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Z-Seed_◆x/lz6TqR1w氏_第07話『解逅』

Last-modified: 2007-11-12 (月) 12:31:28

破砕作業の開始時刻が迫ってくる
メカマンたちは自らの戦場にて慌ただしく作業をし、
パイロットたちも自らの戦場であるコックピットで待機していた
その中には、破砕作業に志願したアスランの姿も見える

「……何か肌寒いな……」
「そうですか?私は感じませんが……」
「いや、気にしないでくれ」

ルナマリアを軽く一瞥する。カミーユはコックピットのモニター越しの
巨大なコロニーだったものを見たとき背中に鳥肌がたった
それは恐怖も、気候のせいでもない
コロニーから発せられる歪んだ思念が原因だった
自らの直感を信じ、意を決する

『進路クリアー、発信どうぞ!』
「待ってくれ!全MSの装備変更をしてくれ!」
『は?』
「戦闘装備に切り換えてくれと言っているんだ!」
「……またか」

カミーユの通信を聞いたシンは毒づくように言葉を漏らした
あれから、今までの間、暗い自修室に押し込めたカミーユに憎しみさえ感じる

カミーユの指示を聞いたメイリンが、メカマンたちに戦闘装備の通達を発令する
――暫くすると装備変更を終え、疲れ果てたように座り込むメカマンたちが目に映った

『装備装着完了!進路クリアーです!各機、発進してください!』
「了解!
カミーユ・ビダン、Zガンダム!行きます!」
「ルナマリア・ホーク、ザク!出るわよ!」
「レイ・ザ・バレル、ザク!発進する!」

次々と猛々しく飛び出して行く僚機たち

「ふっ、見てろよ……カミーユ・ビダン……
シン・アスカ……コアスプレンダー、行きます……!」

対照的に、シンは慇懃無礼な態度であった
その瞳は凶々しい光を帯ていた

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機動戦士ZガンダムDESTINY
第07話『解逅』

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編隊を崩さぬように目標物へ向かって行く
メイリンによると、先遣隊であるジュール隊が既に作業を行っている、という話だった

「とにかく下がれ!」

ディアッカ・エルスマンの怒鳴り声が上がる
彼の機体、ガナーザクウォーリアは備え付けの大型砲身が唸りを上げ続けていた
武器を持たずに作業に出た戦友たちの援護のためだ
――実は、この騒ぎはテロリストが起こしたものであったのだ
そんな彼等が破砕作業を妨害してくるのは当然だった――

ディアッカの援護も虚しく、次々と丸腰のままで戦死
――否、殺戮されていく戦友たちを目の当たりにしても、
ディアッカは歯噛みするしかできなかった

「くそぉぉぉぉ!」

紅の閃光が黒いジンを捉える――しかし、それは氷山の一角に過ぎない

――だが、氷山が崩壊をしはじめた――

数を急激に減らし始めるテロリスト――ディアッカはその先を見据えた

『ミネルバの増援だ』
後方から来る青いザク――イザーク・ジュールだ

「イザーク!」
『遅れて済まなかった……蹴散らすぞ!』
「了解ってね!」

「ルナマリアとレイはあのザクたちの援護を!
俺たちは作業に取り掛かる!」

カミーユの指示が飛び、各々の持ち場へと散って行く

「それにしても、隊長の予感って怖いくらい良く当たるわね……」
「ルナマリア、戦闘中だぞ」
「手は動かしてるわよ!」

レイの讒言を捨てるように放つ弾丸が、ジンを灰塵と帰さしめた

「しかし、あの感覚……ラウに似ているな……」

トマホークを投擲しながらレイもうそぶいた
ルナマリアのことは言えないなと、軽く自嘲する

――ラウもそうだった。予知にも似た凄まじい判断力――

そして自分にもそういうときがあるが、
今回のことは予見出来なかった

「……俺もまだまだだ……」

ミサイルをばらまく――ジンが散る

「あれは!?」

正面から接近してくるジン部隊を確認する

「シン!二人で迎撃するぞ!アレックスさんは作業を!」
「了解だ!」
「……了解」

力強い返事の主はアスラン、そして陰のある方はシンである

「……見てろよ……絶望させてやる……」

シンの口許が歪む――それは誰も気が付いていない

『パトリック・ザラの採った道こそ、我等コーディネイターの行く道なのだぁぁぁ!!』
「なっ……!?」

オープン回線から流れる、テロリストの一人から叫ばれる血の出るような言葉によって、アスランは身が凍る気がした
その隙を見逃さなかったテロリストは、ザクウォーリアのメインカメラをブレードで破壊する

