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seed-destiny第02話

Last-modified: 2008-12-31 (水) 17:22:28

SEED DESTINY ~2人のステラ~

 

第2話 急襲…造られた存在

 

「所属不明機に、キラ・ヤマトが乗っていたというの?」

 

 ミネルバにて報告をするシンとレイを見るクルーのみんな。
 前大戦最終決戦、メサイア攻防戦にて、キラ・ヤマトはシンと激突。
 シンの圧倒的な力と機体の性能も相まって、キラ・ヤマトは機体の四肢をバラバラにされ身動きが取れなくなり放置された。
 その後も、救出されたという話は聞いていなかったが。

 

「…もし、彼が生きていたとして、目的は復讐…」

 

 タリアは腕を組んで考える。
 それが一番打倒だが…、ならば、なぜ先ほど、とどめを刺さなかったのか。
 チャンスであったはずだというのに。

 

「…そうとは言い切れないとは思います。だとしたら、あの時点でこちらを撃つのを躊躇した理由がつかない。
 やはり偵察が主な任務だと考えるべきでしょう」
「偵察、なんのために?」
「こちらの戦力でしょう。何を考えているかまではわかりませんが…」
「まずいですよ!艦長、基地をやられて、ここからは補給無しの戦闘になります。本部に連絡し、増援を要請しましょう」

 

 アーサーはレイの言葉を受け、動揺しながら言う。タリアは少し考えて

 

「このまま捜索を続行します。増援要請は行なって…後、基地爆破により負傷した人物は、急いで近隣の病院に…」
「…艦長、敵にのるっていうんですか?」
「それだけ考えている相手が、このまま逃がしてくれるとは思わないわ。
 おそらく、そのときは今度こそ、こちらを狙ってくるでしょう。
 相手の意図を知るためにも…任務を続行します」

 

 難しい判断だった。クルー全員を危機に晒すことになる。
 だが、それは引き返しても同じである。ならば、攻撃を続けなくてはいけない。
 攻撃こそ最大の防御なのだから。

 

「第二次戦闘配置で各員は待機」
「シン、あのMSのシミュレーションをするぞ」
「わかった」

 

 シンとレイは、そういって艦内にあるシミュレーションを行なう部屋に向かう。
 かつてフリーダムを止めるために使用した場所だ。
 まさか、またここを使うことになるとは…。

 

「後は、基地を爆破した諜報員がいるということね…」

 

 タリアはルナマリアとステラを見る。

 

「艦内にいる可能性もあるわ。気をつけて」
「「はい」」

 

 ステラとルナマリアは強く頷く。

 
 

「……敵の戦力は以前とは異なって、弱体化はしているけど、現在の地球上における部隊の中で、一番、充実している戦力ではあるよ」

 

 パソコンの光で、部屋が照らされている場所で、腕を組み状況を報告する男。
 その表情は影に隠れて確認することが出来ない。

 

「結構。あのメサイア攻防戦であなた方、アークエンジェルを打ち破ったものたちなんだよね。
 ボクの研究結果の相手をしてもらうには丁度いいよ~」

 

 イスを回して、目の前の影に隠れている男のほうを見るサングラスをかけ、耳にはイアホンをつけた、白衣を着た男。

 

「…後、感情を処理できずに、目的を失ってもらっては困るんだけど。ボクとの約束忘れてないよね?」
「……わかってる」
「だったらいいんだけど。次はあなたではない別のものに任務を任せるとしようかな」

 

 白衣を着た男の前、大きな人が入った細長い水槽が三つ並んでいる。
 そこにいるものたちを見て、影から見ていた男は驚く。

 

「まさか、この人たちは…」
「あぁ、戦争で自我を失った哀れな人形達さ。だから、ボクがもう一度生を与えることにしたよ。こんなこと、今のボクにとっては容易いことさ」

 

 スイッチを押すと、水槽の水が抜けていく。
 それと同時に、水槽の中にいたものたちの閉じていた目がゆっくり開いていく。

 
 

 ミネルバは、任務開始の最初の朝を迎えようとしていた。敵の攻撃における補修も完了していた。

 

「ここまで、敵は仕掛けてこない」

 

 レイは、レジェンドを眺めながら考えていた。

 

「私達にびびって逃げたとか…、そういう風に考えたいところだけどね」

 

 ルナマリアは、紙パックのジュースを飲みながら、マイナス方向にしか考えていないレイに、問いかける。

 

