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X-Seed◆EDNw4MHoHg氏 第45話

Last-modified: 2007-11-11 (日) 14:01:18

第45話「俺、もう少しだけ歩いていくよ」・前編

「決着をつけようぜ、キラ・ヤマト。どっちにしたって俺とアンタは戦うしかないんだ」

シンがデスティニーガンダムのビームライフルをストライクフリーダムに向けた。

「……」
「おい!なんか言ったらどうなんだよ!」
「ネオ・ジェネシス、発射…」
「何!?」

キラがストライクフリーダムの端末の操作を終えると同時に、宇宙要塞メサイアに備え付けられているネオ・ジェネシスがミラージュコロイドを解除して姿を現した。
そして、かつてはコーディネーター創世の光とも呼ばれた光が周辺の宙域で交戦していたオーブ軍を呑み込んでいった。

密かにクライン派の技術者が修理したネオ・ジェネシスの存在は、自分が大量破壊兵器だと認識したものの存在自体を理由の如何を問わずに極端に嫌うラクス・クラインには伏せられていたが、ラクス軍の首脳陣にとってはなかば公然の秘密になっていた。
だがネオ・ジェネシスの安易な使用は自分達の首をも絞めかねないため、彼女に最も近いキラのみがロックを解除するためのパスワードを知っていたのである。

「何をやってんだ!あんたは!?」
「何って、ラクスに従わないオーブを討っただけだろ?」
「ふざけんな!さんざんダブルエックスにケチつけてたのはラクス・クラインだったじゃないかよ!」
「そのラクスを殺したのは君達じゃないか!!!」
「俺の家族やステラ、レイを殺したのはお前だ!」
「戦場にいて憎まれないはずないって言ったのは君だろ!」
「俺の家族は避難してる最中たった民間人だ!」
「そんなこと僕は知らない!それにわざとやった訳じゃない!」

キラが言い終える前にストライクフリーダムは金色の腹部の高エネルギー砲カリドゥスをデスティニーに放った。

「くっ!」

シンもデスティニーの両腕のビームシールドを展開してそれを防ぐが、ストライクフリーダムはデスティニーを無視してエターナルのあった宙域へと向かっていった。

「そんなの理屈にもなってないだろうが!」

シンもデスティニーガンダムの翼を展開させてストライクフリーダムを追っていった。

ネオ・ジェネシスの光は満身創痍のアークエンジェルのクルー達やガロードにも目撃されていた。

「頼む、早くGファルコンを射出してくれ!」
「今やってるからもうちょっと待て!」

すでにほとんどのクルーが退艦作業を終え、脱出艇でアークエンジェルから脱出していたが、アークエンジェル全体をコントロールするためのコンピューターが操舵席にあるため、ノイマンとチャンドラの両名と格納庫のクルー数名が残って作業を続けていた。

そしてネオ・ジェネシスがミラーを交換して何回も発射できることを知らされたガロードはメサイアとネオ・ジェネシスをサテライトキャノンで撃つことを決意していた。
ネオ・ジェネシスが地球に向かって撃たれた場合の被害の大きさが計り知れないものとなる可能性があり、今からそれを止められるのはもうサテライトキャノンしか残されていなかったのである。

しばらくしてGファルコンが射出されたが、同時にアークエンジェルの計器が敵機の接近を知らせてきた。

「ガロード、ドッキングを急げ!ストライクフリーダムが接近して来た!」
「わかった!」

だがガロードの返事も虚しくダブルエックスがGファルコンとドッキングしようとしたとき、両機の間をストライクフリーダムの放ったビームがすり抜けていった。

「うお!危ねえ!」
「そんな簡単にサテライトキャノンを撃たせる訳ないだろ!?」

サテライトキャノンを使うためには膨大なエネルギーが必要であり、それを今からチャージしている時間はない。
唯一残された手段がエネルギーを予め溜め込んでおいたGファルコンとドッキングする他なかったのである。
だが、Gファルコンとドッキングしてサテライトキャノンを発射できる、ということはダコスタが起こしたコロニー落とし未遂のときの戦闘記録でラクス軍にも知られてしまっていたのである。

そしてアークエンジェルのブリッジでも事態の深刻さは伝わっており、残された2人にも決断の時が来ていた。

「まずいぞGファルコンが落とされたら!」
「…なあ今、この艦にいるのは俺達だけだよな?」

少しの沈黙の後、チャンドラはノイマンの意図を察した。

「…ああ、整備班の連中はさっき脱出してる。まだ動けるのか?」
「メインエンジンはまだ生きてる。アラスカに比べりゃピンピンしてるさ」
「あらま偶然、ミサイルの類も少し残ってるぜ」
「あいつが訳のわからないふうになっちまったのには俺達にも少しは責任があるからな」
「ああ、理由はどうあれ、ヤマトを最初に戦場に引き入れたのは俺達アークエンジェルの大人だ」
「んじゃま、逝きますか」

