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Zion-Seed_515_第15話

Last-modified: 2007-11-12 (月) 18:13:13

 遅々として進まぬマスドライバー施設占拠に、オペレーション・ウロボロスの大幅な見直しを行っていた
プラント評議会は、東アジア共和国の密約に飛びついた。
 すぐさま、カーペンタリアからカオシュン進駐のための部隊が選抜される。
 また、軌道上からの部隊降下のため、ヤキン・ドゥーエのザフト総司令部も慌しく動いていた。

 そのような中で、プラントに風雲急を告げる情報がもたらされる事になる。

 ジオンのクーデターがほぼ即日鎮圧され、結局ギレ・ザビンの独裁権限を固めるだけに終わったことに、
ブルーコスモス盟主ムルタ・アズラエルは非常に残念な思いをしていた。
 ハルバートンから、ヘリオポリスで行われているG計画はほぼ最終段階に入ったとの報告を受けている。
 また、本土においてもユーラシア連邦から、ロゴスを通じて得たMSの量産ラインの技術を元にMS量産
体制を固めつつあった。

「さて、そろそろプラント滅亡への第二楽章、開幕といきましょうか!」

 MSの量産が始まれば数に勝る地球連合が有利となるが、それはあくまで地上の話である。
 制宙権は完全にザフトが握っており、いかにマスドライバーがあるとはいえ、宇宙に上がったところを
確固撃破されては数の有利も意味が無い。
 この状況をアズラエルは、ジオンをプラントにぶつける事で打破しようと動き出す。

 血のバレンタイン、地球連合からすればプラント本土攻撃において、本国防衛ラインの配置を漏洩した人物、
それを通じてジオンのエネルギープラントの情報を、プラント評議会に流したのである。

 こうすれば放って置いても、プラントはジオンとの全面戦争に勝手に突入するはずであった。

「戦後の事を考えると、ジオンの一人勝ちは困りますからねぇ」

 アズラエルはニヤニヤとしながら算盤を弾いた。

 12月20日。ラウ・ル・クルーゼ率いるクルーゼ隊を中心にした15隻からなるザフト艦隊が、
ヤキン・ドゥーエを発進する。
 その2日後、レイ・ユウキ率いる主力艦28隻からなる本隊がヤキン・ドゥーエを後にした。

 目標はジオンの宇宙要塞ソロモン。そしてL4のエネルギープラントである。

 ザフトはこの作戦に戦力の大半をつぎ込むことになる。
 ローラシア級戦闘母艦:18隻、ナスカ級高速戦闘艦:25隻、MS:380機を投入し、パトリック・ザラの
懐刀、レイ・ユウキ特務隊長が総指揮をとっている。

 これはプラント評議会が、ジオンのエネルギープラントの稼動が何をもたらすか、正確に理解していたからである。

 C.E.70年、12月24日、2時。プラントはジオン公国に対し、宣戦を布告。

 図ったかのように、布告からきっかり3秒後にザフト艦から放たれた高エネルギー収束砲が、ソロモン駐留艦隊に
降り注いだ。

 ザフトの怪しい動きに警戒はしていたジオンのソロモン駐留艦隊であったが、よもや突然宣戦布告するとは思わず、
更にその3秒後の攻撃に対応しきれるはずも無かった。
 それでも歴戦の公国軍だけあり、ザフトの初撃での撃沈艦はゼロ。
 駐留艦隊の指揮を取るコンスコン少将は、損傷艦を後方に下げつつ、果敢に反撃を開始した。

 ソロモン駐留艦隊はグワジン級:2隻、チベ級:4、ムサイ級:20隻からなり、通常の2個艦隊分に相当する。
 保有MSは約180機、要塞内に配備されたMSを合わせれば400を超える数になる。

 ザフト艦艇とジオン艦艇の壮絶な撃ち合いの最中、各母艦からMS隊が発進する。

 後に、第一次ソロモン攻防戦と呼ばれる戦いの始まりであった。

 ■ ソロモンの紅白 ■

「オロロ~ン、オロロ~ン」
「……」

「キシリア様~、オロロ~ン」
「……いい加減にしろ、ジョニー。戦場でそれでは真っ先に死ぬぞ?」

「うう~、シンちゃん。でもでも、キシリア様が~」
「ええい! 鬱陶しい!」

「オロロ~ン」
「……」

「ちくしょ~、バロムのとっつあん、なんでクーデター止められなかったんだ~。あとダイクン派殺す」
「……ふむ、そうだな」

「ん? シンちゃん?」
「こう考えるんだ、ジョニー。すべてはプラントの陰謀だと」

「なっ!!」
「そう、この間のクーデターはジオンの国力低下を狙ったプラントの陰謀だったんだ!」

「な、なんだってぇーーーー!!」
「そう考えればすべて辻褄は合う(……あわねーよ)」

「そうか、すべてはプラントの……」
「そう、そして、忌むべき敵は目の前だ!」

「おう! ぶっ殺してやる!!」
「……(こいつ、こんなに単純だったか?)」

 この戦いにおいて真紅の稲妻ことジョニー・ライデン大尉は、愛機のMS-06R-2を駆り、ローラシア級2隻、
ナスカ級1隻を撃沈、MSもジン7機、シグー2機を撃破するという大戦果を挙げる。
 ちなみに、白狼ことシン・マツナガ大尉はナスカ級1隻を撃沈、MSはジン5機、シグー1機を撃破している。
乗機はMS-06R-1A。

 こうしてジョニーは、地球連合だけでなく、ザフトにも赤い彗星の名を轟かせるのであった。

 戦闘はザフトの予想に反し、先制攻撃を与えたにもかかわらずジオンの優勢で進んでいた。

 3機小隊で巧みな戦闘をおこなうジオンのMSによる防衛ラインを、コーディネイターの操るザフトのMS隊が
突破できず、逆にジオンのエースを中心とした対艦攻撃部隊にザフトの防衛ラインは翻弄されていた。

 ■ 変態仮面 ■

「ハハハ! これがジオンの強さか! コーディネイターが形無しではないかね!」

 3機のザクによる連携を、シグーの高機動で強引に引き剥がし、旗艦と思わしき特異なシルエットの戦艦に突貫を
かけるクールゼ。
 だが、それを許すほどジオンのMS隊は甘くない。

「ぬおおおおお!!」
「ちぃ!」

 攻撃を果たす前に、天頂方向から突っ込んできたMS-09Rに妨害される。
 袈裟切りのごとく打ち下ろされたヒート・サーベルを、重斬刀で受け止める。が、ちょっと溶けた。

「何者かね!」
「我が名はアナベル・ガトー! 貴様の名も聞いておこう!」

「ええい! 暑苦しい!!」
「逃がさん!」

 また、僅かに防衛ラインを突破したザフトのエースたちも、一部のタイマンを好むジオンのエース格に付け狙われ、
艦艇への攻撃を行う余裕は無かったのである。