「…くる」

 

 ルナマリアの隣にいたステラが艦の前方を見て、つぶやいた。

 

『未確認MS、三機こちらに接近。MSパイロットは至急、出撃願います』

 
 

 タリアたちのブリッジに映るMS、それは前回現れたMSとは違う形状をしている。
 新型…?形状はジャスティスに似ている。
 赤いMSであり、それぞれ武装が異なっている。
 巨大なハンマーを持つ格闘武器主体、肩に二連装の発射口がある射撃武器主体、装甲が硬そうな防御型。
 シン、レイ、ルナマリア、ステラが出撃する。それらに向かって、各機は一斉に攻撃を始める。
 まずは、強力なエネルギーが、4人の機体に対して撃ち込まれる。
 それを回避する4人。避けたところを狙う格闘型…、相手はシンである。

 

『瞬殺!』
「なんだ、こいつは?!」

 

 よくわからない言葉を放ちながら、撃ち出された強力なハンマーの攻撃を受けて、地上に落ちていくシン。

 

「シン!!」

 

 レイがフォローに回ろうとしたところに再び強力なエネルギー砲が撃ち込まれる。

 

『お前の相手は俺だぜ』
「くっ!!」

 

 レイはライフルを反撃に打ち込むが、それは、攻撃をした機体の前に現れた別の敵機により、ビームをはねかえされる。

 

「なにっ!?」

 

 レイは、ビームを弾き返す、機体に驚く。
 こんな機体が、アークエンジェルたち以外にも存在しているとは…。

 

「なんなんだ、こいつらは!」
「…格闘・射撃・防御に特化した機体みたいね。どれか1つを極限にまであげることで、小隊を組み、攻撃をかける」

 

 ルナマリアは、墜落しそうになったシンを助け、三機を見ながら判断する。

 

『ちっ!面倒な奴らだ!一気に蹴りをつけてやるぜ!!』
『…お先に、いかせてもらうぜ!!』
『はあああああ!!』

 

 ステラは敵の動きを見ながら、MSガイア・カスタムを操り、三機にライフルを連射していく。

 

『無駄だよ』

 

 防御しビームを弾く敵機。だが、そんな防御した敵機を、射撃型の機体が背後から攻撃する。
 回転して、そのビームを弾き、格闘型のほうにビームを撃ち返す防御型。

 

『どけ!シャニ!そいつは俺の獲物だ』
『うるさい…』
『オルガ!てめぇ!邪魔するんじゃねぇ!』
「なんだ、あいつら…仲間割れしているのか」

 

 シンは、この戦闘中に揉め事を起こしている三機に対して、何をしているのかわからない。
 仲間を信じなければ戦いなどできないというのに。

 

「…チャンスだな」

 

 レイはルナマリア、ステラ、シンに回線を開く。

 

「奴らが格闘・射撃・防御に特化していても、連携が取れなければ、すべての側面をそろえた1つの存在になりえはしない」
「…私たちのチームプレイの見せ所って事ね」
「問題ない。前の訓練どおりやってみせる!」
「…よし!行くぞ、レイ、ルナ、ステラ!!」

 

 4機は散開する。
 それを見た、三機は再び攻撃を開始する。

 

『なにをしようとも無駄だぜ!!』

 

 射撃型が、散開した一機レイに攻撃を集中させる。
 レイは、それを回避しながら、攻撃を引き付ける。
 その間に三機、ステラ、ルナマリア、シンがサーベルを抜き、残りの二機の元に向かう。

 

『激殺!』

 

 ハンマーを回して翻弄するが、シンはサーベルを突くように、突撃する。
 ハンマとサーベルがぶつかり合う。
 火花が飛び散る中、同じように突撃をかけたステラとルナマリアが、その機体をX字のように交錯し切り捨てる。

 

『あ、あぁぁぁああぁ!!!』

 

 爆発する機体、煙に包まれる中、防御型の機体は、あたりを見回す。

 

「幾ら、固くても」
「一点を集中すれば!!」

 

 サーベルでルナマリアとステラが同じ箇所を突き続ける。
 ビームに対しては有効の反射板も実弾、接近戦では効果が出ない。

 

『くっ!!』
「うわああああああああ!!」

 

 ステラとルナマリアの攻撃に対して防御に回る敵機に、シンがサーベルで一刀両断する。
 上半身と下半身に別れて、爆破する。

 

