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Zion-Seed_51_第35話

Last-modified: 2007-11-19 (月) 18:22:04

 オデッサ基地司令部では誰もが喜びに沸きあがっていた。
 難攻不落のジブラルタル基地をガルマ・ザビ准将が攻略してしまったのである。この報はオデッサだけでなく、
前線の将兵たちにも知らされた。
「マ・クベ司令! やりました。ガルマ様がジブラルタルを占拠しました!」
 ウラガンが小躍りするように喜んでいるが、オデッサ防衛はまだ果たされていない。幸いなことに連合にも
知らせは届いたらしく、ケラーネ軍の挟撃も重なってその進軍を止めていたが、気は引けなかった。
「まずいな……」
 だが、この時マ・クベは別のことを危惧していた。それは自分自身の立場にである。
 連合が引き、防衛に成功したとしても功績は与えられないのではないか。特にユーリ・ケラーネ少将は前線で
将兵たちと戦っている。司令部にいる自分と比べれば、上層部は迷わずケラーネを評価するだろう。
 ではガルマはどうだ?
 ジブラルタル陥落――この事実だけで、誰もがガルマを賞賛するだろう。ガルマの知略と、ザビ家の権威が、
想像できるかぎりの美麗賛辞を並べ立てるはず。階級も昇進して少将、いや、中将もありえた。
「このままではキシリア様の賛辞を受けるのはあのお坊ちゃんではないか」
 そうなれば突撃機動軍ナンバー2の地位も危うくなる。
 マ・クベは背筋が凍りつく思いがした。
「私も賭けに出るか……」

――――第35話

 一方の連合軍司令部であるハンニバル艦橋は騒然となっていた。
 参謀達は慌てふためいており、碌な作戦案も提示できない。各部隊へはコープマンが何とか指示しているが、
どれも場当たり的なものでしかない。ハルバートンに至っては、遠い世界に行ってしまったかの如くだ。
「ハルバートン提督。敵の攻撃が止みました」
 通信士の声に一同が静まり返る。そして混乱から解放されたからか、ハルバートンが正気を取り戻した。
「どういうことだ?」
「判りません。一先ず態勢を整えさせますか?」
「あ、ああ。そうしてくれ」
 参謀達よりはるかに冷静な通信士の機転によって、何とか指揮系統の崩壊は免れた。
「提督。敵司令部から通信が入ってます」
 モニターに頬のこけた胡散臭い男が映る。
 ハルバートンは面識が無いが、その顔は南極会談のTV映像で幾度となく見た。
『オデッサ作戦の総司令官ハルバートン提督、聞こえるか? 私はマ・クベ中将だ』
「……一体どういうつもりだ」
 警戒感を表しながら、ハルバートンは問う。
 マ・クベは冷酷な笑みを浮かべると、信じられないことを言った。
『直に軍を引かせよ。ここで手を引かねば、我が方は水素爆弾を使う用意がある』
 その一言に司令部は騒然となった。




