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code geass-destiny第02話

Last-modified: 2010-02-16 (火) 20:00:56

コードギアスDESTINY
第2話 新たな黒の騎士

 
 

 ベルリンでの戦闘は連合軍の隠し玉であったデストロイを失ったことで大きく変化していた。
 無論、デストロイで受けたダメージはザフト軍に対して大きいものであったが、虐殺に近い形での連合の攻撃に、
 怒りを覚えたザフトの猛攻は連合軍の予想を超えたものであった。
 だが、それも…突如現れたアークエンジェルというイレギュラーな存在の登場により、
 さらなる変化が起きようとしていた。
 戦場というのは常に変化を続ける。
 それを読みきり、最後まで己の戦局を見極めたものが勝利する。

 

「ステラぁああああああああああああ!!!」

 

 SEEDと呼ばれるザフト軍のコーディネイターの一部にある能力が、シンを覚醒さえ、より俊敏で強固な戦闘マシーンにと変える。
 シンの絶叫の矛先は、デストロイを撃ち抜いたアークエンジェル艦所属のMSフリーダムに向けられた。

 

 ステラは…戦いをする人じゃない、話せば、話せば…戦いは避けられたかもしれない!
 それを…それをぉぉぉぉ!!
「うわああああ!!」
 シンの操るインパルスがフリーダムに切りかかる。
 フリーダムはそのシンの攻撃を避けようとするが、シンのあまりの速度に避けきれない。
 フリーダムに乗る、前戦争を行きぬいたパイロットであるキラ・ヤマトは、インパルスのビームサーベルを受け止める。
「お前がっ!お前がぁ!!」
「くっ!やめるんだ!これ以上、戦争を広げて、どうしようっていうんだ!?」
 インパルスとフリーダムの戦闘は続くが、MSの性能の差がそこでは浮き彫りとなる。
 決してインパルスが悪い機体ではない。
 だが、覚醒したシンに対してインパルスがついていけていないのである。
 そんなインパルスに対して、あくまでフリーダムはインパルスとの戦闘を避けようと回避を続ける。

 

『諸君、戦いをやめてもらおう』

 

 それは全周囲の公共の一般通信の電波と、外で大きく聞こえてくる。
 その唐突の声に、戦闘していた誰もが耳を傾ける。この乱戦の中の声明…。

 

『ここでの戦闘の発端は、連合の虐殺行為に他ならない。一方的な殺害、一方的な攻撃。戦争と言えど、こんなことが許されていいのだろうか?』

 

「…これは一体」
 戦場に到着したミネルバ艦長、タリア・グラティスはその全周囲放送を聴いている。
 話の内容からは、連合軍・ブルーコスモスに対する糾弾だが…。

 

『…連合に対する対抗勢力もまた、一般市民を巻き込み戦いを続けているだけに過ぎない。
 誰ひとりとして、戦争を、争いをとめるものなどいない!!己の身を安全なところに起きながら、一番の弱者である国民は撃たれ続けている。
 こんなことが許されていいのか?否、撃つものは、撃たれる覚悟のあるものだけだ!!』

 

「…おいおい、なんなんだ?一体、これは」
 ネオ・ロアノークはその声明に驚きながら、これまでの味方の裏切り、そしてデストロイが倒されことがすべて、
 この話をするもののやっていることなのか…と予想をたてた。
 だとしたら、こいつは…。

 

『…我々の名は、黒の騎士団!…弱きものを排除する全ての人間に宣戦を布告する!』

 

その言葉の瞬間、ネオの乗るウィンダムに味方機が突然、背後から突っ込んでくる。
「!?」
「イエス・ユア・ハイネス!!」
 先ほど寝返った連合軍のMSが、その言葉をきっかけとして、突撃してきて味方機を巻き込んで自爆する。
 その異常な光景がザフト側、そして一般市民にうつしだされる。
 連合軍のMS部隊は総崩れとなる。それは連合だけではない。
「くっ!相手かまわずか?」
 ザフトのMSに対しても連合軍のMSが突っ込んできて自爆しようとする。
 レイは、ヒートホークで機体を切り裂き、それを回避する。

 

