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sin-kira_シンinキラ_第05話

Last-modified: 2011-12-10 (土) 20:00:36

「キラ、お互い大変な目にあったわね。しばらく休みなさいよ。何かあったら起してあげるから」

 

あてがわれた部屋でミリアリアが言った。

 

「ありがとう。実際大変だったよ」

 

手が無意識に、携帯をまさぐる。当然そんなものは無い。だが、癖になってしまっているのだ。

 

「いいんだ、マユの声が聴けなくても。マユは、生きているんだもんな……」

 

俺は部屋に備えられていたリラックマのタオルケットを丸めると抱きかかえ、しばしの眠りに落ちた。

 

 

「シン、マリューさんが来ているわ、起きなさい」
「…ぅむ…ん! 起きた。なんか用ですか?」

 

二段ベッドの上から降りながら訊ねる。どうせ、用事の察しは付いている。

 

「……シン君、大変申し訳ないんだけど、もし、ザフトが攻めてきたら、また戦って欲しいのよ。オーブの、それも民間人の君に頼むのは情けないと、自分でも思ってるわ。でも、どうしようもないのよ」

 

そう言ってマリューさんは深々と頭を下げる。やっぱりだ。

 

「……いいですよ。俺も、ヘリオポリスは守りたいし」
「ありがとう! 本当にありがとう!」

 

その時、内線が鳴った。

 

『ラミアス大尉!ラミアス大尉!至急ブリッジへ!』
「どうしたの?」
『モビルスーツが来るぞ!早く上がって指揮を執れ!君が艦長だ!』
「……!私が?」
『先任大尉は俺だが、この艦のことは分からん』
「ふぅ……分かりました。では、アークエンジェル発進準備、総員戦闘第一戦闘配備。大尉のモビルアーマーは?」
『駄目だ!出られん!』
「では、フラガ大尉には、CICをお願いします。……聞いての通りよ。また戦闘になるわ。シェルターはレベル9で、今はあなた達を降ろしてあげることもできない。どうにかこれを乗り切って、ヘリオポリスから脱出することができれば……」
「わかっていますよ。じゃあ、格納庫へ向かいます!」
「無事で帰って来いよ」
「無理しないでね」

 

俺はみんなの声援を背に格納庫へ向かった。

 
 

「よう坊主」
「あ、はい。なんですか?」
「整備主任のマードックだ。大人が不甲斐なくてすまん。出来る限りの整備はした。よろしく頼む」

 

また頭を下げられちまった。

 

「いいんですよ。こっちもヘリオポリスを守りたいんだから」
「ストライカーはエールでいいんだな?」
「はい。こっちは一機ですから。機動力が力です」
「わかった。3番コンテナ開けー! エールストライカー装備だ!」

 

マードックさんは指揮に戻っていった。
俺も乗り込む!

 

「シン・アスカ、ストライク、行きます!」

 

……

 

「あれは! 拠点攻撃用の重爆撃装備じゃないか! ヘリオポリスの事は考えていないのか!?」

 

コロニーに侵入してきた3機は二手に分かれると、1機がアークエンジェル、2機が俺に向かってきた!
俺も高く買われたもんだ!

 

俺に向かってきたジンは、この時期ジンの唯一のビーム兵器のバルルス改特火重粒子砲を撃ってくる。

 

「そんなのろくさした動きで当たるかよ!」

 

だが、俺が避けたそのビームはシャフトを支えるワイヤーに当たり、それを断ち切った!

 

「くそう! ヘリオポリスの事は本当にお構いなしかよ! これ以上やらせるか!」

 

シールドを構えて突っ込む! ジンは焦ったようにバルルス改特火重粒子砲を撃ってくる。
ビームがシールドに当たるのもかまわず更にジン目掛けて空を突っ走る! 悪いな、バルルス改特火重粒子砲の威力は対ビームコーティングシールドで十分防御可能なレベルに過ぎないんだよ!
すれ違いざまにジンの右わき腹をビームサーベルで深々と切り裂く! 十分な手ごたえを感じた。背後で爆発が起きたのを確認しながら、次の敵と対峙する――

 
 