『なに!?シャニ!クロト!!』
「勝負はついた、大人しく投降しろ!」

 

 レジェンドのレイがオープンチャンネルにて回線を開き、警告する。
 シンたちも、敵が逃げられないように取り囲んでいる。
 オルガと呼ばれていた男は、歯を食いしばりながら、どうするかを考えていた。

 

『素晴らしい、素晴らしいよ。君達…』

 

 拍手と供に聞こえてくるその声は、オルガの機体から聞こえてくる。
 オルガはその自分の機体から流れてくる声に、コクピット内で周りを見渡す。

 

「誰だ?お前は?」

 

 シンは大声で叫ぶ。

 

『ボクは…プロフェッサーO。あなた方にその実験体を送り込んだものさ』
「実験体?」

 

 シンは、目の前の機体、そして先ほど倒した機体の残骸を見る。
 これが実験体というのか…。

 

『君達は、この地球上における最強の戦力が整っていると聞いてね~。
 だから、その地球圏最強の戦力に実験体の協力をしてもらおうと思ったのさ』

 

 実験、この戦闘における目的がそれなのか…。

 

「そんなことをして、一体なにをするつもりだ?」

 

 そのレイの質問に、声の主は笑い声をあげながら

 

『人間は、もはや限界を迎えているのさ。
 才能ある科学力は、戦争の道具にしか使われず、同じ同胞で永遠に殺し合いを続けている。
 これは種の存続に関わるところまできちゃったんだよ。
 愚かな人間同士の抗争に、ボクは人間の限界を見てね。
 だから、人間を人工進化させることにしたのさ。
 様々な遺伝子を組み合わせることにより、英知、才能、運動神経、様々なものに優れた完璧な人間を製造する。
 それにより、人間は今よりも新たな一歩を迎えることになるんだよ』
「そんなこと、できるわけ…」

 

 ルナマリアはあまりにもの現実離れした話しに、まともに会話するのも馬鹿馬鹿しくなってくる。

 

『…今、君達が見たのは、ボクのその成果の一部だよ。
 かつて死んだ人間も、ボクの技術を用いれば、見ての通り、複製として復活することが出来ちゃうのさ』
「なんだと、お…俺が複製」

 

 プロフェッサーの言葉に動揺するオルガ。

 

『勿論、生きている人間に対しても有効。ボクは、前大戦で様々な遺伝子を確保することに成功した。
 アークエンジェルのMSパイロット、キラ・ヤマト…アスラン・ザラ、カガリ・ユラ・アスハ。
 勿論、それだけじゃないよ…。そこにいる君たち、シン・アスカ、ルナマリア・ホーク…も例外じゃない』
「なっ!?」
「私たちのまで…」

 

 シンとルナマリアは息を呑む。
 自分たちの遺伝子まで手に入れているということは、同じように複製を作り出せるということだ。

 

『そして…ラクス・クライン』
「!?」

 

 前大戦の真実を知っている、この男は。
 既に精神を乱していたラクス・クラインは、世界を自分のものにしようとしたため、前大戦時に殺害された。
 その事実はメサイア崩壊という中で、有耶無耶にされ、
 彼女の代理としてミーア・キャンベルがラクス・クラインを演じているという真実。

 

『ボクは、あの戦いの中、彼女の血液を入手したんだよ。
 ラッキーだったね。皆の憧れである彼女の遺伝子こそが、
 完璧な人間を作るために必要な素材。無能な人間は駆逐され、ボクが作りだした、
 新たな種こそが…世界を変えるさ、こんなボクに、みんな拍手!』
「神にでもなるつもりか…」
『そうだよ。ボクこそが新たな種の創造主として、世に君臨するんだから~』

 

 ここまで自分にのめりこんでしまったものを、説得させるのは無駄だとレイは判断した。
 生命倫理を超えた人間、科学者の野望もここまでくれば、逆に立派だ。

 

「そんなことをさせるつもりはないわ!」
『せいぜい頑張って。ボクの実験体はまだまだ用意してあるから…。
 それじゃ、また会おう~。』

 

 回線が切れる。
 これが今回の敵というわけか…。
 シンは、レイとの言葉を思い出していた。科学者の暴走の話を。
 そう、科学も使い手によるものなのだ。
 そして今回はその科学を悪用しようとしたもののこと。
 放っては置けない、止めなくては…必ず。