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code geass-destiny第16話

Last-modified: 2010-02-12 (金) 08:10:22

コードギアスDESTINY
第16話 ディーヴァの終局

 
 

 機動要塞メサイアの中、向かい合うゼロ=ルルーシュ、C.C.とラクス・クライン。

 

「私を待っていただと?」

 

 ゼロはラクスに向かい問いかける。ラクスは微笑みながら頷く。

 

「あなたのギアスと私のギアスが手を組めば、こんな無益な戦争が、簡単になくなりますわ。
 供に手をとり、世界を私たちで牛耳りましょう?」
「この期に及んで、己の利益のみの追求…世界征服しか考えられないとは…」

 

 吐き捨てるように言うルルーシュ。
 ラクスは、言葉を続ける。

 

「世界征服がいけないことでしょうか?
 民主主義なんか、たくさんの人間が自分たちのことばかりを考えて発言するから、議会は進まず、人々は苦しみ、不満が溢れ世界は静かに死んでいくのです。
 ならば、たった一人の人間が物事を全て取り決めれば、スムーズにことが進み、世界は円滑に平和になりますわ」
「少しは物事を考えているようだな?だが、それならば、なぜ前大戦の勝利時にそれを行わなかった。
 お前は、あのときもギアスを用いて勝利をしたのだろう?」

 

 C.C.の問いかけにラクスは声をあげて笑い出す。

 

「……政治を行うのって、思ったより大変なんですの?いろいろ面倒で。
 だからミーアさんっていう私の声に似た方がいらっしゃったので、
 私を利用しようとしていたデュランダル議長に、気づかれないように差し出して、私は地球圏でのんびり過ごすことにしたのです」
「なぜだ!オーブにて気ままな生活で満足をしていたのなら、なぜここまで戦火を拡大させるような真似をした?
 デュランダルがお前を暗殺しようとしたからか?」

 

 ルルーシュの問いかけに、ラクスは頭についている輝く髪留めをとって、ルルーシュに見せる。

 

「これ、お気に入りだったのですけど…暗殺部隊がやってきたときに傷ついてしまって…」
「な…」
「…」

 

 ラクスは再び髪留めをすると、ルルーシュたちのほうを見る。

 

「暗殺部隊なんかは、どうでもよかったのですけど、私のものを傷つけたことは許せなくて。
 平和なのも退屈だったし…纏めて綺麗にしようかなと思いましたの」

 

 こいつ……。
 たった、たった…それだけのために。
 そんなことのためだけに、これだけの戦争を起こしたというのか?
 ギアスの力とはいえ、この女を信じて戦っていたものに対する仕打ちがこれか。
 これでは…この戦争で散っていたものたちは、犬死だ。

 

「俺は、己の力を、自分の悦楽のために使い…世界を混乱に導いたお前は許されない!」
「あら?いいのですか?」

 

 部屋にぞろぞろとはいってくるメサイアの兵士達。
 全ての人間が彼女のギアスを受けており、その目つきは虚ろで赤く輝いている。

 

「もう一度聞きますわ。ゼロ…、私の、この魅了のギアスと供にこの世界を牛耳り支配しましょう?」

 

 赤く輝くギアス…、かつて己が用いたギアスを前にC.C.は唇を噛み締める。
 己のギアスでこれほどまでに世界を揺れ動かすことができるとは…。

 

―――

 

 アスラン・ザラとレイとルナマリアの攻防は続いていた。
 レイのドラグーンを簡単に切り払っていくアスラン。
 レイは破損したルナマリアを庇いながら遠距離から相手を懐に飛びこませないように攻撃を続けるが。
 アスランはそのライフルの嵐を掻い潜ってくる。

 

「アスラン!!」
『レイ!!』

 

 ジャベリンとサーベルが激しくぶつかり合う。
 スパークが響く中であっても、アスランのほうが一歩、
 機体の性能ゆえ、レイのレジェンドを押していく。

 

「くっ!」

 

 さらにはアスランがレジェンドを蹴り上げ、機体のバランスを崩す。

 

「しまっ…」

 

 レイの目の前に迫るアスランの機体。
 その手にはサーベルが握られ、それはまっすぐレイを向いている。
 レイは目を閉じ、己の死を覚悟した。
 だが、それはアスランに対する強烈な一撃によって妨げられた。

 

『こ、これは…』

 

