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code geass-seed_13話

Last-modified: 2009-02-09 (月) 00:10:44

   
 エピローグ そして…

 
 ジェネシスの地球圏に向けての発射が連合軍・ザフト軍の手により止められ、
 ラクス・クラインの平和の歌が世界に響きわたり、ザフトと連合軍は停戦条約を締結し、
 戦後復興に互いに協力すると示し合わせて、幾多の犠牲を出した戦争は終結した。

 
 勿論、その犠牲の中には行方不明となったムウ・ラ・フラガも含まれている。
 マリューはその事実を知ったとき泣き崩れた。
 戦争犯罪人に対する法廷もまもなく始まろうとしていた。
 
 核攻撃を行なったムルタ・アズラエルもそれにかけられるということだが、
 ラクスは戦争は1人で始められるものではない、
 みんなが平等に責任を感じるべきだとして、裁判を行なわないことを示唆した発言をしており、
 これには反対意見も出ている。
 
 気になるドミニオンの搭乗員であったナタルは戦死扱いとなっている。
 それはマリューの計らいだ。
 
 ナタルは最後まで嫌がっていたが、
 彼女を助けるには一度戦死をしたということで軍籍を排除するしか方法がなかったからである。
 ナタルは、今は名前を変えて、マリューの手伝いを行なっている。
 ムウを失ったマリューに対してナタルは恩返しとばかりにフォローをしているようだ。
 
 また、プラント側では、今もってパトリック・ザラのナチュラル打倒路線を提唱するものも存在している。
 戦争は終わりを告げたが、こういった火種に関しては、地道に解決をしていく必要があるだろう。
 
 誰もが求めた平和は、まだ最初の一歩を踏み出したに過ぎない。
 ラクス・クラインは、プラントにて二度とこのような戦争が起きないように演説を行なった。
 彼女の平和の歌は…今もなお響いている。

 
「……もう、僕たちの役目は終わったね」

 
 プラントにての戦争終結および、戦災復興にかけるラクスの演説が続く中、
 舞台袖でロイドがいう言葉にセシルとスザクは頷く。
 
「戦いの元凶であり、この世界の終焉にと導いた存在であるラウ・ル・クルーゼは倒しました。
 後のことは生き残った彼女達に任せるべきでしょう」
 
「……それは、本当ですか?」
 
 ラクスは、スザクたちを見つめつぶやいた。
 ある程度、覚悟はしていた。だけど…それが本当だとは思いたくはなかった。
 
「……僕たちは、この世界の住人じゃない。
 僕たちがいることで、またこの世界に混乱が起きることだけは避けないといけないから…」
 
 そういうスザクの手を握るラクス。
 ラクスは、寂しげにただ黙ってスザクの手を握り締めていた。
 
「…ラクス、君の力でこの世界は救われた。
 その真実だけは変わらない。
 僕たちは君を助けただけだから。
 君1人でもきっとやっていけるさ…」
 
「でも、私は……スザク、あなたがいればこそ、頑張れたのです」
 
「うぅん。そんなことないよ。君は1人であっても十分できる。それに、君には仲間がいるじゃないか」
 
 スザクは振り返る。
 そこにはキラやアスラン…マリューたちもいる。
 ラクスは、そんな彼らたちを見て、心強くも感じたが、そこでアスランの目に輝く赤い光をラクスは見た。
 
「!?」
 
 ラクスはそれをみて、怯えた表情をして後ずさる。
 
「どうしたんだい?ラクス?」
 
「い、いいえ……なんでもありませんわ」
 
 スザクを見てラクスは微笑んで答える。
 そう、平和にはなった。
 だが、自分に架せられた罪は決して消えることはない。
 そして、この平和という場所ではあまりにも不自由な力も残ったままだ。

 
『安心して…あなたには私がいるもの』

 
 ラクスの背後に立ち、耳元で囁く黒き自分に、ラクスはさっと身を引く。
 スザクはそのラクスの行動を不思議に感じる。
 その顔は顔面蒼白だ。
 
「ラクス?」
 
「ご、ごめんなさい……ちょっと疲れてしまっているみたいで」
 
「少し休んで。無理をして体調を崩してしまったら、意味がないから…。
 ラクスはなんか無理をしすぎな感じがするんだ。もっと自分の身を案じて欲しい」
 
 スザクはラクスを労わりながらそう告げる。
 ラクスはスザクの優しさに感謝しながらも、
 その感謝に甘えてはいけないという気持ちもあり、
 その交錯した気持ちに、戸惑いを感じる。
 