「バカな! 核は使えない筈だ!」
『それはどうかな?』
 Nジャマーが投下された以降、地球上で核の使用は不可能になっているが、核兵器であっても原子爆弾に
よらない起爆方式をとる純粋水爆ならば原理上使用可能である。
『無論、核兵器を使わぬと約束をした南極条約に違反はするが、我々も負けたくないのでな』
 通信が切れると、皆がハルバートンを見た。
 ハルバートンは腕組をしたまま考えている。敵司令官との心理戦が、彼本来の冷静さを取り戻したようだ。
「誰か意見はあるか?」
 その言葉にコープマンが反応する。
「撤退すべきです。我が方は戦略および戦術的に不利な立場にいます」
 第1軍は数で勝っていても四方を敵軍に囲まれている。
「反転して、後方の部隊を討ち、撤退しましょう」
 生きていればこそ復讐戦を企画することもできる。それがコープマンの意見だった。
 確かにベターな選択である。撤退すれば悪戯に将兵の命を亡くすこともないだろう。だが、ハルバートンは
一つ気がかりなことがあった。
「アークエンジェルを見捨ててかね?」
 そう、ハルバートンはAA隊のことを危惧していた。作戦通りなら、今頃は鉱山基地を攻撃している時刻だ。
しかし、このまま撤退すれば彼らは敵中に孤立することになる。
「コープマン大佐。彼らは2隻で鉱山基地を落とすと言っていたのだろう。ならば我々も行かねばならん」
「しかし、水爆が……」
「考えてもみろ。奴らは何故このタイミングで脅迫じみたことをする?」
 この問いに皆が返答に詰まる。
「戦局はジオンが優位なのに何故だ?!」
「それは……」
 少し考えてコープマンはハッとした。
「アークエンジェルが基地を攻撃したから」
 答えに知将がうなずく。
「そして第2軍の存在がある。つまり、これは私の推測だが――」
 1、敵はAA隊によって基地防衛隊に被害が被った。
 2、1によりジオン側の戦力は、実質欧州方面軍だけの可能性がある。
 3、更には第2軍が近づいている。
 以上のことから、このまま粘っても何れは押し切られる。そうマ・クベが判断したのではないか?
「――でなければ説明が付かん」
「確かに……」
「しかし、ジブラルタルからの増援があるかもしれません」
「冷静になれ。あのジブラルタルを落とした後に、部隊を展開できると思うか?」
 参謀達は首を振った。
「そうだ。ジブラルタルからの増援もない!」
 ハルバートンは膝を叩き断言した。
「全軍前進! 多少の損害は目をつぶる。オデッサを取り戻すぞ!」
 こうして第1軍は挟撃を受けながらも前進するのだった。






 同時刻、ハルバートンが期待する第2軍は三度目の襲撃を受けていた。
 一度目は奇襲に近い形で各隊が攻撃を受け、一部の敵部隊が旗艦ボナパルトを急襲。ボナパルトは小破する。
 二度目は修復を終えて移動を開始し始めたところに襲撃。ボナパルトは無事だったが、MS23機が撃破され、
一度目と合わせると36機、約2個中隊の損害だ。
 そして今回の三度目。完全に待ち伏せを受けた形の攻撃は、デュクロのいる戦車隊を狙ったものだった。
 戦車隊の後方を走るリニア自走砲が爆発、横転する。そして背後の道を完全に塞いでしまう。
「まずい!」
 デュクロが直に敵の意図を察知するが、敵は次の行動に移っていた。
「各車、退避!」
 しかし、彼らが居た場所は狭い林道。戦車が2両通るのがやっとの幅であり、更には後方を遮断されている。
自ずと彼らの行動は制限されてしまう。
「全車、前進! 動かなければ袋叩きにされるぞ!」
 リニアガンタンクとリニア自走砲が全速で脱出を図る。この間も次々と車両が撃破されていった。50m程
前進し、小高い丘に辿り着くとデュクロはようやく敵MSのザクを発見した。肩には狼のマークが付いている。
それは神話に出てくる怪物フェンリル。連合でも注意を向けられる隊のひとつだった。デュクロは一度目の
襲撃でも戦闘をしている。
 ザクは3両のリニアガンタンクを瞬く間に撃破する。その動きには余裕すら感じた。
「全車、敵MSを包囲しろ! 生き残りたければ攻撃するんだ!」
 と言っても戦力が戦車と自走砲だけでは条件が悪い。まだ、戦車は砲身を動かすことができるが、自走砲は
砲塔が固定されている。迅速な射撃は不可能だった。
 ザクは自走砲を無視し、リニアガンタンクに目標に定めた。強力なリニア砲に注意を向けつつも、空き缶を
潰すようにマシンガンで撃ち抜く。デュクロの乗るリニアガンタンクは砲身をザクに向けて必死に応戦する。
何とかグフの側面を取り、十字砲火を浴びせることに成功した。
「よし。敵の数は少ない。MS隊が来るまで持たせるぞ」
 しかし、現実は非常である。コーネル隊が駆けつくよりも敵MSの方が早かったのだ。
 新手は同じフェンリルのマークを着けたグフ。瞬く間に自走砲を駆逐し、リニアガンタンクに目を付ける。
地を蹴り飛び上がると間合いを一気に詰めた。そしてリニアガンタンクの長い砲身を踏みつけた。車体は浮き
傾いてしまう。これでは攻撃ができない。
「いかん脱出しろ!」
 デュクロが叫ぶ。
 グフはリニアガンタンクの履帯だけをマシンガンで吹き飛ばす。横転した車体からレイエス伍長が飛び出し、
グフはそれを待っていたかのように、リニアガンタンクを一発の砲弾で破壊する。そして、その銃口をあろう
ことかレイエスに向けた。そして――