 紅蓮暁式の輻射波動の腕が伸びてインフィニットジャスティスの頭部を掴んでいる。
 強烈な握力で頭部はバキバキと音を立てて崩れていく。
 まさか腕が伸びるとは…。
 誰もが予想だにしないこと。
 カレンはその腕を元に戻す。
 アスランは残った腕でサーベルを振ろうとするが、それをレイはドラグーンにより破壊する。

 

『なぜだ!なぜ、わからない!!ラクスのいう世界の理想を!彼女の世界は間違いなく平和な道だ。それをわかるんだ!!』
「アスラン…」

 

 もはや面影は残っていないのか…ルナマリアは悲しみに満ちた目で、ジャスティスを眺める。
 アスランの絶叫を聞きながらもカレンは躊躇はしない。

 

「裏切りで成り上がった男、アスラン・ザラ。
 あなたもまた私の知る、裏切りでなりあがった男のように、成長してくれれば…いいんだけどね。
 でも、今は……躊躇しない!」

 

 輻射波動が作動し、アスランのジャスティスの機体をメキメキと破壊していく。
 カレンは手を離す。
 既に機体は完全に破壊され、身動きも戦闘もできない。

 

「……みんな、残りを片付けるわよ!」

 

 カレンは指揮をとり、残りの敵MS掃討に当たる。

 

―――

 

 ラクスの問いかけに、ゼロ=ルルーシュは、手を振り上げ、高らかに告げる。

 

「お前の言う世界は、確かに戦争はなくなるだろう。そして…平和が訪れるはずだ。
 だが、それは仮初の平和。お前の言う平和はまさしく押し付けられた善意、悪意となんら変わりは無い!」
「善意も悪意も所詮は裏表、ならば…世界は正しいものに支配されることが一番ですわ。
 私の思いのままの世界、それでいいじゃありませんか。誰も文句も何もいわないですわ。みんな喜んでやってくれるでしょうし…」
「黙れ!お前のために生きるものにとって、それは地獄以外の何者でもない!!お前以外の人間全ての自由と、未来を殺すつもりか!」
「…平和のためなら仕方ありませんわ」

 

 話にならない…ルルーシュは悟った。
 この女は、己のために全人類の意志を殺すつもりであり、さらにはそれを理解もせず、罪悪感も抵抗もまるで無い。
 こんな人間が世界を支配すれば、それこそ終わりだ。
 そんなやりとりを聞いてC.C.は微笑む。

 

「まさか、かつて私自身が用いたギアスでここまでのこと為すものがいたとはな。
 質問しよう。お前にその力を与えたのはどこの誰だ?」

 

 ラクスはこちらを見ないゼロと、微笑むC.C.を見ながら

 

「シスターですわ。私に力を与えてくださった方」
「シスター…まさか!?」

 

 C.C.の記憶の中にある、自分にギアスを与えた女…。
 まさか、あいつがこの世界にもいたというのか。
 だとしたらなんで…。

 

「…お前の記憶の中にいた、ギアスを与えたものか…」

 

 ルルーシュも、Cの世界で垣間見たことがある。
 シスターの姿をした女。
 不老不死から逃れるためにC.C.を騙し、そしてC.C.にコードを与え死んだと思ったのだが。

 

「彼女はこういっていましたわ。戦乱の中の罪滅ぼしをしていると…。
 そして私はギアスを貰い受けましたわ。私の力は凄まじいもの。
 戦乱を収めるのも簡単でしたわ。皆さんは頑張っていたようですけど。
 次々と人が集まるんですもの…見ていて楽しかったですわ」

 

 戦争を楽しいと表現するか…この女。
 ルルーシュは吐気を覚える。

 

「今、その女はどうした?」
「さぁ、あれからあっていませんわ。この世界にはもういないかもしれませんわね。
 それともユニウス・セブンに潰されてしまったかもしれないですし…。
 今の私にはどうでもいいことですわ」

 

 あの女がここにいたということか。
 しかし、他にギアスユーザーがいたならば、何らかの反応があってもおかしくないはずだ。
 もう、ここにはいない…?