『ストライク! こちらは敵の攻撃を受けている!』
「あいにくこっちもだ! 俺が行くまで保ってくれ!」

 

目の前の敵――奪われた赤いGは特に重装備してないな、よし!
後回しにしてアークエンジェルの援護に向かおうとした時、通信が入った――

 

『キラ! キラ・ヤマト!』
(この声は……)
『やはりキラ……キラなのか?』
「アスラン! アスラン・ザラか! あんたって人はぁ!」
『キラ? やっぱりキラか!』
「血のバレンタインと、今あんたらがヘリオポリスをぶっ壊してんのとどう違うんだよ!? 答えて見ろ!」
『キラ!?』
「行くぜー! この裏切り者が! 今度は勝つ!」

 

その時だった。アークエンジェルを攻撃していたジンがとうとうアークエンジェルの砲火に絡め取られた!
だが、そいつの放った最後のミサイルは、もうぼろぼろになっていたメインシャフトに最後の打撃を与えた――

 

……地面が割れていく……アスランの乗ったモビルスーツは外へ吸い出されていった。

 

「うあああぁぁぁぁーーー!!!」

 

ヘリオポリスが崩壊していくのを俺はただ見ていることしか出来なかった。

 
 
 

『……応…答…』

 

守れなかったのか? 俺は? ヘリオポリス……守ろうとしたのに!

 

俺は瓦礫が漂う宇宙を漂っていた。

 

『応答…し…ろ! シン・アスカ! 聞こえていたら……無事なら応答しろ!』

 

……ああ、ナタルさんの声だ。応答しなきゃ……

 

「はい、こちらシン・アスカ」
『無事か?』
「はい……」
『そうか……気を落とすな、と言っても無理だろうな。こちらの位置は分かるか?』
「はい」
『ならば帰投しろ。……戻れるな?』
「はい」

 

ビー・ビー・ビー・ビー・
なんだ? 耳障りな……これは救命ビーコンか? あ!…あれ…ヘリオポリスの救命ポッド!

 
 

◇◇◇

 
 

アークエンジェル艦橋

 

「で、これからどうするんだ?」
「本艦はまだ、戦闘中です。ザフト艦の動き掴める?」
「無理です。残骸の中には熱を持つものも多く、これでレーダーも熱探知も……」
「向こうも同じと思うがね。追撃があると?」
「あると想定して動くべきです。…尤も今攻撃を受けたら、こちらに勝ち目はありません」
「……だな。こっちには、あの虎の子のストライクと、俺のボロボロのゼロのみだ。艦もこの陣容じゃあ、戦闘はなぁ。最大戦速で振り切るかい?かなりの高速艦なんだろ?こいつは」
「向こうにも高速艦のナスカ級が居ます。振り切れるかどうかの保証はありません」
「……なら素直に投降するか?」
「……え?」
「へっ…それも一つの手ではあるぜ?」

 

「なんだと!ちょっと待て!誰がそんなことを許可した!」
「バジルール少尉、何か?」
「ストライク帰投しました。ですが、救命ポッドを一隻保持してきています」
「「えっ!」」
『認められない!? 認められないってどういう事だ! 推進部が壊れて漂流してたんだぞ? それをまた、このまま放り出せとでも言うのか!? 避難した人達が乗ってるんだぞ!? 修理くらいさせたらどうだ!?』
「すぐに救援艦が来る!アークエンジェルは今戦闘中だぞ!避難民の受け入れなど出来るわけが……」
「いいわ、許可します」
「……艦長?」
「今こんなことで揉めて、シン君の心証を悪くしたくないの。収容急いで!」
「……分かりました、艦長。シン、許可が出た。収容急げ!」
「状況が厳しいのは分かっています。でも、投降するつもりはありません。この艦とストライクは絶対にザフトには渡せません。我々は何としても、これを無事に大西洋連邦司令部へ持ち帰らねばならないんです」
「艦長、私はアルテミスへの入港を具申致します」
「アルテミス? ユーラシアの軍事要塞でしょ?」
「傘の、アルテミスか?」
「現在、本艦の位置から最も取りやすいコースにある友軍です」
「でも、Gもこの艦も、友軍の認識コードすら持っていない状態よ? それをユーラシアが……」
「アークエンジェルとストライクは、我が大西洋連邦の極秘機密だと言うことは、無論私とて承知しております。ですが、このまま月に進路を取ったとて、途中戦闘もなくすんなり行けるとは、まさかお思いではありますまい。物資の搬入もままならず発進した我々には、早急に補給も必要です」
「……分かってるわ」
「事態は、ユーラシアにも理解してもらえるものと思います。現状はなるべく戦闘を避け、アルテミスに入って補給を受け、そこで月本部との連絡を図るのが、今、最も現実的な策かと思いますが」
「アルテミスねぇ……そうこちらの思惑通りにいくかな?」
「シン君の問題もあるわ。ユーラシアは大西洋連邦以上に反コーディネイター感情が強い。何かあったら最後よ。なにしろ本艦は彼頼りなのだから、彼の心証を害することは極力避けて協力してもらわなくてはいけないの」