「いいのです。戦闘はスザクに任せてしまっていましたか、これからは私の出番ですわ」
 
 ラクスはその優しさに身を委ねそうになってしまう自分を叱り付ける。
 
「スザク……最後に、一緒に来て欲しい場所があるのですけど」
 
「?」
 
 不思議そうにするスザク。

 
 ラクスがスザクをどうしても連れて来たかった場所は、
 ラクスの今は壊されてしまっている、かつての邸宅であった。
 草木と花々に満ちたその場所の面影はかすかに残ってはいる。
 ラクスはそれらを見つめる。
 既に、新しくここを立て直す気はない。
 戦意復興のための事業として、病院にしようという案を出していた。

 
「……覚えていますか?ここであなたと一緒にいた生活」
 
「覚えています。僕たちを助けてくださり、
 どこの誰かも知らない僕たちに優しくしてくださったこと……
 そして、時には歌を歌い、心を癒してくださった」

 
 スザクは、ここで過ごしたラクスとの思い出を振り返りながら、告げる。
 ラクスは、そんなスザクの言葉に、自分もまた今までのことを振り返る。

 
「……私、本当はずっとここでスザク…あなたと紅茶を飲みながら、
 お話をして、このような人工とはいえ、明るく満ちた中で、草木に囲まれた生活……
 そんな生活をずっと過ごしていたかったですわ」
 
「……一度自由を得た鳥は、籠の中にはもう戻ることは出来ない」
 
「フフ…、厳しいのですね、スザクは」
 
 ラクスはスザクの言葉に微笑みながら答える。
 だが、その表情にはどこか哀しみも含まれていた。
 
「ラクス……」
 
 スザクは、ラクスの手を掴み、優しく包み込む。
 ラクスはその突然のスザクの行動に、はっとして息が出来なくなる。

 
 高鳴る心臓の音……。

 
「君には君にしか出来ない力があると同時に、そこには限界がある。
 だから、なんでも1人で抱え込んではいけない。
 人間は、1人ではできる事は限られるけど、
 その力を結集すれば、どんなことだってできるんだ。
 ラクスには……その先頭に立ってほしい」

 
「……私に、そんなこと…」
 
「できるさ、ラクスなら……」

 
 スザクはラクスを見つめ、そのスザクの目を見つめるラクス。
 
 スザクはラクスを見つめ、そのスザクの目を見つめるラクス。

 
「スザク、私……」

 
 ラクスは覚悟を決めた。彼にすべてを話そう。
 そして自分の傍にいてもらおう。
 暴走するかもしれない自分を止めてもらいたい。
 そして、そのときはあなたに殺されたい。
 ラクスは、そう考えて思いを告げようとした。
 
 だが、スザクの身体が光となって消え始める。
 時間が来たのだ。
 
 Cの世界の願い…この世界の未来を守ることは成し遂げた。
 スザク、ロイド、セシルは元の世界にと戻らなくてはいけない。
 それがこの世界のバランスを保つために必要なことなのだ。
 
「ごめん、ラクス……時間だ」
 
「そんな…私、もっと!もっとあなたとお話をしたかった。もっと…あなたと、いいえ」

 
 ラクスは消えゆくスザクの首に手を回して、背伸びをしてそのスザクの唇を奪う。
 スザクもそんなラクスを支えるように背中に手を回して2人は目を閉じる。
 その時間は、2人には短いものだったのかもしれない。
 そっと離れた2人。スザクの身体は、もうほとんど消えかけている。

 
「……好きです。スザク」

 
 スザクの口が動くが、その声はもう聞こえない。
 ラクスの目の前、スザクの姿は消えていった。
 それはラクスの中の心のリミッターが外れた瞬間でも合った。
 彼女のギアスがここまでコントロールできたのも、スザクという存在があったればこそ。
 誰もいなくなった庭園、
 そこは、光が注いでいるというのに、ここまで暗く寒々しい場所だっただろうか。

 
『これからは、私とあなただけね?』

 
 振り返るラクス。
 そこにははっきりともう1人の自分の姿があった。
 黒きドレスを着て、邪悪な笑みを見せる自分自身に、ラクスは後ずさる。
 いけない、彼女に乗っ取られては、ギアスという力に溺れてしまえば、
 それはラウ・ル・クルーゼと同じことになってしまう。
 ラクスは、その危機を感じ、推薦させられていた新しいザフトの議長を辞退。
 行方不明となる。

 
  Cの世界……。

 
 ロイドとセシル、そしてスザクは、長い白い世界の廊下に立っていた。
 自分達の役目は終わりを告げた。
 再びもとの世界に戻りゼロとしてナナリーを補佐しなくてはいけない。
 