 

「どちらにしても、ラクス・クライン…お前にはこの戦争を始めた責任を取ってもらおう」
「フフフ…、万に一つも無いことですけど、もし私を殺して、その後はどうなさいますか?
 私のギアスを受けたものたちが、貴方を新たな世界の指導者として賞賛するとも、思っていらっしゃるのかしら」

 

 ラクス・クラインという存在が、この世界にどれだけ必要なのかということはもうわかっている。
 そのためのシナリオもまた…。

 

「お前に教えてやろう。俺はゼロ!奇跡を起こす男だ!そして…お前の影武者である、ミーア・キャンベルは生きている」
「あら。よかったわ。後で私の変わりにまた頑張ってもらわないと…」
「…そして、俺のギアスもかけてやった」
「?」

 

 ゼロ=ルルーシュは、ラクスの顔が見れないことが残念でならなかった。
 さぞ悔しい顔をしているだろうからだ。

 

「俺のギアスは、王の力…、絶対服従のギアス。ミーア・キャンベルにはこう告げた。お前は・ラクス・クラインだと!
 これがどういう意味かわかるかな?」

 

 ラクスには、ゼロが何が言いたいのかわからない。

 

「…教えてやろう。ミーア・キャンベルの中でラクスは絶対であるが、お前の本性は知らない。
 よってミーアの中で知りえているラクス・クラインとはまさに、皆が持つ憧れのそれだ。
 ミーアにはお前亡き後のラクス・クラインをやってもらう。
 さぞ人類のためにアイドルとして頑張ってくれるだろう…」

 

 ラクスは怒りに打ち震え、落ちていた拳銃を抜いてゼロに向かって撃つ。
 仮面が割れ、ルルーシュの顔が現れる。
 だが、それであっても決してラクスを見ない。
 それは、敗北を意味する。
 額から流れる血。

 

「あなたは、私を怒らせましたわ。いけない子…。みなさん、この方を殺してください」

 

 ラクスの声と供に、周りにいる兵士達が動き出す。

 

―――

 

「うわああああ!!」

 

 ドラグーンシステムの猛攻を前にして、輻射波動と真・呂号乙型特斬刀で牽制していく。
 遠距離からの攻撃ではこちらのほうが分が悪い。
 キラ・ヤマトは、破損した腕を庇いながら攻撃を続けていく。

 

『いつまで耐えられるか…』
「お前はそうやって、いつも撃つ側にいるからわからないんだ!
 ラクスという籠の中でしか物事を見ることが出来ないお前には、未来を語る資格は無い!」
『ラクスは正しいことを言っているんだよ。君も彼女の声、言葉を聞けば分かる。ラクスの素晴らしさ、そして偉大さが…』
「そんなこと、わかりたくもない!!」
『…なら、君はここでいなくなるしかない。未来はラクスとともに…』

 

 キラは、攻撃を続けながら距離を縮めていく。強力な砲撃を前に防戦一方のシン。
 そんなとき、高速度で何かがストライクフリーダムに近づく。

 

「シンをやらせない!!」

 

 ステラの灰廉が腰部からのハドロン砲を、キラに向けて撃ち込む。
 キラは回転して、回避するとすぐさまにライフルを撃つ。
 輻射波動で防ぐステラ。その間にシンが距離をつめる。

 

『どこに!!』

 

 まさにその速度はストライクフリーダムを凌駕する。
 コクピットでのキラはその翻弄する速度にSEEDに覚醒してもなお、ついていけない。

 

『この速さは……』

 

 ラクシャータの機体だけではない。
 シンの想い、それはシンだけじゃない。
 戦闘訓練を施したレイ。そしてシンを強く想うルナマリア、ステラ…、
 自分を信じたカレン、C.C.、ゼロ…。そして……。

 

 お兄ちゃん!今だよ。

 

 マユの想いが俺にはある。だから負けない。負けるはずが無い!
 たった一人の人間が運命を決めるんじゃない。
 運命は自分で決めるんだ。ひとりひとりが、己の意志で!

