seed-destiny第03話
Last-modified: 2008-12-31 (水) 17:17:26
第3話 出逢…2人のステラ 唐突の宣戦布告。 『う、うわああああああ!!!!』 悲鳴をあげるオルガ。無茶苦茶な操縦で攻撃を仕掛けてくる。 「きゃあ!」 ルナマリアは、なんとか回避するが、暴走したオルガは、止まらない。 『俺は、俺はぁあ!コピーなんかじゃねぇ!俺は、俺はオルガだあああ!!』 その光景をただ眺めるレイ。自分も今のオルガと大差ない。所詮は複製である存在であるのだ。 「はあああ!!」 ステラが暴走するオルガの機体を切り裂く。 「レイ、大丈夫か?」 シンが声をかける。レイは頷くとミネルバにと戻っていく。 研究施設では、大々的な宣言をして汗をかいたプロフェッサーが錠剤を複数、手のひらにおいて飲み込んでいた。 「…あんな言い方だと余計に、向こうは本気でくるんじゃないんですか?」 影に隠れている男は、プロフェッサーの先ほどの言葉に対して注意に近い言葉を告げる。 「いいの、いいの。向こうが本気じゃないと、こっちも実験の意味が無いんだからさ」 水槽の中、浮かぶピンク色の髪。それは、遺伝子技術により蘇ろうとしている本物の歌姫。 「わかっているよ。ボクにとっても彼女の存在は大切ですから…」 青白く光る水槽の中…その。かつての歌姫の形をしたものは、 「今回の実験機αに乗っていたパイロットは、かつて連合軍にいた、ブーステッドマンである、オルガ、シャニ、クロトの三人であることが判明した」 三人は、連合軍戦艦ドミニオンに乗り、アークエンジェルを攻撃したが、全員が戦死している。 「その遺伝子を使い、複製を作り出したと?」 ルナマリアは、タリアの言葉を聞き、オルガの最後を思い出して言う。 「…敵は、ただ単に複製技術だけを持っているだけではない」 レイは前に出て、説明を始める。 「本来ならば、複製というのは、容姿などをコピーする外見のものでしかない。 タリアはそこでステラを見る。ステラはレイの言葉に頷いて。 「うん。きっと…ステラがされたことと、同じことをやっている」 連合軍、ブルーコスモスが行なった強化人間による処置。 「ブルーコスモスとザフトの双方の技術を持ち合わせているということか」 そう、基地を襲ったMS。 「なんて奴らだ。急がないと…。艦長!」 シンはタリアのほうを見て、進言する。 「待ちなさい、シン。焦ってもそれは、敵の思う壺よ。あそこまではっきり言うということは、それなりの対策が既に出来ている可能性が高いわ」 それが、優秀なパイロットなら尚更だ。 「艦長、今回の基地施設というのは、それだけの場所なのですか?」 ルナマリアが問いかける。タリアは、少し間を置いて 「私が伝えられている任務は基地施設における敵勢力の偵察および、排除。それしかないわ。 シンの素っ気無い態度に、ルナマリアが強く言う。シンが焦る理由が分からないわけじゃないが…。 「いいえ、シンの言うことも、最もね。私は改めて上層部に報告して真意を問いただすことにするわ。 タリアはアーサーのほうを見て、すぐに連絡を取るように通信を送る。 「シン…」 ステラは、シンの動揺を感じ取り、落ち着かせようと声をかける。 「…時間をかけている場合じゃないんだ!!」 そのシンの強い言葉に、ステラは驚いて、身をすくめてしまう。 「シン!」 ルナマリアとレイの言葉にシンは黙って、部屋に戻っていく。 「シン…私の事嫌いになった?」 ステラの不安気な表情を見て、ルナマリアはステラを元気付け、気が立っているだろうシンの部屋にはいっていく。 「…気にするな。ただ、何も出来ない自分に怒りを感じるのは仕方が無いことだ」 ステラは、その懐かしい名前を聞いて、お守りとしている、かつて彼女が乗っていた機体の起動キーを握り締める。 「シン、あんな言い方しなくてもいいじゃない。ステラはあなたのことを思って…」 ルナマリアはシンを叱るように声をあげる。シンは振り返りルナマリアを見る。 「さっきの三人は、連合軍の強化人間だった」 ルナマリアはシンの言いたいことが、やっと理解できた。 「…みんなを守るために、私は!!」 ステラの前に迫る機体。三機の機体だ…。 「お前達に、シンはやらせない!!」 ステラはライフルを撃ちながら、三機を牽制する。 「うぅっ!!」 強烈な頭痛…。ステラは頭を押さえる。 (なんなんだ、これは…) 頭の中に別の人間の声がする。ブルーコスモスにいたときの頭痛に近い。 「声が…き、聞こえる?」 ステラは、その声が、目の前サーベルをぶつけ合わせているものからであることに気がつく。 「ステラ!無理をするな!」 シンの攻撃に鍔迫り合いをしていた、相手が離れる。 「まさか…」 レイはライフルを撃ちこみながら。距離をつめようとする。 「ちっ!こちらの動きを見切っているのか!?シン!」 シンの操るディスティニーは、空たかくから、急降下してサーベルを振り下ろす。 「やった!うわぁ!!」 だが、その切り裂いた瞬間、動きを止めたシンを狙う敵MS。 (さっきから、なんなんだ!お前は!) ステラの頭の中に轟く言葉…。まるで鐘の音のように響きわたる。 「しまった!」 だが、ステラは相手にしがみつき、距離をゼロにすることで、敵の攻撃が行なえないようにする。 「ステラ!!」 シンが墜落したステラを追おうとした所、撃ってくる敵MS 「くそぉぉぉお!!」 シンは声をあげながら、ルナマリアとレイたちと供に、そのまま攻撃を続行する。 森林に墜落したガイアと敵のMS、森林というクッションと、 「止まれ!」 後から響く声…。ステラは横目でその声の方向を見た。 「ステラ…?」 ステラは小声でぼやく中、相手もまた、思わず銃を落としそうになっていた。 「…ば、バカな。なぜ私が……うぅ」 再び強い頭痛が両者を襲う。 |