「我々の部隊も襲撃を受けたのだ」
 コーネルがブルーシートの前で座り込むデュクロに言う。
「3分……いや、1分早ければ彼らも死なずに済んだかもしれん。すまなかった」
 あの後、レイエス伍長は死んだ。敵の100mm弾を生身の体に受け戦死したのだ。ブルーシートの下には彼の
死体があるのだが、体はバラバラに吹き飛び原型を留めていない。
「少佐が頭を下げることはありません」
 デュクロ自身はコーネルのMS部隊のおかげで難を逃れた。それでも彼の戦車隊は壊滅的な打撃を受けた。
「……大尉。我々の軍は撤退する」
「オデッサを目の前にして……?」
「度重なる襲撃に軍の消耗が激しい。補給隊にも被害が出ている」
 襲撃は第2軍本隊だけではなかった。後方から送られてくる補給隊への攻撃も熾烈を極め、これ以上前線が
広がると輸送が成り立たないそうだ。兵站を絶たれては戦闘其の物ができなくなる。
「しかし、理由はそれだけではないでしょう」
「うむ。ジブラルタルが落ちたそうだ。それも半日で……」
 ジブラルタル陥落の報は第2軍にも知らされていた。
 この結果を知った第2軍司令ビラード中将は、最初はウソだと息巻いていたものの、エルラン中将の説得に
より撤退を決意したという。
「そうなると第1軍と連絡は付いたのですか?」
 ミノフスキー粒子の所為で困難なものになっているが、第2軍が撤退するとなると第1軍へ詳細を伝えなけ
ればならなくなる。
「そこまでは私も分からんよ」
 それだけ言うとコーネルは去った。
 結果的にコーネルに助けられたのだが、それは彼にとって嬉しいことではなかった。彼の戦車隊は壊滅し、
彼は仲間を失った。それだけが彼の心を傷つけた。
 デュクロは胸ポケットからタバコを出すと、火も着けずに銜えた。






 第2軍が撤退しているのも知らず、第1軍は進行し続けた。もはや作戦も何もなく、ただ物量による力押し
で強引に進むだけだ。各部隊に多大な被害を出しながら……。
「予定通りだ……フフフッ」
 オデッサ基地司令部に居たマ・クベは、ダブデの艦橋に司令部を移し副官のウラガンと戦況を見つめていた。
欧州方面軍の指揮系統を貰う口実だが、マ・クベ自身が戦場に立った、というアリバイ作りでもある。
「司令、ケラーネ少将から抗議が来ておりますが……」
「ほおっておけ」
 ユーリ・ケラーネの欧州方面軍には、ワザと前線を突破されたように振る回させた。ただでさえ犠牲を払い
ながら後退を繰り返し、戦力をうまく配置するのに苦労している。戦友達が死を見ながら、今に見てろという
気持ちで待ち続け、ようやくドムが到着し、攻勢をかける……。そんなところで後退命令である。ケラーネと
しては不満で仕様がなかった。
 それでもマ・クベは気にもかけず、黙々と基地守備隊を的確な場所に配置していた。
 オデッサ基地守備隊は1個師団で成り立っている。各方面軍が2個師団なのに比べてやや戦力は少なかった。
そのぶんジオン本国で造られた新型機が優先的に配備されている。
「しかし、あの試作機まで使うことはなかったのでは?」
「別に戦力としては考えておらんよ。アレには連合のMSを捕獲してもらいたいだけだ」
「連合軍がイエローゾーンに入りました」
 マ・クベは冷酷な目をスクリーンの中の連合軍に向けた。