 

「はあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 ストライクフリーダムの周りを動きキラを翻弄する中で、切り刻んでいく。腕、足、頭部…次々と切り続ける中、回避もままならないキラは、絶叫しながら機体をむちゃくちゃに動かす。

 

「……終わった、みんな…俺は、俺はやったぞ!!」

 

 シンの背後、ストライクフリーダムの残骸が残っていた。
 完全に機体はばらばらとなり、放置されている。

 

『な、なぜだ…なんで、とどめを刺さない?』
「あんたはそうやって人を助けているんだろう。
 だから俺も、それをやっただけだ。運がよければ生き延びれるかもな。
 この宇宙の戦場の中、御人好しの誰かが助けに来れば…の話だけど」
『待って!僕は…ぼ、僕はぁ!!』

 

 シンはステラとともに、その場所から離脱する。
 残されたキラは、ラクスに懇願するように声を上げ続ける。

 

シンの前、待っていたのは…シンに力を与えた仲間たち。
「遅いぞ、シン」

 

 レイ…。

 

「まったく…、何やってるんだか…」

 

 ルナ…。

 

「もう、あんたの分は残ってないわよ?」

 

 カレン…。

 

「シン、頑張った…、かっこいい」

 

 ステラ…。
 俺のかけがえのないものたち、
 既に、敵はほとんどが壊滅状態である。
 メサイア内部に立てこもった敵を駆逐するだけだ。
 そして…迎えに行かなくては…ゼロを。

 

―――

 

 メサイア内部では、ラクスの命令を受けた兵士達が、ルルーシュたちの元に向かってきていた。
 ルルーシュは大きく息をつく。
 マントの中に隠されたスイッチ。
 それは、かつて皇帝に行った鏡を宙に飛ばす装置だ。
 これにとり、一気にギアスを大量の人数のものにかけることができる。
 だが、これの怖いところは先にラクス・クラインの目を見る可能性があるということだ。
 これにいたっては、賭けでもある。しかし、これでしか、ラクス・クラインを倒す方法が無い。

 

「…ルルーシュ、ここは私に任せろ」
「なに?だが、お前では…」

 

 C.C.は微笑みながら前に出てルルーシュのほうを振り返ってみる。

 

「同じギアスの使い手だったんだ。私にはわかるさ…、お前のギアスをあんな奴に使う必要はないよ…」

 

 ルルーシュは黙って聞いていた。C.C.は改め向かってくる兵士達を見る。

 

「お前達、考えないのか?ラクスが誰かのものになっているということに、
 お前達の中に既に、ラクス・クラインを手に入れているものがいる。他のものに奪われていいのか?
 お前達の好きなラクス・クラインは1人だ。全員を愛せるわけではない。
 自分だけのものにしたいだろう?」
「何を言っているのですか。とうとう、気がふれてしまったのですか?」

 

 ラクスはそんなC.C.を嘲笑いながら見つめている。
 こっちを向けばすぐにでもギアスをかけられるように。
 ラクスは、C.C.がコード持ちだということを知らない。
 注意をこちらに向けることで、ルルーシュに危険が及ばないようにしているのだ。

 

「何を迷っている。あいつの命令を聞いて、私達の元に向かっている間にとられるぞ?大切なラクスを…。
 さぁ、お前達が本当に欲しいのは誰だ?私達か?ラクス・クラインか…」

 

 C.C.の鋭い視線…。
 兵士達の動きが止まる。ラクスは何が起きたのかわからない。

 

「どうしたんですか?皆さん、さぁ、はやく…はやく、あのものたちを殺すんです!」

 

 振り返った兵士達はゆっくりとラクスのほうに向かってくる。
 ラクスは後ずさる。

 

「どうした?ラクス・クライン、お前の好きなものたちが、
 お前に今までのお返しが欲しいそうだぞ?くれてやったらどうだ?」
「な、なにを!なにをなさったんですか?」

 

 近づいてくる兵士達から逃げ惑うようにしてラクスは出入り口に向かう。
 C.C.は微笑みながら

 

「かつて、私にもいたさ、私の身体をバラバラにしようとして、己のものにしようとした歪んだ愛を持つものが…、
 愛の極限は狂気だ。人間の心が理解できないものには、わからなかったかな?」
「そ、そんな…そんなこと!!」

 

 出入り口の扉を開けた、そこにも群がる兵士達。
 逃げ場を失ったラクスは、そのまま兵士達に取り囲まれ飲み込まれていく。

 

「待って、いや、やめっ、ひぃ…あぁ、あ…きゃあああああああぁあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 大きく響いた悲鳴も、そのまま兵士達の中に消えていく。
 C.C.のその行動にさすがのルルーシュも息を呑む。
 この姿こそが、おそらく…C.C.のもともとの性格。
 カレンや騎士団たちとの出会いで少しは丸くなったが、
 それでもこの、やはり人とは違う感性は持ち合わせているようだ。

 

「お前が人でなしでよかったよ。私も思う存分、残酷になれる」

 
 

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