 そのラジオでの声明に、一般市民は歓声をあげる。
「そうだ!!ザフトも連合も俺達の街からでていけ!」
「ここは、誰でもない、私達の街よ!」
 先ほどまで逃げ惑うことしか出来ていなかった一般市民の放棄。
 逃げ惑う連合軍の残党の歩兵たち…。
 ミネルバ艦長であるタリアは、騒ぎ立てる一般市民を画面に映し出す。
「…アーサー、MSを後退させて」
「は!?ですが、艦長。敵は浮き足立っています。このまま追撃を…」
「これ以上は、士気に影響します。求められていない戦いは出来ないわ」
 実際に、そのとおりだろう。
 この戦況を打破し救出するのがザフトの目的であったわけだが、連合はおろか、自分たちさえ受け入れないものに手を出すのは逆効果である。
 事実ミネルバ到着以前に、連合の主力MSは倒されており、連合の戦力も殺がれていた。何者かが自分たちと戦っていたのは明白である。
「…撤退!?俺はまだ!」
「指示に従え、シン!戦局は常に変わる。ここで戦っても、何も得られない」
「くっ!!くそぉぉぉぉ!!!フリーダムが、フリーダムがそこにいるのに!」
 シンは大きくコクピットで拳をぶつける。
 レイはそんなシンを庇いながら後退する。

 

 戦場に残ったものは、白い巨大な戦艦であるアークエンジェル、そして先ほど、インパルスと対峙したフリーダムである。
 フリーダムに搭乗するキラ・ヤマトは、その声明が発表されているであろう、ラジオ局を見つけ出し、そこに向けてビームライフルを構える。
「なんで、あんなことを!君達は、戦うことをさらに拡大する気か!」
『違うな。戦争を終わらせるために戦うこと…。君達のように主義主張を永遠繰り返し、戦いを継続させるよりかは遥にマシだ』
「それはザフトや連合と同じだ!」
『ならば、どうする?今ここで撃つか?一般市民が見ているぞ?』
「くっ……」
 フリーダムは何も出来ず、そのまま、アークエンジェルとともに撤退していく。

 

 ベルリンでの戦闘は、連合軍の不自然な行動、アークエンジェルの介入、さらには黒の騎士団と名乗るものの攻撃により、
 連合軍指揮官であったネオ・ロアノーク大佐の撃墜・生死不明、デストロイガンダムの撃破という中で、ザフト・連合双方に多大な被害をもたらして終結した。
 ベルリンでは、ザフト軍がこの様子を、連合軍の虐殺行為と発表する一方で、『黒の騎士団』の名前を避け、
 一般市民のゲリラ活動がこの戦いの勝利に大きく貢献したと発表していた。
 だが、地球圏内における『黒の騎士団』という名前は、その西欧諸国に対する人間の心、そしてザフト、連合双方に強く刻まれることとなったのは事実である。

 

「…報道されてはいないな、私達の名前」
 C.C.は衛星テレビを見ながら、騎士団の戦果を、あたかも自分たちのおかげだと言う、大きく演説している男を見て微笑む。
「好きにさせておけばいいさ。結果、俺達が欲しいものは手に入れた。今はまだ騎士団の名前は一部に知られているだけでいい」

 

 ルルーシュの視線の先にいるのは、眠っている金髪の女である。
 一般市民の誘導、さらには連合軍兵士を芋吊る方式、洗脳した兵士に兵士を連れてこさせ、次々とギアスで洗脳していく。
 通信が途切れれば増援も当然くるだろう。
 コクピットからおり、様子を見にきた兵士もまた、ギアスにかけ…
 巨大なMSであるデストロイが自らの攻撃によりあけた穴を、MSにより落とし穴として作り変える。
 時間との勝負だったが、思った以上に相手の機体・人員を手にいれられたのが、勝利に繋がった。
 味方機ということも含め、落とし穴という作業も、敵のレーダーでは、ただ止まっているとしか写らなかったのだろう。
 有視界においても、目の前のことに捕らわれているものたちには、わからない。
 しかも味方ならば尚更であり、敵の兵士は何も思わなかったようだ。
 完全な勝利や安全を目の前にすると、些細なことも見逃してしまうものだ。
 『騎士団』のラジオ声明も前もって、関係者にギアスをかけ、携帯をわたし、中継地点としてラジオ局を利用していたのだ。
 今はこうして一般市民から、聞いた小屋で身を隠している。
 無論、一般市民で俺達の正体を知ってしまったものには、ギアスで記憶を消させている。
 あんまり無益に殺すとカレンがうるさい。

