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Sin-Meer_PHASE02―強奪―

Last-modified: 2007-12-17 (月) 15:41:02

PHASE02―強奪―

 

#01
 相変わらずガイアが俺の周りを飛び回る。薙払いたいのはやまやまだが、エクスカリバーが直撃させるのはまず無理だ。
 仕方なくビームライフルを引き抜き、三射放つ。すると、運良く脚をかすむる。

『くうっ……!?』

「そこだッ!!!!!!」

 バランスを崩したガイアに、エネルギー切れのビームライフルを投げつける。
 そして、次に目に入ったのはカオス。アビスはザクウォーリアが引き付けてくれているから、まだ安心出来る。

『調子に乗るなよ!!新型!!!!』

 カオスの脚に着いたビームクローに、左肩のアーマーを跳ね飛ばされる。

「………っ…ぐっ!?やられる訳にはいかないんだよ!!!!」

 エクスカリバーをもう一本引き抜き、思いっきり投げ付けた。目眩ましにはなるだろ。
 そして、この状況でどうやって三機を相手にしようか…それを考えた時、急に三機の様子がおかしくなった。

「なんだ…?…まさか!?」

 一気に飛翔し、視界から消えようとしている。つまり、逃げる気だ。

「逃がすかよ!!メイリン、チェストフライヤー。それと、フォースシルエットだ!!!!」
『は、はい!!チェストフライヤー、フォースシルエット…射出します!!』

 ダメージを受けた上半身と、ソードシルエットを破棄して、新たな上半身…そして、フォースシルエットを装着する。
 フォースシルエットは高機動凡用型の装備で、ソードの様に高い格闘能力こそ無いが、それを補う機動力は有る。それに、飛行能力…これが一番大きい。
 俺が飛び経とうとすると、ザクウォーリアも着いて来ようとしていたが、この状況だと足手まとい以外の何でも無い。

「アンタはそこに居ろ!!奴等は俺が追い掛ける!!!!」

 

#2

「あそこか!!」

 外壁に、大きな穴が開いている。おそらく、奴等の脱出経路は此処だろう。
 追いかけようとした俺に通信が入る。

『待て、シン!!追撃の許可はまだ出ていない。』

 頭に血が登った俺をたしなめる様な声。レイだ。

「レイ…でも!!今行かなきゃ逃げられるだろ!!」
『落ち着け、無闇に飛び出すのは危険だと言っているんだ。敵がインパルスを狙う可能性だって、十分にあるんだからな?』
「ゔ………!?……わ、分かったよ。指示を待つよ。」

 と、数分経った後に議長からの通信が入る。

『シン、私だ。』
「議…議長っ!!!?」
『三機を奪われた件は、いかんともしがたい事だ…。しかし、我々は放っておく事は出来ない。
 ついては…ミネルバ隊には逃げた三機を追ってほしい。』
「…あれ?そうなるとミー…じゃなくてラクス様はどうすれば良いんですか?」
『安心したまえ。既にミネルバに乗せているからね。
 私も乗るがね。君がラクスに手を出さない様―――』
「誰が出すかぁぁぁぁ!!!!」

 ハッ!?つい勢いで通信を切ってしまった。ヤベッどうしよう?

『シン…どうしたんだ?議長がお前に「冗談だ」と伝えておいてくれと言っていたが?』
「気にするな。俺は気にしない。」
『俺の台詞だ…それは。』

 まぁ、さっき議長に言われた事をレイにも伝える。

『成る程な…。すぐにミネルバは追い付いて来る…か。追うか?シン。』
「当たり前だ…。逃してたまるか…。」

 とりあえず俺とレイは、逃げた三機の反応を追って行く事にした。

 

#3

「………。おかしいな…此処の辺りに反応が出てたのに。」

 プラントからかれこれ十分以上進んで来たが、突如三機の反応が消えた。俺とレイはその宙域を探索したが、見つかる気配はまるで無い。

「おかしいな…いきなりレーダーに映らなくなるなんて…。ミラージュコロイドでも使ってる…訳は無いよな…。」
『無駄口を叩くな。そんな暇があるなら真面目に探せ。』
「はいはい分かった。分かりましたよ。」

