ひょっとしてこれはドッキリなのか?

「レイ、居るんだろ?これは新手のドッキリなんだろ?
 議長やラクス様までグルになってのドッキリとは…」

「シン、とりあえず落ち着きたまえ…。私は、本気で君にこの話をしている。」

「それなら…何故自分なんです?」

「それはだね…ラクスが決めたからだよ。」

「はい?」

 ますます訳が分からん。ラクス様が俺を?何故だ?
 俺の視線に耐え切れなかったのか、さっきまでずっと大人しくしていたラクス様が口を開く。

「えーと…ほ、ほら?あなたが優秀なパイロットだって聞いてたから…」

「優秀なパイロット…ですか?
 それなら、同期のレイ・ザ・バレルの方が遥かに優秀ですよ?」

 そう、俺を優秀だと言うなら、その上のレイはどうなる?
 普通に考えて、護衛にするならレイだろう。ミーハーなルナはもっての他だが…誤射るしな。

「兎に角、これは命令だから受けてもらうよ。シン」

「……横暴ですよ…議長。」

 どうやら、このワカメはどうしても俺に受けさせたいみたいだ。どうにも納得いかないが、受けるしか無さそうだ。

 

#2

「分かりました。命令とあらば…」

「そうか…。引き受けてくれるか……」

 いや、アンタが半ば強制で引き受けさせたんじゃないか!!
 なんてツッコミを入れる訳にも…いかないよな、やっぱ。
 ふとラクス様に視線を移すと、「ホッ」と胸を撫で下ろしている。

「さて、話もまとまったところで…だ。君には、もう一つ伝えておかねばならない事が有ってね?」

「……?伝えなければならない事?なんです?それ。」

「彼女は“ラクス・クラインではない”んだよ。」

 …………はい?

「議……議長…!!!?」

 突然のカミングアウトに、流石のラクス様(?)も度肝を抜かれた様だ。
 わたわたと取り繕うとした様だが、流石に諦めたらしく、溜め息混じりに肩を落とす。

「議長…どういう事ですか?ラクス様じゃないって…」

「彼女の名はミーア・キャンベル…二年前のヤキン・ドゥーエ戦を境に突然姿を消したラクス・クラインの替え玉として、私が仕立てた。」

「何故です?議長程の力が有れば、人一人…それも、ラクス・クラインを捜す事…。」

「………しかし見つからない。この二年間の間だ。
 故に、私は彼女を…と、こういう訳だよ。全く…我ながら小賢しい事を…。
 兎に角、ラクスが見つかる迄の間だ。頼むよ、シン・アスカ君?」

 自嘲気味に笑い、議長はそれだけ言うと立ち上がった。

「ハッ!!了解しました。」

 俺も一足遅れ立ち上がり、敬礼した。

「さて、後は若い者同士つもる話も有るだろう。」

「お見合いじゃないんですから………。」

 議長って、何か話してると疲れる人だな…。
 とりあえず、俺とラクス様…いや、ミーア様?は、議長の部屋を後にした。

 

#3

 俺とラクス様(?)は、長い廊下を歩いている。もう夜中を過ぎている為か、人通りは全くない。
 話長過ぎだよ議長。

「あー………緊張したぁー…」

「あら、あなたも?」

 ラクス様…いや、ミーア様?どっちで呼べば良いんだ?

