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Zion-Seed_51_第07話

Last-modified: 2007-11-19 (月) 18:04:57

1.

 新造艦アークエンジェルのブリッジではナタルとノイマンが口論をしていた。

「艦を発進させるなど! この人員では無理です!」
「そんなことを言っている間に、やるにはどうしたらいいかを考えろ!
 モルゲンレーテはまだ戦闘中かもしれんのだぞ!」

 起動作業を行ないながらノイマンを叱責する。

「それをこのままここに籠もって、見過ごせとでも言うのか!」

 そんな中トノムラ伍長が数名の人員を連れて戻ってきた。

「ご命令どおり、動ける者を連れて参りました!」
「シートに着け! コンピュータの指示通りにやればいい」

 ナタルは手を止めると、横になっているパオロに駆け寄った。

「艦長。準備が整いました。次の指示を……」
「少尉……君が艦の指揮を執りたまえ……」
「私がですか!?」
「そうだ……君がやるのだ」

 パオロの命令に戸惑うナタル。

「私は……満足に動けん……それに……」

 苦しそうな表情で語りかける。

「君の操艦実習の成績は優秀だ」
「で、ですが……」
「ナタル・バジルール少尉……艦長代行を命じる……」
「……了解しました」

 敬礼で答えたナタルは、意を決して艦長席に腰を下ろした。

2.

 ジンを倒してホッとしたのも束の間、凄まじい轟音が鳴り響く。
 岩盤が崩れ落ちると、土煙の中から白く輝く戦艦アークエンジェルが姿を現す。

「戦艦……コロニーの中に……!?」

 キラが戦艦に見とれているその頭上で、白いMS“シグー”がシャフトを破壊し降りてくる。
 その後には連合のMA“メビウス・ゼロ”も続いた。

「私がお前を感じるように、お前も私を感じるのか? 不幸な宿縁だな。ムウ・ラ・フラガ」
「貴様! ラウ・ル・クルーゼ!」

 ゼロはガンバレルを展開し、四方から発砲する。
 シグーはかわしつつガンバレルを落とそうとするが、ムウはそれより早くガンバレルを収納させる。
 一進一退の攻防とはこのことだろう。決着がつく気配がない。

「こっちはシャアを落とすために腕を高めてんだ! お前なんかに!!」
「シャア……だと?」

 「シャア」という言葉に反応するクルーゼ。

「ふざけるな!! 奴は私の獲物だ!」
「なんだと!?」
「第一、そんなもの(メビウス・ゼロ)で奴を落とせると思うのか! 身の程知らずめ!!」

 シャアに恨みでもあるのか、いきなり激昂したクルーゼを尻目にムウは切り返す。

「あいにくだな! こちとらMSに機種転換するんだ! だから――」

 言いながらガンバレルを、

「――こんなこともできる!!」

 そのままシグーにぶつけた。

「な、なに!?」

 あまりに意表をついた攻撃をシグーはまともに食らってしまう。
 その隙をついてゼロはリニアガンを放った。
 それに気づいたシグーはあわてて避けようとするが弾は左腕を吹き飛ばす。

「ちっ……被弾した。帰投する」

 クルーゼは自分の失態に腹が煮えくり返る思いだった。

3.

「つまり巻き込まれちゃったわけね」

 場所を近くの公園に移し、キラはクリスに経緯を説明していた。
 なぜクリスに話しているかというと、マリューが気絶してしまったのだ。
 OSを変えたストライクの動きにより、強いGがかかったのである。

「事情は分かったわ。でもこの機体は軍の最重要機密なの。
 申し訳ないけど、しばらくは私達と一緒に行動することになるわね」
「そんな……」
「大丈夫よ! 私が上に掛け合ってみるから、そんなに落ち込まない!」

 クリスは、バシッ! とキラの背中を叩く。

「でもさっきのメビウスとシグーの戦闘見た? すごかったわねー! さすがエンデュミオンの鷹っ!!
 私が乗ってたこの機体も彼が乗ることになるのよ! すごいでしょ!?」
「はぁ……」

 元気付けようと、大げさに話すがキラは落ち込んだままだった。
 ただキラは拘束されることに落ち込んでいるわけではない。

(アスラン、だったのかな? でも君が軍人になんて……)

 アスランのことを気にしていたのだ。
 そんなことを知らずにクリスは、

(ま、まずい! 気まずい……)

 微妙な雰囲気の中、一台の車がこちらに近づいてくる。

「トラック?」

 荷台には数人の人達が乗っている。

「やっぱりキラだよ!」
「おーい!」
「キラー!」

 それはゼミの友人達だった。

「サイ!? トール! ミリアリア! カズィ!」

 荷台から降りると皆がキラに駆け寄ってきた。

「よく生きてたな、このヤロー!」
「皆、どうして?」
「退避シェルターに入れなくてさ」
「困ってたところをあの人に拾われたんだ」
「あの人?」

 振り向くと、トラックの運転席から女性が降りている。
 美しい金髪を肩まで伸ばし、どこか気品の感じられる女性だ。

「お友達?」
「ええ、同じゼミに所属してるキラです」
「キ、キラ・ヤマトです」

 突然紹介されたキラは照れながら言った。

「セイラ・マスよ」