「しまった!」
『下がれ!』

ジンに蹴り飛ばされ、後方へ流されるアスラン
メインカメラの損傷で細かい作業が出来なくなった身では、さして働くことは出来ないので、
ユニウスセブンから離れてしまおうが同じだった

「なぜ……父の名が……」

アスランはコックピットの中で、
テロリストの言葉によって心を締め付けられるのを感じた

「アレックスさん!?
くっ……このままじゃ……!
シン!俺がここを受け持つ!お前は作業に行け!」

カミーユの必死の言葉に、シンの口がにやりとつり上がる

「……どうした?聞こえないのか!?
……だが、俺がここを離れればシンが……!
くそっ!!」

カミーユの問掛けに返事はない

「(手なんか貸すもんか!やりたいなら一人でやればいいんだ!)」

――確信的な通信断絶――ジンと交戦し続けるシン
アスランを戦闘不能にしたテロリスト――
サトーのジンもこちらにやってきた

『貴様らも退け!』

敵からオープン回線が繋がれた

「……なぜこんなことをする!」
『ナチュラルに鉄槌を下すのだ!』
「……どいつもこいつもっ!!」

その刹那――!

『『『な、なんだ!』』』

その場にいた全員が驚愕する――ただ一人カミーユを除いて

――鈍い桃色に輝きだすZがそこにいた――

「そんな下らないものに心を縛られて……
こんなものを地球に落とすと言うのか?」
『く、下らないとはなんだ!!』
「自分達が優秀なのを鼻にかけて、
ナチュラルを壁にぶつかっている劣等だと見下して……」
『何が言いたい!?』
「そうしてるお前らが一番、壁にぶつかっているんだ!
他人を理解しようとせず、わかったような口を利いて自分で自分の心を縛りつける!
それは下らないことなんだよ!」
『……こいつっ!?』
シンもこの通信を聞いていた――何も口にすることは出来なかった

更にZの光が増していき、辺りを包む
シンの意識はそこで途絶えた

《お兄ちゃん》

少女の声だ

《マ、マユ!?》
《お願い。もうこれ以上、悲しみを増やさせないで》
《……でも、俺は……》
《あの人が言ったでしょ?そんなことは下らないって……
死ぬのは哀しいことなの……
だからお願い……》

消えて行く少女――

「まってくれ!!」

そこで意識が戻った
瞳には涙が溜っている
だが、それは力強かった

「……マユ……そうだよな……
人が死んでいいわけないよな……
俺は大馬鹿野郎だっ!!」

スラスターを全力で吹かし、ユニウスセブンに向かう
テロリストたちも続いてくるが、何故か攻撃しない

「どういうつもりだ!」
『……天国の妻に叱られちまってな』
『……俺は息子だ』
『お前らもか!?……俺は母だ……
よし、ユニウスセブンを破壊するぞ!』

連なって行くバーニアの閃光――

『お前達!!何をする気だ!!』

サトーは仲間達の寄行に慌てふためいていた

「人は……分かりあえるんだ……」

カミーユから漏れる言葉――サトーは激昂した

『……貴様さえいなければぁぁ!!』

――斬りかかる――

「……くっ……この分からず屋ぁぁぁ!!」

Zもサーベルで応戦する
重なる機体――貫かれたのはジン――

爆発音が広がって行く

「……ユニウスセブンは……?」

カミーユは疲れた瞳で、ユニウスセブンを見つめた
けたたましい音を立てて崩れていくそれを見たとき、
カミーユはぐったりと体をシートにもたれさせ、瞳を閉じ、
同時にZの光は失われた