 

 この金髪の女も、特殊な黒い機体に乗っているということから、敵のエースと見て兵器から連れ出し捕虜とした。
 もう少しでまとめて撃破さてれそうになったのが、今回一番危なかったことだろう。
 そして、今はこうして意識が戻るまで寝かせている。
 尋問も考えたが、そういった道具もないため、最悪、ギアスを使うこととなるわけだが…。

 

「それにしても、この世界でも…戦うのは私達と同年代の子ばかりなのね」
 カレンは、ルルーシュとC.C.に温かい紅茶を持って来て、手渡す。
「熟練した兵士は、最初の戦闘でほとんどがやられるものだ。双方とも手馴れているからな。結果、残されたのは若い学徒兵になる」
「……私達の世界でも、この世界でも……どこでも戦争はあるのね」

 

「経緯はどうあれ、戦争は起こるものだ。問題はそう収拾をつけるかになる。
 戦うことに執着しすぎれば、戦闘行為そのものが目的となり、未来が見えなくなる。
 それでは過去を見た皇帝シャルル、今しか見ることが出来なかったシュナイゼルと同じになる」

 

「……ルルーシュ、私は」

 

 カレンはルルーシュを見る。
 自分は何も知らなかった。
 ルルーシュがゼロレクイエムで、世界の戦争を根絶するため、己を犠牲にしようとしていたことを…。
 そして何も知らずに、ルルーシュを憎み戦おうとしていたことを。
 信じられなかった、信じてあげられなかった。そんな自分が…悔しくて。
「カレン、俺は…俺の手は既に血で汚れている。君を導くことは俺には出来ない」
「そんなの……私も、C.C.もみんなそうでしょ?」
「…どさくさ紛れに私を含めるな」
 睨むC.C.に対して睨み返すカレン。
「…もう、1人で抱え込まないでほしい。そのために…私はここにいる」
「そこは私を含めろ」
 睨むカレンに対して睨み返すC.C.
「…あぁ、そうするさ。幾ら足掻いたところで、どうやら俺は赤と緑の魔女からは逃れられない運命のようだ」
「「…」」
 今度はルルーシュがC.C.とカレンに睨みつけられる。

 

「うぅ…う…」

 

 ソファーに倒れ、眠っていたステラが低い声をあげて、身体をゆっくりと起こす。
「あ、目が醒めたみたいね」
 カレン、C.C. そしてルルーシュが、その女のほうを見る。
「…ここは…どこ?」
 まったく見ず知らずの場所、知らぬ人に、ステラは不思議そうな表情を浮かべる。
 身動きをとろうにも手足は縛られており、上手く動けない。
「お前は私達が捕虜とした。話をしてもらえれば、危害を加えるつもりはない」
「だ、誰が…お前達などにぃ…うぅっ、はあぁっ!」
 ステラは急にソファーの上で苦しみだす。
 まるで発作だ。悲鳴をあげながら、身をよじり、声を上げ続ける。
「なんだ、これは!?」
 ルルーシュは、その苦しみ方の異常性に、驚く。
 ステラの様子は異常である。一体何かしたというのか?
 いや、ここにつれてくるまでは大人しかった。目が醒めたことで…。
「しっかりして!…ダメ、このままじゃ…」
「…仕方が無いか」
 C.C.はそういうと、手を伸ばして、暴れるステラの手を握る。
 すると、ステラの目が開く。
 それは…スザクに対し、ナリタ戦にて、ルルーシュが追い詰められたときに使用したコードの力。
 彼女の深層心理を垣間見ることができる。

 

(これは……)

 

