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Z-Seed_942_第05話

Last-modified: 2007-11-12 (月) 13:02:09

第05話『アーモリーワン襲撃』

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あっという間に時は過ぎ、私達はアカデミーを卒業する頃になった。
当然、私は首席で卒業し、密約通り、卒業と同時に黒服を賜わるという快挙も成し遂げた。
配属先は新鋭艦『ミネルバ』。
表沙汰にはならぬが、インパルスの設計者故の配属だった。
噂によると、私のせいで割りを食った副艦長がいるそうだが、私には関係の無いことだ。

「へへっ、パプティマス様と同じ配属先なんてツイてるなぁ」

シン・アスカは私の忠実な僕と化していた。

「そうか、私もお前と一緒で嬉しいよ」

そう言って、ずっと使い続けていた『かちゅーしゃ』をシンに手渡す。
シンは目をきらきらと輝かせ、微笑みながらかちゅーしゃを嬉しそうに付けていた。
身の回りの物を与えて、忠誠心を高めさせるのは基本だ。

「じゃあ、俺、配属の支度に行きますね!」

私も新しい髪止めを買わねば。

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自室に帰ると、女学生たちのプレゼントで部屋が溢れ返っていた。
ルームメイトが非常に嫌そうな顔をしている。
大方、幾度も言付けを頼まれ、辟易しているといった所か。

「君には世話になった」
「はぁ……」

軽く礼を言い、プレゼントの封を切り出した。
ネコ耳付きの髪止め、ネズミ耳付きの髪止め、ライオンのたてがみ付きの髪止め、ええい!
私はアミューズメントパーク帰りの子供か!
苛立ちつつ、開封を続ける。
ケーキ、チョコレート、クッキー……。
ナマモノは困るというのが何故分からん!
おや、手紙付きだ。

――検閲――

今更だが、プラントの貞操感は崩壊しているらしい。
アジャパー、これはいい髪止めだ。ベッコウとは、洒落ているではないか。
どこぞの貴婦人がこのようなものを……。

『かちゅーしゃはどうかと思って買ってみた。

――レイ・ザ・バレルより』

少し泣いた。

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アーモリーワンにてとり行われる、ミネルバの進水式の日がやって来た。
これから私の栄光の日々が始まるのだ。

ドォォォン!

な、何事か!?
眼前には三機のMS――カオス、ガイア、アビスが広がっていた。
それらは破壊活動を始め、辺りは悲鳴に満ちた。

どうする、どうするのだ、私!
ええい、ままよ!

一目散に走ると、倒れているザクウォーリアを発見した。
ふふふ、私は悪運が強いらしい。
この場を見事に火消ししてみせれば、私の株も上がるというものだ。
その時、ザクウォーリアに乗ろうとする二人の民間人の姿が目に入った。

「そこのアベック……もとい御両人!
私が乗ろう!」
「こんな所で、君を死なせる訳に行くか!」

男は私の話を聞いていなかった。

「素人に動かせる筈が無かろう!?」

無情にも、コックピットハッチは閉じ、私は剣を失った。

俗物め!
貴様らなどだらしのない性交で、
『出来ちゃった……』
『堕ろせ』

というお決まりの水掛け論でもしていればいいのだ!
……いかんいかん、私はクールにシニカルが信条なのだ。深呼吸だ!

――中略――

見事に大破したザクウォーリア。
あああああ、どう見てもパイロットが凡庸だ!私が乗っていれば!
――その時だった――

『また戦争がしたいのか!?あんた達は!!』

ふふふ、流石はシン・アスカ!時間を稼いでくれればいい!

「パプティマス様ぁぁぁ!」
「無事か!?」

パプティマシズムの一員が、ボロボロになりながら此方へやって来た。
彼女の姿を見た途端、私の闘志に火が着いた。
女は私だ。女の傷は私の傷だ。

「MSが何処かに無いか?」
「Bブロックの方に無傷な物が……」
「よし!貴様は避難していろ!」

あえぎながら、私は力の限り足を動かした。
あの無粋者どもに然るべき報いを与えねばならん。

――奴らは、何人もサラを作ろうとしているのだ――

「これか!!……これか?」

Bブロックに辿り着いた私を待っていたのは、ずんぐりむっくりとしたMSモドキだった。