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Zion-Seed_ガルマ_第03話

Last-modified: 2007-11-12 (月) 18:09:11

「キンバライト鉱山を落とす目処はまだ立ちません。指揮官のビッターの抵抗がしぶとくて……」
「まったくだね。もっとも、ビッターだけじゃなくジオン自体もしぶといんだと僕は思うんだけどねえ」
ノイエン・ビッター率いるキンバライト鉱山基地防衛部隊のタフさに、ザフトは手を焼いていた。
下半身を破壊されたザクやザクキャノンを改造してザクタンクを作るだの、
破壊されたマゼラトップを改造してザクの手持ち武器にするだの、
半壊したザクのシールドを改造して防具兼武器のスパイクシールドにするだの、
とにかくジオン側はコーディネイターには思いもよらない方法で粘り強く戦うのである。
コーディネイターに比べ、能力に劣るナチュラルが中心になって建国されたジオン公国の発展は、
プラントに比べて艱難辛苦の連続であった。そうした環境が、粘り強く簡単には諦めない
ジオンの国民性を作り上げたのであろうか。
「きっと連中は物資が無くても、気力が続く限り10年だって抵抗を続けるよ。
我々もその点は見習いたいものだね。僕じゃコーヒーが切れたらダメだろうけどなぁ」
バルトフェルドはキンバライト鉱山がジオンの本格的な前線基地になることさえ
防げればいいと思っているので、半ば気楽なものである。
仮に北アフリカに展開しているザフトが壊滅すれば、ジオンは地球連合を構成する
南アフリカ統一機構と直接勢力圏を接することになり、挟み撃ちの形となってしまうのである。
あの前髪をいじりたがる坊ちゃんはどうだか知らないが、ジオン本国はそれを望まないだろう。
そう考えている砂漠の虎としては、地球連合の支援を受けている南アフリカ統一機構の息の根を止め、
パナマ侵攻の準備にかかれるようにすることが最優先である。
かと言ってプラント本国の意向や指示も無視できないし、
ジオンの勢力圏を拡大されるのも癪ではあるので、前線の物資集積所や基地を襲撃して
こちらに有利な現状の維持を図る、アリバイ作り程度のことは行っているのであった。
「それにしてもねえ…」
報告書に目を通しながら苦笑するバルトフェルド。
「普通、バクゥのキャタピラをザクタンクなんかに利用するかね? 
足が速くて格闘戦を挑んでくるザクキャノンタンクなんて反則じゃないか」

「司令、物資が底を尽きかけています。このペースでは一ヶ月持ちません」
「そうか。よく持ったと言うべきだろうな」
部下の報告にキンバライト鉱山基地司令、ノイエン・ビッターはうなずいた。
部品の「共食い」の結果、機体カラーがまだらになっていないザクは無く、
グフにしてもザクの部品で応急修理した部分も目立つ。
マゼラアタックはもはや大部分がザクタンクである。
ザフトが大規模な攻撃を仕掛けてこないためとはいえ、ここまで戦い抜いたビッターの手腕は、
その非凡な能力を示すものであった。
「どちらにせよ、我々の役割ももうすぐ終わる。脱出の準備を始めてくれ」
ビッターの任務の一つは、ザフトがジオン勢力圏に食い込んでくることを遅らせる、
いわば時間稼ぎである。どう頑張っても、ザフトにバクゥがある限り、ジオンは正面からの決戦に
勝利することはできない。だが、もうすぐ自分の役割を肩代わりしてくれる者たちが現れるのだ。
そうなれば、もう鉱物資源のうまみも少ないこの基地に固執する必要も無かった。
「了解です。しかし、我々がどうやって逃げ出すつもりか知れば、ザフトの連中は腰を抜かすでしょうな」
ミノフスキー粒子を高々濃度で散布してミサイルを殺し、残った兵器全てをオート動作のおとりにして、
基地に数機ある全てのHLVで一気に大気圏を突破してジオン勢力宙域まで撤退する。
その後は宇宙軍に拾ってもらい、オデッサ経由でまたアフリカへ、という算段である。
「だが、この方法は二度と使えんだろう。我々が得た戦闘データだけは、宇宙で友軍に渡さなければな」
バクゥに勝てるMSを開発するための貴重な戦闘データを得て、後の戦いに生かす。
これはジオンが勝利するのに絶対に必要なことであった。
「……戦いとは、二手三手先を考えてするもの、か」
「は?」
「赤い彗星の言葉らしい。もっとも、私もまた聞きでしか知らんがな」
ビッターは部下を下がらせ、壁に貼られた地図を見た。
二手三手先を実行するため、今はまだ目の前の一手に集中しなければならなかった。

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