 そこでC.C.が見たもの…実験に次ぐ、実験。
 様々な人間の遺伝子を操作、さらには記憶の刷り込み、記憶の上書き、記憶の消去。
 自分が誰なのかもわからず、存在意義はただ戦うこと。
 戦い勝ち抜くこと。
 ステラの心にあるのは、ネオ…そして消えかけながらも一番光っているシンに対する想い。
 それが彼女の壊れかけた心を繋ぎとめている。

 

(この世界でも…戦争のためには、人は人としての限度を越えるか)

 

 彼女に、本来ここまでするつもりはないが…。
 この者の、おぞましい呪縛だけは取り払おう。

 

『誰?私の心…見ているの?』

 

 そこにいたのは、ステラ。
 体育すわりをして、何もない白い、白い空間の中にいる。
 C.C.はステラを見下しながら

 

(…寂しいな。ここは)
『…どうせ、私には何もない。楽しいこともすぐに忘れてしまう』
(フ…。ならば私がお前に生きる意味を与えよう)
『そんなこと出来ない。そんなこと…誰もしてくれない』
(普通のものには、出来ないさ)
『え?』
(私を、信じろ)

 

 C.C.は、ステラに手を伸ばす。
 ステラは怯えながらも、何度か躊躇しながら、C.C.の手をとる。

 

「これが、お前が自分の足で歩みだす第一歩となる」

 

 C.C.はステラの手から自分の手を離す。
 カレンとルルーシュは、ステラの様子を見ている。
 ステラはゆっくりと目を開け、もう一度三人を見る。

 

「ステラ・ルーシェ。お前の呪縛は私が解き放った。お前を縛り付けていた鎖はなくなり、お前は今や自由だ」

 

 C.C.の言葉にステラはどこか安堵した表情でいた。
 C.C.は、ステラの安堵した表情を見て、安心し、ルルーシュのほうをみた。
「残念だったな。ルルーシュ…このものに軍の情報を聞くのは難しいぞ」
「なんだと?」
「…兵士として強化されている。記憶もかなり操作されているようだ」
「酷い…そんなことを」
 カレンはそのC.C.の言葉に吐気を覚える。
 戦争に勝つためには、そんなことが許されるのだろうか、そんな人間としての枠を超えたことが…。
「…カレン、私達も経験しているだろう?」
 そう…自分たちもこういった形ではないが、確かに戦争に勝つために、
 『ギアス』やシュナイゼルが使用した『フレイヤ』という兵器を使っているのだ。
 人に説教できる立場にはない。

 

「…ここはどこ?」

 

 ステラが改めて三人を見ながらつぶやく。その様子は先ほどとは違い、だいぶ落ち着いているようだ。
「ここは…えーっと、なんていえばいいのかしら?ルル、じゃなくて、ゼロ」
 カレンは少し困りながら頬をかきつつ、ルルーシュを見る。
 ルルーシュは、ステラを見つめ問う。
「ステラ・ルーシェ、お前に聞こう。俺達と供に、覇道を歩むか?それともすべてを忘れて、人として自由に生きるか…」
 ステラは、心配そうに見つめるカレン、微笑を向けるC.C.と視線を移しながら、最後にルルーシュを見つめる。

 

「私は…」

 

 ステラは、なぜかこの見ず知らずの、この三人から殺気や欲望を感じ得なかった。
 それは、自分が知っている限りでは、死んでしまった人間に対して感じるもの。
 清らかで、落ち着いている。いつも自分に向けられる黒くドロドロした悪意や殺気を感じない。
 この人たちは…いい人なのかもしれない。

 

「ステラ…行く。こんな温かい気持ち、二度目…」

 

「フ…、改めて挨拶しよう。私は黒の騎士団総帥、ゼロだ。騎士団は君を歓迎しよう」
「私の名前はC.C.」
「私は…紅月カレン、よろしくね?」
 ステラは改めて仲間を手に入れた。もう失いたくない。
 この気持ちも、この想いも…失いたくない。
 仲間とは私に勇気を与える。仲間とは私1人ではできないことを可能としてくれる。

 

「これから、どうするの?ゼロ?」
 カレンとC.C.そして、新たに加わったステラがルルーシュを見る。
 ルルーシュは世界地図を取り出すと、ある一点を指差す。

 

「我々、黒の騎士団が目指す、次の目的地は…オーブ首長国連邦」

 
 

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