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Zion-Seed_515_第09話

Last-modified: 2007-11-12 (月) 18:12:12

 6月に入り、ジオンが推進していた統合整備計画の第一段階の終了により、次期主力機の開発が活発化していく。

 この計画の第一段階は主に、マニピュレーターの共通化と武装の共有化に重点を置いて進められ、新型機開発とともに
進められている第二段階では共通コクピットの開発を重点的に行われている。

 この計画自体はマ・クベ少佐により開戦前より提唱されていたが、短期間での電撃的勝利を目指す公国軍にとって、
長期的な計画となるMSの規格統一が優先課題ではなかったこと、開戦前はMSを艦船の補助兵器と見做していた
ドズル中将が、MSに関する計画にさほど積極的ではなかったことから、この計画は実現せず開戦を迎える事になる。

 C.E.70年、1月3日から始まったジオン独立戦争は、その月のうちにジオンの勝利で終結する。

 この戦争によって、MSが主力兵器としての道を歩みだす事により、規格統一を急務と考えた公国軍首脳部の提訴により、
ギレン総帥直々の命によって2月より統合整備計画はスタートする。
(ザクの後継機の開発計画は開戦前より始まっていたが、各計画は基本的にリンクしておらず、完全な縦割り体勢であった。
 この為、ある程度まで進んでいたこれら計画のMSの武装は異なり、ザクの武装も共有できないといった状態であった)

 これがザフトに比べ後継機開発の遅れにつながるのだが、長期的に見た場合この決断は正しかったと言えるであろう。

 7月に入り、ジオニック社がMS-06Jを徹底的にリファインした、YMS-07プロトタイプ・グフを開発する。
 これはザフトの地上侵攻により、対MS戦闘用のMSが必要とされたためで、この所謂グフ・タイプは完全に局地専用MS
として開発された。
 本来、ヒート・ロッド、75mmフィンガー・バルカン砲などの独創的な近接戦闘用内臓兵装を持つMS-07Bが、
制式機として採用されるはずであったが、統合整備計画の横槍で計画が見直され、フィンガー・バルカンを通常のマニュピレーターに
交換可能なものとして改修した、MS-07B-3が制式機として採用される事になる。

 そして、10月。
 後にジオン地上専用MSの最高傑作とも謳われることになるMS-09の試作機、YMS-09プロトタイプ・ドムが
ツィマッド社から開発される。

 国際連合崩壊前にプラント理事国とジオン公国との間で結ばれたコペルニクス軍縮条約は、主に各国保有艦艇比率と今後5年間の
新規主力艦の建造計画の禁止についての条約である。

 主力艦保有比率はジオン公国:大西洋連邦:ユーラシア連邦:東アジア共和国で10:10:8:5とされている。
 この比率に、プラント理事国らは顔を顰めたが、終戦直後の各国保有艦艇数はジオンが60隻以上を保有しているのに対し、
プラント理事国は三国合わせて30隻前後である。
 一応の艦隊再建は認められた事になるので、プラント理事国はしぶしぶこれに調印する。

 ジオンとしても経済再建も無いまま軍備拡大などはゴメンであったため、軍部は大いに不満を示すも財務官僚はホッと胸を
なでおろしていた。
 実際、ジオンの経済状態はかなり危険なレベルまで落ち込んでおり、戦争があと数ヶ月長引けば餓死者すらでかねない状態で
あったといわれている。
 経済封鎖解除による地球との交易の再開により、ジオンはようやく一息つくことができたのである。

 血のバレンタインにより、プラント・地球連合間の戦争が始まり、地球連合の暴走による一連の流れで、ジオンは赤道連合ら
三国にMSを主力とする義勇軍を派遣、侵攻する地球連合軍の撃退に成功している。

 このMSの有効性に目をつけたこれら三国は、ジオンにMS売却を打診する。

 ・某MS開発会社の重役たち

「通常交易だけでなく、ついに我がジオンも兵器輸出に手を出すか」
「ケケケ、大西洋連邦から顧客を奪ってやるぜ」

「とりあえず、旧式のMS-05を中心に売却するらしい」
「ククク、旧式兵器を格安で売却。その後、後継機を通常価格で販売。自国生産ができなきゃ買うしかねぇ」

「地上の義勇軍は当分帰れんかもな。そのまま教導隊にされそうだ」
「ハハハ、連中も大変だ。それにしても、笑いが止まらん♪」

 ジオンは赤道連合ら三国にMS-05ザクⅠ:300機の売却を決定。
 さらに、それら三国のMSパイロット育成のために、義勇軍の増援も決定。
 新たにMS200機と、10万人の兵員が義勇軍として派遣される事になった。