 勢いづく第1軍の機甲部隊に対してオデッサ守備隊はありったけの火力をぶつけて防戦する。あらゆる砲が
火を噴き、対地ロケットが発射され、第1軍に降り注いだ。爆発炎上するデュエルダガーにリニアガンタンク。
更に彼らの後方にいた歩兵達が四散する。
「オデッサに戦力はないじゃないのか!?」
 欧州方面軍を突破し、やや安堵していた連合兵士達に動揺が走る。彼らとしてみれば、知将ハルバートンの
言葉を信じてここまで踏ん張ってきたのに、その思いはあっさり裏切られた形になる。
 それでも第2軍がたどり着けば、連合がジオンを逆包囲することができる。兵士達は必死の思いで反撃した。
「くそ、またグフか!」
「一旦後退しろ。デュエルでは消耗が激しい筈だ」
「しかし、ミラー大尉だけでは……」
「エネルギー補給はできるときにしておけ。心配するな、幸い105ダガーはストライカーパックのおかげでまだ
エネルギーに余裕がある」
 第13独立部隊は少ない戦力ながら懸命な働きをしていた。ドムに壊滅しかけた部隊であるが、元々の技量は
連合内でも高い位置にある。ザクやグフを相手にする分にはまだ余裕があった。
「待ってください大尉。十時の方向から巨大なモノが接近して来ます」
「なんだと?」
 カメラをズームにすると、ミラーが目にしたのは実に不可思議な物体だった。
「球根?」
「タマネギ?」
「(ドラクエの)スライム?」
「いや――」
 その物体は浮遊したままクルクルと回り始めた。
「――空中砲台だ! 全機、避けろー!」
 その叫びはメガ粒子砲によってかき消された。






「第2軍はまだなのか」
 ハンニバル艦橋ではハルバートンが渋い顔でスクリーンを見ていた。戦況は互角の様相だが、此方は退路を
欧州方面軍に立たれているため補給が行えない。今のところ物資は足りているが、何処まで続くか分からない。
「早く来いビラード。貴様の来れば連合は勝つのだ」
 そんな呟きを聞いたコープマンは嫌な予感がしていた。
「提督、このまま攻撃を続けますか?」
「当然だ」
「しかし、物資が少なくなっております。後3~4日、と言ったところです」
「それだけあれば第2軍も合流するよ」
 幕僚達の言葉にハルバートンは耳を貸さない。彼は意地になっているのだ。
「提案しても宜しいですか?」
 業を煮やしたコープマンが口を開いた。
「どうした?」
「撤退しましょう」
 よくよく考えてみればオデッサ基地に戦力がある段階で撤退するべきだった。
 マ・クベの水爆発言が虚実だったことはハルバートンの読みどおりだ。しかし、そこにアークエンジェルと
ドミニオンの姿はなく、有るのは敵MSの大群。しかも第2軍は今だ現われず、連絡すら取れない状況になる。
このままだと全軍が崩壊するのは目に見えていた。
「バカなことを言うな」
「ここは撤退すべきです! 提督!!」
「第2軍が来ればまだやれる!」
「来ない可能性もあります!」
「確かにビラードならば逃げるかもしれんが、奴の横にはエルランがいる! 彼は私の考えを知っている!」
「では何故第2軍は現われないのです!? 本来彼らの方が進軍が早かったのですぞ!」
 鬼気迫るコープマンにハルバートンは言葉に詰まる。
「提督は何を焦っておられるのです!」
 今日のハルバートンはおかしかった。明らかにオデッサを落とすことに躍起になっている。昔ならば冷静に
状況を見極めて、判断していた男が熱くなっているのだ。戦争が始まる前から知将の部下だったコープマンは、
その変貌ぶりに気づいた。
「もし我らが負けたらブルーコスモスの台頭を許すことになる」
 ゆっくりとハルバートンは語りだした。
「それだけは避けなければならない」
「……では、提督は派閥のために戦闘を続けると?」
「派閥など関係ない! 奴らの台頭を許せば軍はアズラエルの私物と化してしまうのだ!」
 ハルバートンはブルーコスモスが行っている闇を良く知っていた。クローン計画やソキウス計画、強化人間、
生体CPU、そして孤児を集めての洗脳教育。ここで自分が負ければブルーコスモスはこれらの計画を広げる
だろう。ハルバートンとしては人を人として思わない計画を推し進められるのは我慢ならない。
「奴らにとって人の死は書類上の数字と同じだ……」
 黙っていたコープマンはゆっくりと首を振った。
「やはり撤退すべきです」
「何故だコープマン。我々は勝つしかないのだぞ」
「提督が残った主流派をまとめ、ユーラシアとも協力し、ここまで死力を尽くしたことも知っております」
 世界樹戦役の敗北によって多数の人材を失い、ハルバートンが囚われたことで、主流派は発言権を失った。
それによりブルーコスモス派の暴走――血のバレンタインやジオンへの核攻撃(失敗したが)を防げなかった。
彼が戻るまでABC兵器や捕虜の扱いなど、秩序を保てないことも多々あった。
「しかし、それと兵達を死地へ向かわせることは同義ではありません!」
「……」
「撤退しましょう! 提督!」