「あ、はい…ラクス様もですか?」

 そう言うと、彼女(今のところはこれで行こう!!)は笑いながら、

「二人きりの時はミーアって呼んで。それと、“様”は別にいらないわよ。
 なーんか堅っ苦しくて、あんまりいい気しないのよね。」

「わかりまし―――」

 そう答えようとすると、急に不機嫌そうに頬を膨らませ、

「もう、敬語も禁止。」

 唇を尖らせてそれだけ言うと、俺の先を歩き始めた。
 なんて言うか……よく分からない娘だな…。コロコロ表情変わるし…。

「はいはい、わかったよ。ミーア…これで良いのか?」

 そう言うと、此方に振り向き

「そう、それで良いの♪
 よろしくね。シン。」

 そう言うと、手を差し述べて来る。握手か?
 それに、また笑顔に戻ってる…。俺より歳上…だよな?笑うと、まだあどけない顔だけど。
 まぁ…とりあえず、

「あぁ、此方こそ。」

 ミーアと握手を交わすと、

「そういえば…もう、こんな時間なのに大丈夫なのか?」

「……ああぁぁぁ!!!?
 明日早いんだった…。」

「おいおい…まぁ、送ってくよ。
 家は何処だ?」

 議長…こんな迂濶な娘がラクス・クラインの代理で大丈夫なんでしょうか?
 俺は、激しく不安です。

 

#4

 二人で暗い夜道を歩いている。電灯が有るから真っ暗という訳でもないが、それでも薄暗い。
 因みにミーアは、帽子とサングラスとマスクという滅茶苦茶怪しい装備に、ロングコートを羽織っている。
 頼むから誰も通るんじゃないぞ?

「私の家…?」
「あぁ、ミーアの家だよ。何処に在るんだ?」

 それを聞くと、表情が見る見る曇っていく。一体、どうしたっていうんだ?

「どうしたんだよ?」
「あそこには…帰りたくない」
「いや、何でだよ?自分の家だろう?」
「泊・め・て♪」
「な!?…なに馬鹿な事言ってるんだよ!!駄目に決まってるだろ!!!!」

 ニヤニヤと、非常に嫌な笑顔を浮かべ

「あれ?シンは何を想像してたの♪」
「う…うるさいな。ほら、家は何処だよ。」
「こ〇ん星♪」
「生まれて初めて女の子に手を挙げそうになったぞ?」
「もう…分かったわよ。」

 あくまで嫌そうに答え、トボトボと歩き出す。
 暫くすると、ラスボスでも棲んでそうな馬鹿でかい建物にたどり着いた。

「でっか……何だコレ?」
「此処が私の家よ…。独りで住むには大き過ぎるわ。」

 何処か哀しそうに、建物(マンション)を見上げ。
 急に何か思い付いたかの様に俺の手を引っ張る。

「ちょ…!?…ミーア…何のつもりだよ!!!?」
「シンの家に泊まっちゃ駄目なら、シンが私の家に泊まっちゃえば良いじゃない♪」
「待てぇぇぇぇ!!その理論は間違ってるから!!年頃の女の子が、野郎なんかを泊めちゃ駄目だから!!!!」

 しかし、その細い腕からは想像もつかない程のパワーで俺を引っ張って行くミーア。
 女の子に…腕力で負けた俺は一体………orz

 

#5

「結局連れてかれたな…。」

 マンションの最上階…それも、窓から下を見ると街並みが模型みたいに見える程高い。
 内装は、やたらめったらピンクの物ばっかりだ。テレビ、テーブル、スリッパから食器類までだ。お世辞にも良い趣味だとは言えないな。
 というか、ミーアは何処に行ったんだ?さっき「ちょっと待ってて♪」なんて言ってたけど…

「それにしても…何か落ち着かない部屋だな…。」

 確かに、一人でこんな広い部屋っていうのもな…。
 ソファーに腰掛け、携帯を取り出す。ディスプレイに映し出されたのはマユ。

「……マユ………」
「誰?その娘?」
「うおわぁぁぁぁっ!?い、いきなり後ろから現れるな!!」

 キョトンとした表情のミーアが、ディスプレイを見つめている。手には食器を持っている。

「だって、さっきから呼んでるのに返事が無いんだもの。
 それで、誰なのよ♪恋人って事は無さそうだけど♪」
「……俺の…妹だよ…。二年前に死んだ…。」

 そう、俺の妹マユは…二年前のオノゴロ島での戦いに巻き込まれて死んだ。父さんや母さんと共に…。

「あ…ごめん…。」
「いや、気にしないでくれ。ミーアは別に悪くないよ。
 それで、さっきから良い匂いがするんだけど?」
「シンはまだご飯食べてなかったでしょ?だから、ちょっと作って来たの♪」

