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Z-Seed_942_第10話

Last-modified: 2007-11-12 (月) 13:03:03

第10話『ユニウスセブンの憂鬱』

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ミネルバもティターンズの一員ゆえ、ミネルバを従えて配属先のジブラルタルへ向かう途上であった。

「ユニウスセブンが落下しているだとッ!?」

――中略――

「いいかッ!ティターンズの力を示す格好の機会であるッ!
総員気を絞めてかかれッ!」

クルーたちに激を飛ばしながら、私は巨大な隕石とも取れるユニウスセブンを見つめた。
肌がざらつきが先程から止まらない。人のおぞましい思念を感じるのだ。

「シン」
「何でしょうか?」

副長席で指示を出していたシンがいぶかしげな表情で答えた。

「お前も出てくれないか。嫌な予感がするのだ」
「了解!」

シンは歯切れのいい返事をすると、駆け足でMSデッキへと向かった。
本来ならば私が出たい所だが、シンに指揮の全権を委ねるにはまだ早かった。
これからじっくり仕込んで行く必要がある。

「思い過ごしならいいのだが……」

再びユニウスセブンに目を凝らす。肌のざらつきは何時までも消えなかった。

「おい、ミネルバに武器携帯の指令を出しておけ」
命令を出すと通信士、アビーは慌ただしくコンソールをいじり始めた。

『うえーい(ステラだよっ。ガイア、出るよっ!)』
『アウル・ニーダ。アビス、出るぜ!』

しばらくして、発進申告を受けている時であった。

「ミネルバからの通信です」
「繋いでくれ」

受話器を取ると、メインモニターにグラディス艦長の姿が映し出された。

『タリア・グラディスです。シロッコ……艦長。何故、武器携帯を?』

幾分、やりにくそうである。短期間とはいえ、部下であった男が上司なのだから無理もない。

「根拠はありませんが、備えるに越したことはないでしょう」
『つまり、この騒ぎは人為的と?』
「そう決まった訳ではありませんが、とにかくやって頂きたい」
『了解しました』

明らかに不機嫌な表情をしながら、グラディス艦長は通信を切った。根拠のない命令は好かないタイプなのだろう。

『シン・アスカ。インパルス行きます!』

アテナの中央カタパルトから勢い良くパーツ群が飛び出し、一つのMSを形成してゆく。
アテナはミネルバタイプの戦艦故、インパルスをこちらで運用することは可能であった。
「よし、タンホイザースタンバイ。破砕の際に生じる破片を破壊しきるぞ。大気圏突入も覚悟しておけ」

粗方の命令は終わった。後は無事を祈るのみだ。

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「ルーシェ機、ニーダ機がアンノウンと交戦!破砕作業に支障!」
「シンはどうした?」
「一人、破砕作業に入っております!」
「ミネルバのMSは?」
「こちらも交戦中!あっ!!」
「どうした!?」
「インパルスに妨害が入りました!破砕作業凍結!」
「ちぃ!何をてこずっている!」

アビーからの報告は、いちいち私の頭を悩ませた。
アンノウンということはテロリストといったところか。地力ではこちらが優勢であろうが、なにしろ時間が足らない。

「アビー、カオスを用意させろ」
「しかし、指揮は……」
「同時並行でやる!」

苛立ちながらブリッジを出てMSデッキへと向かった。ノーマルスーツを着る余裕は無い。
余裕があっても着るつもりはないが。

「発進するぞ」

Gを感じながら、私は戦場に出た。久方ぶりの実戦である。
シュミレーションとは一風変わった独特な空気を胸一杯に吸い込み、カオスを変形させて最大戦速で現場に向かった。
「墜とす時間も惜しい!」

横槍を入れてくる敵には目もくれず、私は最前線へ辿り着いた。
そこで私が目にしたのは、散漫な戦闘であった。
現場指揮を取るものが居ないせいか、各々が多を相手取って戦うという破滅的な状態だった。
それにも関わらず互角に戦えているというのは、喜ばしいことではある。

「ステラ、出過ぎているぞ!アウル、深追いはいい!今は破砕が先だ!シン、レイ貴様らはメテオブレイカーを起動させろ!
ステラ、アウル、ルナマリアでレイとシンの援護!レイとシンが狙い撃ちされんようにだ!
ミネルバとアテナは……うるさい、カトンボ!
ミネルバとアテナは破砕済み次第タンホイザー発射!大気圏突入フェイズを開始しろ!
何か?
……テロリストに張り付かれただと!?さっき無視した奴か!アウルを行かせる!
ルナマリア、撃ち過ぎるな!バッテリーが上がるぞ!
大気圏突入予定地のズレ!?オーブだと!?今すぐ議長に繋げ!
だからうるさいカトンボ!
議長にオーブ入港の手続きを取ってもらえ!
グラディス艦長にお願いすればいいだろう!
ルナマリアァァ!こっちを撃つんじゃない!私は味方だぞ!
それから……」

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「……あれは彗星か?いや、彗星はもっとバァーとなるはずだ……」
「お疲れ様です」
「全くだ」

アビーがドリンクを持って私のもとにやって来た。何とか無事に破砕作業を終え、オーブに入港することが出来たのだ。
私は嘗て無い程にくたくたに疲れていた。疲れ目が引き起こすような幻覚を見るのは初めてである。

「指揮、見事でした」
「……それにしても現場で指揮を取れる人材が欲しいな……。
登用を間違えたかもしれん」

シンを副長にしたのは時期尚早であった。才能はあるが経験と威厳がない。
レイも同様である。また、ステラ、アウル、ルナマリアは論外。
――その後、私は本国に嘆願書を送った。

『現場指揮出来る人材を寄越して頂きたい。

過労死する前に』