 

そう、なにしろ彼は今までもヘリオポリスを守りたい一心で協力してくれていたのだから。ヘリオポリスが崩壊してしまった今、果たして協力してくれるだろうか。私が暗い思考に沈み込もうとした時、フラガ大尉が言った。

 

「じゃあ、いい手があるぜ。俺って天才かもな。ちょっと気が咎めるがな……」

 
 

◇◇◇

 
 

俺は救命ポッドを艦内に収容し、ハッチを開けた。

 

「ん?」

 

見覚えのある顔が出てきた。

 

「あ、あー、貴方!サイの友達の!」
「お前は……確かフレイ・アルスターか」
「ねえ、どうしたのヘリオポリス! どうしちゃったの? 一体何があったの?」

 

俺は、何も言えなかった。

 

「あたし、あたし……フローレンスのお店でジェシカとミーシャにはぐれて、一人でシェルターに逃げて、そしたら……」
「……」
「これザフトの船なんでしょ? あたし達どうなるの? なんであなたこんなところに居るの?」
「ああ、確かお前の親父って大西洋連邦の事務次官だよな。安心しろ。これは地球連合の艦だ」
「うそっ!? だってモビルスーツが!」
「地球軍も作り出したんだよ。ま、中に入んな。サイも、ミリアリアもいるぞ。心配すんな」

 

そういや、フレイの声って、ステラの声に似てるな……
フレイを助けられたと思う事で、俺の心は少しヘリオポリス崩壊のダメージから回復した。
休憩室で休んでる皆の所に連れて行ったら、フレイはサイを見て飛びついていった。やれやれだぜ。

 
 

◇◇◇

 
 

アークエンジェル艦橋

 

「デコイ用意。発射と同時に、デブリ帯への航路修正の為、メインエンジンの噴射を行う。後は艦が発見されるのを防ぐため、慣性航行に移行。第二戦闘配備。艦の制御は最短時間内に留めよ!」
「デブリ帯までのサイレントランニング、およそ24時間ってとこか。…後は運だな」
「気を緩める、と言う訳でもないけれど、交代で食事、タンクベッドを使って兵員をリフレッシュさせて。特にシン君を、ね。それにあなたも」
「ああ」

 

いささか気が咎める方法……それはユニウスセブンを含むデブリ帯の残骸から補給をする事だった。

 

武器の補給はヘリオポリスでそれなりに出来たが、余計なお客さんも拾っちまったし、どうしても水や食料、特に水は補給しなきゃならんのさ。例え静かに眠っている奴らを騒がしてでもな。

 
 

◇◇◇

 
 

ヴェサリウス艦橋

 

「ヴェサリウスは先行し、ここで敵艦を待つ。ガモフには、軌道面交差のコースを、索敵を密にしながら追尾させる」
「アルテミスへでありますか?しかしそれでは、月方向へ離脱された場合……」
「大型の熱量感知!諸元解析予想コース、地球スイングバイにて月面、地球軍大西洋連邦本部!」
「隊長!」
「そいつは囮だな」
「しかし、念のためガモフに確認を」
「いや、やつらはアルテミスに向かうよ。今ので私はいっそう確信した。ヴェサリウス発進だ! ゼルマンを呼び出せ!」

 
 

◇◇◇

 
 
 
 

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