 刹那、レーダーに一機反応する。コレは…?MSじゃない。

『シン、敵が近付いているぞ?
 油断するなよ?この反応は…MAだな…』
「分かってるよ。……それに」
『あぁ、不味い餌に付き合う必要は無い。さっさと片付けて行くぞ。』

 そして、MAが姿を現す。そいつは、連合のメビウス0に似た姿のMAだ。一応、アカデミーのシミュレータでは戦った事が有る。
 確か、オールレンジ攻撃を得意としたMAだったな。

『不味い餌…ね?言ってくれるじゃないの。ザフトのエース君?』
「通信して来た?何のつもりだ?」
『なぁに、ほんのご挨拶ってやつさ!!』

 警報が鳴り、背後からエネルギー反応が感知される。すかさず回避した。
 その後、一筋の光熱波がインパルスの脚をかすめる。

「チッ………!?」
『ボーっとするな!!動かなければただの的だ!!!!』

 レイのザクがMAに向かってミサイルを放つ。しかし、MAは易々と回避して俺とレイを的確に狙い射って来る。

「コイツ……ッ!?強い!!!?」
『厄介な奴だ……!!』

 

#4

「くそっ!!シミュレータの奴なんか比べ物にならない!!!!」
『あぁ、的確にこちらの死角を突いた攻撃…そして、こちらの攻撃を全て紙一重で回避…。
 ぐっ………!?』
「レイ!!大丈夫か!!!?」

 ザクの左腕がビームで斬り落とされる。俺のインパルスも、既に右足、左翼が無い。
 ヤバい…!!こんな……!!

「しまった……!!!?」

 一機のガンバレルが、インパルスのコクピットを狙っている。死ぬ…のか…?

『もう終わりかい?それじゃ、止めを―――』

 だが、そのガンバレルを極太の光熱波が貫く。レーダーに反応しない辺り、超長距離からの狙撃。

『ほう?』
『何やってんのよ二人共?だらしないわねぇ。』

 コクピットのモニタに見知った顔が映る。

「ルナか?」
『二人共帰投しないで…特にレイ?あなたまでシンと一緒になって何やってんのよ。』
「どういう意味だ!!」
『そういう意味よ。』

 俺とルナのやり取りを見て、溜め息をついたレイが。

『お前達……何をゴチャゴチャ話している。敵はまだ居るんだからな?』

 とは言っても、流石に三対一では分が悪いと思ったのか、相手は急に背を向ける。

『そろそろ時間…か。じゃあな。ザフトのエース君?』
「待てッ!!」

 追い掛け様とする…が、急に高エネルギー反応が感知される。そして、僅かに目の前の風景が揺れる。

「嘘だ…ミラージュ……コロイド……?」
『戦艦だとッ!?』
『シン!レイ!!すぐにそこを離脱して!!!!』

#br

#5

『シン!此処は危険だ!!
 すぐに離脱するぞ!!』
「あ…あぁ。」

 何で…ミラージュコロイドを使っているんだ?今は禁止された技術だぞ?それにアレ…連合の戦艦だ。
 腹立たしいが、今の装備と状況では手も足も出ないだろう。
 俺達は全速力で、ミネルバの方向へと逃げる事にした。
 きっと…あの三機もあの戦艦の中に有るに違いない。覚えてろ…いずれケリは着けてやる。

「お疲れ様。シン、レイ。」
「あぁ、サンキューな。あの時ルナが居なかったらヤバかったよ。」

 ミネルバに帰投した俺達。
 MSドックで、インパルスとザクの修理状況を見ていた。多分、少し時間が掛かるだろう。
 そして、さっき俺と共に戦ったザクウォーリア。

「ん?あのザクウォーリアも回収されたのか?」
「そうみたいなのよ。何でも、オーブのアスハ代表とお付きの人が乗ってたみたいで。」
「……アスハ…?」

 かつて、俺の家族はオーブに…いや、アスハに殺された。何でそんな奴が乗ってるんだ!!
 と、沸々と沸き上がる怒りを必死に抑えようとしていると、

「シンー♪やっと見つけましたわ♪」
「ミ……じゃなくてラクス様!?何しに来たんだ…じゃなくて何かご用ですか?」
「シンの帰りがあまりにも遅かったもので…心配していたのよ。」