「久しぶりに、スザクという立場に戻れたんだから、よかったんじゃないかい?」
 
 ロイドはスザクを見てそういう。スザクは微笑み
 
「どうですかね、僕には僕にしか出来ないことがあります。
 それは仮面を被ろうが被るまいがかわらないとも思いますけど」
 
「それよりも、私達がいなくなって、あの世界は大丈夫かしら?」
 
 セシルは不安そうにつぶやく。
 
「大丈夫~、スザク君のクイーンが頑張ってくれるだろうからね~」
 
「ろ、ロイドさん!そんなへんな言い方しなくたっていいじゃないですか」
 
「だって、歌姫は、君のことが大好きだったみたいだからね~
 もしあれだったら、あのまま残ってあげても良かったのに~~」
 
「ロイドさん!」
 
 ロイドのからかいに、スザクはあたふたしながら答える。
 セシルもそんな2人を見て不安を拭うが、
 振り返りもう一度その、自分たちがいた世界の絵画を見つめる。
 世界の未来は変わった。
 
 だから自分たちはこの世界に戻った。
 だとするならば、ラウンズである彼らも自分たちと同じく、
 ラウ・ル・クルーゼを止めるために、この世界に現れたのだろうか。
 あれだけの人数を派遣するほどまでに、
 クルーゼというのは危険だったということなのだろうか?
 
 今となっては、それはわからない。

 
「よぉ~し!それじゃ、僕たちは帰ろうか、我が家に」
 
「……そうですね、Cの世界でやるべきことは成し遂げました。
 後は、僕達の世界での役割を成し遂げましょう」
 
 スザクはそうつぶやき、新たな気持ちで、その白い廊下を歩いていく。
 ルルーシュが命を駆けて守りぬいた世界の幸せを、未来を守るために。

 
 オーブ首長国連邦

 
「スザク…スザク……」
 
 荒々しい息をしながら、ラクスが、そこにいた。
 己の力の暴走を抑えることが出来ない彼女は、
 キラ・ヤマトに自分を監視するよう告げて、
 部屋の一室に自分を監禁することとした。
 誰にも迷惑をかけないためにも。ギアスがおよぼす、
 黒き力は精神を確実に汚染していく。
 それはヤキンドゥーエにて兵士に大量にギアスをかけたのが原因だろう。
 
『今更、遅いですわ。私と一緒になりましょう?』
 
「いやぁ!あなたなんかに私はぁ!私は…屈しませんわ!」
 
『そんなのもう無理。あなただってわかっているでしょう?
 あなたの中でざわめくその気持ちを抑えることなんか出来ないんですもの』
 
「こないでぇええええ!!」
 
 ラクスは、その自分自身の影に怯えて部屋の中にある家具を投げつける。
 それは彼女の身体をすり抜ける。ラクスは半ば発狂したような状態であった。
 スザクがいなくなってから、彼女の精神は瞬く間に、崩れていった。
 
『フフ…フフフ……』
 
 微笑む声に、ラクスは恐怖を感じる。
 このままでは、取り殺される。
 自分が自分でなくなってしまう。ラクスは、家具のイスを窓ガラスにあてる。
 脆くもひび割れるガラス。ラクスはその割れたガラスの破片を黒き自分の影に向ける。
 
『どうするの?』
 
「はぁ、はぁ……あなたに、私の身体を私の想いを奪われるくらいなら」
 
 ラクスは自分の首にガラスの破片を向けた。
 このまま、苦しみそしてみんなに迷惑をかけるぐらいなら死を選ぶ、そう判断したのだ。
 
 ごめんなさい、スザク。
 
 私は……あなたとのお約束を守ることが出来ません。
 
 ラクスは涙を流しながら、握り締めたガラスを自分の首に向け突き刺そうと力をこめる。

 
「はああああああ!!」

 
 鍵が閉まっていたドアを破壊してはいってくるキラ・ヤマト。
 
「ラクス!?ラクス大丈夫?」
 
 部屋の惨状を見て一体なにがあったのかわからないキラは、
 その場で倒れているラクスに近寄り抱き起こす。
 何度か声をかけたキラの前、ラクスの目がゆっくりと開く。

 
『キラ……?』

 
 その目には赤きギアスの紋章が輝いていた

 
 Cの世界が恐れている人間は2人存在していたのだ。
  
 1人は世界を破滅に導こうとするラウ・ル・クルーゼ、
 
 それは枢木スザクの派遣により、見事倒すことが出来た。
 もう2人目は、人間を魅了し世界を独裁しゆるやかな、
 
 死をもたらすことになるだろう存在、ラクス・クライン……。
 
 これを止めるためにラウンズを派遣したのだが、
 Cの世界を裏切り、ビスマルクたちは敗北した。
 この世界の終焉は……止められてはいない。

 
 白い廊下を歩くものの音が聞こえてくる。
 そして、2人の人間は、ある絵画で足を止める。
 
「次の場所はここか?」
 
「あぁ、大型機動兵器による世界だ」
 
「……カレンやラクシャータあたりが欲しいところだな」
 
「手配しよう」
 
 絵画に手を触れる男と女。

「……世界を壊し、世界を……創るために」

  
 歌姫を止めるために、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアとC.C.の物語が今、始まる。