アーノルド・ノイマン、ダリダ・ローラハ・チャンドラ2世の2人は元々正規の連合軍軍人であり、まともな軍人としての教育を受けてきた、正規のアークエンジェルクルーである。
しかし、当時のクルーゼ隊の襲撃によって、結果として、当時は民間人のコーディネーターだったキラ・ヤマトをストライクのパイロットとして戦争に引き込んだことは紛れもない事実であった。

元々キラはアスラン・ザラやラクス・クラインと異なり、政治や戦争にはほとんど縁のないところで生きてきた人間であり、彼がいつの間にかまるでラクス・クラインのために戦う戦闘人形のようになって、テロリストとして罪を重ねていったことに、2人はわずかばかりではあるが責任を感じていたのである。
だからこそ2人はガロードにダブルエックスを届けたときにもキラを殺そうとはしなかったのである。

その頃、ガロードは自動操縦となっているGファルコンの防衛に必死になっていた。

「これで!」

そして防戦一方となっているダブルエックスにストライクフリーダムがカリドゥスを放つ。
ダブルエックスはディフェンスプレートでそれを防ぐが、ストライクフリーダムの連続した攻撃を防いでいたディフェンスプレートの耐久力も限界に達し、ダブルエックスも衝撃で吹き飛ばされてしまった。

「しまった!?」
「今だ!」

確実にGファルコンを仕留めるべく、キラは全神経を集中させてストライクフリーダムに残った全武装、ビームライフル1丁とクスフィアス1門そしてドラグーンを展開させていく。
そして一斉にそれらの狙いを定めようとしたときであった。
数十のミサイルがストライクフリーダムに襲い掛かり、それをストライクフリーダムが回避している間にアークエンジェルが最後の力を振り絞ってダブルエックスの盾となるように、立ち塞がった。

「ガロード、アークエンジェルが盾になってる隙にドッキングしろ!」
「ガロード、あとは頼んだぞ?」
「お、おい何言ってんだよノイマン!チャンドラ!」
「アークエンジェル!?くそ!あたれぇぇぇぇ!」

(すみません中尉…アークエンジェルを守りきれませんでした…)

ストライクフリーダムのフルバースト攻撃が一斉にアークエンジェルに襲いかかって、幾つものビームがその船体を貫いてゆき、やがて大きな爆発が起こった。
かつてザフト軍に不沈艦と呼ばれ、アラスカ、ヤキン・ドゥーエもしぶとく生き残りザフトの将兵達を畏怖させた大天使の名を冠する艦が、今、沈んだのである。

「ダブルエックスはどうなったんだ!」

キラが大きく上がった爆煙の中を注視していると、その中から一条のビームが飛んでくる。
キラはそれをビームシールドを展開させてそれを防ぐが、自分の思惑が上手くいかなかったことを悟る。
晴れてきた爆煙の中から金色の光が漏れ出してきて、Gファルコンとドッキングしたガンダムダブルエックスが姿を現したのである。

「ダブルエックス…!ガロード・ラン…君は!」

ストライクフリーダムがダブルエックスにビームライフルを向けるが、今度はストライクフリーダムの横から飛んできたビームがキラを襲い、キラは咄嗟に回避行動を取ったが、手にしたライフルが撃ち抜かれてしまった。

「デスティニー…また君か!?」

キラの目の前、ダブルエックスの隣に、先ほどまで交戦をしていたデスティニーガンダムが現れた。

「ガロード…すまなかった…」
「…俺に謝んなよ」
「ネオ・ジェネシスを頼む。ユウナさんが言ってたみたいに、あれをどうにかできるのはお前とガンダムダブルエックスだけだ。
 俺達の世界なのにお前に頼むなんて都合がいいかもしれないけど、もうお前しかいないんだ」
「ホントに今度こそしっかりやれよ」
「ああ、お前の邪魔をさせて関係ない人達をこれ以上傷つけさせたりはしない!」
「じゃあ頼んだぜ!」

そう言ってガロードはGファルコンの機動力を生かして一気にメサイアの下へと向かっていった。
ストライクフリーダムもダブルエックスを追おうとするが、デスティニーから放たれたフラッシュエッジによって防御はしたものの、大きく後方に弾き飛ばされてしまった。

「何度も言ってるだろ!あんたの相手はこのシン・アスカとデスティニーガンダムだ!」
「どうあっても僕の邪魔をするんだね…ならまずは君を討つ!」
「やれるもんならやってみろおおおお!」

こうして、シンとキラはとうとう互いに互いを戦うべき相手と認識し合って刃を抜き、
長い因縁に決着を付けるための最後の戦いの最終ラウンドが開始されることになった。