「大尉! 助けてください! 機体がッ……機体が動きません!!」
「くそ、こいつ……なんて奴だ! ジオンはこんな化け物を造っていたのか!」
 第13独立部隊は空中砲台――アッザムを相手に苦戦を強いられていた。
 こちらの戦力は105ダガー1機、デュエルダガー3機、リニアガンタンク10両。パイロットの腕は連合でも
屈指の腕利きが揃ってる。それでも既にデュエルを1機、タンク3両やられていた。
「ダメです。リニア砲が効きゃしねえ」
「戦車を下がらせろ」
 アッザムは巨大な図体にありがちな装甲を持ち、タンクのリニア砲にダガーのライフルが通用しなかった。
しかも機体底部から射出された妙な兵器によって電磁波を浴び、デュエルダガーが動けなくなっている。
「機体を鹵獲するつもりか!」
 アッザムは四本の足を地に下ろし、デュエルにゆっくりと近づいている。
「大尉、このままじゃあ」
「……スカイグラスパーを要請する」
 MSが装備できて最大の火力を持つアグニならば奴を落とせるかもしれない。そう考え空軍に要請するが
返ってきた返事は満足のいくものではなかった。向こうも火の車らしい。
「どうします大尉?」 
「命令なんだ、仕方ないだろ。もっとも……」
 頭をかきながらアッザムとデュエルを見る。
「……アイツを助けてからだ」
 しかし、どうやって? アッザムに死角はない。2連装メガ粒子砲を8門を円盤形の機体の周囲に上下に
4対張り巡らされている。さらに空中に浮ばれては妙な兵器を使われてしまう。
「……あったぞ死角が」
「本当ですか!?」
「全機、散開!」
 デュエルとタンクがアッザムを囲い込むように展開し、リニア砲とライフルで集中攻撃する。
 多少のダメージは受けているようだが、効果はあまりないようだ。
「それでいい。奴の注意を逸らしてくれ!」
 ミラーの105ダガーは飛び上がると、そのままアッザムに向かった。上部メガ粒子砲が一斉にミラー機に
向けられる。その光の雨に触れた瞬間、彼の機体は一瞬にして蒸発するだろう。
 ミラーはメガ粒子砲を避けながら、アッザムの真上の位置を押さえると動きを止めた。アッザムの砲塔が
射角を上げる。しかし、90度の時点で停止した。
「球根の真上には撃てないとはな!!」
 ビームサーベルを引き抜いたミラーは急降下し、アッザムの中心に突き立てて、ようやく動きが止まる。
この隙にデュエルダガーを救出し後退を始めた。
 そして五分後、第1軍に撤退命令が出されることとなった。
「今更何言ってやがる!!」
 だったら始めからこんな所まで攻めるな。ミラーは本気で池沼に殺意を覚えた。