 苦笑いしか出ない俺に抱き着き、輝く瞳で俺を見つめる。
 ルナは、突然のラクス登場に絶句している。ミーア、今のうちに逃げておけよ?ルナに捕まるとロクな目に遭わないぞ?
 唐突に口論が聞こえてくる。視線を送ると、議長と…アレはアスハか?口論というよりは、アスハが一方的に何か言っている。

「何アレ?」

 顔をしかめ、ルナが嫌悪するかの様にぼやく。因みに、俺も再度怒りが沸いて来た。

#br

#6

 俺の怒りは、最早頂点に達していた。

「流石…綺麗事はアスハの御家芸だな!!!!」

 全員がギョッとした表情で俺に視線を送る。レイが俺に駆け寄って来て、

「シン!!お前………」

「ふんっ…」

 これ以上、アスハの顔を見るのが嫌になり、俺はMSハンガーを出ようとした。その時、ミーアに耳を引っ張られて無理矢理外に連れて行かれた。

「いててて!?な…なにすんだよいきなり!!」

 ミーアが半眼で俺を睨み、口を開く。

「シン…あなた、私の護衛になったのよ?分からない訳じゃないわよね?」

「あぁ、分かってるさ。」

「分かってないでしょ!!あなた、私の護衛って言う事はね?あなたがさっきみたいな事を言うと、私や議長までそんな風に考えてると思われるのよ?
 これ、どういう意味か分からない?」

 そこで、クールダウンした俺の頭脳が冷静に考える。

「あ………。」

 冷静になってみれば、向こうに非があったとしても、さっきの一件で俺の非になったんだ。

「分かった?アスハ代表と何があったのかは知らないけれど、さっきのあなたの態度はいただけないわ。」

「わ…悪かったよ…。ごめん。」

 説教モードからノーマルモードの顔に戻ったミーアが、ニヤリと笑い、

「謝るのは私にじゃないでしょ?シン。」

「それだけはマジで勘弁してくれよ…いっそ、殺された方がマシにさえ思える。」

「駄ー目♪自分で悪いと思ったなら、しっかり謝らないといけないわ。
 ほら、私も一緒に行ってあげるから。」

 細い腕からは想像もつかない程の馬鹿力で、俺を引っ張って行くミーア。

「待って!!耳千切れる!!!!痛いからマジでやめてくれ!!!!」

 

#7

「先程は失礼しました…。アスハ代表。
 ほら、シンもちゃんと頭を下げなさい。」
「分かったから。ちゃんと下げるからやめろよ。」

 ミーアに無理矢理連れて来られたアスハの部屋で、俺は頭を下げている。何をやっているんだろうか?俺は…。

「いえ、気にしないで下さい。事の発端はカガリが悪いんだ。頭を上げて下さい。」

 アスハの護衛…たしか、アレックス・ディノとか言っただろうか?そいつが苦笑いしながら俺達にそう言い、アスハに視線を移し…。

「カガリが悪いんだからな?」
「う…わ、悪かったな!!まぁ、確かに私の態度も良くなかったみたいだ。すまん。」
「これで一件落着ですわ♪」

 納得いかねぇ…。まぁ、もう終わった事だし…ウダウダぬかすのも馬鹿馬鹿しい。俺とミーアが部屋を出ようとしたその時、

「失礼かもしれないが…君、ラクスじゃないだろう?」
「いきなり何を言い出すんだよ。アンタは。この人は…」

 そう言い掛けた俺を遮る様に、ミーアが、

「はい、私はラクス・クラインではありません。」
「ちょっ!?ラクス様!!!?」
「大丈夫よ、シン。だって、この人アスラン・ザラだもの。
 そうでしょ?アスラン。」
「え?ア…アスラン・ザラって…あのヤキン・ドゥーエ戦の英雄のか!?」

 アレックス…もといアスランは、溜め息をつき、

「やっぱりバレバレか…これだと議長にもバレてるんだろうな…。まぁ、それはおいておいて、何故君がラクスの真似事を?」
「それは………」

 ミーアとアスラン、アスハが話を始める。正直、俺にはさっぱり着いて行けない為に、窓から外を眺める事にした。
 どうやら、本物のラクス・クラインは、アスハとも知り合いだったらしく、議長の偽ラクス作戦00「未来への遺産」は早速失敗していた様だ。

 

PHASH02―END