 ・地上の紅白

「ん? ジョニー、何をしている?」
「お、シンちゃんか。これこれ」

「ほう公国軍広報か。ああ、ミス公国軍の件だな?」
「そうそう。今年のミス公国軍は誰かね~? 去年はセシリアさんとジェーンさんの一騎打ちだったな~」

「今年もあまり変わらんだろ……いや、そうでもないか」
「そ、今年はかなり粒ぞろいだぜ~、ダグラスのおっさんのとこの新人2人もエントリーされてる」

「そういえばシュマイザー少佐のフェンリル隊も、かなりの腕の女性パイロットが加入したと聞くが」
「フェンリルからもエントリーがあるぜ、多分それだな。新しい総帥秘書のミーアちゃんといい、今年のミス公国軍は豊作ぞろいだぜ、
本選が楽しみだな~、ウヘヘ」

「まったく、それでジョニー。お前は誰に入れるんだ?」
「ん? この人」

「って、キシリア閣下か? ジョニー、お前年増好みか……」
「てめえ! キシリア様なめんな! 第一シンちゃん同い年だろ! 俺のが年上! 年下の幼馴染だ、ゴラァ!」

「あ、ああ。すまんな(まあ、個人の嗜好はそれぞれだしな)」
「そーゆうシンちゃんこそ、誰にすんのよ?」

「む、この方だ」
「って、早いなもう投票用紙に記入してあんのかよ……って、おい! ミネバ・ザビって、赤ん坊じゃねーか!」

「なっ! ミネバ様のぷに愛らしさがわからんか、貴様!」
「黙れ! このペド野郎! 第一、公国軍かんけーねーだろ!」

「そうか。よし、殺す!」
「上等だ! 返り討ちにしてやんよ!」

 ~ 以下、殴り合い宇宙 ~

「……まあ、何はともかく」
「ああ……」

「「ザビ家萌え~~♪」」

 8月に入ると、ジオンは地上のエネルギー不足の抜本的解決の為、L4に大規模な核融合発電とその送信施設の建造に着手する。
 これは表向きは増大する移民問題を解決する為の、新規コロニーの建造とされた。
 プラント側にこの情報が漏れると色々と面倒だからである。

 また、表向きとされたコロニー建造計画も嘘ではなく、L2、L4にて数十基のコロニー建造計画が進んでおり、
コロニー開発公団関係者を狂喜させていた。

 軍縮条約で暗礁に乗り上げかけた造船業界も、交易用の商船受注が相次ぎ息を吹き返す事になる。

 これだけの事業を展開できた背景には、プラント理事国からの賠償金などの資金源もあったが、到底それだけでは
足りるわけが無い。
 また、経済破綻寸前であったジオンにそのような体力が急につくわけも無い。
 この事業展開の裏には、ロゴス資本の大規模投下が成されていたのである。

 アズラエルやジブリールらの例外はあるものの、基本的にロゴスの構成員は金の亡者ばかりである。
 彼らは先の見通せないプラントとの戦争を大いに懸念し、リスクの分散のため資本の一部をジオン公国に投下したのだ。
 無論、ジオンをロゴスの影響権に置くという理由もあったが、やはり最大のものは金儲けの為であろう。

 ジオン公国全体が好景気に沸く中、地下某所ではとある陰謀が進んでいた。

「忌々しい。この好景気で、またあの男の株が上がるぞ」
「仕方あるまい。ミスがあるにはあるが、それが大崩れにつながらん……」

「……閣下はなんと? このままではジリ貧だぞ」
「近日中に大きな会合を行うとのことだ。どうやら宇宙攻撃軍と突撃機動軍の解体が、正式に決まるらしい」

「クソッ! ついに公国軍再編か……」
「総帥府からも軍指揮権を除外すると言うが……結局、上層部を自身の子飼いで占めるつもりだろう」

「そいえば、旧ダイクン派から接触があったと聞いたが?」
「事実だ。……閣下の意思は多くのものから賛同を得ている。が、大衆はあの男の味方だ」

「ぬぅ、つくづく忌々しい男だ」
「フッ、大衆はパンを与えるものに従う。今はあの男がそれを成している。が、それがあの男である必要は無い」

 話が終わり、男達は時間を空けて別々にこの場から立ち去る。

「こんにちわ、ミーアです。なんだか大変な話を聞いてしまったような気がします。ミーアには良く分からないので、
セシリアさんに相談しようと思います」

 だが、休暇中の買い物で道に迷ったアホにしっかり聞かれていた。