 嬉しそうにピンクの食器を並べていく。
 その中には、料理がこれでもかという程盛られている。
 量多いな…。

「俺よりもミーアは大丈夫なのか?明日早いって…」
「あ、別に仕事とかじゃなくて買い物行きたかっただけだから♪」

 なんだ、心配して損したよ。
 とりあえず、俺はミーアの料理をたいらげる事にした。

 

#6

 翌日、結局俺はミーアの家のソファーで寝た。ソファーでなんて、寝るもんじゃないな。
 身体のあちこちが痛む…。
 ともあれ、俺は今日も軍に行かなきゃならない訳で、いつまでも居る訳にはいかない。
 そんな訳で、今ミネルバの中に居る。ついでに眠い。

「シン…どうした?顔色が余り良くない様だが?」
「なぁに?まーたシンは夜更かししてたの?懲りないわね」

 「大丈夫か?」と気遣ってくれるレイに、ルナの小言。いつも通りの日常…。まるで、昨日の事が夢みたいだ。

「違うっての…。そうだな、さしずめ嵐にでも遭ったんだよ。昨日の俺は。」

 二人は顔を見合わせ、頭に疑問符を浮かべている。

「何だか知らんが大変だったな…シン。とりあえず、俺はこれから議長の元に行くが…お前はどうする?」
「少し休ませてくれ…本当に疲れたんだ。」
「そうか…まぁ、しっかり休めよ?ミネルバが出航したら、休む暇など無いからな。」
「そうよ、シン。自己管理くらいしっかりしなさいよ。」

 お前に言われたくねぇよ!!
 しかし、今の俺には言い返す気力すら無い…。
 二人が退室した後、俺はブリッジに向かった。

「よう、メイリン。ついでにアーサー」
「僕はついでか…orz」
「どうしたの?シン。何か顔色悪いけど…。」
「実は……――――」

 その瞬間、轟音が鳴り響く。
 そして、黒煙が立ち上ぼる。場所は六番ハンガー。

「っ……!?何だ!!!?」
「ろ…六番ハンガーの方で、新型…カオス、アビス、ガイアが強奪されたみたいです!!!!」
「何だって!!!?くそっ…メイリン!!インパルスは出せるか!!」
「は…はい!!」

 コアスプレンダーに乗り込み、OSを起動させる。

「コアスプレンダー!!シン・アスカ…行きます!!!!」

 

#7

 コアスプレンダー、チェストフライヤー、レッグフライヤー、ソードシルエットが合体し、装甲が紅に染まる…。背負った対艦刀を引き抜き、舞い降りる。
 俺のMS、インパルス。

『くっ…!?新型がもう一機居やがっただと!!!?』

『話と違うじゃねぇかよ!?ネオの奴……!!』

 しまったな…ちょっと目を引き過ぎたなこりゃ…とてもじゃないが、新型を三体同時に相手をするのは無理だ。
 それに、俺の後ろには片腕のザクウォーリアが居る。中に乗っているのは誰だか分からないが、見捨てる事は出来ない。
 兎に角、状況は不利だ。ソードシルエットの装備は元々、対MS用の装備でないし、何より俺はインパルスに乗ってからの日は浅い…本来の性能を発揮するなんて、とてもじゃないが難しい。
 しかし、敵も考える暇はくれない様だ。ガイアが四足獣型に変形し、俺に一目散に飛び掛かって来る………!!

『はああぁぁぁぁぁあ!!!!』
「くそっ…!!また戦争がしたいのかよ!!!!アンタ達はッ!!!!」

 エクスカリバーで真横に薙払う様に一閃を放つが、此方の得物の振りが大きすぎたのか、易々と避けられる。しかし、相手との距離を離す事には成功した。
 すかさずフラッシュエッジで追撃を狙い、投げつける。だが、これも若干かすめただけで、体制を崩すには至らない。

「ハッ…!!いきなりピンチかよ…くそったれ…!!!!」

 こうして、インパルスでの初の実戦を迎える事になった。

 

PHASE01―END